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2005/01/05

ILO駐日事務所メールマガジン 【No. 31】

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■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
    ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
     2005年1月5日号 No. 31

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■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

:::::::::::<目  次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2005年1月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−新年のご挨拶::::::::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−グローバル化と若者の未来シンポ ほか:::
:《4》ILO新聞発表−船員用生体認証ID発行準備整う ほか::::::::
:《5》新刊紹介−世界雇用報告2004/05年版 ほか:::::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−ボパール事故から20年 ほか::::::::::
:《7》トピック解説−IIRA(国際労使関係協会):::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (2005年1月1日現在)
 ◇加盟国数...177        ◇日本の批准条約数.........46
 ◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
 ◇勧告の数...195(うち撤回36) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71

□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■□

        ★ ☆ 新年のご挨拶 ☆ ★

 明けましておめでとうございます。
 新年早々からのお詫びですが、本号は昨年12月号で、私の個人的理由により遅れて
本年になって発刊致しました。したがって1月号は引き続き準備致しております。20
04年のご愛読の感謝と共に、2005年も引き続きご愛読下さいますよう宜しくお願い申
し上げます。
 年末は久しぶりに(4年ぶりの)高熱に悩まされ(どうも過労もあったようです)、
これまた4年ぶりに近所の医院で診察を受ける羽目となりました。医者嫌い、病院嫌
いの理由の一つは、待ち時間の長さです。予約制があったら良いと思うのですが、年
末もご多分に漏れず、我が家近くで休日診療をしている唯一の医院ということもあっ
て待つこと約2時間。しかし先生は豪放で、意外にも丁寧な診察をしてくれたのは救
いでした。小石川という場所柄、何とはなしに赤ひげ先生などを想い出したりもしま
した。「こんなに熱が続いてから来ても...。熱の初めに来なきゃ。年取ってくる
と医者に来る前に死んでしまうよ。早く来なさい」と諭されて、丁寧に、熱の原因を
調べてもらいましたが、結局、単なる「風邪」以外のものは見つからず、目の回りの
痛いのは眼科でちゃんと診察を受けなさいとのことでした。初期に相談できる家庭医
の必要性を痛感した一件となりました。
 それにしても昨秋の忙しさは、例外的にひどいものでした。張りつめているときに
は何とか睡眠不足でもこなせますが、今回のようにやや一段落ということがむしろ危
なそうです。2004年1月には、ディーセント・ワークがもう少し具体的に分かるもの
を提供したいと申し上げましたが、未だ検討中です。しかし、既にお知らせしたIL
Oが作成した「経済安全保障指標」では、我が国は世界で18位に位置しています。経
済パワーに比べて、相対的に低い地位です(経済安全保障指標とは、所得、労働市場、
雇用、仕事、技能、職務、代表性の7指標からなっています)。
 最後に、昨年12月にICFTU(国際自由労連)世界大会(宮崎)出席のため、I
LO事務局長就任以来2度目の来日をしたソマビア事務局長が訪日中に語っていたI
LOの三大課題をご披露して終わりにしたいと思います。その3つとは、1)仕事興し、
2)ディーセント・ワークの達成、3)公平なグローバル化、です。もちろん、これら3
つは相互に関連する課題でもあります。
 では、本年も宜しくお願いします。

□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇2004年世界アスベスト東京会議(東京・11月19〜21日)◇◆
 厚生労働省、ILO駐日事務所他の後援を受け、11月に開かれた2004年世界アスベ
スト東京会議には、世界40余りの国からアスベスト被災者、医師・研究者、労働組合
関係者など約800名の参加があり、様々な立場から意見・情報の交換が行われました。
会期中にはILOの国際じん肺X線標準フィルムのワークショップも開催されました。
会議は、全ての国にアスベストの採掘、使用、貿易、再利用の禁止などを呼びかける
東京宣言を採択して閉幕しました。同会議ウェブサイトではこの宣言や発表抄録など
をご覧になることができます。

★2004年世界アスベスト東京会議----->
http://park3.wakwak.com/~gac2004/index.htm

◆◇グローバル化と若者の未来アジア・シンポジウム(東京・12月2〜3日)◇◆
 12月に、厚生労働省、国連大学、ILO共催で開かれた「グローバル化と若者の未
来に関するアジア・シンポジウム」の模様をインターネットでご覧になることができ
ます。12月2日にはフアン・ソマビアILO事務局長の基調講演が、3日にはジェー
ン・スチュワートILO技能・雇用可能性局長による「グローバル化する世界におけ
る若年雇用の重要性:ILOの視点」と題する報告が行われました。ILO駐日事務
所では現在、シンポジウムの報告ウェブページを準備中です。

★グローバル化と若者の未来に関するアジア・シンポジウム模様----->
http://c3.unu.edu/unuvideo/?48

◆◇新刊:日本における性的搾取を目的とした人身取引◇◆
 ILO駐日事務所がILO宣言推進国際重点計画内の強制労働廃止特別行動計画と
協力し、日本における性的搾取を目的とした人身取引の実態を調査し、国内の対応を
まとめた英文報告書「Human trafficking for sexual exploitation in Japan」
を新たに掲載しました。統計データを含む実態部分については、日本語抄訳がありま
す。

★報告書(英文)----->
http://www.ilo.org/dyn/declaris/DECLARATIONWEB.DOWNLOAD_BLOB?Var_DocumentID=4556
★日本語抄訳----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/trafficking_report.pdf

 ※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
  お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html 

◆◇World of Work誌日本語版第2号発行◇◆
 ILO駐日事務所発行のILO広報誌「World of Work」誌日本語版第2号を発行
しました。

★ワールド・オブ・ワーク誌----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/newsletr/index.htm#wow
★World of Work誌英語版----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/magazine/index.htm

★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm

□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (12月3〜31日発表分)
◆◇2004年12月3日(金)発表ILO/04/53◇◆
★船員用生体認証ID発行準備整う

 ILOが2003年に採択した船員の身分証明書条約(改正)(第185号)の実施に向
けた準備が整いました。第185号条約は、指紋に基づく生体認証(バイオメトリクス)
システムを用いた船員の身分証明書モデルの国際的な運用を定めています。ILOで
は、生体認証システムの国際的な相互運用性、つまり、ある国で発行された身分証明
書に含まれる指紋情報が、他の国で用いられている装置を使って正確に読みとれるこ
とを確保するため、2004年3月の理事会で各国のシステムや製品に適用する国際規格
を定め、この規格に沿った製品を探す試験を実施していましたが、この度、2社の製
品がこの要件を満たすことを見いだしました。試験は、クリスタル・ハーモニー号に
乗船する30カ国126名の船員の協力を得て、6週間にわたり7つの製品を対象に実施
されました。これによって、条約の要件に合致する身分証明書の発行が可能になりま
す。
 既にフランス、ヨルダン、ナイジェリアが批准を行った第185号条約は、2005年2
月に発効する予定です。この他にもフィリピン、インドネシア、インドといった船員
を多く出している国で批准に向けた動きが進んでいます。批准国は条約の定める要件
に合致した身分証明書を自国船員に発行し、有効な身分証明書を保持する船員の一時
上陸、移動・通過の便宜を図るものとされます。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/53.htm
船員の身分証明書条約(改正)(英語)----->
http://www.ilo.org/ilolex/cgi-lex/convde.pl?C185
船員の身分証明書をめぐる動向(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/sectors/mariti/security.htm
製品試験報告書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/papers/maritime/sid-test-report1.pdf

◆◇2004年12月7日(火)発表ILO/04/54◇◆
★世界雇用報告2004/05年版−雇用、生産性、貧困削減がテーマ

 「世界雇用報告」は、今日の雇用問題を世界的な視点から分析するILOのシリー
ズ出版物です。12月7日に発表された「世界雇用報告2004/05年版(World 
Employment Report 2004/05)」は、雇用、生産性及び貧困削減のつながりを分析
し、貧困対策には労働生産性の向上と雇用創出に的を絞った政策が必要と結論づけて
います。
 ソマビアILO事務局長は、「貧困の原因は、仕事がないというだけでなく、その
生産性が高くないということにもよる」として、「働く男女が貧困から脱するのに十
分な稼ぎを得るための経済成長を達成する原動力は生産性の伸び」と論じています。
 生産性が雇用成長に与える影響、雇用の流動性と生産性の関わりなどを詳しく論じ
た上で、報告書は、途上国の労働者の4割以上が従事する農業の生産性と収益を上げ
ることや雇用の相当部分を吸収している小企業をより広い経済に組み込み、大企業と
の生産性格差を縮小する政策をとることなどを提案しています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/54.htm
世界雇用報告(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/strat/wer2004.htm

◆◇2004年12月7日(火)発表ILO/04/55◇◆
★国連総会で公正なグローバル化についての世界委員会報告書に関する決議を採択

 国連総会は12月2日に、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書を、公正な
グローバル化の追求に向けたさらなる刺激を提供する手段と認める決議を全会一致で
採択しました。今年2月に発表された世界委員会の報告書「公正なグローバル化:す
べての人々に機会を創り出す(A fair globalization: Creating opportunities 
for all)」は、世界の統治に係わる現行の政策及び制度の「緊急再考」を求めてい
ますが、大統領が世界委員会の共同委員長を務めたフィンランドとタンザニアの両国
政府によって国連総会に提出された決議は、この報告書を、「十分に包摂的で公平な
グローバル化に向けた国際対話」に大きく貢献するものと位置づけています。国連総
会は、2005年に行われるミレニアム宣言の実施状況に関する包括的な討議の枠内で世
界委員会の報告書を検討していくことを決定しました。ミレニアム宣言の包括的な討
議は、2005年9月に3日間にわたって開かれる国連サミットでまとめられる予定です。
決議はまた、国際機関に対し、包摂的で公平なグローバル化の推進をめざしたそれぞ
れの活動に関する情報を国連事務総長に提出することも求めています。
 ILO駐日事務所では、世界委員会報告書の日本語版を有料(3,000円)で配布し
ています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/55.htm
グローバル化の社会的側面世界委員会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/wcsdg/index.htm
決議全文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/fairglobalization/download/resolution.pdf

◆◇2004年12月10日(金)発表ILO/04/56◇◆
★ILO電子図書館コレクション開設

 ILOはこの度、電子図書館サービスを提供するMyiLibraryの協力を得て、1,000
冊以上のILOの出版物を収録した有料のオンライン図書館「ILOインサイト・コ
レクション(ILO Insight Collection)」を開設しました。コレクションには労働、
雇用、社会保護、女性労働、労働安全衛生、児童労働、経営、訓練、労働統計など、
幅広い分野にわたるILOの図書(英・仏・西語)が収録されています。主要な単行
本、論文集に加え、ILO総会を初めとする各種会議の資料・報告書、実務規程、条
約・勧告原文、ワーキング・ペーパーなども含まれ、検索・閲覧に加え、テキストファ
イルのダウンロード等加工もできるようになっています。コレクションは毎月更新さ
れ、利用者には新着図書のご案内が随時通知されます。 

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/56.htm
ILOインサイト・コレクション(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/insight.htm
MyiLibrary(英語)----->
http://www.myilibrary.com

◆◇2004年12月16日(木)発表ILO/04/57◇◆
★マイクロクレジット・サミット・キャンペーン2004年現況報告をILO歓迎

 ソマビアILO事務局長は、マイクロクレジット・サミット・キャンペーンが去る
12月10日に発表した新しい報告書「State of the Microcredit Summit Campaign 
Report 2004(マイクロクレジット・サミット・キャンペーン2004年現況報告)」を
歓迎し、世界各地で見られる小規模金融機関の成功は、貧困から脱する持続可能な経
路を指し示す上でのマイクロクレジット(小口融資)の力を証明し、世界全体の雇用
創出及び貧困削減にとってきわめて重要と評しました。米国に本部を置く非政府組織
(NGO)リザルツ教育基金の1プログラムであるこのキャンペーンは、国連が国際
マイクロクレジット年とした2005年の末までに、世界で最も貧しい家族の人々1億人
に小口融資を通じた支援の手を差し伸べることをめざして活動しています。
 ILOの事業計画の中でも、小規模金融はしばしば非常に重要な役割を演じていま
す。1991年に設置されたILOの社会金融計画は、金融部門における雇用及び社会正
義に関連する情報の分析、評価、普及を進めています。活動の中心は、小規模金融の
脆弱性の改善、雇用創出に向けた投資、より雇用に焦点を当てた金融政策の形成に置
かれ、貧しい人々のために働く機関や政策を推進し、排他的でなくよりアクセスしや
すい市場の形成に向け努力しています。「全ての人々にディーセント・ワーク(人間
らしい仕事)を」という21世紀のILOの活動目標の実現、ミレニアム開発目標の達
成において小規模金融は重要な役割を果たしています。過去10年、ILOは労働者の
送金と小規模金融のリンク、紛争後地域における小規模金融、小口リース、小規模保
険、小口株式といった幾つかの先駆的な小規模金融応用の試みを行ってきました。I
LOは2005年の国際マイクロクレジット年に関わる活動にも積極的に参加していく予
定です。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/57.htm
マイクロクレジット・サミット・キャンペーン(英語)----->
http://www.microcreditsummit.org
社会金融計画(英語)----->
http://www.ilo.org/socialfinance

★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm

□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「世界雇用報告2004/05年版
   World Employment Report 2004-05: 
   Employment, productivity and poverty reduction」◇◆
   英語 2004年刊 257pp. 6,000円
   報告書PDF版、背景資料、データ等が収録されたCD−ROM付

 今日、約28億人の人々のうち、1日2米ドル未満の生活をしている人々は約14億人、
さらに1日1米ドル未満の生活を余儀なくされている人々は約5億5千万人にも達し
ます。こうした「働く貧しい人々」は、世界の総雇用の約20%を占めています。こう
した現実は、雇用そのものを確保することの重要性はもとより、たとえ仕事があった
としても、人々が貧困から抜け出すことができるような生産的な仕事、また基本的権
利や条件も守られている「ディーセント(人間らしい)で生産的な仕事」であるべき
ことも肝要であると指摘しています。
 雇用の重要性は、公正なグローバル化を進めるうえで雇用がマクロ経済・社会政策
の中心事項であるべきとした「グローバル化の社会的側面に関する世界委員会報告書」
において指摘され、また国連が提唱する「ミレニアム開発目標」においても貧困削減
の手段としてディーセントな雇用の中心性が広く受け入れられつつあります。
 本書は、このような背景を念頭に置き、雇用創出、生産性の伸び、貧困削減相互の
関係を吟味しています。生産性が伸びると雇用は減るのか、もしそうだとすればどの
ような条件でそれが起きるのかを検討しています。生産性の伸びがある程度の労働力
の柔軟性を導くならば、長期的な成長を犠牲にすることなくいかに雇用安定を維持す
るのか、そこでの社会対話の役割は何か、という問題も吟味されています。
 世界雇用報告2004/05年版は、1995年から隔年で刊行されているILOの定期刊行
物であり、今回が5冊目に当たります。

書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2004年11月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm 

★別団体発行のILO図書日本語版:お申し込み・お問い合わせは直接出版元へ★
◆◇「職場の基本的権利と国際労働基準−ILO基本権条約の解説−」◇◆
   原題:Fundamental rights at work and international labour standards
   発行:財団法人日本ILO協会
     (TEL: 03-3294-3341 http://www.jilo.or.jp )
   監修:吾郷眞一 翻訳協力:ILO駐日事務所

   2004年刊 224pp. 2,500円+税

 本書はILOの中核的条約とも称される基本的権利にかかわるILO条約について、
具体的な内容を解説し、条約勧告適用専門家委員会の意見の要約、及び実際に適用す
る上での困難について記したILOの出版物の日本語版です。中核的労働基準の分野
は、「結社の自由」、「団体交渉」、「強制労働の廃止」、「雇用・職業における機
会均等」、「児童・年少者の保護」です。
 なお、巻末には参考文献と参考となるインターネットサイト一覧、ILO条約並び
に「仕事における基本的原則及び権利に関するILO宣言とフォローアップ」、本書
に解説されているILO条約本文、条約・勧告の採択手続きと条約監視の資料が掲載
されています。
 中核的ILO条約をより深く理解するうえで、役に立つ書籍であり、日本語翻訳が
出版されたことは価値あることと言えるでしょう。

□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
                    (ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇事務局長官房◇◆
★ソマビアILO事務局長声明:世界エイズデー(12月1日)
 2004年の世界エイズデーに際し、ソマビア事務局長は、HIV(エイズウイルス)
/エイズの影響は生産年齢人口に最も大きいだけでなく、子どもたちを仕事に追いや
り、高齢者に深刻な重圧を課すとし、2003年5月に国際使用者連盟(IOE)と国際
自由労連(ICFTU)が調印した宣言「共に戦うHIV/エイズ」のようなイニシ
アチブに対する支援を表明した上で、権利に根ざし、価値に主導されたILOの対応
を紹介する声明を発表しました。ILOの活動には職場内行動のための指針の開発、
30カ国におけるプロジェクト実施、幅広い訓練・能力構築プログラム、関係者向けの
情報訓練ツールの作成が含まれます。

声明原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/dgo/speeches/somavia/2004/aidsday.pdf

★ソマビアILO事務局長声明:人権デー(12月10日)
 2004年の人権デーに際し、ソマビア事務局長は、世界中で多くの人々がグローバル
化の恩恵から除外されているということは、それだけ多くの人々が児童労働、強制労
働、差別、そして結社の自由及び団結権・団体交渉権の保護の欠如といった、貧困に
伴う労働者の権利侵害を日々受ける可能性が高くなることを意味するとし、全ての人々
の人権が確実に保障されるようILOは共に努力し続けるとの決意を示す声明を発表
しました。

声明原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/dgo/speeches/somavia/2004/hrday.pdf

★ソマビアILO事務局長声明:国際移民デー(12月18日)
 仕事を求めて母国や故郷を後にした人の数は現在8,600万人に達し、毎年約1,000万
人が母国では得られない機会と安定を求めて国境を越えています。移民労働は受入国
の経済に重要な貢献を行い、移民労働者の送金は家族や地域社会を支え、貧困の削減
を助け、多くの源泉経済を刺激するものの、移民はしばしば基本権の侵害、幅広い差
別と外国人排斥、受入国社会の限定的な受容に直面し、公正な処遇を得ることは滅多
にありません。2004年6月に開かれたILO総会では移民の受入国、送出国、そして
移民自身といった全てを利するよう労働力移動を効果的に規制する国際的な政策枠組
みの作成が求められました。2004年の国際移民デーに際し、ソマビア事務局長は、こ
のような現状と動きを紹介した上で、グローバル経済における移民労働者の公正な処
遇の達成という課題に共に応えようと呼びかける声明を発表しました。

声明原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/dgo/speeches/somavia/2004/migrantsday.pdf

◆◇技能・知識・雇用可能性国際重点計画◇◆
★ILO声明:国際障害者デー(12月3日)
 2004年の国際障害者デーは、「私たちに関することには私たちの関与を」をテーマ
に、障害者が自分たちの生活に係わる政策や計画の策定に積極的に参加していくこと
の必要性に重点を置いています。ILOはこの日に際し、職業リハビリテーション及
び雇用に関する国の政策の策定、実施、定期的な見直しにおいて、代表的な障害者団
体及び障害者のための団体との協議を求めるILOの職業リハビリテーション及び雇
用(障害者)条約(第159号)や障害に関する職場戦略の策定に際し、使用者に障害
者またはその代表との協議を求める「職場における障害マネジメント実務規程」がこ
の理念を十分に踏まえていることを強調し、ミレニアム開発目標などの貧困撲滅・社
会排除撤廃に向けた国際的な努力の中で貧困者が依然として忘れ去られている現状に
注意を喚起し、この日が障害者の参加確保に向けた作業の見直しと変更を促すきっか
けとなることに期待を表明しました。

声明原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/skills/download/statement.pdf

◆◇国際労働基準局◇◆
★バルチコス氏に捧げる国際労働基準小論集
 2003年11月に亡くなったニコラス・バルチコス元ILO事務局長補は国際労働基準
局長として活躍した伝説的な人物です。氏の1周忌に際し、国際労働基準局職員を中
心に、監視システム、結社の自由、国内法秩序、今日的論点、将来展望といった様々
な観点から国際労働基準を論じた30余りの小論を収録した、同氏に捧げる書「Les 
normes internationales du travail: un patrimoine pour l'avenir(国際労働
基準:未来への遺産・英仏西3カ国語・709ページ)」が編纂されました。同氏の懐
かしい写真も掲載されています。

Les normes internationales du travail(英・仏・西語)----->
http://www.ilo.org/public/french/standards/norm/download/valticos.pdf

◆◇労働安全衛生・環境国際重点計画◇◆
★ボパール事故から20年
 1984年12月3日にボパール(インド)で起きた有毒ガス流出事故は化学物質による
産業災害としては史上最悪といわれています。事故への対応としてILOではその後、
大規模産業災害の予防と化学物質の安全性に関する分野において、化学物質条約(第
170号)・勧告(第177号)、大規模産業災害防止条約(第174号)・勧告(第181号)
の採択、大規模産業災害の予防や職場における化学物質の安全な利用に関する実務規
程、大規模危険管理実務マニュアル、労働安全衛生マネジメント・システム・ガイド
ラインといった各種の実務規程・マニュアルの発行などを行いました。2002年に採択
された化学物質の分類及び表示に関する世界的調和システム(GHS)もこのような
活動の成果の一つです。事故20周年に際し、ILOではこのような関連文書やビデオ
映像をまとめた特別ページを作成しました。

ボパール事故20周年記念ページ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/chemsfty/bhopal/index.htm

★新聞発表:ILOの労働安全衛生マネジメント・システム・ガイドラインをアイル
ランドが採用
 去る2004年11月30日、アイルランドはILOの労働安全衛生マネジメント・システ
ム・ガイドライン(ILO-OSH 2001)の採用を正式に決定しました。今後、アイルラン
ドの衛生安全当局は手引き文書作成の際に、ILOのガイドラインを枠組み文書とし
て考慮に入れることになります。既に複数のアジア諸国やトヨタ自動車のような多国
籍企業がILOまたは同種のガイドラインの原則に従っていますが、欧州ではアイル
ランドが初めての国となります。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/managmnt/ireland.htm

◆◇アジア太平洋地域総局◇◆
★2004年11月24日付新聞発表:ソマビアILO事務局長のインド公式訪問
 ソマビア事務局長はインド政府の招きを受け、11月26〜28日にインドを公式訪問し
ました。マンモハン・シン首相を初め、政府閣僚と懇談し、労使団体それぞれの主催
行事に出席し、インドにおける共同イニシアチブを促進する協力協定を英国国際開発
省と締結しました。また、同国における児童労働撤廃に向けたILOとインド政府の
10年以上にわたる協力関係を記念して作成された児童労働彫像レプリカの除幕式に参
列しました。ソマビア事務局長はその後、11月29日〜12月6日に日本を訪問し、東京
都内で12月2〜3日に開かれた厚生労働省、国連大学、ILO共催の「グローバル化
と若者の未来に関するアジア・シンポジウム」で基調講演を行ったほか、12月5〜10
日に宮崎で開かれた第18回国際自由労連(ICFTU)世界大会にも出席し、演説を
行いました。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/public/releases/yr2004/pr04_40.htm
南アジアサブ地域事務所(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/newdelhi/
グローバル化と若者の未来に関するアジア・シンポジウム模様----->
http://c3.unu.edu/unuvideo/?48
第18回ICFTU世界大会----->
http://www.jtuc-rengo.or.jp/cgi-bin/icftu-wc/

★2004年11月29日付新聞発表:労働力移動の管理に向けた新戦略を探求する国際会議
開催
 11月30日にILOは、韓国政府の資金協力を得て、バンコク(タイ)で労働力移動
マネジメント・ハイレベル協議を開催しました。タイ、カンボジア、ラオス、モンゴ
ルの4カ国によるこの協議は、2004年のILO総会で採択されたグローバル経済にお
ける移民労働者の公正な処遇の達成に向けた決議をもとに、今後の活動案を確定する
ため行われました。これら4カ国は、労働力の流れを管理する能力の強化を図るIL
Oの技術協力プロジェクトの参加国です。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/public/releases/yr2004/pr04_41.htm

★2004年12月3日付新聞発表:タイにおける社会保障の現状審査
 国民の100%が保健医療給付の対象となるなど、タイ政府は最近社会保障の拡張に
成功しているものの、ILOがタイ政府と共同で実施した「タイ社会保障優先事項・
ニーズ調査」によれば、人口の約8割5,100万人ほどに社会保障が適用されていない
ことが見いだされました。12月7日にILOとタイ社会保障庁の共催でバンコクで開
かれた「非適用人口への社会保障適用拡大政府間セミナー」では、この調査結果を検
討し、社会保障の適用拡大に向け、考えられる戦略及びフォローアップ活動について
話し合いを行いました。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/public/releases/yr2004/pr04_42.htm

◆◇コミュニケーション・広報局◇◆
★2004年12月10日発表インターネット・ニュース:ILOと世界スカウト機構、反
児童労働で協力

 ILOは12月9日に、世界スカウト機構(WOSM)と覚書を締結し、ILOの児
童労働撤廃国際計画(IPEC)にスカウトを参加させることを通じて、青少年の児
童労働撤廃活動に向けた力を育成し、撤廃活動における子どもの参加を高めるため、
協力し合うことを約しました。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/news/2004/scouts.htm

★2004年12月14日発表インターネット・ニュース:イラク国際雇用会議、失業対策
計画及び宣言を採択

 ILOはイラク政府の呼びかけに応じ、12月12〜13日に、アンマン(ヨルダン)で
イラクの雇用に関する国際会議を開催しました。イラクの政労使、地方自治体、市民
社会、国連諸機関、世界銀行などが参加した会議では、イラクの復興開発における雇
用の重要な役割を強調する宣言と行動計画が採択されました。イラクでは労働力人口
約700万人の約3割、若者に限ると5割が失業していると推計されます。

新聞発表原文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/news/2004/iraq.htm

◆◇部門別活動局◇◆
★輸送機器製造業における雇用、社会対話、仕事における権利、労使関係三者構成会
議(ジュネーブ・2005年1月10〜12日)
 労使代表各10名と関心のある政府代表が出席し、「部品供給業者に影響する自動車
業界の動向」と題した背景資料をもとに、政府及び労使団体の国内レベルでの活動提
案、ILOに対する活動提案を含む結論の採択をめざし、輸送機器製造業(特に自動
車部品供給業者)の雇用開発、社会対話、仕事における権利、労使関係、ディーセン
ト・ワーク目標について意見を交換します。

輸送機器製造業における雇用、社会対話、仕事における権利、労使関係三者構成会議
(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmtem05/index.htm

★林業における労働監督指針開発のための専門家会合(ジュネーブ・2005年1月24〜
28日)
 林業についてILOは既に安全衛生実務規程を発行していますが、本会合には政労
使各側から選ばれた各5名の専門家が参加し、林業における労働基準の一般原則とそ
の監督のための主要事項を含む、林業における労働監督のための指針の採択に向け、
事務局の起草した指針案をもとに審議します。

林業における労働監督指針開発のための専門家会合(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/melif05/index.htm

★鉄鋼業安全衛生実務規程改訂専門家会合(ジュネーブ・2005年2月1〜9日)
 ILOは鉄鋼業について1983年に労働安全衛生実務規程を採択していますが、この
20年間、労働力はよりスリム化され、柔軟性と技能が高まり、新技術が導入され、安
全衛生は命令的な性格が薄まり、取り組みの体系化が図られています。本会合には政
労使各側から選ばれた各8名の専門家が参加し、このような変化を反映した新しい実
務規程の採択に向けて、事務局の起草した新実務規程案をもとに審議します。

鉄鋼業安全衛生実務規程改訂専門家会合(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/meisi05/index.htm

◆◇欧州・中央アジア地域総局◇◆
★第7回欧州地域会議(ブダペスト・2005年2月14〜18日)
 域内50カ国の政府、使用者、労働者の代表が集い、2001〜04年のILOの域内活動、
グローバル化の中での良い統治をテーマとする2冊の報告書をめぐり討議を行います。
後者は特に、若年雇用、柔軟性・安定性・安全性の調和、労働力移動、高齢化と年金
改革の四つの論点を取り上げています。

第7回欧州地域会議(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/eurpro/geneva/regconf2005/index.htm

◆◇出版局◇◆
★ILOの論文集「International Labour Review」最新号:2004年第3号(有料
・季刊)
 [目次]◇需要と供給の特性を考慮に入れた産業雇用可能性指数◇IT労働力と非I
T労働力の効果的資源配分を通じた生産性報酬◇社会保障改革と男女平等:中欧の最
近の経験。

International Labour Review 2004年第3号概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/sommaire/143-3.htm

□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
 ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
 第31回は日本との関わりも深い国際労使関係協会(IIRA)です。

◆◇国際労使関係協会(IIRA)◇◆
 仕事がある限り、それを提供する者と管理する者の関係が存在します。18世紀後半、
英国で産業革命が起こり、民主革命、資本主義革命が広がるにつれ、資本と労働の関
係が脚光を浴びるようになってきました。1919年のILO設立のきっかけともなった
第一次世界大戦前後における社会・労働問題拡大の中で見られた効率性、協力体制、
産業平和、産業民主主義の探求が1910年代後半に労使関係(industrial relations)
の学問領域としての確立を招いたと言われています。そして、1920年に米国で起こっ
た二つの出来事が労使関係学の誕生を記しているとされます。一つは米国ウィスコン
シン大学経済学部に労使関係の研究を希望する学生のための専攻コースが新設された
こと、もう一つは米国労使関係協会(IRAA)の創設です。
 このように労使関係の概念は当初英米両国で広まったわけですが、ILO、そして
IIRAはこれを非英語圏諸国に普及させる上で大きな役割を果たしてきました。

★IIRAの誕生
 1947年に米国で労使関係研究協会(IRRA)が設立され、英国では1950年に、後
の英国大学労使関係協会(BUIRA)の基礎となる学者グループが形成されるなど、
労使関係を学問として研究する素地は英米両国では整っていったものの非英語圏諸国
へはなかなか普及しませんでした。そこで、非英語圏諸国との学術交流・国際研究の
機会の開発を求めた米国は、当時、人的資源開発分野における活動を活発に展開して
いたILOに働きかけ、ここで確立された協力関係が、労使関係に関する知識の開発
と交換に対する国際的なニーズに応え、学識者及び実務者に議論と調査研究の場を提
供する国際労使関係協会(International Industrial Relations Association-
IIRA)の設立を導きました。
 IIRAは1966年6月30日にロンドンで開かれた会合で正式に設立されました。創
設メンバーには、BUIRA、IRRA、ILOのシンクタンクである国際労働問題
研究所に加え、非英語圏諸国からの参加者として日本労働協会(その後、日本労働研
究機構に改名し、現在は労働政策研究・研修機構)が含まれています。
 IIRAは、複数の関連する学問分野において世界全体で労使関係の研究を促進す
ることを総合目的に据え、そのための手段として、1)労使関係の専門家による全国的
協会の設置と振興の奨励、2)労使関係分野の調査研究・教育上の重要な進展に関する
情報普及の円滑化、3)会議及び円卓討議の運営、4)国際的な企画研究の促進、5)国際
会議の開催、6)地域会議、特別会議、研究グループ会合の開催、7)会議討議資料及び
議事録の出版奨励、そのための手配、そして労使関係研究における重要な新動向に関
する情報のその他の手段による発表及び普及の促進を掲げています。

★IIRAの機構
 IIRAの目的は純粋に学問的性格のもので、政治、哲学、宗教上の問題は対象と
せず、政策問題に関する意見を支持することはありません。独立した組織ですが、I
LOの後援を受け、事務局はILOの事務局内に設置されています。
 会員の種類には正会員、機関準会員、個人準会員の3種があります。正会員は労使
関係分野の知識及び調査研究の増進を主たる目的とする全国的または地域的(国家群)
労使関係協会、またはそのような協会が存在しない場所における全国的または地域的
委員会とされ、会員数によって3段階の会費が設定されています。日本からは社団法
人日本労使関係研究協会(JIRRA)が正会員となっています。機関準会員の会員
資格は大学、カレッジ、学部、その他労使関係の学術研究に携わる研究機関、個人準
会員の会員資格は学術機関または研究機関で労使関係の研究や教育活動に従事してい
る個人、実務で労使関係に携わっている方々となっています。準会員の年会費は機関
が60ドル、個人が25ドルです。2003年現在、正会員数は40、機関準会員数は69、個人
準会員数は891となっています。
 IIRAの機構は役員、評議会、執行委員会で構成されています。
 役員は会長、次期会長、前会長、事務局長からなり、協会の日常業務を遂行し、執
行委員会に報告します。創設メンバーであった日本は、第4代会長(1979〜83年)の
隅谷三喜男日本労働協会会長、第10代会長(1998〜2000年)の花見忠日本労働研究機
構研究所長(当時)の2人の会長を輩出しています。また、初代会長には中山伊知郎
日本労働協会会長が推薦されたのですが、健康上の理由から辞退されました。現在の
ルイス・アパリシオ・バルデス会長はペルー労使関係協会の会長で、任期は2005年ま
でとなっており、後任にはシドニー大学(オーストラリア)のラッセル・ランズベリー
労使関係学部長が決まっています。花見会長時代、IIRAの会員数は漸増し、2000
年に東京で開かれた世界会議は成功を収めました。このような功績を讃えIIRA事
務局は2004年に、JIRRAを通じて同氏に記念の銘板を贈呈しました。
 評議会は正会員の代表で構成されています。各国の協会がそれぞれ1票の投票権を
有し、会長、事務局長、執行委員を選出します。評議会は3年毎に開かれる世界会議
の際に会合を持ち、執行委員会に対し、適切と考える一般的な指示・指導を行います。
 執行委員会は職権上の委員である会長、前会長、次期会長、事務局長を含み、最大
15名で構成され、IIRAの事業計画を決定し、財務を管理します。任期は3年で、
3年の再任期間が与えられています。
 前述のようにIIRAの事務局はILO内に置かれ、2000年から事務局長を務めて
いるタヨ・ファショイン氏はILO社会対話・労働法・労働行政局の職員です。

★IIRAの活動
 IIRAの主な活動は世界会議・地域会議の開催、研究グループの主宰、出版活動
からなります。
 3年ごとに開かれる世界会議は、日本でも1983年に京都、2000年に東京と、過去2
回開催されています。「21世紀における労使関係、人的資源管理の課題」を総括テー
マに開かれた2000年の第12回会議は、20世紀最後の世界会議として、過去最高の1,000
人を超える参加者があり、「21世紀の雇用関係と新たな労働のあり方を探る」、「国
別、地域別雇用・労使関係システムへのグローバル化の影響」、「従業員・組合参加
形態の変化:新しい労使関係システムの模索」、「柔軟性、公平性及び繁栄を求めて:
21世紀の代替的雇用政策」、「21世紀のアジア:仕事と労働の課題と可能性」の五つ
のトラック別に、世界が統合に向かう中で新たに登場しつつある課題に関する掘り下
げた議論が行われました。2003年にベルリンで開かれた第13回世界会議は「ネットワー
ク経済における伝統的な雇用、労使関係を越えて」を総括テーマに、「企業再構築:
交渉、協議を通じたものか、それとも一方的なものか」、「雇用関係の輪郭の変化と
新しい労働規制方法」、「労使関係とグローバル労働基準」、「労使関係における集
団的行為者の未来」、「欧州統合:収斂か多様化か」といったテーマについての論議
が行われました。第14回世界会議は2006年9月にリマ(ペルー)で「21世紀における
社会の行為者、作業組織、新技術」を総括テーマに開催されます。
 また、欧州、アジア、米州、アフリカの4地域別に、通常、世界会議が開かれない
年に不定期で地域会議が開催されています。2004年には第5回アジア地域会議が6月
に韓国で、第7回欧州地域会議が9月にポルトガルで開催されました。アジア地域会
議では、「アジア太平洋地域における雇用関係の変遷と多様性」を統括テーマに、
「アジア太平洋地域に登場してきた新しい形態の雇用関係」、「グローバル化、IT
革命、雇用関係の変化」、「労働・社会問題」、「労働市場と労働力移動」といった
テーマ別で発表・話し合いが行われました。
 1983年に京都で開かれた第6回世界会議の際に、労使関係の枠内にある特定の関心
分野における調査研究及び学術協力を促進するため、「作業グループ」の設置が提案
され、実験的に設置することが了承されました。この結果、国際的な観点から見た労
働紛争などといった6つのテーマについて作業グループが直ちに結成されました。作
業グループの活動は非常に好評を博したため、その後名称を「研究グループ」と改め、
現在は「領域としての労使関係と労使関係論」、「ジェンダーと労使関係」、「賃金
及び雇用における平等」、「労働者参加」、「欧州社会モデル研究」、「公共政策と
労使関係」、「途上国の都市労働市場」、「賃金制度」、「柔軟な働き方」、「労働
組合運動の将来」、「交渉の理論と実践」、「人的資源管理」、「労使関係の調査研
究方法」、「公共部門の労使関係」、「労使関係比較調査研究教育学会」、「失業」、
「中央計画経済から市場経済への移行期にある諸国における労使関係」といった24の
テーマ別に研究グループが設置されています。研究グループはコーディネーターのも
と、それぞれのテーマについてよりインフォーマルで国際的な対話の場を提供してい
ます。
 IIRAの主な活動の一つに、労使関係に関する学術研究の促進と普及があります。
世界会議には毎回、60本以上の論文が提出されますが、これはその後、印刷物または
オンライン形態で配布されます。東京で開かれた第12回世界会議については、日本労
働研機構発行の「日本労働研究雑誌」2000年特別号(通算486号)として報告書日本
語版が刊行されています。
 会議に提出された論文や研究グループの成果が後に論文雑誌に掲載されたり、独立
した出版物として別団体から発行されることもしばしばあります。外部の出版社から
発行された最近の作品には、例えば、「インターネットと新技術が職場に与える影響」、
「雇用組織の国際展望」、「アジア太平洋における雇用関係アプローチの変化」、
「職場における不正義:国際的な視点から見た労働の世界と社会」、「組合と正統性」、
「柔軟な作業編成の概念化と国際的な経験」、「雇用関係に対するグローバル化の影
響:オーストラリアと韓国の自動車産業及び銀行産業の比較」などといったものがあ
ります。

             *  *  *

 最近発行されたILOの英文刊行物「The global evolution of industrial 
relations: Events, ideas and the IIRA(労使関係のグローバルな進化:出来事、
理念、IIRA・722ページ・1万円)」は、このようなIIRAの設立の経緯と活
動を詳記すると共に、産業革命時代の英国から始まる労使関係の歴史、日本を含む世
界各地の労使関係を紹介し、今後の展望を記しています。
 ジョージア州立大学のブルース・K・コーフマン経済学教授の手による同書は、労
使関係研究に英語圏を越えたグローバルな広がりを持たせ、この分野の研究を導いて
いったIIRAの活動を高く評価し、さらなる活躍に対する期待を記しています。著
者は労使関係が唱える数多くの主張の中で、以下の五つを本質的なものとしています。
 ●社会の深刻な反動を引き起こさずに労働を商品として扱うことはできない。
 ●経済効率の達成及び維持は、同時に最低限の社会正義と個人の経済的安全を維
  持しない限り不可能である。
 ●労働市場とは本来不完全なもので自己規制がきかない。
 ●失業は資本主義の最も重大な欠陥であり、最も深刻な労働問題である。
 ●社会福祉は消費者に安価な商品とサービスを豊富に与えるだけでなく、労働者
  にまともな賃金と良い仕事を提供することによっても前進する。
 今日見られるグローバル化、規制緩和、社会的安全網の衰退といった展開は、これ
らの主張に対する挑戦的な状況を形成しつつあるとした上で、同書は、現実世界の資
本主義は労使関係なしに生き残ることができない以上、労使関係には未来があるべき
と結んでいます。
 IIRAのウェブサイトでは、その機構・活動、最近開かれた世界会議・地域会議
の模様、出版物等に関する情報をご覧になることができます。研究グループへの参加、
入会申込もできるようになっています。

IIRA(英語)----->
http://www.ilo.org/iira
(社)日本労使関係研究協会----->
http://www.jirra.org

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