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2005/09/30

ILO駐日事務所メールマガジン【No. 40】

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■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■
    ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
     2005年9月30日号 No. 40

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     ◎お問い合わせはこちらまで ilo-tokyo@ilotokyo.jp
■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□■

:::::::::::<目  次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2005年9月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−ディーセント・ワークによる貧困からの脱却::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−2005年国連デー記念公開フォーラム ほか::
:《4》ILO新聞発表−第17回世界労働安全衛生大会 ほか::::::::::
:《5》新刊紹介−使用者団体がリードする男女平等 ほか:::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−広報記事「モンゴルのゴールドラッシュ」 ほか:
:《7》トピック解説−ミレニアム開発目標とILO::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (2005年9月1日現在)
◇加盟国数..178            ◇日本の批准条約数.......47
◇条約の数..185(うち撤回5、棚上げ25)◇加盟国の平均批准条約数....41
◇勧告の数..195(うち撤回36)     ◇OECD諸国の平均批准条約数.72

□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■□

  ★ ☆ ディーセント・ワークによる貧困からの脱却 ☆ ★

 今回は一つだけ、9月に行われた重要な国際イベント、国連総会世界サミット
(2005年9月14〜16日・於ニューヨーク)とILOの関連を指摘しておきたいと思い
ます。サミットの成果文書では貧困撲滅を中心課題とするミレニアム開発目標達成の
ための「雇用」の重要性が確認されました。雇用は国内開発政策の中心的目標である
ことが明確に謳われ、「ディーセント・ワーク」推進の決意が示されました。ILO
が常々提唱し、実行している「貧困から脱却する第一の道は生産的な仕事である」こ
とが最も高い政策決定レベルで支持されたと評価でき、今後さらにこの活動の強化を
したいと思っています(詳しくは本号トピック解説をご参照下さい)。
 最後に、このたびのILO駐日事務所戦後再開設50周年歴史写真展に寄せられたソ
マビア事務局長の言葉を掲載したいと思います。

    −*−ILO事務局長の歴史写真展ご挨拶−*−

 ILO駐日事務所(旧ILO東京支局)再開設50周年記念写真展にようこそお出で
下さいました。
 ILO創設国の一つである日本は、私たちの歴史の中で大きな役割を果たしてきま
した。政府、労働者、使用者の代表からなるILOの三者構成主義は、多国間システ
ムの中でもユニークなものです。日本政府は、ILO常任理事国10ヵ国の一つであり、
労働者・使用者の代表も、現在、理事会のメンバーとなっています。
 ILOは、日本の多国間主義へのコミットメントから、多くを得てまいりました。
日本は、価値を促進し、仕事の世界を通して平和と安定の推進役を務めるILOの全
活動に積極的に関わってきました。日本のビジョンと識見、あわせて持つ実際的な視
点は、ILO執行機関の審議・決定を、非常に充実したものにしています。
 日本からの長年にわたる支援を得て、ILOは、アジア地域を中心とする多くの国々
に、仕事の課題にむけて援助することができました。ILOと日本の協力による技術
協力活動は、国際労働基準の推進、労働行政の強化、健全な労使関係の推進、雇用創
出、職業訓練の分野に焦点をあてています。私たちは、児童労働の問題に共に取り組
んでおり、また、日本はジェンダー平等を推進するイニシアチブを常に支援してきま
した。
 日本は、人間の尊厳と社会安定の基礎として、人間の安全保障の概念を創り出し、
地球規模で積極的に提唱しています。平和、社会正義、安全保障の探求は、人間の尊
厳への探求でもあります。日本は、人間の生命、生計手段、尊厳に対する脅威に取り
組む喫緊の必要性を重視してきました。
 「労働は商品ではない」ことこそ、ILOの価値の根幹をなすものです。働く人々
が、ディーセントな仕事−すなわち、権利、仕事そのもの、社会保護、発言権のある
仕事−に就くことができれば、働く人々とその家族は、人間としての尊厳を保てる生
活を送ることができます。ディーセント・ワークは、社会安定の鍵となる対話とコン
センサスに基づいています。人間の安全保障は、貧困と社会的排除を終わらせる戦略
を求めています。ディーセント・ワークは、貧困からの脱却を図る唯一持続的な道で
す。こうした人間の安全保障とディーセント・ワークの繋がりは、日本とILOの協
力をさらに強化する基盤を提供しています。
 ILOに関心をもち、写真展にお出かけ下さった皆様方、どうも有難うございます。
皆様の友情とご支援に心から感謝いたします。
                             ILO事務局長
                             フアン・ソマビア

□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇若者:雇用の促進とディーセント・ワークへの道(東京・10月3日)◇◆
 昨年に引き続き、第18回国際労働問題シンポジウムとして、法政大学大原社会問題
研究所とILO駐日事務所の共催で、10月3日(月)13時〜16時30分に、法政大学市
ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー26階スカイホールにて、今年のILO総会で
一般討議が行われた若者の雇用について、総会出席者による報告を中心としたシンポ
ジウムを開催します。参加ご希望の方は、下記ウェブサイトよりお申し込み下さい。

第18回国際労働問題シンポジウム----->
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/notice/sympo05.html

◆◇「スキル・ディベロップメントと地域開発」公開シンポ(東京・10月7日)◇◆
 独立行政法人国際協力機構(JICA)主催、ILO駐日事務所及び厚生労働省後
援で、来る10月7日(金)13時30分〜17時に、JICA国際協力総合研修所国際会議
場で、「スキル・ディベロップメントと地域開発〜技術教育・訓練分野の国際協力の
あり方〜」と題する公開シンポジウムが開催されます。ILO中国・モンゴル事務所
(北京)の佐々木聡専門家が「スキル・ディベロップメントと地域開発〜中国の事例
から〜」と題し、基調講演を行います。参加ご希望の方は、10月5日(水)までに下
記ウェブサイトよりお申し込み下さい。先着100名様まで。

JICA公開シンポジウム----->
http://www.jica.go.jp/event/051007skill.html

◆◇2005年国連デー記念公開フォーラム(東京・10月24日)◇◆
 10月24日の国連デーを記念し、2005年10月24日(月)に、UNハウス3階ウ・タン
ト国際会議場において、ILOを含む日本にある国連機関による共同開催で、「国連
創立60周年・国連大学創立30周年:21世紀に国連で働く―平和構築への貢献」と題し、
公開フォーラムが開催されます。ILOからもクローディア・クーンヤルツ・スリラ
ンカ事務所長が「アジアにおける平和構築」のパネル討議にパネリストとして参加す
る予定です。お申込・お問合せは、国連デー事務局(Tel: 03-3499-2811 Fax: 03-
3499-2828  E-mail:unday2005@hq.unu.edu)まで。参加ご希望の方は、10月14日
(金)までに同事務局にFAXまたはE-mailでお申し込み下さい。

2005年国連デー記念公開フォーラム----->
http://www.unu.edu/hq/japanese/use/event/index.html#J10

◆◇広報誌「ワールド・オブ・ワーク」2005年第1号発行◇◆
 ジュネーブのILO本部コミュニケーション・広報局より年3回発行されている広
報誌の一部記事の和訳と日本における関連記事を掲載した日本語版広報誌の最新号
(通巻第3号)が完成しました。本号ではインド洋津波被災地におけるILOの活動
を特集しています。

ワールド・オブ・ワーク----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/newsletr/index.htm#wow
ワールド・オブ・ワーク(英語版)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/magazine/index.htm

★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm

□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
                               (9月発表分)
◆◇2005年9月14日(水)発表ILO/05/34◇◆
◆◇2005年9月15日(木)発表ILO/05/35◇◆
◆◇2005年9月18日(日)発表ILO/05/36◇◆
★第17回世界労働安全衛生大会(米フロリダ州オーランド・2005年9月18〜22日)

 「グローバル世界における予防:パートナーシップを通じた成功」をメインテーマ
に開かれた第17回世界労働安全衛生大会は、ILOが国際社会保障協会(ISSA)、
そして主催国における安全衛生機関と共催で、労働安全衛生分野における専門家の方々
の情報交換の場として3年おきに世界各地で開催している会議で、今回初めて米国で
開かれました。
 世界大会会場において、ILOは、職場における栄養問題を扱った新刊「仕事と食
物:職場における栄養不良、肥満、慢性疾患解決策(Food at work: Workplace 
solutions for malnutrition, obesity and chronic diseases)」及び労働安全
衛生の最新の状況を概説した報告書「ディーセント・ワークとは安全な仕事(Decent 
Work - Safe Work)」を発表しました。

◎「仕事と食物」
 ILOが初めて世界各地の職場における飲食習慣を検討したこの報告書は、世界の
「食物不均衡」は相当なもので、世界人口の6人に1人(約10億人)が栄養不足状態
にある一方で、主として先進国では6人に1人が太り過ぎか肥満状態にあり、不適切
な栄養摂取は生産性を最大2割低下させる可能性があると記しています。そして、職
場における栄養状態の改善は国の生産性向上につながり、職場における食事計画はわ
ずかな投資で微量栄養素の不足や慢性疾患、肥満を予防することによって、病欠日数
や事故の減少といった利益を企業にもたらす可能性があるとしています。
 裕福な国では保健医療費全体の2〜7%を肥満関連が占め、米国では企業が保険、
有給疾病休暇等の形で支払う肥満関連経費が127億ドルに達していると推計されます。
一方、東南アジアでは鉄欠乏による生産性の損失額が50億ドルに達しています。こう
いった状況に対し、本書ではブラジルやフランスの食券制度、米国や南アフリカの地
元飲食業者と企業の提携、日本のお弁当の例など、世界28カ国の様々な企業からの効
果的な食事解決策を紹介しています。
 ILOは1956年に、多くの労働者が1日の3分の1または起きている時間の半分を
過ごす職場は健康面の介入活動を行うのに適した場であるとの考えのもと、食堂やカ
フェテリア、その他の給食施設の設置に関するガイドラインを含む福祉施設勧告(第
102号)を採択しています。

◎「ディーセント・ワークとは安全な仕事」
 第17回世界労働安全衛生大会用に提出されたこの報告書は、先進国では業務関連の
疾病発生件数や死亡者数が幾分減ってきているものの、届出不足が推定される一部ア
ジア諸国を中心に、急速な経済発展やグローバル化による強い競争圧力を原因として、
事故件数、特に死亡災害件数が増大しているように見えるとして、業務関連の事故や
疾病による死亡者数は世界全体で毎年約220万人に達するとしています。この現状に
ついて、ソマビアILO事務局長は、「(ILOが21世紀の活動目標とする)ディー
セント・ワークは安全な仕事でなくてはならないが、目標達成への道のりは長い」と
しています。
 先進国では業務関連疾病が主要な問題であるのに対し、途上国では事故の危険の方
が高く、鉱業、建設業、農業といった産業における事故による死亡者数が多くなって
います。また、有害物質は世界全体で毎年推計44万人の労働者の死亡原因となってお
り、アスベスト(石綿)だけでも年間10万人が死亡していると推計されます。新たな
データによると、男性は事故や肺疾患、業務関連のガンなどで65歳の引退前に亡くな
るリスクが高いのに対し、女性の間では業務関連の伝染性疾患(農業関連のマラリア
や細菌・ウイルスの感染)、心理社会的要因による不調、長期的な筋骨格障害が多い
ことが示されています。また、死亡以外の労働災害にあう確率は若年層(15〜24歳)
で高く、死亡災害や不健康状態は高齢層(55歳超)で高くなっています。しかし、多
くの途上国では労働安全衛生の届出制度が十分に機能しておらず、例えば、死亡災害
を年間222件と報告しているインドについて、ILOでは実際は4万件と推計してい
るといったように、途上国の統計は実態のほんの一部しか表していません。
 報告書はまた、心理社会的要因、暴力、アルコールや薬物の影響、ストレス、喫煙、
HIV(エイズウイルス)/エイズといった新たに登場してきた問題が世界的に罹患
率や死亡率の急上昇をもたらしており、例えば、主としてレストラン、娯楽産業、サー
ビス産業の労働者に影響を与える喫煙は業務関連疾病に基づく死亡件数全体の14%、
20万件近くの死亡原因になっていると記しています。
 ILOは業務関連の事故や不健康状態を予防または削減する前提条件は、国際レベ
ル、アジア・欧州などの地域レベル、国家レベル、企業レベルの各レベルにおける行
動であるとし、啓発活動、指針開発、技術支援、知識基盤の構築、国際協力からなる
世界戦略を開発し、各国の国内政策開発努力を積極的に支援しています。例えば、ア
ルゼンチンでは政労使三者構成の全国建設業安全委員会が設置され、アイルランドは
ILOのマネジメント・システムズ・ガイドラインを導入する協定をILOと正式に
締結し、日本は今年8月に石綿条約(第162号)を批准し、石綿の全面的な使用禁止
を目指しています。
 タカラ労働安全衛生・環境計画部長はILOコミュニケーション・広報局のインタ
ビューに答え、世界全体で業務関連の事故または疾病を原因として毎日少なくとも
5,000人が死亡していると推計されるが、これは氷山の一角に過ぎないとします。そ
して、ほとんど全ての事故はなくすことができるとして、予防の経済的利益などにつ
いて語っています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/34.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/35.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/36.htm
タカラ労働安全衛生・環境計画部長インタビュー(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/orlando.htm
「Decent Work - Safe Work」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/wdcongrs17/intrep.pdf
「Food at work」概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/download/foodatwork.pdf
第17回世界労働安全衛生大会(英語)----->
http://www.safety2005.org
労働安全衛生・環境計画(英語)----->
http://www.ilo.org/safework
ILO条約・勧告----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/list.htm

 ※PDFファイルをご覧になるためにはAdobe Readerが必要です。
  お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.html

◆◇2005年9月21日(水)発表ILO/05/37◇◆
★じゅうたん産業の児童労働削減に貢献するIPECの新型織機発明者が2005年テッ
ク博物館賞を受賞

 成人労働者の労働条件の改善及び所得の増大を通じ、じゅんたん産業における児童
労働の削減に寄与するものとして、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)が利
用している「人間工学的」織機の発明者であるサイード・アワン氏が、2005年テック
博物館賞を受賞しました。米カリフォルニア州サンホセにあるテック技術革新博物館
が設けるこの賞は、新技術の利用または開発を通じて社会に利益する先駆的な発明に
毎年送られています。
 ラホール市(パキスタン)にある労働条件・環境改善センター(CIWCE)の所
長であるアワン氏は、IPECの依頼を受けじゅうたん産業で働く児童の安全・健康
面のリスク評価を行い、何世紀も変わらない織機のデザインが、じゅうたん織工たち
の間に大きな健康問題を発生させていることを突き止め、人間工学的織機の発明に至
りました。新型織機は既にIPECによって、パキスタン国内3地域30カ所に導入さ
れ、成人労働者の健康や生産性の向上につながった結果、時には収入を倍増させ、子
どもの労働に対する依存度の低下は児童労働の削減に結びつきました。IPECでは
この方法を用いて、家族が子どもを働かせるのではなく、学校に通わせるよう誘導し
ており、既に約2万6千人の子どものリハビリテーションに成功しています。
 パンジャブ州労働局の一部である労働条件・環境改善センターは1988年に設立され、
職場における安全衛生及び職場環境改善に向けた訓練、情報、助言サービスを提供し
ています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/37.htm
児童労働撤廃国際計画(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/index.htm
テック博物館賞(英語)----->
http://www.techawards.org

◆◇2005年9月22日(木)発表ILO/05/38◇◆
★ILO新刊:中南米における児童労働撤廃の費用便益分析報告書

 ILOは2004年初めに、児童労働を世界的に撤廃した場合の経済的な費用と利益の
分析を行った報告書「Investing in Every Child, An Economic Study of the 
Costs and Benefits of Eliminating Child Labour(子ども一人一人への投資:
児童労働撤廃の費用便益に関する経済研究)」を発表していますが、この度、同じ方
式を中南米19カ国に適用した費用便益分析の結果を発表しました。それによると、5
〜17歳の児童1,970万人が従事すると推計される中南米の児童労働を2006〜25年の20
年間で廃絶すること(最悪の形態の児童労働については最初の10年間に廃絶するもの
と仮定)によって生じる経済的利益は推計3,400億ドルになり、約 1,050億ドルと推
計される費用をはるかに上回るとしています。
 この分析は、昨年コスタリカで開かれた第6回イベロアメリカ青少年問題担当閣僚
級会合の要請に応え、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)が行ったものです。
分析をまとめた報告書「Construir futuro, invertir en la infancia: Estudio 
economico de los costos y beneficios de erradicar el trabajo infantil 
en Iberoamerica(未来の構築、子ども時代への投資:イベロアメリカにおける児童
労働撤廃の費用便益に関する経済研究)」は、教育制度の改善や保健医療の向上、最
悪の形態の児童労働の撤廃に向けた直接介入活動など今後20年間の児童労働撤廃に必
要な投資額は約1,050億ドルに達するものの、教育の向上によって3,390億ドル、健康
の改善によって21億ドルの経済的利益が生じると推計しています。ここで経済的利益
とは、住民の教育水準の向上、健康状態の改善、そして生産性の増大によって生じる
利益と定義されています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2005/38.htm
児童労働撤廃国際計画(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/index.htm
「Investing in Every Child」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/publ/download/2003_12_investingchild.pdf
「Construir futuro, invertir en la infancia」(西語)----->
http://www.oit.org.pe/ipec/documentos/cb_iberoamerica.pdf

★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm

□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「使用者団体がリードする男女平等:10カ国事例研究集
   Employers' organizations taking the lead on gender equality:
   Case studies from 10 countries」◇◆
   英語 2005年刊 85pp. 2,500円

 2002年3月7日、ノルウェー政府は、2005年までにノルウェーの企業が、取締役会
における女性の割合を40%とする目標を達成できなかった場合、2005年に全企業を対
象とした法定割当制を導入するとの考えを発表しました。当時の女性役員の割合は8.6
%でした。これに応えて2002年秋にノルウェー企業産業連合(NHO)が実施した企
業調査では、84%の企業が女性役員の増加に肯定的であったものの、候補者が少ない
との回答も見られました。そこでNHOは2003年に、ネットワーキングやメンター制
度などを通じ、会員企業による女性役員増員努力を支援する「女性未来」と題する事
業を発足させました。
 ILO使用者活動局がまとめた本書は、ノルウェー、ニュージーランド、クロアチ
ア、ケニア、ジャマイカ、マレーシア、フィリピンなど様々な開発段階にある10カ国
の使用者団体が行っている男女平等に向けた多様な活動を紹介しています。例えば、
若い夫婦の間で家庭内分業が進んでいるフィリピンの使用者団体が、企業責任に関す
る幅広い活動の枠内で行った仕事と家庭の調和に向けた事業や、ジャマイカ、ケニア、
マレーシアの使用者団体が、特に女性の場合、雇用及び職業上の平等達成における本
質的な障害となり得るとして取り組んでいるセクシュアル・ハラスメント対策などが
紹介されています。男女平等問題に対する使用者団体の取り組みは国によってかなり
異なりますが、分析を通じて一つの共通の流れが浮かび上がってきます。それは、使
用者団体を通じた自主行動は、上から押しつけられた措置によるよりも、自分たちに
とっても社会全体にとっても利益となる方法で改革に影響できるということです。

書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2005年8月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm

★オンライン無料出版物★
◆◇「アジア太平洋の労働・社会動向2005年版
   Labour and social trends in Asia and the Pacific 2005」◇◆
   英語 2005年刊 74pp.

 世界人口の約半数が1日2ドル相当額未満で暮らしていますが、その約4分の3に
当たる20億人近くがアジアに住んでいます。アジア太平洋地域ではまた、2003〜04年
に7%を上回る強い経済成長が記録されたのに対し、雇用の伸びはわずか1.6%でした。
 ILOアジア太平洋総局が去る9月12日に発表した本書は、各種統計を豊富に用い、
アジア太平洋諸国におけるまともで人間的な仕事を意味するディーセント・ワーク目
標の達成度合いを評価することを試みています。概要に続き、東アジア、東南アジア
・太平洋、南アジアの地域別に労働市場情勢を細かく吟味した後、第3章で雇用、賃
金、労働時間、第4章で社会情勢として、貧困、児童労働、組織労働と社会対話、I
LO条約批准状況のテーマ別に記しています。アジアにおいて15〜24歳の若者層が労
働力に占める割合は20.8%に過ぎないのに対し、失業者全体に占めるその割合は49.1
%に達するといったように大きな問題である若者の雇用について特に一章を設けて特
集しています。若者の失業者数が半減すれば、国内総生産(GDP)が東アジアで最
大2.5%、南アジアで最大6.7%、東南アジアで最大7.4%増大しようとILOでは推
計しています。最後に、労働力率、失業率、賃金指数、労働時間、労働組合組織率、
識字率など各種統計資料が全体のほぼ半分を占める分量で掲載されています。本書は、
今後隔年発行が予定されています。

報告書本体(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/download/14tharm/rep_trends.pdf
アジア太平洋総局新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/public/releases/yr2005/pr05_24.htm

□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
                    (ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇部門別活動局◇◆
★多国間繊維取り決め(MFA)後の環境における繊維と衣料の公正なグローバル化
の促進に関する三者構成会議(ジュネーブ・2005年10月24〜26日)
 2005年1月1日をもって繊維・衣料協定(ATC)が失効し、多国間繊維取り決め
(MFA)の段階的撤廃によって、40年余りにわたって続いてきた繊維製品の輸入数
量割当制度がなくなり、繊維・衣料貿易は自由化されました。バングラデシュ、中国、
トルコ、米国など関係国15カ国の政府代表及び各15名の労使代表が出席する標記の会
議では、MFA撤廃直後の社会的・経済的影響を検証し、大変革の時を迎えている繊
維・衣料産業における公正なグローバル化を全世界的に推進する適切な統合的戦略の
策定に資することを目指し、この過程における社会対話の役割を含み、新たな時代に
向けて立案されている各種の対策を検討します。

MFA後の環境における繊維と衣料の公正なグローバル化の促進三者構成会議(英語)
----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/sectors/textile/iloact.htm

◆◇事務局長◇◆
★アメリカのハリケーン再建努力に支援申し出
 2005年9月18〜22日に第17回世界労働安全衛生大会が開かれたオーランドは、今年
8月にハリケーン「カトリーナ」が襲来したニューオーリンズから数百キロの距離に
位置します。チャオ米労働長官は、約23万平方キロに及ぶ被災地で救助・復旧作業に
携わる人々が不必要に負傷することがないよう作業の安全を確保することが大切とし
て、地域社会再建に向けて働く人々の安全衛生が最優先事項であると語っています。
ソマビアILO事務局長は去る9月16日に、個人的な哀悼の念と米国民に対する連帯
を表明すると共に、ILOのもてる経験と能力を、あらゆる適切な形で、復旧・再建
努力に応えて提供する用意があるとしたお見舞い状をチャオ労働長官に送ったことを
発表しました。

カトリーナ再建努力に関する事務局長声明(英語)----->
http://www.ilo.org/dyn/ilosite/ilonews.internetPage3News?p_lang=EN&p_internet_news_id=1858
関連広報記事(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/orlando_katrina.htm

◆◇コミュニケーション・広報局◇◆
 ILOの活動に関わる広報記事が随時掲載されています。最新の記事には次のよう
なものがあります。
★広報記事:モンゴルのゴールドラッシュ
 モンゴルの鉱工業生産の半分以上、そして輸出高の6割以上は金鉱業を中心とする
鉱業が占めています。しかし最近、正式な企業活動で生産される金は全体の半分を割
り、残りは背にくくりつけたプラスチック製の緑の桶の形がアニメ映画のニンジャ・
タートルズを連想させることから「ニンジャ」と呼ばれるインフォーマルな採掘者に
よって生産されるようになってきています。インフォーマルな採掘活動に従事してい
るのは、失業した鉱山労働者や冬の厳しさ故に家畜を失い、半遊牧生活を続けられな
くなった家族です。ILOとモンゴル使用者連盟(MONEF)は、より安全で生産
的な鉱業活動や児童労働の撤廃などを目指し、鉱業インフォーマル・セクターのフォー
マル化を支援しています。

広報記事:モンゴルのゴールドラッシュ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/mongolia.htm

★広報記事:タジキスタンの女性受刑者向け起業訓練
 ILOが30年以上にわたって実施している「起業・事業改善(SIYB)プログラ
ム」の受講者は80カ国以上約35万人に達しています。ソビエト連邦崩壊後、内戦の影
響もあって経済状態が苦しく、失業、低賃金、極度の貧困によって違法な活動に走る
女性も多いタジキスタンで、2005年4月から60人の女性受刑者を対象にSIYBプロ
グラムが実施されました。教育水準もバックグラウンドも非常に異なる受講者たちは、
事業計画の立案、融資を得る方法、優れたビジネス構想選択の仕方、年間予算の立て
方、開業資金の見積もり方といった事業開始のノウハウを学びました。「これほど積
極的に学び、感謝してくれた受講者は初めて」と感激したプログラム担当者は、釈放
後の女性たちに開業資金を提供してくれる団体を個人的に探し始めました。プログラ
ムを担当するILOの雇用創出・企業開発局では現在、対話型CD−ROM版SIY
Bや成長を目指す企業向けの事業拡大モジュールの開発も進めています。

広報記事:タジキスタンの女性受刑者向け起業訓練(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/tajikistan.htm
雇用創出・企業開発局(英語)----->
http://www.ilo.org/dyn/empent/empent.portal?p_lang=EN

★広報記事:船員の死亡、負傷、遺棄
 船員人口は世界全体で125万人と推計されます。船舶の所有者の国籍、船籍国、そ
して船員の国籍が複数にわたるのはそれほど珍しくないため、負傷・死亡時の補償請
求や船舶遺棄の問題において、どの国の法令が適用されるかに関し問題が生じます。
遺棄事件は世界中どこの港でも起こっており、例えば過去12ヵ月間にペルシャ湾岸の
ある港では10件の遺棄事件があり、遺棄された船舶に乗り組むロシア、エチオピア、
インド出身の合計42人の船員に18ヵ月分の賃金が未払いになっていたケースもありま
す。ILOは国際海事機関(IMO)と共同で2001年からこの問題の解決に向け、ガ
イドラインの策定をめざした話し合いを開始しています。9月19〜21日にはロンドン
でこの第6回目の会合が開かれました。

広報記事:船員の死亡、負傷、遺棄(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/seafarers.htm

□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
 ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
 第40回は、国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)にIL
Oの活動がどのように関わりがあるのかについて取り上げます。

◆◇ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)とILO◇◆
 ミレニアム開発目標(MDGs)は2000年9月に国連で採択されたミレニアム宣言
を基礎とし、2015年までにより安全でよりよい世界を創設することを目指しています。
去る9月14〜16日に開かれた国連総会世界サミットでは、目標達成に向けた進展度合
いが検討され、採択された成果文書に「雇用」が明確に項目の一つとして取り上げら
れ、ILOが21世紀の活動目標とする、まともで人間らしい働き方を意味する「ディー
セント・ワーク目標」を国内・国際政策及び国内開発戦略の中心的目標として推進す
る決意が以下のように盛り込まれました。

  「パラ47 我々は公正なグローバル化を強く支持し、女性や若者を含む全て
 の人々に対するディーセント・ワーク並びに完全雇用及び生産的な雇用の諸目
 標を、ミレニアム開発目標達成に向けた我々の努力の一部として、我々の関連
 する国内政策及び国際政策並びに貧困削減戦略を含む国家開発戦略の中心的な
 目標とすることを決意する。これらの措置には、ILO第182号条約に定義され
 るところの最悪の形態の児童労働及び強制労働の撤廃も含まれるものとする。
 我々はまた働く上での基本的な原則と権利の十分な尊重を確保することを決意
 する。」
                     (2005年世界サミット成果文書より)

 150カ国以上の国家元首・首脳が出席したサミットでこのように評価されたディー
セント・ワークがミレニアム開発目標とどのように関連しているかについて、ILO
の作成した広報資料「Information folder on Decent Work and the Millennium 
Development Goals」より概要をご紹介します。広報資料の全文は、文末のウェブ
ページよりご覧になれますが、ここには、より詳しい活動内容に加え、参考文献を含
む関連する各種資料へのリンクが含まれています。

★ミレニアム開発目標とILOのディーセント・ワーク
 ミレニアム開発目標は8つの目標と、その達成度合いを評価する48の指標を用いた
測定可能な18のターゲットで構成されています。このうち目標3の指標11(農業以外
の賃金雇用における女性の割合)と目標8の指標45(15〜24歳の若者の失業率)につ
いてはILOが報告責任の中心を担っています。
 ILOは政策助言、情報提供、調査研究、統計、技術支援、能力構築、基準、啓発
活動を通じて、ミレニアム宣言が掲げる「より平和かつ豊かで公正な世界」を目指し
た活動を行っています。政府のみならず労使代表も含まれるILOの構造は貧困に対
する戦いにおける重要な盟友同士を結びつけるものです。
 国家の貧困削減戦略や国家予算にミレニアム開発目標に係わる優先事項が反映され
るようになってきていますが、ILOは当該国が支配権をもつこととミレニアム開発
目標を各国の状況に合わせることの重要性を強調しています。均等な成長が達成され
るには、まともな雇用と収入を経済・社会政策の中心に置く必要があります。

◎目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」
 ILO憲章の附属書であるフィラデルフィア宣言に「一部の貧困は全体の繁栄にとっ
て危険である」と掲げられているように、ILOも政策として貧困削減を推進してい
ます。これは現在、実務上ではディーセント・ワーク目標を通じて行われています。
ディーセント・ワーク目標は、貧困から抜け出す主要な経路となる収入を生み出す
「雇用」、貧困から脱する力を提供する「権利」、所得を保護し、健康を支える「社
会保護」、そして政府の貧困削減政策が妥当で持続的なものとなるよう確保するため
の労使団体の参加といった「対話」の4つの柱から形成されています。
 具体的には、各国が雇用に関する国内政策を策定する際の支援提供、国連及び世界
銀行と共同で進める若年雇用ネットワーク(YEN)の主導機関としての活動、ユネ
スコと共同で行う訓練・技能開発戦略の推進、インフォーマル経済におけるディーセ
ント・ワークの普及、中小・零細企業に資する政策・法的枠組みの形成支援、労働力
基盤型公共事業の活用、協同組合の推進、地域の経済・社会開発のための包括的な参
加型戦略の推進、小規模金融利用機会の拡大、農業における生産性と所得向上のため
の活動といった直接的な雇用関連活動から社会保障適用範囲の拡大や労働者を保護す
る安全で健康な労働条件の推進及び助言提供といった社会保護分野に至るまで幅広く
多様な活動が展開されています。ILOの活動目標と重なっている以上、ILOの活
動の全てがこの目標の達成に寄与すると言えます。

◎目標2「全ての人々への初等教育の普及」
 親のディーセント・ワーク、学校から仕事への円滑な移行、児童労働の撤廃はこの
目標の達成に不可欠です。ILOは全ての人に開かれた無料の義務教育の推進、質の
高い教育の提供に資する条件と教員の権利の支援、児童労働撤廃活動、生産年齢にあ
る人々のまともな雇用と訓練の推進、貧困世帯向けの児童手当その他の社会保障措置
の奨励を通じて、この目標の達成に寄与しています。

◎目標3「男女平等の推進と女性の地位向上」
 これは貧困克服に不可欠な要素で、全てのミレニアム開発目標の達成はこの目標の
進展度合いにかかっています。ILOは全ての政策及び事業計画の主流にジェンダー
に対する配慮を盛り込んでいます。具体的には、雇用その他の収入を得る活動、資産、
教育、訓練に対するアクセスにおける機会平等の推進、男女別に分けた介入活動や男
女双方を対象とした活動、社会保護における男女平等に向けた働きかけ、労使団体を
通じた女性の地位向上、男女平等に向けた社会対話や団体交渉、女性の権利や国際労
働基準の尊重推進といった活動を通じて進められています。

◎目標4「幼児死亡率の削減」
 貧しい国や最も貧しい家族の間では依然幼児死亡率は高いものの、この大半は予防
可能です。ディーセント・ワーク目標の4つの構成要素のうちで社会保護は、健康関
係の目標である目標4、5、6に直接寄与していますが、その他の要素も間接的に寄
与しています。ILOは働く母親、保健医療労働者、児童労働対策、社会保護の適用
拡大を通じてこの目標の達成を支援しています。具体的には、全ての家族に開かれた
保健医療、家族給付、その他の社会保障措置の利用機会、保健分野の人的資源及び基
盤構造への投資、妊娠、出産、授乳期間中の全ての女性労働者の母性保護、好ましい
労働条件と安全衛生基準、親がより良く子どもの世話ができるような家庭と仕事の調
和に向けた政策、最悪の形態の児童労働の撤廃を推進しています。

◎目標5「妊産婦の健康の改善」
 妊娠や出産を原因として亡くなる女性の数は世界全体で毎日1,400人余りに達して
います。ILOは妊娠、出産、授乳期間中の全ての女性労働者の母性保護、保健分野
の人的資源及び基盤構造への投資、保健医療及び社会保障制度の適用拡大、保健医療
労働者の権利とまともな労働条件、女性労働者が包括的なHIV(エイズウイルス)
/エイズ関連サービスを受ける機会、女性や少女の教育、雇用、地位の向上を推進し
ています。直接関係する基準として、2000年に採択された母性保護条約(第183号)
があります。

◎目標6「HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の撲滅」
 HIV及びそれに関連する疾患は貧困の度合いを強め、経済成長を鈍化させ、開発
面で得られた進歩の解消につながります。この影響は労働力、企業効率、技能と経験
の移転にも及びます。HIV/エイズの影響と蔓延を食い止めるより幅広い戦いの中
で職場は重要な役割を演じることができるとの認識のもと、ILOは国連合同エイズ
計画(UNAIDS)に参加しています。ILOの活動の焦点は、職場の問題として
のエイズの理解の促進、労働の世界における行動の動員、効果的な計画を支える労使
団体の能力の強化に置かれています。社会保護の推進は、HIV/エイズのみならず
幅広い疾病に対するより良い保健医療サービスの提供に寄与します。

◎目標7「環境の持続可能性の確保」
 地球が直面している環境面の課題は社会と経済の開発のみならず労働の世界にも影
響を与えます。環境の劣化は貧しい労働者の生計を脅かす持続性のない生産と消費の
パターンと結びついています。環境の保護と再生は雇用と収入を生む可能性もありま
す。持続可能な開発への第一歩は仕事でなくてはならないとも言え、目標1、目標8
と同様、ディーセント・ワークの存在がこの目標の達成を左右します。ILOは持続
可能な開発の社会的な柱を強化し、それを環境及び経済の柱に統合することを目指し
ています。2002年の持続可能な開発に関する世界サミットで採択されたヨハネスブル
ク宣言には、「仕事における基本的な原則と権利に関するILOの宣言に考慮し、収
入を創出する雇用機会を増大する」との公約が盛り込まれています。ILOは自由に
選択された生産的な雇用を推進する国際戦略として世界雇用戦略(Global Employment 
Agenda)を策定していますが、この中心的な要素の1つに「持続可能な生計のための
持続可能な開発」の推進が含まれています。また、職場における事故が大きな環境災
害に発展する可能性があるため、ILOは国際労働基準や啓発活動、労働安全衛生や
作業環境に関する国家戦略の開発支援、労働監督制度の拡大などを通じ、安全で健康
な労働環境を推進しています。さらに、各国の貧困削減戦略プロセスにおける労使の
参加の拡大を図るなどして、政府の環境・社会政策が労使の参加を得て持続可能なも
のとなるよう支援しています。

◎目標8「開発のための世界的なパートナーシップの開発」
 これは目標1〜7の達成に向けた国家間の協力体制に関する目標で、多国間機関の
公正性から若者の雇用、科学技術、開発援助、債務免除、途上国の特別のニーズといっ
た多様な分野を含んでいます。この分野においてILOは、ディーセント・ワークを
公正なグローバル化における世界の目標とすることの推進、多国間機関同士の貧困削
減政策における整合性の確保に向けた呼びかけ、技術変化が生み出す雇用機会の奨励、
この目標に含まれる若者の雇用のターゲットの直接的なモニタリングと推進、労使団
体が国の開発課題に参加できるよう能力を構築することといった活動を行っています。

★ILOの実際の活動例
 貧困削減について、ILOには長い取り組みの歴史があります。インドネシア、ロ
シア、アフリカから最近の活動例を取り上げたコミュニケーション・広報局の広報記
事の概要を以下にご紹介します。

◎日本政府拠出金によるインドネシア先住民プロジェクト
 インドネシアのパプア州は国内で最も貧しい地域の一つであり、2004年のインドネ
シアのミレニアム開発目標報告書によれば、同州の人口の41.8%が貧困線を下回る生
活を送っているとされています。ILOは最近、国連の人間の安全保障基金を通じ、
日本政府より約154万ドルの任意資金拠出を得て、パプア州の先住民の貧困と差別の
問題に取り組み、人間の安全保障を推進する3年間のプロジェクトを開始しました。

◎ロシアの貧困対策
 ロシア連邦は1998年の金融崩壊から回復したものの、公式統計によれば依然国民の
5人に1人が貧困層とされています。そのうち少なくとも半数は、例えば夫が教師、
妻が医師でありながら、夫婦の月給を合わせても4,500ルーブル(約1万7,500円)で、
2人の子供の児童手当を加えても、390ドル(約4万3,500円)の公式貧困線を上回る
ことができないブセボロジスクのあるカップルのように、就労していながら貧困状態
にあります。プーチン大統領が開始した持続可能な成長と発展を目指した野心的な計
画の中で、貧困削減は最も緊急度の高い全国的目標になっています。この枠内で、I
LOはロシア北西部において貧困削減及び雇用促進に向けたパイロット・プロジェク
トを実施し、当該地域の行政官、労使団体を対象としたディーセント・ワークの推進
及びILOの貧困対策手法を地域レベルで適用する方法に関する訓練コースやセミナー
の開催、地域の貧困事情に関する包括的な資料の作成、生活水準、所得、賃金、労働
市場の諸政策に対する政策提案を行いました。

◎アフリカの経済復興に向けた雇用集約型事業
 ILOはアフリカ25カ国で、道路建設、灌漑工事、再植林などといった労働集約型
事業を用いて雇用を創出すると同時に地域経済の開発を支援する雇用集約型基盤構造
計画を通じ、雇用が公共投資と貧困削減の中心に据えられるよう支援してきました。
広報記事では、15年間の内戦を経て再建と経済復興の大きな課題に直面しているソマ
リアや南アフリカにおける事業が紹介されています。

ILOとミレニアム開発目標広報資料(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/mdg/
広報記事:インドネシアの先住民プロジェクト(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/papua.htm
インドネシアの先住民プロジェクト関連外務省新聞発表----->
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/17/rls_0725a.html
広報記事:ロシアの貧困対策(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/russia.htm
広報記事:アフリカの雇用集約型事業(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/features/05/somalia.htm
雇用集約型基盤構造計画(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/recon/eiip/

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