ILO駐日事務所メールマガジン 【No. 32】
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ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
2005年1月31日号 No. 32
駐日事務所(日本語・英語) http://www.ilo.org よりJapaneseを選択
本 部(英語) http://www.ilo.org
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:::::::::::<目 次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2005年1月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−復興における「仕事」創出::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−グローバル化と若者の未来シンポ ほか:::
:《4》ILO新聞発表−インド洋域地震・津波 ほか:::::::::::::
:《5》新刊紹介−行動規範の実施 ほか:::::::::::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−ILOベトナム事務所女性解放メダルを受章 ほか:
:《7》トピック解説−社会的金融::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(2005年1月1日現在)
◇加盟国数...177 ◇日本の批准条約数.........46
◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
◇勧告の数...195(うち撤回36) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71
□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■□
★ ☆ 復興における「仕事」創出 ☆ ★
新年は「おめでとう」という言葉がはばかられるような新しい年明けで、自然災害
が多かった昨年の最後が津波で、時が経つにつれ犠牲者・行方不明者の数は増加し、
つい最近は29万人を超える数にまで至っているのは、本当に残念無念な事態です。私
たち日本人の多くは地震による津波の恐さを知っており、また津波情報もTVなどで
直ちに流されます。こうした予防措置が大変重要であることはいうまでもないことで
すが、残念ながら起きてしまった自然災害の後の人道・復興支援に「仕事」創出がき
わめて重要です。
ILOは「仕事」に関する活動を行っています。競争が極限までいきかねないグロー
バル化の中で、「ディーセント・ワーク」(まともな仕事、人間らしい仕事)を世界
の目標とすべきと訴えています。自然災害や紛争といった危機の後直ちの人道支援措
置とあわせ、人々の生活保障−すなわち仕事−を作って(取り戻して)収入が得られ
なければ、人々が安心して過ごせるような基礎が作られません。第二次世界大戦後
(今から60年前です)の日本でも、敗戦の混乱の中、雇用・失業対策が重要でした。
ILOはカンボジアの復興で、1)小さな技能・技術を教えると共に2)マイクロクレジッ
トを付与して小規模企業を育成し、3)労働集約型インフラ整備(アンコール・ワット
の周辺475キロの村道建設と565キロの道路建設・維持工事、水路や灌漑設備の整備)
を行いました。前職のアジア太平洋担当の時、しばしばこのプロジェクト現場を訪れ
ましたし、2000年にはカンボジアがようやく安定したため、森山眞弓ILO活動推進
議員連盟会長にプロジェクト現場を視察いただき、特に雇用集約型道路灌漑建設など
のインフラ整備によるマーケットへのアクセスの改善や農業生産の改善を目の当たり
にご覧いただけました。1997年にも予定していただいたのに、プノンペンの治安悪化
で急遽取りやめになったいきさつがあったため、視察が実現したのには感慨深いもの
がありました。
先頃行われた国連防災世界会議でもILOはプレスリリース(本号「ILO新聞発
表」欄参照)で、雇用集約型仕事創出戦略を人道・復興支援に組み込むことの重要性
を訴えました。仕事・雇用の技術専門機関としてのILOは、プレスリリースにもあ
るとおり、雇用への影響のアセスメントをしており、初期で、100万人の人々が生計
手段を失ったと推定しています。今回の地震・津波被害の復興・再建・復旧で、私た
ちILOにとっては「新しい生計手段の創出のために仕事は核となり、不可欠なニー
ズであり、仕事創出は人道・復興支援の必須事項」と当然のように考えています。今
回の地震・津波災害でこのことをもっと多くの皆さんに理解していただき、ILOと
共に活動していただくための広報活動を強化しなければとの教訓を得ました。この分
野でのILOの活動はまだまだよく知られていないと残念ながら実感せざるを得ませ
んでした。
今年はこうした恐ろしくも悲しい出来事がなく、平和であることを切に祈りつつ。
□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇グローバル化と若者の未来アジア・シンポジウム(東京・12月2〜3日)◇◆
ILO駐日事務所では現在、昨年12月に厚生労働省、国連大学、ILOの共催で開
かれた「グローバル化と若者の未来に関するアジア・シンポジウム」について、フア
ン・ソマビアILO事務局長の基調講演、ジェーン・スチュワートILO技能・雇用
可能性局長の講演原稿等を掲載した報告ウェブページを準備中です。国連大学のウェ
ブサイトではシンポジウムの全体を録画映像でご覧になることができます。
★グローバル化と若者の未来に関するアジア・シンポジウム録画映像----->
http://c3.unu.edu/unuvideo/?48
◆◇草の根レベルの仕事と健康づくり(東京・3月31日)◇◆
ILO駐日事務所では、来る2005年3月31日(木)に、ILO東アジアサブ地域事
務所(バンコク)の川上剛労働安全衛生専門家を講師に、草の根レベルの仕事と健康
づくり−開発援助の視点から−(仮題)と題する講演会をUNハウス(東京都渋谷区)
で開催することを予定しています。詳細は決定次第、ILO駐日事務所のホームペー
ジでお知らせします。
★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm
□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
(1月発表分)
◆◇2005年1月4日(火)発表ILO/05/01◇◆
◆◇2005年1月19日(水)発表ILO/05/03◇◆
★インド洋域地震・津波とILO
ソマビアILO事務局長は2005年1月4日、インド洋地域で2004年12月に発生した
地震と津波に関し、被災者とその家族・親族に深い哀悼の念を示すと共に、残された
人々のための活動におけるILOの役割について述べた声明を発表しました。
事務局長は、被災地全域において収入手段と地域社会が徹底的に破壊され、既に数
え切れない人々の暮らしが不確実になっており、この状態はしばらく続くことが確実
とした上で、失業の長期化が開発を長期的に妨げる可能性に懸念を表明すると共に、
被災地域の多くで以前からあった慢性的な貧困がさらに悪化するのを防ぐためにも人々
を速やかに仕事に戻すことが必要とし、仕事、雇用、その他の形態の経済活動の再確
立を伴った再建努力を強く求めました。そして、ILOは救援機関でも支援機関でも
ないが、全体的な復興努力に即時にそして長期にわたり貢献できるとし、ニーズ評価、
基盤構造の再建・復旧、住宅供給、地域経済活動及び生計プログラムの活性化といっ
た協力できる分野を示しました。また、親を失った多くの子どもたちも特に懸念され
るとし、人身売買や最悪の形態の児童労働の被害者となる危険性に注意を喚起しまし
た。
ILOは早くから国連の各国調査に参加し、ジャカルタ、コロンボ、ニューデリー、
バンコクを初めとした各地のILOの事務所が各国当局並びに国連及び国連諸機関に
協力してきましたが、ILOアジア太平洋総局(バンコク)は1月19日、災害復旧の
ための戦略文書「Earthquake-Tsunami Response: ILO Proposals for
Reconstruction, Rehabilitation and Recovery(地震・津波対応:再建、復興、
復旧のためのILOの提案・英文)」を発表しました。戦略文書は1月18日から5日
間にわたり神戸市で開かれた国連防災世界会議に提出されました。この中でILOは、
暫定的な数値としながらもインドネシアとスリランカだけで100万人近くの雇用が失
われたとの推計を示し、人道・再建対応に「雇用集約的な」雇用創出戦略を組み込む
よう求めました。
インドネシアの主要被災地では、漁業、小規模農業、プランテーション農業、未登
録の小事業を中心に約60万人が生計手段を失い、被災地の失業率は被災以前より6.8
%増え30%以上となり、津波以前のインドネシア全土の失業者数は約970万人であっ
たため、災害の結果失業者数が一時的に最大6%も増加したことを意味します。スリ
ランカの被災地では、漁業、ホテル・観光業、インフォーマル経済を中心に40万人以
上の雇用及び所得源が失われ、失業率は被災前の推計9.2%から20%以上に上昇し、
津波以前のスリランカ全土の失業者数は約72万5,000人であったため、被災後の失業
者数は一時的に55%以上増加したことになります。ただし、戦略文書は同時に、職場、
機械設備、生計手段・雇用の回復を含み、再建、修繕、物理的インフラ交換並びに社
会保護制度(再)整備のための十分な援助と支援が迅速に動員されれば2005年末まで
に職を失った人々の5〜6割が自分自身及び家族のための生計を得ることができ、約
85%の雇用が24ヶ月以内に戻る可能性があるとも記しています。
災害管理・対応のあらゆる段階において雇用は中核的とするILOの災害対応戦略
の中心要素には、自らが広範な知識と実績を有する雇用集約型インフラ構造再建、地
域経済開発を通じた生計プログラム、労働市場の回復と緊急公共職業紹介事業の導入、
子どもや若者、女性を含む弱い立場にある集団の保護に向けたプロジェクト、フォー
マル経済とインフォーマル経済の双方を対象とした社会的安全網及び社会保護の整備
が含まれています。現在進行中の技術協力プロジェクトも被災地・集団に重点を置く
よう方向転換が図られています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/1.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/3.htm
1月19日付新聞発表日本語訳----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/pr05-03.pdf
戦略文書を含むILOのインド洋域地震・津波対応関連情報(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/event/tsunami/index.htm
※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
◆◇2005年1月7日(金)発表ILO/04/02◇◆
★輸送機器製造業三者構成会議(ジュネーブ・1月10〜12日)
標記の日程でジュネーブのILO本部で開かれた、輸送機器製造業における雇用、
社会対話、働く上での権利、労使関係について話し合う政労使三者構成の会議に討議
資料として提出された報告書「Automotive industry trends affecting component
suppliers(部品供給業者に影響する自動車業界の動向・英文)」は、自動車業界に
おいて部品供給業者はますます重要な役割を果たしており、1台の自動車に付加され
る価値の3分の2、メーカーによっては75%を担当していると報告します。報告書は、
この業界の世界的な就業者構成は現在、組立メーカーと部品供給業者の割合が平均54
:46となっていますが、時に33:66になることがあり、この方向に向かう傾向がある
とします。そして、1999年の世界の部品輸出高に占める途上国の割合はわずか12%だっ
たものの、供給業者の重要性の高まりは新興経済諸国、特に中・東欧、中国、インド
に利益し、これらの市場のシェアの拡大を招くであろうと記しています。
カナダ、日本、メキシコなどといった国では自動車製品のシェアが製品輸出高の20
%以上を占めるなど産業の重要性は高く、業務外注化による先進国企業における労働
コストの削減は、絶えず見られるコスト削減、多様化、ジャストインタイムのスケ
ジュールにあわせた納入を求めるプレッシャーと合わせ、供給業者の労働条件に影響
を与え、労働力のさらなる柔軟化を要請するであろうと報告書は指摘しています。
社会対話の分野では、自動車業界は他に先駆けて国際金属労連(IMF)及び現地
組合代表と国際枠組み協約(IFA)を締結し、事業関係を継続する条件の一部とし
て、供給業者に結社の自由や機会均等、強制労働・児童労働の廃止といったILOの
中核的労働基準の遵守を求めています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/2.htm
会議概要・報告書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmtem05/index.htm
★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm
□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「行動規範の実施:グローバル・サプライチェーンにおける
企業の社会的パフォーマンスのマネジメント
Implementing codes of conduct:
How business manage social performance in global supply chains」◇◆
I. Mamic著 英語 2004年刊 422pp. 8,000円
世界各地で生産された製品が、生産地からはるか離れた国の店頭に並びます。生産
活動がグローバルになり、世界各国の労働者と社会に影響が及ぶ中で、困難な課題が
浮上しています。グローバルな価値連鎖のサプライヤーである大小規模の工場に、企
業が採択する自発的なイニシアチブを適用するにはどうすればいいのでしょうか。
企業が社会的な規範を満たすべくステークホルダーからの圧力が強まり、対応が求
められています。世界にまたがるグローバル企業は、開発途上国のサプライヤーの実
践に影響を及ぼし、ベースとなる基準を示すために、行動規範を採択しています。こ
れらの規範は、国際労働基準に準拠し、児童労働、強制労働、賃金と給付、労働時間、
規律慣行、結社の自由、安全と健康、環境など広範な事柄についての指針を示してい
ます。こうしたイニシアチブが少なからず存在するものの、企業とサプライヤーの双
方が、実際にどのようにこれを普及させるかという点で苦慮しているとの証拠も存在
しています。
本書は、数多くの管理職、活動家、政府職員、工場労働者と労働者代表に取材し、
企業の社会的責任とグローバルなサプライチェーンのあり方に切り込んでいます。そ
の目的は、行動規範を適用しようと考える企業、政策立案者及び関係者に対し、有益
な実践の事例と教訓を示すことにあります。ビジョンの創造から事業レベルでの運用
までの道筋のモデルが示されています。調査対象となったのは、スポーツ靴、アパレ
ル、小売といったグローバルな事業展開を行う業種であり、この領域の主力ブランド
のアプローチの詳細を記すと共に、社会的な圧力への対応において、他企業の参考に
なる実際的な提案が掲載されています。
企業の社会的責任と利益がますます相関性を高める中で、本書は、社会と競争の複
雑な問題のバランスをとることに関心を持つ人々を導く貴重なツールとなると考えら
れます。
書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2004年12月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm
★オンライン無料出版物★
◆◇「日本における性的搾取を目的とした人身取引
Human trafficking for sexual exploitation in Japan」◇◆
英語 2004年刊 82pp.
強制労働の廃止は、1998年に採択された「仕事における基本的原則及び権利に関す
るILO宣言」によって全てのILO加盟国がその尊重、促進、実現を求められてい
る基本的権利の一つに当たります。宣言のフォローアップ活動として2001年の総会に
強制労働の廃止に関するグローバル・レポートが提出され、審議を経て、同年11月に
ILO事務局内に強制労働廃止特別行動計画が設置されました。
本書は、特別行動計画と協力し、ILO駐日事務所が2003〜04年に行った日本にお
ける性的搾取を目的とした人身取引の実態調査と国内の対応をまとめたものです。第
1章序文に続き、第2章でコロンビア、タイ、フィリピン等の人身取引事例を紹介し、
第3章で人身取引の統計数値を提示し、第4〜6章で国内の対応を政府及び立法措置、
兵庫県等の地域イニシアチブ、女性の家HELP等のNGOの活動に分けて記した上
で、結論で市民社会の声を紹介しています。コロンビア、タイ等の関連法制や警察庁
の人身取引に関する通達など豊富な資料も掲載されています。第1〜3章については、
日本語抄訳があります。
強制労働廃止特別行動計画は、人身取引と非正規労働力移動の結果としての強制労
働を含む各種強制労働の廃止に向けた幅広い技術協力活動を行っています。特別行動
計画のホームページには、人身取引や債務奴隷を含む世界各地の実情調査報告書が多
数掲載されています。
報告書本体(英文)----->
http://www.ilo.org/dyn/declaris/DECLARATIONWEB.DOWNLOAD_BLOB?Var_DocumentID=4556
日本語抄訳----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/trafficking_report.pdf
強制労働廃止特別行動計画(英文)----->
http://www.ilo.org/dyn/declaris/DECLARATIONWEB.SAPFLHOME?var_language=EN
□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
(ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇ベトナム事務所◇◆
★VWUより女性解放メダルを受章
ILOベトナム事務所は2005年1月19日に、ベトナム女性連合(VWU)より女性
の解放に対する貢献を讃えるメダルを授与されました。国外の団体に与えられる最高
の栄誉であるこのメダルは、女性に雇用と収入への道を開き、家庭と地域社会におけ
る女性の地位の向上並びにベトナムの発展に対する参加の拡大をめざして設計された
法制、能力構築、調査研究、訓練、直接介入活動を通じて女性労働者の機会と待遇に
おける平等促進を支援してきたILOの活動を評価して与えられたものです。1930年
に設立されたVWUはベトナムの女性と子どもの社会経済、政治、文化における増進
に向けて活動する大衆組織であり、国家構造の一部として草の根レベルの女性の声を
国の政策策定の場に届ける役割を担っています。ILOとしては2004年にも川上剛労
働安全衛生専門家が、ベトナム労働・戦傷者・社会省より功労賞を授与されているた
め、これは同国よりILOが受ける2番目の栄誉となります。
◆◇社会対話・労働法・労働行政国際重点計画◇◆
★カンボジア衣料産業労働条件第9次総合報告書
1999年にカンボジア・米国間で締結された繊維・被服貿易協定に基づき、ILOが
両国より要請されて実施している労働条件調査の最新報告書。今回は2003年10月に発
行された第7次報告書に含まれる工場のその後の進展状況を記す。
カンボジア衣料産業労働条件第9次総合報告書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/publ/cambodia9.pdf
□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
第32回はILOの事業計画の一つにも含まれる社会的金融です。
◆◇社会的金融(social finance)◇◆
★マイクロクレジット(microcredit)
国連は貧困削減に対するマイクロクレジット(少額融資)の貢献を認め、1998年の
国連総会で、今年2005年を国際マイクロクレジット年と定める決議を採択しました。
ドイツで生まれたマイクロクレジットは、貧しい人々の所得安定に貢献する手段とし
てその後世界的に普及していきました。この有名な例がバングラデシュのグラミーン
銀行です。グラミーン銀行は貧しい人々による農業以外の雇用創出事業に対し、年利
18%+2%のリスク基金料といった同国としては低利で非常に少額の貸付を行うこと
によって貧困削減に寄与してきました。
昨年11月に国際年の開始が宣言されたとき、ソマビアILO事務局長は国連にビデ
オ・メッセージを送り、貧困との闘いがILOの使命の中心にあることからILOは
貧困削減の手段であるマイクロクレジットに多大な関心を寄せているとし、マイクロ
クレジットの雇用創出能力、女性のエンパワーメントや中核的労働基準の実現を助け
る手段としての可能性に言及しました。
ILOでは国際年に関連し、今年5月にジュネーブで「排他的でない金融部門の構
築に関する国際会議」及び「小口金融実務者会議」の開催を予定しています。
★ILOと小口金融(microfinance)
政府と労使団体から構成されるILOは、このようなマイクロクレジットを初めと
した小口金融手段を貧困対策に活用する方法を話し合う理想的な場を提供します。実
際、ILOの憲章には「この根本目的(社会正義)に照らして経済的及び財政的の国
際の政策及び措置をすべて検討し且つ審議することは、ILOの責任である」と明記
されています。
小口金融は自営や雇用創出に向けた小規模投資の機会を提供することによって、I
LOが21世紀の活動目標とする男女が共にまともで生産的な仕事、つまりディーセン
ト・ワークを得る機会の促進に大いに貢献しています。さらに緊急貸付、小口貯蓄、
小規模保険を通じ、ぎりぎりの生活をしている人々にリスクを管理する手段を提供し
ます。特に雇用創出、女性その他弱い立場にある人々のエンパワーメントといった分
野で大きな影響が期待されます。マイクロクレジットは自営業を促進する重要な要素
であり、開業や事業拡大を助けることによって雇用を創出します。小口金融は家庭や
地域社会の中での女性の発言力と地位を向上させ、働く貧しい人々の安全網ともなり
ます。
小口金融はILOの事業計画の中でもしばしば重要な役割を演じています。強制労
働や児童労働の撲滅といった中核的労働基準の遵守に向けて努力している国々に対す
る支援活動においては、小口金融は、働く子どもの親が所得を創出し、子どもが働く
ことを止めて学校に通うようになったときに失われる収入を代替する手段を提供しま
す。また、貧しい労働者が雇い主から借金をして債務奴隷に陥る危険を回避できるよ
う代替的な信用貸付を行い、人身取引の対象となりやすい女性が雇用創出活動を開始
するのを支援します。
例えばネパールでは、2000年にカマイヤと呼ばれる一種の債務奴隷制度が廃止され
ました。制度の基礎となっていた債務取り決めが違法になり、多くの人々が強制労働
から解放されました。しかし、苦しい経済・社会状況の存在は、収入を得る手段とし
て人々が債務奴隷に逆戻りする可能性をなくすことができず、実効的な廃止が遅れる
原因になっています。
ビナウナ郡に住むチョーダリ夫妻はどちらも元カマイヤです。夫婦と1男4女を養
うのに十分な食料を耕作する土地がなかったため、チョーダリ夫人は地元の判事の家
に娘を家事手伝いの児童労働者として送らざるを得ないと考えました。その後夫人は、
地域の反債務奴隷運動を支援するILOの事業計画を通じて新たに設立された自助団
体に加わり、これによって同様の立場にある他の人々と経験を共有し、集団として懸
念を表明できるようになっただけでなく、将来債務奴隷になるのを避けるため家計を
管理していく方法について援助を得ることができました。「これで少なくとも雇い主
と賃金交渉ができ、私たちのような貧しい人間には非常に重要な貯蓄や不要な支出の
削減といった事項をグループを通じて学ぶことができるようになりました」と夫人は
語っています。現在、夫妻の子どもたちはある程度の教育も受けています。
★ILOの社会的金融プログラム
企業の社会的責任がクローブアップされるようになった今日、マイクロクレジット
を含み社会的側面を重視した活動を行う金融機関が注目を集めてきています。このよ
うな活動は社会的金融と総称されています。これは利潤追求という市場活動を行いな
がら社会的目標も追求していく金融活動であるという点で、寄付活動や慈善団体の活
動と区別されています。これは貧しい人々がリスク対処能力を高め、所得創出機会を
活用し、組織化し、発言力を持つことを支援する信用貸付、貯蓄その他の商品のこと
でもあり、女性団体や雇用を創出する中小企業を含み、貧しい働く人々の金融ニーズ
に対処する機関を促進・奨励することでもあります。また、大多数の働く人々に金融
手段利用へのインセンティブを与え、小口金融機関が活動できる環境を育む金融部門
政策のことでもあります。
ILOが設定する国際労働基準の中にも社会的金融に関連する事項を含むものがあ
ります。例えば、雇用政策(補足規定)勧告(第169号)が求める各種の雇用促進措
置の中には中小企業の信用貸付利用機会の改善に向けた措置が含まれています。中小
企業における雇用創出勧告(第189号)は、中小企業による信用貸付や融資利用機会
の改善、労使団体の関与などを求めています。
グローバル世界において金融市場は、ILOが21世紀の活動目標に据えるディーセ
ント・ワークに相当の影響を与えています。ILOは1991年に、金融部門における雇
用と社会正義に関連する事項を分析・評価し、情報を発信する中心基地として社会的
金融プログラム(Social Finance Programme)を設置しました。現在、このプログ
ラムは雇用総局の中に位置し、1)弱い立場にある人々等の支援、2)企業開発を通じた
雇用創出、3)より雇用に配慮した金融政策の実現の三つを主要テーマに掲げて活動を
進めています。
活動の焦点は、貧しい人々のために活動する機関、市場の欠陥とその結果としての
社会的費用、働く貧しい人々の市場利用における障害を取り除く上で成功が証明され
ている政策に置かれています。社会的金融プログラムは小口金融の将来性を示し、目
標集団への到達とサービス提供における様々な手法を試み、小口金融が家計の収入と
資産に与える影響を評価するため、行動型調査研究を実施しています。
この10年間、ILOは小口金融の先駆的な応用を試みています。これには労働者の
送金と小口金融の結びつけ、紛争後地域における小口金融の利用、小規模リース、小
規模保険、少額株式の開発が含まれます。
こういった活動はILOを構成する政労使と協力して進められています。労働者、
使用者、労使団体は、金融サービスのアクセス向上に向けた唱導的役割を間接的に担
うだけではありません。ILOは、例えば、労働組合と協力し、債務奴隷家事労働者
の状況改善を図り、労働者銀行その他同様の運動を展開したり、使用者団体と協力し、
開業融資、所有権、担保といった問題に取り組んでいます。
<弱い立場にある人々等の支援>
弱い立場にある人々は金融サービス利用のニーズが最も高いにもかかわらず、利用
できる選択肢は限られています。マイクロクレジットが貧困緩和に貴重な貢献を行う
ことはよく知られていますが、信用貸付による零細企業の貧困からの脱却は、動きが
鈍く断続的です。貧しい人々は生計の助けとなる貸付を1、2回受けただけで貧困か
ら脱するわけではなく、継続的な企業貸付でさえ十分でないかもしれません。いった
ん改善した生活も、家計の収入や支出に影響を与えるショックが発生すれば簡単に元
に戻ってしまいます。持続可能な貧困緩和には何よりもまず、貯蓄、緊急貸付、送金、
保険といった、貧しい人々のリスク管理を助ける一連の金融サービスが長期的に利用
できる状況を必要とします。
さらに、弱い人々等のエンパワーメントに必要なサービスの種類を理解するには、
難民、移民、女性、債務奴隷や児童労働者などといった、最も弱い人口部分を研究す
る必要があります。こういった人々はしばしば特別な種類の金融サービスを必要とし
ています。例えば、紛争後の環境では金融サービスは社会的安全網を提供し、再建プ
ロセスの発動を助けます。金融サービスは労働者が雇用主から給料を前借りする必要
を減らし、債務奴隷労働に陥るのを予防するため、金融サービスの提供は債務奴隷労
働撤廃戦略の中心要素となります。貯蓄、緊急貸付、保険を通じ、社会的金融は貧し
い家族が予測不能な支出や収入の枯渇に対処するのを支援します。
社会的金融プログラムは調査研究、訓練、技術支援を通じ、金融機関が弱い人々を
対象に長く効果があるサービスを開発するのを支援すると共に、政策レベルに介入し、
貧困指向型金融サービスの提供に必要な環境の改善を図っています。例えば、オラン
ダ政府の資金協力を得て2000年6月から南アジアで開始された事業計画は、バングラ
デシュ、インド、ネパール、パキスタンで小口金融を主な手段に債務奴隷予防・撤廃
活動を展開しています。小規模保険の良い事例・悪い事例の発掘など小規模保険に関
連する様々な活動も行っています。外国人労働者による海外送金については、2000年
11月に「グローバル化の最大限の活用−送金の役割」と題する国際会議を開催し、個
人と社会の点から見た送金の費用便益について体系的な検討の機会を提供しました。
バングラデシュ、メキシコ等で、外国人労働者の送金と小口金融に関し、国内外で現
在見られる送金パターンを示し、適切な送金サービスと関連取引コストの入手可能性
を評価する行動型調査研究プロジェクトを、ベトナムでは、貧しい女性のエンパワー
メントに向け、緊急貸付、柔軟な貯蓄または保険といった革新的な金融商品を試す行
動型調査研究プロジェクトを実施しています。また、紛争の影響を受けた地域社会で
小口金融は救援と開発を結びつける効果的な手段となり得ることから訓練コースを開
発し、2003年からはアフガニスタンで信用貸付を行っている非政府組織(NGO)を
支援する活動を行っています。
<企業開発を通じた雇用創出>
銀行は取引コストもリスクも低い大企業との取引を好むため、起業家、特にイン
フォーマル経済に属する人々をまともな仕事に引き上げる潜在力が最も高い小企業の
オーナーはしばしば必要な資本を調達できません。市場は小・零細企業との金融取引
に係わる真のリスクと利回りに関する十分な情報を提供していません。
そこで社会的金融プログラムは小規模リース、少額株式、相互保証制度などといっ
た新しいアイデアと成功体験に関する情報の流れを促進するものとして、より適切な
金融新商品の開発と知識共有を奨励する活動を行っています。例えば、会員同士が共
同で会員の債務に対する責任を負うという相互保証協会は、小企業や零細企業の事業
主に銀行の金融サービス利用への道を開く効果的な手段です。社会的金融プログラム
ではこの制度に関する技術情報を含む概念文書とハンドブックを開発し、次段階とし
てこのような機関の設立方法等に関する研修ワークショップの開催を予定しています。
リースは、顧客がリース料を完済しない限り、物品の所有権がリース権者にあるとい
う点でより安全な金融手段であるとして、一部小口金融機関で活用されています。社
会的金融プログラムは中小企業へのリース提供を希望する金融機関を支援し、そのた
めのマニュアルを開発した上で訓練及び直接技術支援を提供しています。担保物件の
不足は小企業が融資を受ける上で大きな制約となってきましたが、共同責任や宝石類、
家電製品を担保に取ることによって小口金融はこの分野に大きな風穴を開けました。
社会的金融プログラムはドイツ政府等と協力し、担保の主要側面、とりわけ担保物件
の確定、差し押さえ、現金化に際して借り主と貸し主の双方に相当の取引費用がかか
ることなどを検討し、結果を文書にまとめました。調査研究のフォローアップとして
開催したワークショップでは司法手続きを簡略・迅速化し、不動産登記簿をより包括
的な利用しやすいものにすること、銀行の貸付担当者によるリスクの理解向上を図る
ための一連の具体的な措置が確定されました。
リスク共有メカニズムは銀行と中小企業を近づける上で不可欠の、重要な役割を演
じています。このメカニズムがないと、所有権、利用可能な契約法、担保・破産法、
信用機関、所有権の状況を記録する登記所といった最低限の制度基盤がない限り、貸
し主は顧客の信用力に関する信頼のおける情報を入手できません。社会的金融プログ
ラムは小企業金融の制度基盤を向上・近代化させる政策選択肢を検討しています。例
えば、南東欧諸国(ブルガリア、ルーマニア、セルビア)ではフランス政府の資金協
力を得て、2004年から特に失業者の自営を支援するための社会的金融の整備に向けた
2年間の事業を実施しています。調査研究と、政府当局、労使団体、小口金融機関、
普通銀行といった利害関係者との対話を経て、各国の雇用政策の中で実施されるべき
法的・制度的基盤に関する勧告をまとめる予定です。
<より雇用に配慮した金融政策の実現>
金融市場の奥行きと対象範囲の拡大を確保するには金融市場は自由放任しておくべ
きというのが伝統的な見解で、市場利用は金融市場の奥行きが広がることの副産物で
あり、金融部門が安定し、競争力があれば、貧しい人々や雇用創出能力のある企業の
利用機会も自動的に改善されると見られています。社会的金融プログラムは金融部門
の改革と自由化に関する調査研究をもってこの前提に挑戦しています。ベナン、ガー
ナ、セネガル、ジンバブエで、農村金融、性別貸付利用状況、金融イノベーション、
小企業金融供給における競争、利率上限の影響などに関し、40以上の調査研究を行い、
中央銀行や財務省に提言を行いました。改革と自由化は多くの場合、競争力、配分効
率、市場利用機会に関し、期待される効果をもたらしません。自由放任の市場は貧し
い人々の市場利用機会を高める方向に改善されるわけではないというのが、研究の結
論です。
中央銀行は小口金融を自分たちの使命外のもの、金融部門の一部ですらないものと
見る傾向がありますが、小口金融機関が保有する金融資産の規模、顧客数、普通銀行
とのつながりの強化を考えるとこれは的はずれの認識といえるかもしれません。社会
的金融プログラムが90年代から西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)と共同で開発
してきた小口金融観測データバンクは、各国中央銀行に小口金融機関の現状を示して
います。1994年から2年おきに発行されているこのデータバンクの最新版は2003年に
発行され、西アフリカ通貨連合7カ国600以上の小口金融機関について、提供サービ
スの種類、女性融資先比率といった記述情報から統計データに至る30以上の項目から
構成される膨大な情報を掲載しています。
同時に、小口金融機関の発言力強化に向け、社会的金融プログラムは小口金融機関
の全国団体の設立を優先事項の一つとして支援してきました。例えばマダガスカルで
は1998年に、ドイツ政府の資金協力を得て、相互金融機関の職業団体の設立を支援し
ました。当初の会員は5団体でしたが年平均25%で増加していき、2002年末に会員総
数は14万人を超えました。
小口金融観測データバンクから得られた一つの結論として、小口金融機関は効率的
かもしれないが、必ずしも財政的に自立していないことが見いだされました。実際、
最も貧しい層を対象とすればするほど単位当たりの取引費用は高くなり、これは政策
策定に携わる人々に厳しい質問を投げかけます。つまり、貧困層に焦点を絞った小口
金融機関を長期的に支援する価値があるか、あるとすればどうすれば最もうまく促進
できるか、賢い助成金設計方法はないか。社会的金融プログラムは現在こういった問
題に取り組む国際的な調査研究をケンブリッジ大学等と協力して実施しています。調
査では、効率的な貧困指向型小口金融機関の特徴、最も効果的でマイナスの外部効果
が最小限となる助成金の種類、援助国・機関による小口金融機関支援のための透明で
確認可能な規範・ルールの確定をめざし、世界各地の40以上の小口金融機関を研究し
ています。
* * *
ILO社会的金融プログラムのホームページには、以上のような活動紹介の詳細に
加え、上述の各種調査研究の成果など社会的金融に係わる多数の論文、訓練教材が掲
載されています。
社会的金融プログラム(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/finance/index.htm
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ています。購読解除、送付先アドレスの変更等は----->
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発行:ILO駐日事務所
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