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2008/10/02

『電子耕』No.244-2008.10.02号

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隔週刊「農業文化マガジン『電子耕』」  第244号
−環境・農業・食べ物など情報の交流誌−
2008.10.02(木)発行      山崎農業研究所&編集同人
<キーワード>
環境・農業・健康・食べ物などの情報提供、高齢者と若者、農村と都市の
交流ミニコミ誌。山崎農業研究所&『電子耕』編集同人が編集・発行。
http://www.yamazaki-i.org
*************************************発行部数  1278  部***************
□  目  次    □----------------------------------------------------
<巻頭言> 品格喪失の時代 松坂正次郎
<83歳からのメッセージ> 敗戦後の悪夢 原田 勉
<編集後記> 山河を守ってきたのは誰か
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<巻頭言> 品格喪失の時代
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 昨年の今時分、人間の「品格」を問う言葉や著作が世間に横溢したのは、今
日の「品格喪失」を予感したのだろうか。いわゆる「詐欺行為の社会的普遍
化」とでもいえる時代が来たのだから。

 「詐欺」とは、他人をだまして錯誤におとしいれる行為と定義されている。
その目的は、真実でない“事実”を、真実だと思いこませて、相手から利得を
せしめ、結果的に相手に不利益をもたらすことにある。

 ものの本によると、日本では昔、詐欺取財は盗財に準じた「かたり」と称さ
れていた。10両以上は死罪、数度の「かたり」は獄門、文書偽造・印章偽造
は市中引回しのうえ獄門、通貨偽造は引回しのうえ磔刑、秤(はかり)や升
(ます)の偽造も同罪、偽薬づくりも重罪とされていた。

 現代の詐欺は、人間性の片鱗も伺えぬほど悪質化、国際化、多様化し、権力
やコネ(クション)がらみのものが増えている。電話を悪用しての「オレオレ
詐欺」や年金記録の役人による大量改ざん、今回の政府の輸入外米を起点とし
た、かび毒と残留農薬に汚染された「事故米」事件など、カラスが鳴かない日
があっても、詐欺行為を聞かない日はない。

 「事故米」事件の出発点は、「工業用」と称して事故米を安易に払い下げた
ことにある。これまで政府は食品について“安全・安心なものを”と指導して
きたというが、指導をうける業者も含めてそれが単なる経文読みであることが
露呈した。政府は慌てて、「事故米の不正流通に関する対応検討チーム」なる
ものを設けた。わが国には、昔から“泥棒を見て縄を綯(な)う”という箴言
(しんげん)もある。

松坂正次郎
山崎農業研究所顧問、コラムニスト
yamazaki@yamazaki-i.org

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<83歳からのメッセージ> 敗戦後の悪夢
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 自民党の総裁選に出馬した五人の人たちはいづれも戦争を知らない人たちだ。
それだけに戦争の恐ろしさや平和の尊さを実感できるとは思われない。これか
らの日本はどうなるのか不安で一杯である。


 それにしても敗戦後の人生を省みて、恐ろしい思い出を語らなければならな
い。
 敗戦後、ひとときの、民主主義を守り平和で暮らす生活を楽しんでいたとき、
突然、朝鮮戦争が勃発した。昭和二十六年六月のことである。

 占領軍は、直ちに日本に警察予備隊という、自衛隊の前身を発足させた。し
かも戦犯を解放し、政界にも返り咲いた。

 しかも、共産党幹部を追放し、半ば非合法政党のような処置をとった。まさ
に戦前に逆戻りしたのである。
 
 私は度々、悪夢にうなされた。

 軍隊に召集され営門に入るところで目が覚め、ハッと起きると汗びっしょり
になっていた。何度も姿形を変えてくりかえす悪夢に悩んだ。その根拠は、復
員するとき、「後備役陸軍軍曹を命ず」という辞令である。

 後備役というのは、いざというとき軍に召集されるということである。そし
て、最も必要とされる下士官であった。

 現に私と同じに復員し、東京農専に入った仲間が一人警察予備隊に入ってい
た。他の学友は冷笑していたが、軍歴のある私にとっては他人事ではなかった。


 やがて休戦になったが、現に北朝鮮と日本の関係は異常な状態が続いている。
これからどうなるか不安は続いている。現政府の指導者にまかせていいのだろ
うかと。

 私を悪夢から救ってくれたのは学友であった。当時の農林省に同期生が十数
人入省した。東京農専の先輩、東京高農や東大実科卒の人たちは農林省で、実
質的実務者の中心にいた。

 当時新聞記者であった私は、農林省内に自由に出入りし、担当者に会い机の
上の書類も自由に見せてもらった。当時食糧増産が主要な命題であり、次々と
米国から新農薬や新肥料・新農機具が導入されていた。それらのニュースをい
ちはやく紙上に載せることで、日刊の有力紙に負けない仕事をすることができ
た。

 これは、すべて同窓の先輩であり、同期の友だちがニュースソースであった。

 戦後六十三年を振り返っても、楽しい想い出であった。


 いまは戦争を体験しなくてもいいが、これからいつまで続くのか。子や孫の
時代はどうなるのか、戦争は決して、してはならない。しかし戦争は、いつも
知らぬ間に静かに侵入している。気がついたときは既に遅いのである。


山崎農業研究所会員・『電子耕』編集同人
原田  勉
tom@nazuna.com
http://nazuna.com/tom/

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<編集後記> 山河を守ってきたのは誰か
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9月25日、佐渡で10羽のトキが放たれた。佐渡の空にトキが舞うのは27
年ぶりだという。このことについて26日の天声人語はふれ、「国産は死に絶
え、放たれた籠(かご)育ちは『野の鳥』に戻れるかどうか案じられている。
人間が山河を守ってこなかったツケなのかもしれない」と述べている。

この「人間が山河を守ってこなかったツケ」という一節がひっかかった。山河
を守ってきたのは誰か。それは一義的に農家であり林家だろう。その農家や林
家への目線がこの文書にはない。

たしかに「〔トキの〕生きる環境は以前より厳しいと聞く。田は減り、山間部
にも道路が延びた」と書かれているが、なぜ田は減ったのか、さらにいえば、
トキが生きる場である田園環境がどのようにして変化してきたのか、今回の放
鳥のために農村部でどんな取組みが行なわれてきたのか等々について触れられ
てもよかったのではないか。

もちろん700字に満たない枠のなかで書けることは限られている。がしかし、
くりかえしになるが、山河の守り手=農家や林家という生身の“人間”の日々
の営みなしに、トキという“生きもの”の生存もありえないのである。

2008年10月01日
山崎農業研究所会員・田口 均
yamazaki@yamazaki-i.org

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