ILO東京支局メールマガジン【No.6】
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ILO(国際労働機関)東京支局マガジン
2002年11月6日号 No.6
東京支局(日本語・英語) http://www.ilo.org/tokyo
本部(英語) http://www.ilo.org
◎お問い合わせはこちらまで tokyo@ilo.org
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:::::::::::<目 次>:::::::::::::::::::::
:《1》ILO東京支局お知らせ−銀行と金融サービス業におけるM&Aが雇用に:
:::及ぼす影響ILOフォーラム ほか:::::::::::::::::::
:《2》ILO新聞発表−ILO/ユネスコ教員報告書 ほか::::::::::
:《3》新刊紹介−人の心に耐え難い行為 ほか::::::::::::::::
:《4》ILOウェブサイト案内−ILOLEX::::::::::::::::
:《5》トピック解説−インフォーマル経済::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
□■□■□■ ILO東京支局お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇銀行と金融サービス業におけるM&Aが雇用に及ぼす影響ILOフォーラム◇◆
ILO東京支局では、11月7日、東京の国連大学本部ビルで、昨年2月に開かれた
銀行・金融部門のM&Aが雇用に与える影響を検討する会議を担当したILO本部職
員から、会議の成果とその後のフォローアップ活動を聞く機会を設けます(入場無料)。
参加ご希望の方は、ILO東京支局までお申し込み下さい。
上記イベントの詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm#ma
◆◇ディーセント・ワークとインフォーマル経済ILOフォーラム◇◆
去る8月30日、東京の国連大学本部ビルで、今年のILO総会で一般討議が行われ
たインフォーマル経済について、事務局側担当者であったリン・リーン・リムILO
ジェンダー推進計画担当部長より、総会における討議模様を中心に、インフォーマル
経済とは何かについて聴取するフォーラムが開かれました。リム部長の基調講演に続
き、下川雅嗣・上智大学国際関係研究所助教授が「アジアにおける都市インフォーマ
ル経済の可能性と問題、そして日本に視点を移して」と題して、日本におけるホーム
レスの現状等を含み、報告を行いました。最後に、総会に出席された厚生労働省、日
本経団連、連合の政労使三者担当者・学識者から2人の報告に対するコメントが出さ
れ、活発な議論が行われました。
ディーセント・ワークとインフォーマル経済ILOフォーラム:リム部長基調講演
(英語)、下川助教授報告を新たに掲載----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/informal.htm
◆◇世界の人身売買の現状に関するILO報告発表会◇◆
人身売買の犠牲になっている子どもたちの数は世界全体で120万人にのぼるとILO
は推計しています。去る10月21日、東京の国連大学本部ビルで、堀内光子・ILO駐
日代表とアン・カンバラ・在日米国大使館労働参事官が、ILOの発表した子どもの
人身売買(トラフィッキング)の現状に関する最新の報告書をもとに講演を行いまし
た。
報告書「人の心に耐えがたい行為:子どもの人身売買をなくすための行動」----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/trafficking.htm
★ILO東京支局からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
(2002年10月5日〜11月5日発表分)
◆◇2002年10月5日(土)発表ILO/02/45◇◆
★子どもは増加、教員は減少:ユネスコとILOの新しい共同報告書は世界的な教員
不足が教育の質の低下を招いていると指摘
10月5日の世界教員の日に際し、ILOとユネスコは教員に関する世界の最新デー
タを集めた報告書(Statistical Profile of the Teaching Profession)を共同
発表しました。報告書は、90年代を通じて子どもの数は増加したのに対し、教員数が
不足し、教育の質の低下を招いているとします。
先進国では小学校教員1人当たりの生徒数は平均16人ですが、途上国では100人を超
える場合も珍しくありません。30歳未満の小学校教師がインドネシアでは全体の52%
以上に達するなど、途上国の教師は非常に若く、経験が浅い傾向があり、正式な職業
訓練を全く受けていない場合も少なくありません。一方、先進国では、例えばドイツ
やスウェーデンでは小学校教師の7割超が40歳以上であるように、全体としての高齢
化が進んでいます。これは学生に必要な知識とスキルが近年大きく変化しているにも
かかわらず、教師の大半が初期研修を15〜20年前に受けていることを意味します。
教職人気低下の一因として、低賃金が挙げられ、例えば、OECD(経済協力開発
機構)諸国では勤続15年の教師の平均年間給与は27,525ドル(約335万円)で、同水
準の他の専門職に比べてかなり低くなっています。低い給与に合わせて仕事の量を軽
減している国(ペルーでは年間平均労働時間が約648時間)もあれば、給与は高くとも
仕事の量が多い国(フィリピンでは年間給与は10,640ドル(約130万円)ですが、生
徒数は1クラス50人を超え、年間平均労働時間は1,176時間)もあります。
ILOとユネスコは1966年に、教育における教員の中心的な役割を強調し、給与と
労働条件は教員の社会的重要性を反映したものとすべきとする「教員の地位に関する
勧告」を共同で採択しており、ユネスコのジョン・ダニエル教育事務局長補は「勧告
の重要性は依然失われていない」とします。また、ILOのサリー・パクストン社会
対話総局長は「政府及び教育機関が教員及びその労働組合とオープンで意味のある対
話の方法を見出すことが急務となっている」と述べています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2002/45.htm
ユネスコ:世界教員の日(英語)----->
http://www.unesco.org/education/html/int_days.shtml
報告書「教職統計(Statistical Profile of the Teaching Profession)」(英
語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/papers/education/stat_profile02.pdf
教員の地位に関する勧告(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/ceart/recs.htm
※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。お持ちでない方
は、こちらからダウンロードしてください。
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
◆◇2002年10月7日(月)発表ILO/02/46◇◆
★鉱業−高生産性、職業上の危険度高
10月7〜11日に、ジュネーブのILO本部では鉱業における雇用、労働時間、訓練
の変化について話し合う各国政府、業界労使団体代表の会議が開催されました。討議
資料として会議に提出された報告書は、鉱業生産高は増加を続けているものの就業人
口は低下の一途をたどり、世界全体で過去5年間に300万人を超える雇用が失われたと
します。
カナダ、インド、米国では100%、オーストラリアでは200%以上といったように、
鉱業は最近、著しい生産性の伸びを示していますが、報告書は、全体的な傾向として、
資本集約化が進む一方、熟練労働者はますます長時間労働を余儀なくされていると分
析しています。そして、疲労は薬物やアルコールの乱用と同じくらい作業効果に悪影
響を与える可能性があり、18時間以上寝ていない労働者は飲酒時と同じような症状を
示すにも関わらず、飲酒勤務を禁止する規定はあっても、睡眠不足時の労働を禁止す
る規定がないとして、長時間労働と交替勤務の増加からくる疲労と人的ミスの結果が
職業上の最大のリスクの一つになりつつあることを警告します。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2002/46.htm
鉱業における雇用、労働時間、訓練の変化に関する三者構成会議(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmmi02/index.htm
会議討議資料(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmmi02/tmmi-r.pdf
◆◇2002年10月11日(金)発表ILO/02/47◇◆
★ILO/ADB、労働基準の向上、開発促進に向けて協力
9月18〜19日に、ILOとアジア開発銀行(ADB)はマニラのADB本部で、
労働基準地域技術ワークショップを開催し、アジア太平洋地域で幅広く持続可能な
開発が確保されるには、労働基準向上に向けた政府の決意が大切との結論に達しま
した。域内の使用者、労働組合、その他団体のハイレベルの代表が参加したワーク
ショップは、各国政府、ILO、ADBに対し、労働基準の問題にスポットライト
を当てた政策対話の実施、児童労働、労働安全衛生、職場における差別、債務奴隷
といった問題に取り組むプロジェクトの設計等を通じた労働基準の向上推進、地域
における労働条件モニタリングの強化、労働基準向上に向けた能力構築・啓発活動
の開発を求めました。また、労働基準の遵守を企業の社会的責任の一部としてとら
え、社会的な監査を行う方法等についての議論も行われました。
ILOとADBは今年5月に、開発に最大限の影響を与えるよう限られた資金を
活用するため、協力関係の強化に向けた協定を締結しています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2002/47.htm
ILO/ADB労働基準地域技術ワークショップ(英語)----->
http://www.adb.org/Documents/Events/2002/Core_Labor_Standards/default.asp
◆◇2002年10月18日(金)発表ILO/02/48◇◆
◆◇2002年10月24日(木)発表ILO/02/49◇◆
★保健サービスにおける社会対話に関するILO会議:保健部門の職場内暴力対策
新共同イニシアチブを発表
10月21〜25日に、ジュネーブのILO本部で開かれた保健サービスにおける社会
対話の制度、機能、効果に関する合同会議では、保健部門における改革を進め、さ
らにケア提供者に対する職場における暴力問題の増加にも対処していく上での社会
対話の必要性について話し合いが行われました。
公衆衛生上の懸念や保健医療コストの増加によって、保健部門は最近多くの国で
最も議論の多い政策分野のひとつとなっています。この動きの中で最近、政府と労
使団体代表とによる社会対話の役割が認識されるようになりました。討議資料とし
て作成された報告書は、社会対話を強化するための方法を吟味し、ブラジル、カナ
ダ、チリ、英国などの保健部門における社会対話の好事例を紹介しています。報告
書は、保健サービスの制度改革と民営化、新しい管理形態、雇用、労働力移動、ケ
ア提供の財源といった事項も扱っています。
職場内暴力はサービス部門全般で深刻な問題となっていますが、保健医療の現場
は特に危険にさらされています。ある調査報告によると、全職場内暴力事件の25%
近くが保健部門で発生し、全保健医療労働者の平均2人に1人が何らかの事件に遭
遇しているとされます。
10月24日には、医療職場の暴力に関する円卓会議が開催され、その中でILO、
世界保健機関(WHO)、国際公務員労組連盟(PSI)、国際看護婦協会(IC
N)連名による、「保健部門の職場内暴力対策枠組みガイドライン」が発表されま
した。ガイドラインは政府、使用者、労働者、労働組合、職業団体、一般市民など、
職場における安全を担うすべての人々に対する支援の提供をめざし、尊厳、非差別、
機会平等、協力を基盤とした、人を中心に据えた職場文化の育成を優先事項としつ
つ、保健医療労働者が暴力問題に取り組む方法、リスクの把握・評価・削減、暴力
の影響を減らし、再発を防止する方法などを示します。ILOでは来年10月に、専
門家会議を開き、サービス業における職場内暴力とストレスに関する実施基準を採
択する予定です。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2002/48.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2002/49.htm
保健サービスにおける社会対話の制度、機能、効果に関する合同会議(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/jmhs02/index.htm
会議討議資料(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/jmhs02/jmhs-r.pdf
★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm
□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「人の心に耐え難い行為:子どもの人身売買をなくすための行動」◇◆
Unbearable to the human heart: Child trafficking and action to
eliminate it(原題)
P. Boonpala他著 日本語訳 2002年刊 108pp. 500円
国境地帯からタイの工場まで、ただで乗せてくれたバスの運転手に売春宿に売り払
われた子ども、昼間働けば、中学校に通うお金も出すと言われ、連れてこられたバリ
で物乞いをさせられているインドネシアの少年、義母に売られて家事使用人として1
日1食、失敗をすれば殴られるといった生活をさせられていたカメルーンの子ども。
労働力として、兵士として、物乞いとして、家族から離され、売られた子どもの数は
世界全体で120万人と推計されます。本書は、なぜこのような子どもの人身売買が行わ
れるのか、売られた子どもはどのような状況にあるのかといった、子どもの人身売買
の現状を解説した後、この悲劇に対処するため、国際機関、地域機関、NGO、各国
政府、労使団体等が行っている取り組みを紹介します。電子版は無料でダウンロード
できます。
人の心に耐え難い行為:子どもの人身売買をなくすための行動----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/pdf/trafficking.pdf
◆◇「人口の高齢化:活用されていない人的資源か単なる社会的負担か?
The greying population: A wasted human capital or just a social
liability?」◇◆
International Labour Review 2002/1-2収録論文
V. Spiezia著 英語 71-113pp., International Labour Review 2002/1-2
International Labour Reviewは定期刊行物(年4回発行)です。1冊3,000円
・年間購読料9,900円・2年間購読料18,000円・電子版年間購読料40米ドル
2000年に平均14.3%だったOECD諸国の65歳以上高齢者人口比率は、出生率の低
下と平均寿命の上昇により、2040年には25.7%になると予想されています。日本は17
%(2000年)から30.7%(2040年)へと、最も上昇が急速な国の一つに数えられてい
ます。OECD諸国における高齢化の労働市場に対する影響と各国の高齢化対策を吟
味した本論文は、各種データやシミュレーションを用い、労働市場と高齢化に関する
従来の推論を打ち砕くような証拠を幾つか提示し、次のように結論づけています。◇
高齢労働力の増加は若者の雇用機会を奪うものではない。◇高齢化が貯蓄高にマイナ
スの影響を与えたり、高齢労働者が若年労働者よりも系統的に生産性が低いことを示
す明確な証拠はない。◇シミュレーション結果は、年金や医療制度の財政的持続性を
確保するために長く働いたり、高齢者の労働力率を引き上げる必要性を支持しない。
◇若者を訓練した方が見返りが大きいとして高齢労働者に対する訓練を控える傾向は
問題である。
International Labour Review 2002/1-2号概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/sommaire/141-1-2.htm
書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
東京支局資料室新着図書一覧(9月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm
□■□■□■ I L O ウ ェ ブ サ イ ト 案 内 □■□■□■□■□
ILOのウェブサイトに含まれるページ情報を随時紹介していきます。
◆◇ILOLEX◇◆
ILOの条約・勧告の原文、条約別・国別批准情報、条約勧告適用専門家委員会や
結社の自由委員会といった適用監視機構のコメント、憲章に基づく申立、条文解釈、
総合調査、国際労働基準関連手続きガイドなど国際労働基準に関わるあらゆる情報を
掲載したデータベース(英・仏・西)。特定条約の最新批准状況、ある国の基準適用
状況、結社の自由委員会で取り上げられている案件など、条約・勧告に関わる情報を
お求めの際にご利用下さい。
ILOLEX(英語)----->
http://www.ilo.org/ilolex/english/index.htm
□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
第6回は、今年の総会で一般討議が行われたインフォーマル経済(informal economy)
です。
◆◇インフォーマル経済(informal economy)◇◆
ちょうど30年前、ILOが派遣したアフリカの雇用事情調査団は、公的機関の認知、
記録、保護、規制を受けていない貧しい労働者の活動を表す言葉として、1971年に英
国の経済学者キース・ハートが作り上げたインフォーマル・セクターという用語を初
めて用いました。しかし、最近、インフォーマルな経済活動は一つのセクター(部門)
に限定できる現象ではないということが指摘されるようになり、インフォーマル・セ
クターという用語に代わり、法規制の枠組みで保護、あるいは認知されていない多様
な労働者や事業体をひっくるめて指すものとしてインフォーマル経済という用語が用
いられるようになりました。
インフォーマル経済は、未登記で法人化されていないインフォーマルな零細事業の
事業主とそこで働く労働者のほか、安定した雇用契約がなく、各種福利厚生、社会保
障の適用対象とならないインフォーマルな就業者で構成されます。露天商、靴磨き、
自転車修理工、自宅で作った服やお菓子を売る女性たち、日雇い建設労働者、自宅で
データ入力作業を行う人々やアルバイトのヘルパーなど、活動内容・形態はさまざま
です。法に触れる商品やサービスの提供という犯罪的な活動と混同されることもあり
ますが、インフォーマル経済では生産形態や雇用形態に違法性が見られる場合はあっ
ても提供される商品やサービスは合法的なものです。
当初、インフォーマル経済は経済発展の過程で発生する一時的な現象と考えられて
いましたが、経済のグローバル化と情報通信技術(ICT)の普及に伴う生産及び雇
用関係のインフォーマル化と柔軟化は生産の分散、非典型労働の増大をもたらし、そ
の規模は現在、ますます膨らみ続けています。農業以外の国内総生産(GDP)への
インフォーマルな事業体の寄与率はアジア、サハラ以南アフリカでは平均41%に達す
るとする推計もあります。認知されていない以上、インフォーマル経済そのものを捕
捉した統計はありませんが、途上国では、農業以外の就業人口の半分から4分の3が
インフォーマルな就業者であり、欧州諸国では就業人口の30%が非典型労働(自営、
パート労働、臨時労働)に従事しています。日本でも総就業者の4分の1がいわゆる
パートタイマーです。非典型労働に従事する人々が誰でもインフォーマルな就業形態
にあるわけではありませんが、大半が雇用関連の保護や給付を受けていません。イン
フォーマル経済で働く人々は自ら選んだというよりは、収入を得る手段としてそれ以
外の選択肢がなかった場合がほとんどです。女性が多く、児童労働も見られます。職
種や労働形態は多様ですが、保護されず、弱い立場の就業者という点が共通していま
す。
ILOが初めてこの問題を世界規模の会議で取り上げたのは、1991年の総会です。
総会では、包括的で多面的な戦略を用いて、インフォーマル・セクターの現象そのも
のに留まらず、基礎となる原因にまで踏み込んで、促進か規制かといったジレンマに
取り組むべきとの意見が強く打ち出されました。その後、インフォーマル・セクター
の現状把握の前提として統計の整備が試みられ、1993年に開かれた国際労働統計家会
議でインフォーマル・セクターの統計上の定義が定められました。ここでは、イン
フォーマル・セクターを家族企業の一部に位置づけ、零細企業や一人親方型の事業な
ど一定規模以下の法人化されていない、または非登記の事業体と定義されました。
今年の総会では、インフォーマル経済における仕事が、権利、十分な収入、社会保
護、社会対話といったディーセントな仕事であるための条件を欠くことを問題視し、
インフォーマル経済で働く人々の公式経済への移行を促進し、ディーセントな仕事を
広めていく方法について話し合いが行われました。採択された決議は、この問題に対
する今後のILOの取り組みの指針となります。ILOでは、事務局内に特別の担当
部署を新設することをせず、組織全体を通してインフォーマル経済に取り組んでいく
予定です。国際労働基準とインフォーマル就業の関係を検討する研究、アフリカにお
ける雇用創出・企業育成計画やアジア太平洋地域の技能開発・雇用創出プロジェクト
などの対象層にインフォーマル経済の就業者を加えるなど、既に具体的なプロジェク
トの立案も始まっています。
2002年ILO総会:インフォーマル経済に関する討議資料、議事録、採択された決議
(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc90/index.htm
国際労働統計家会議で採択されたインフォーマル・セクターに関する決議(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/stat/res/infsec.htm
インフォーマル経済における技能開発(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/skills/informal/index.htm
ディーセント・ワークとインフォーマル経済ILOフォーラム:事務局担当者講演原
稿(英語)等----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/informal.htm
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