いやぁ、中国産の冷凍食品、すごいですよねぇ〜。殺虫剤入りでございますよ、殺虫剤。やることがハンパじゃございませんよねぇ。なんか、さんざん叩かれた赤福餅や不二家がかわいそうに思えてくるのでございます。赤福も不二家も、ルール違反をしていたという事実は拭えないのでございますが、それでも何十年も食中毒ひとつ起こさなかったわけでございます。なんだか、赤福や不二家に同情するのでございます。
赤福なんて、暗号めいた製造日ラベルとかを考案して、ゴマカシながらも実害が出ないように、涙ぐましい努力をしているわけでございます。それほどの細かい管理が出来るのならば、ごまかさなくてもきちんと管理できたはずだと思うのでございますが、そこは、かけ間違えたボタンの原理、全てを正すために一度リセットすることが出来なかったのでございましょうね。
アメリカなども、毒入りの中国製品には業を煮やしているのでございます。鉛ペイントの玩具、毒入りペットフード。「もう中国製品はいやだ!」と思いつつも中国製品の使用を止められないのは、すでに生活の中に中国製品が浸透し過ぎているからでございます。この事情は日本とて同じ。生活用品の多くを中国製品に依存している今日では、「危険だからすべて断ち切る」ということは不可能なのでございます。
食品がらみの事件で、つい先日、こんなことがございました。三重県伊賀市内の、あるショッピングセンターの社員食堂での出来事。その社員食堂を任されていた四十代の男性調理師が、本社から送られてくる食材に期限切れが多いことを指摘し、それを改善するように要望をしたら、一方的に解雇されたとのことでございます。(1/29付 中日新聞朝刊より)
細かいいきさつが分からないので、なんとも断定は出来ないのでございますが、調理師と会社側、どちらももう少し融通がきかないものでしょうかねぇ。社員食堂ですから、一般のお客は入ってこないわけでございます。そして、必要な食材も、かなり予測が立てられるわけでございます。こういった社員食堂のような場所では、期限切れ(ギリギリ)の食材を安く叩き買って経費を浮かせるというのは、ごく当たり前なのでございます。
ちょっと話がそれますが、みなさま方、街の八百屋に並んでいる野菜が、必ずしもすべて新鮮だと思っておりますか? 八百屋の店先の食材を物色していると、すべての食材が完璧に新鮮というわけではございません。多少傷んだものが混じっていたりしております。では、八百屋で買うのが危険かというと、そんなことはございません。購入するときに、八百屋のオヤジが手にとってチェックするという“人力(じんりき)セキュリティ機能”が備わっているからでございます。
あるいは、「こっちの方がおいしいよ」といって交換してくれる“その場で初期不良交換サービス”や、「ちょっと痛んでるからこれをおまけしておくね」と言って余分にくれる、“現物支給ポイント還元システム”なんてのもあるのでございます。つまり、多少傷んだ食材が混じっていても、必ず八百屋のオヤジのインターフェースを通過することになり、傷んだものがなんら処理されずに消費者に渡るということはあり得ないのでございます。
ところが、スーパーマーケットのようなパッキングされた売り場では、このようなきめの細かい処理というのは不可能でございます。当然、「絶対安全な期限で商品を引き上げる」ということになるのでございます。これはコンビニなどでも同じ。商品が流通しやすい形態にパッキングされ、流通コストや手間ひまが軽減されるメリットが大きくなり、その代償として、期限早めに処理される食材も増えてきたわけでございます。
さて、お話を先ほどの調理師に戻しますと、この調理師には八百屋のオヤジのようなインターフェースの役割が要求されていたわけでございます。期限切れの食材が本当に使えなかったのか? 調理の仕方を工夫することで利用できなかったか?
「“賞味期限”という制度の下で大量に廃棄されるグレーゾーンの食材を、今一度、人間の目でふるいにかけてもう一度再利用(リサイクル)する」
というのが、この調理師の役目だったのでございます。調理師が杓子定規すぎたのか、あるいは本社から送られてくる食材がその調理師の手腕の域を超えていたのか。グレーゾーンの食材を使わざるを得ない会社側の事情と、絶対に食中毒を起こせない現場の事情、その両者がもっと膝をつき合わせて話し合えば、何らかの妥協点は見いだせなかったのかなぁ、と思うのでございます。
その大量に放出されるグレーゾーンの食材を、有効に再利用しようという趣旨の法律があることを、つい最近知ったのでございます。「食品リサイクル法」というものでございます。施行が2001年ということなので、まだ生まれたばかりの法律でございます。スーパーやコンビニなどから回収される大量のグレーゾーンの食材や、食品加工メーカーの残りクズや廃棄品、その他売れ残ったコーヒー飲料、油、砂糖、塩、缶詰、ドレッシングまでもが、その食品リサイクル法に従って、リサイクル施設で処理されるそうでございます。(以下、食品リサイクルに関しては、1/31付、中日新聞朝刊生活面の記事より)
世の中が賞味期限に敏感になるにしたがい、食品のホワイトゾーンはドンドン狭くなり、グレーゾーンの食材が大量に処分されてきているのでございます。ただ、この食品リサイクル法が定めているのは、「食品を肥料や飼料へ再利用」することだけでございます。赤福がやっていたような餡の再利用は、法律の範疇外なのでございます。そこで、前述の記事では、そのような和菓子店での日常的なリサイクルに関して言及しております。以下に転載するのでございます。
「赤福が回収した商品に消費期限を付け直して出荷したのはとんでもないこと。ただ、和菓子業界では、大半の店が製造販売しており、まんじゅうが売れ残ると餡を取り出して、新しい小豆に混ぜて煮ることも一般的。味も品質も落とさず、表示上も問題はない。そうした伝統的な手法まで白い目で見られてしまう」(中日新聞より転載)
廃棄品を肥料や飼料にリサイクルするといった方法だけでなく、食品のリサイクルにはいろいろな方法があるのでございます。たとえば、八百屋のオヤジのインターフェースだったり、調理師の細やかな食材管理だったり、和菓子屋の伝統手法だったりと。ただ、そういった“人力”による細やかなリサイクルも、消費期限という“数字”が、大きな足かせになっているのでございます。そして、少しでもその“数字”に抵触すると、よってたかって叩きまくられる。こんなことでは、誰も食材を有効に利用しようなんて思わないのでございます。
消費期限にビクビクしながら生産している国内の食品メーカーを尻目に、中国のメーカーが殺虫剤入りの食品を大量に流入させたってのは、実に大笑いでございます。「少しでも安いものを」といった“安物餓鬼”を追求してきたワタクシたちの、ツケが今、回ってきたのかもしれませんよ。さぁ、どうする、どうする、危険だからと言って、中国産の食材をストップしたりしたら、日本の食生活、大混乱でございます。さぁ、どうする、どうする。
実は、リサイクルすると安く上がるようなイメージがございますが、リサイクルってのは、実際には高くつくのでございます。ビールが瓶からどんどん缶に移行したのも、瓶を回収して、洗って、再利用するという費用が、バカにならないからでございます。むしろ、回収した瓶を溶かして、新品のビール瓶を作り直した方が安上がりでございます。まぁ、これもリサイクルって言えば、リサイクルですけどね。
また、最近では再生紙の偽装が発覚しましたが、あれだって、古紙を回収して再生するよりも、パルプから新品を作った方が安いはずでございます。世の中が再生紙を賛美する風潮の中で、製紙メーカーはその風潮と品質とコストとのスパイラルで、苦しんでいたはずでございます。
廃棄品を別な物に加工するのもリサイクルでしょうが、本当のリサイクルは「廃棄品になる直前の水際で救ってやること」だと思うのでございます。本当のリサイクルは、とっても手間ひまのかかることなのでございます。と同時に、リサイクルってのは実際には割高になることが多いのでございます。このリサイクルの「面倒くささ」と「割高」ってのは、もっともっと知られるべきだと思うのでございます。偽装だ発覚だと、国内で足の引っ張り合いをしている間に、毒入り食品が海の向こうから、ほら、どんどん入り込んでしまっておりますよ……
ということで、今回はこのへんで。次回をお楽しみに。ではでは、名古屋薫でございました。
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(2006/1/24以前のバックナンバーはこちらからどうぞ)
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