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2008/09/05

Wing-Mag No.1476 杉原千畝(ちうね)を描いたミュージカル(泉 幸男)

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■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■

          杉原千畝(ちうね)を描いたミュージカル

                                                   泉 幸男
■転送歓迎■ No.1476 ■ H20.09.05 ■ 9,697 部 ■■■■■■■

    -----------------------------------------------------
    国際派時事コラム第222号(平成20年4月16日発行)
    より、発行者の許可を得て、転載。
    ミュージカル公演は終了していますが、以下のホームページで
    DVDは販売されています。
    http://www.rise-produce.com/sempo/
    -----------------------------------------------------


ほぼ週3回更新の「ブログ」。
話題豊富に続いています ↓
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/


◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
            http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/


    杉原千畝(ちうね)を描いたミュージカル


■■■■第222号■■平成20年4月16日発行■■■◆


 ヒトラーの迫害を逃れてポーランドからリトアニアにたど
りついたユダヤ人避難民が、日本領事館前に集まった。

 昭和15年7月18日のことだ。

 行き場を失ったユダヤ人避難民の明日への希望は、シベリ
ア鉄道でウラジオストクまで行き、敦賀に上陸し、神戸にあ
るユダヤ人組織の助力で第三国へ逃れることだった。

 日本へ渡航したあと第三国へ向う目途が立っているから、
通過ビザを出すことは法的にはOKだった。
(だから有効なビザが出せた。)

 ただ、大量のビザ発給が政治的にみてどうなのか。

 外務省本庁に問い合わせると、このような大量のビザ発給
は許されないとの訓電が来るが、 悩みぬいた末に 杉原千畝
(すぎはら・ちうね)領事代理は法と良心に従ってビザの発
給を開始する。

 「敦賀上陸、 滞在拾日限(10日かぎり)」とペンを走らせ
た。
 そして救った6千人のいのち。


■ センポとは? ■


 その時代背景から杉原千畝の懊悩と決意までを感動的に描
いたミュージカルの秀作が4月22日まで東京で公演中だ。
(そのあと名古屋と神戸でも。)


    「SEMPO 日本のシンドラー 杉原千畝物語」
     http://www.rise-produce.com/sempo/


 センポとは、なかなか「ちうね」と発音しにくい人たちに
杉原が自分のことを呼ばせた呼称。
(ユダヤ人たちは杉原千畝のことを“センポ・スギハラ”と
記憶した。)

 この公演をコラム子も 4月12日と15日に 2度にわたり見
て、胸から脳までぐいとわしづかみにされた。

 センポ・スギハラの揺れ惑いつつ収斂する心境の再現に存
分な説得力がある。
 脚本・プロデューサーの川崎 登さんは、 いい仕事をされ
た。
 史実から緻密に構成しつつミュージカルらしい遊びもいれ
てバランスのいい脚本だ。

 今(こん)拓哉さん、彩輝(あやき)なおさん、泉見(い
ずみ)洋平さん、そしてベテランの 沢木 順さんなど、ミュ
ージカル俳優の一流どころが起用されていて、安心して見て
いられた。


■ 絶唱、ダンス ■


 杉原千畝役はロックの吉川晃司(きっかわ・こうじ)さん
が演じたが、たとえていえば鹿賀丈史(かが・たけし)さん
の真摯(しんし)が皮膚の奥まで沁み込んだような出来映え
だった。

 演出・脚色の大谷美智浩さんがパンフレットで思いを吐露
している:

≪稽古を進めていたある日、吉川「千畝」の中に正義の光が
宿った。キャストもスタッフも、その場に居合わせた誰もが
泣いた。≫

 そういう瞬間があったこと、よくわかる。


 のちに逃避行の途中で命を落とすことになるエリーゼ(井
料瑠美さん)が
「いつの日か帰ろう 遥かなエルサレム」
と絶唱して幕が開く舞台は、ヴェトナム戦争時代のニューヨ
ークのダンスホールの快活な舞踏に一転する。

 全編にわたり、ダンスがうまい。役者さんの粒が揃ってい
る。

 ダンスホールの男たちのやりとりからやがて、なぜ杉原千
畝が「命のビザ」の発給のために文字通り自らの命もかけた
のか? という問いかけが提示される。

 その答えを、説得力をこめて見せてくれた。


■ 歴史のモーション ■


 昭和14年の 在ヘルシンキ日本公使館の 華やいだ舞踏会か
ら、歴史の叙述がはじまる。

 日本・ドイツ・ソ連をそれぞれ、あでやかな女性たちに擬
人して演じさせ歴史の流れを語らせる。

 時代の闇は深まり、第2幕冒頭のヒトラーと親衛隊の歌は
やがて近衛文麿政権の陸軍軍人の歌へと転調する。

≪……日の丸よ永遠なれ 立ち上がるのだ 今すぐ
お国のため戦おう いざ勝ち取れ大東亜共栄圏……≫
という歌詞は文字にすると安っぽいのだが、

 7名の軍服姿に能面をつけさせスローモーションで腕を揺
らせる演出は効果的で、扱いにくいテーマをミュージカルと
しては上手に処理してある。


 杉原千畝を演じる吉川晃司さんが最初に登場するのは、顔
を帽子で隠したままポーランド人のエージェントとの密談の
場。

 顔を見せずに声と振舞いで杉原千畝をつくったところで、
すでにして杉原千畝となった男が顔を見せる。

 この演出にしびれる。


■ 台本、DVD…… ■


 中島みゆきさんが音楽を担当ということで、中島ミュージ
カルとはどんなものだろうかと期待した。

 仕上がりは昨年の傑作ミュージカル「マリー・アントワネ
ット」を思わせた。

 あとでパンフレットを見たら、中島さんが詞・曲を担当し
たのは全34曲中の8曲ほどで、他の大部分は Peter Yarin
さんの作曲だった。

 中島さんの作のうち、千畝のうたう「掌」という曲がとり
わけ心をとらえたし、Peter Yarin さんがユダヤの旋律をと
りいれた曲も印象深かった。


 会場では主な俳優さんのサイン入りの台本を売っていて、
わたしは 彩輝なおさんと沢木 順さんのサイン入りのを1冊
ずつ買った。

 1枚6,000円のDVDも7月に出る予定。
 市販されず、公演期間中しか申し込めぬそうだ。

 親しい友人たちにも贈ろうと思って5枚予約した。

 公演に行けないかたもDVDでご覧になれる。
 お申込みは興行主の株式会社ライズ・プロデュースまでお
問合せください(電話 03-3589-5115)。
http://www.rise-produce.com/

 海を越えての上演の実現を祈りたい作品だ。
 国内でも必ず再演があるだろう。


■ 愛華みれさんのご回復をお祈りします ■


 東京であと8回公演がある。まだ席が残っている。
(4月22日まで、新宿ちかくの「新国立劇場」で。)

 そのあと4月26〜27日に名古屋の「名鉄ホール」。
5月2〜8日に「新神戸オリエンタル劇場」で。


 さいごに、この作品に出演予定だったが病いに倒れて降板
となった愛華みれさんの一日も早いご回復をお祈りして、本
日のコラムを終えたいと思います。


===


▲ 後記 ▼


 ここ2年間、ほぼ週に1度は劇場に行っています。

 観劇後の感想はブログに書いていますが、
今回の「SEMPO」は昨日の会場の後ろのほうの空席が、
なんとももったいなく、ブログへの書き込みに加筆して配信
することにしました。

 日本人として、話の中身も演劇の出来も全て誇れる作品だ
と思います。



  さいきんのコラム子のブログ記事から ――


ことわざパロディー 「鬼の犬 魔の選択」
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200803290000/

 何だい、鬼の犬 魔の選択 って?
 おにの いぬ まの せんたく、ですよ。

 それってどういう意味?
 たまにはお笑いを。


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/


==

■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお)

http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
(週に3回ほど更新しているブログ)

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