ILO駐日事務所メールマガジン【No.14】
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ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
2003年7月9日号 No.14
駐日事務所(日本語・英語) http://www.ilo.org よりJapaneseを選択
本 部(英語) http://www.ilo.org
◎お問い合わせはこちらまで tokyo@ilo.org
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:::::::::::<目 次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2003年7月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−ILO総会が終わって::::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−21世紀の組織労働懇談会 ほか:::::::
:《4》ILO新聞発表−第91回ILO総会 ほか:::::::::::::::
:《5》新刊紹介−グローバル化する世界における仕事と収入 ほか:::::::
:《6》ILO事務局ニュース−コミュニケーション局新ウェブサイト ほか:::
:《7》トピック解説−すべての人への社会保障適用世界キャンペーン::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(2003年7月1日現在)
◇加盟国数...176 ◇日本の批准条約数.........46
◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
◇勧告の数...194(うち撤回20) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71
□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■
★☆ILO総会が終わって☆★
今年は6月12日の「児童労働反対世界デー」に、東京でも日本のNGO6団体(A
CE、ECPAT/ストップ子ども買春の会、児童労働に反対するグローバルマーチ、
国際子ども権利センター、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン、ワールド・ビジョン・
ジャパン)の協力を得て、児童労働ユース・ワークショップを開催したため、私のジュ
ネーブ行きはILO総会最終週に限られ、全ての議題がほぼ収束に近づいた頃の到着
という、総会の臨場感が感じられないものとなってしまいました。日本のNGOの多
大なご協力の下、ILOとしても力を入れているこの世界デーのイベントが成功裡に
終わり、メディアにもかなり取り上げられたことは、極めて有意義で、時期的にジュ
ネーブと東京での成果の二兎を追うことは断念せざるを得ませんでした。
ご協力いただいたNGO団体の、若者を中心にしたアイデア、実行力、見事なパー
トナーシップは素晴らしいもので、日本の国際開発援助へのNGOの取り組みが力強
くなっていることを実感しました。
今年、総会は、一般的には順調に進んだとの印象ですが、例年のように今年も事務
局長が、事務局長報告「貧困から抜け出す手段」の議論では、女性がわずか33人しか
コメントしなかったことに落胆した旨述べると共に、全ての会合において、女性の参
加が少ないことを憂慮し、改善のために理事会と協議をする決意を示しました。来年
こそはもう少しジェンダー・バランスのとれた「声」を期待したいものです。
特に今年、ILOは「仕事における平等の時」というグローバル・レポートも発表
しましたが、「差別は、コミュニティでの貧困と社会的排除の悪循環を維持する」
(トロットマン労働側代表の発言から)ものであり、貧困層の70%を占めるといわれ
る女性たちにとって、平等の達成は、生活の改善に直結していることを指摘したいと
思います。
□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇ILO児童労働問題勉強会(東京・7月11日)◇◆
来る7月11日(金)午後2時〜4時、UNハウス(渋谷区神宮前5-53-70、渋谷駅・
地下鉄表参道駅下車約5分)12階の「学長会議室」にて、ILO本部の野口好恵職員
(児童労働撤廃国際計画上級法律専門家)が「児童労働問題に対する民間部門のイニ
シアティブ」と題する講演を行います。児童労働問題に関心のある方、活動していらっ
しゃる方々のご参加をお待ちしています。参加ご希望の方は、FAXまたはEメール
で、会議名・氏名・連絡先(電話、Eメールアドレス)を明記の上、ILO駐日事務
所(FAX:03-5467-2700、Eメール:omachi@ilotokyo.jp)宛お申し込みください。
◆◇「21世紀の組織労働」編著者来日懇談会(東京・7月16日)◇◆
近年、組合の組織率は多くの国で低下を続け、日本でも推定組織率は2002年に20.2%
となっています。社会・経済が大きく変化する時代において、労働組合は今後どのよ
うな役割を果たしていけばいいのでしょうか。ILO国際労働問題研究所が2002年に
出版した「21世紀の組織労働(Organized Labour in the 21st Century)」は、各
国ケーススタディを通じて、グローバル化に対応する労働組合の経験を吟味し、21世
紀に向けて、実効性のある政策と労働運動のための戦略の形成について考察を提供し
ています。
この度、7月16日(水)午後2時〜4時に国連大学裏手の国連大学高等研究所1階
セミナールームで、同書の編著者であるA.V.ジョゼ(ILO国際労働問題研究所教育・
アウトリーチコーディネータ)来日の機会をとらえ、世界の労働組合の動向を踏まえ、
今後の組織労働のあり方について講演を聞き、意見交換する場を設けました。参加費
は無料です。
上記イベントの詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm#jose
Organized Labour in the 21st Century(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inst/download/orglabour.pdf
※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。お持ちでない方
は、こちらからダウンロードしてください。
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
◆◇若者雇用ネットワーク活動報告会(東京・7月25日)◇◆
若者の雇用は、日本を含め、世界的な問題になっています。アナン国連事務総長は
2000年の国連ミレニアム・サミットに提出した事務総長報告の中で、ILO及び世界
銀行と協力して、若者の雇用問題に取り組むネットワークを形成することを発表しま
した。ILOはネットワーク主導機関として、国連及び世界銀行と共に、この若者雇
用ネットワーク(YEN)の共同事務局を務めていますが、この度、ILO内におけ
るYENタスクチームのコーディネーターとして、若者の起業を中心にこの分野を長
く担当しているILO本部「小企業開発を通じた雇用創出国際重点計画」の上田隆文
職員が、若者の失業問題に関する世界的な現状、この問題に対するILOの取り組み、
YENの最新の動きなどについて報告する機会を設けることになりました。入場無料。
参加ご希望の方は、FAXまたはEメールで、会議名・住所・氏名・連絡先(電話、
Eメールアドレス)を明記の上、ILO駐日事務所(FAX:03-5467-2700、Eメール
:tokyo@ilo.org)宛お申し込みください。
◎日時:7月25日(金)14時〜16時
◎場所:UNハウス(国連大学本部ビル)5階第2会議室
YEN(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/partners/youth.htm
◆◇日本人を対象とする求人のお知らせ(第1次応募締切:8月3日)◇◆
ILOでは世界各地の事務所に勤務することができる開発経済、労働法、職業訓練、
労働行政、小規模企業開発、社会保障、労働条件、労働安全衛生分野の人材を募集し
ています。応募資格は、上記専門分野で英語、フランス語、スペイン語のいずれかで
業務遂行可能な方。第1次応募締切は2003年8月3日。応募方法、空席ポストの詳細
については下記ウェブサイトをご覧ください。なお、本件について、駐日事務所への
お問い合わせはご遠慮ください。
上記求人情報の詳細----->
http://www.ilo.org/japan
◆◇しごとと人権トークショー(東京・8月29日)◇◆
ILOでは、平成15年度人権啓発フェスティバル(主催:法務省、文部科学省、全
国人権擁護委員連合会、人権教育啓発推進センター)の行事として、人権教育啓発推
進センターとの共催により、「しごとと人権:ディーセント・ワークを考える」と題
するトークショーを開催することとなりました。
◎日時:8月29日(金)18:00〜19:30(受付開始17:30)、入場無料
◎場所:東京都庁(新宿)ふれあいホール(議会棟1階、都民ホール)
◎ゲスト・スピーカー:玄田有史(東京大学社会科学研究所助教授)
◎コーディネーター:堀内光子(ILO駐日代表・ジェンダー特別アドバイザー)
ご存知のとおり、玄田先生は、一昨年刊行された著書「仕事のなかの曖昧な不安」
(中央公論新社)で一躍注目を浴びた新進気鋭の労働経済学者で、特に日本社会で増
えている若者の雇用・失業問題に鋭い考察を加えていらっしゃいます。人々が平等の
機会と待遇を得て、能力を十分に発揮する社会のあり方を考えるトークショーに是非
ご参加ください。
参加ご希望の方は、FAXまたはEメールで、郵便番号・住所・氏名・連絡先(電
話、FAX、Eメールアドレス)を明記の上、8月18日(月)までに、ILOトーク
ショー係(FAX:03-3503-3161、Eメール:event@jinken.or.jp)宛お申し込みくだ
さい。先着250名様まで受け付けます。
ディーセント・ワークとは、働く人々の権利が尊重される「人間らしい仕事」です。
ILOは、今年、働く人々の「平等」問題を取り上げたグローバル・レポートを作成
しました。
★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm
□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
(2003年6月11日〜7月8日発表分)
◆◇2003年6月11日(水)発表ILO/03/30、6月11日(水)発表ILO/03/31◇◆
◆◇2003年6月12日(木)発表ILO/03/32、6月19日(木)発表ILO/03/35◇◆
★第91回ILO総会(ジュネーブ・6月3〜19日)
今年の総会の主な成果は以下の通りです。
□事務局長報告「貧困から抜け出す手段」
貧困問題をテーマに、仕事こそ貧困から抜け出すための最善の手段とする事務局長
報告をもとに、熱のこもった建設的な議論が行われました。貧困対策として提案され
た手段は、技能開発基金の設立、貧困減少に向けた世界的な動きの中でディーセント・
ワークを推進していくこと、貧困と闘うための調査研究、広報、サービス手段の改善
などです。
□船員の身分証明
テロ行為に対する効果的な安全保障手段を開発し、船員の移動の自由を確保するた
め、1958年の第108号条約を改正する新しい「船員の身分証明書改正条約(第185号)」
が採択されました。新条約は、指紋をもとにした生体認証テンプレートを用いた身分
証明書(ID)の様式、適切な発行手続き、データベースの維持などについて規定し
ます。条約に関連する決議で、ILO事務局長は、「特に国際民間航空機関(ICA
O)と協力し、国際的に運用できる生体認証基準」の開発に向けた措置を緊急に講じ
るよう求められました。
□パレスチナの労働者
イスラエル占領地の労働者の状況に関する特別討議が行われ、さらなる技術協力の
必要性、いわゆる「ロードマップ(行程表)」提案が和平に向けた政治的努力を推進
することへの期待などが表明されました。ILOは既に、パレスチナ雇用・社会保護
基金設立のため140万ドルを拠出していますが、このイニシアチブを支持する声が多く
聞かれました。
討議資料となったILO事務局長報告「The situation of workers of the
occupied Arab Territories(イスラエル占領地の労働者の状況)」は、占領地では
2002年6月から2003年5月の1年間で経済・社会危機がさらに深刻になり、失業率は
31〜38%に達し、2002年の1人当たり累積所得は1999年の半分以下に低下したとしま
す。イスラエル経済への影響も深刻で、2002年も前年に続き景気は後退し、国内総生
産(GDP)はマイナス成長を示し、イスラエル銀行の推計によれば2002年のインティ
ファーダ(パレスチナの住民蜂起)による経済コストはGDPの3〜3.8%に及びます。
報告書は、現状は容認できないとしながらも、今年に入ってから、国境封鎖のわず
かな緩和などにより、2000年9月のインティファーダ開始以前よりはるかに低水準な
がら経済・社会状況は安定してきたかもしれないとします。また、政治的展開や国際
社会によるロードマップ提案により、転換期を迎えている可能性を指摘し、パレスチ
ナ独立国家創設の必要不可欠な要素として労働制度構築の重要性を強調します。
□労働安全衛生
毎年、世界全体で約200万人の人々が、業務に関連した原因で命を失っています。労
働安全衛生に関する一般討議の結果、労働者の死傷事故や疾病の減少に向けた「焦点
を絞った統一的な」国際活動を求める労働安全衛生世界戦略に関する合意が達成され
ました。戦略は、予防重視の安全衛生文化を導入すること、政労使が世界戦略目標を
実現するのを支援するため、ILOは総合的な労働安全衛生「道具箱」を開発するこ
と、の二つを柱としています。
□(偽装された)雇用関係
雇用関係が偽装あるいは隠蔽されている結果、労働法によって保護されていない従
属労働者がいる現状に鑑み、雇用関係の範囲について一般討議が行われ、このような
労働者の保護に向け、雇用関係に関する新しい勧告の策定提案を含む結論が採択され
ました。
□基準適用
基準適用委員会では、条約適用上の問題が指摘されている25カ国について審査が行
われました。ミャンマーについては強制労働問題で特別討議が行われましたが、この
ほかに、ベラルーシ、カメルーン、ミャンマーの結社の自由と団結権の保護、リビア
の社会保障の均等待遇、モーリタニアの強制労働、ジンバブエの団結権と団体交渉権
に関わる条約適用状況について、特に深刻な問題が指摘されました。総合調査が行わ
れた賃金保護の条約・勧告については、賃金不払いや破産時の労働者賃金債権の優先
的取り扱いの廃止が幾つかの国で見られる現状に鑑み、この条約・勧告が依然として
現実に妥当性をもつことが確認されました。
□人材開発
1975年に採択された人的資源開発勧告(第150号)に代わり、グローバル化の過程で
登場してきた新たな学習・訓練形態を反映した新しい国際基準を来年採択することを
めざして行われた第一次討議の結果、新しい勧告の素案として、人材開発は生涯学習
と雇用可能性を推進するために必要な対応の重要な要素であることを認識し、教育、
訓練、生涯学習に向けた政府、民間部門、個人の新たなコミットメントと政労使の関
与を求める結論が採択されました。
□予算、差別撤廃、特別ゲスト演説
5億2,959万ドルの2004/05年度事業計画・予算案が採択されました。
また、雇用及び職業における差別の排除に関するグローバル・レポートの討議が行
われ、差別と戦う土台としての法整備の重要性、職場における平等が地域社会、企業、
その他の部門にとって重要であることが強調され、差別と貧困のつながりが指摘され
ました。
今年の議長はケニアのマイケル・クリストファー・ワマウワ副大統領兼労働大臣、
副議長は、使用者側がオーストラリアのブライアン・ノークス氏、労働者側がポーラ
ンドのトマシュ・ヴォイチク氏、政府側がヨルダンのムザヒム・アル・ムハイシン労
働大臣でした。
さらに、特別ゲストとして南アフリカのムベキ大統領とヨルダンのアブドッラー二
世国王が演説を行いました。6月11日に演説したムベキ大統領は、世界から貧困を撲
滅する目的を達成するのに必要な資金は、世界経済及び社会の中に存在しているにも
かかわらず、それがこの重要な目標達成になぜ充てられないのかと問いかけ、貧困に
対する戦いはグローバルな共同行動を必要とすると主張しました。6月12日に演説し
たアブドッラー二世国王は、貧困の克服にはすべての人々が尊厳をもって暮らせるよ
うな社会経済の持続的な発展が必要とし、そのような発展はアラブ・イスラエル紛争
及びパレスチナ問題の正しい解決策であると同時に、過激派に対する戦いにおける重
要な手段であると唱え、重要な岐路に立っている中東の再建と安定化に向け、国際社
会の共同努力を呼びかけました。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/30.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/31.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/32.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/35.htm
第91回ILO総会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc91/index.htm
イスラエル占領地の労働者の状況に関する事務局長報告(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc91/pdf/rep-i-a-ax.pdf
ムベキ南アフリカ大統領演説(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/31_1.htm
アブドッラー二世ヨルダン国王演説(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/download/jordanking.pdf
◆◇2003年6月12日(木)発表ILO/03/33◇◆
★児童労働反対世界デー(6月12日)
今年の児童労働反対世界デーは、子どもの人身売買(トラフィッキング)をテーマ
に、各地でさまざまな行事が行われました。ジュネーブのILO本部で開かれた催し
で基調講演を行ったヨルダンのラニア王妃は、現代の奴隷制とも言うべきこの問題に
世界が団結して取り組むよう訴えました。対策の第1として、それが人間の貧困から
発生するとの事実が認識される必要があるとした上で、王妃は、あらゆるレベルにお
けるより良い教育、法の執行に向けたより良い訓練、被害を受けた子どもたちが自宅
に戻ってきた際のより良いリハビリ、各国政府による決然とした予防、保護、犯罪者
起訴の確保、国際的な共同努力への合意の必要性を唱えました。
日本では、児童労働の分野で活動するNGOの協力を得て、6月2〜13日に「児童
労働にレッドカード」と題する写真展がUNギャラリー(東京都渋谷区)で開催され
ました。約50点の写真、ポスター、子どもの絵などが展示され、2週間の開催期間に
およそ600名が訪れました。児童労働反対世界デー当日には、児童労働と人身売買の問
題を考えるユース・ワークショップが開催され、約150人の15〜25歳のユースが参加し
ました。参加者たちは、プロの劇団員による人身売買をテーマとする劇を観た後、グ
ループディスカッションを通して問題への理解を深め、解決に向けた取り組みについ
ても話し合いました。ワークショップの概要は、近日中にILO駐日事務所のウェブ
サイトに写真とともに掲載する予定です。
ILOでは、毎年約120万人の子どもたちが人身売買の被害にあっていると推計して
います。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/33.htm
児童労働反対世界デー(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/event/cl2003/index.htm
子どもの人身売買の概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/pdf/trafficking-short.pdf
◆◇2003年6月18日(水)発表ILO/03/34◇◆
★すべての人への社会保障適用ILO世界キャンペーン開始
2001年のILO総会では、働く人々、特にインフォーマル経済で働く人々に社会保
障の適用を広げ、社会保障が経済・社会開発において果たす役割について世界的に認
識を高めていくことが合意されています。これに基づき、ILOは6月18日から「す
べての人への社会保障適用世界キャンペーン」を開始しました。ILO社会保障政策
開発部が中心になって進められるこのキャンペーンは、実験的過程と社会対話を通じ
て、各国が社会保障制度を開発し、拡張していくのを支援していきます。当面は、(1)
社会対話を通じた社会保障の拡大、(2)小規模保険の活用を含む地域社会ベースの制
度の強化、(3)社会的排除の克服に向けたプロジェクト、(4)保健医療の適用範囲拡
大に向けたプロジェクト、(5)先進国と途上国を結びつける世界社会基金を通じた社
会保障適用拡大プロジェクトの五つの活動を集中的に行います。
現在、社会保障の十分な保護を受けているのは世界人口の2割にすぎず、半数以上
が全く保護されていません。先進国では人口のほぼ100%、中所得国でも2〜6割は社
会保障が適用されていますが、後発開発途上国では労働人口の1割にも達しません。
社会保障の拡大については、世界全体に通用する方法というものはなく、それぞれの
国にあった解決策が求められます。社会保障の適用拡大に成功した国としては、1977
年には2割であった保健医療の適用範囲を1989年には100%にまで引き上げた韓国、
社会保険と公衆衛生サービスの無料利用を組み合わせて保健医療の適用範囲を全国民
に広げたコスタリカ、税を財源とする社会年金の拡大によって数百万の世帯を貧困か
ら抜け出させたブラジルなどが挙げられます。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/34.htm
キャンペーン詳細(英語)----->
http://www.ilo.org/coverage4all
◆◇2003年6月20日(金)発表ILO/03/36◇◆
★第287回ILO理事会(ジュネーブ・6月20日)
第287回理事会は、2003/04年の理事会議長として、2002年より副議長を務めてい
た韓国のエイ・ヨンチュン大使を選出しました。労働者側副議長は、労働者側スポー
クスパーソンのルロイ・トロットマン・バルバドス労働者連合書記長が新たに選出さ
れ、使用者側副議長は、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会
政策局長が再選されました。
理事会の結社の自由委員会は、結社の自由の侵害に関する28件の案件を審議しまし
た。労働組合選挙への政府干渉に関する申し立ての独立調査などを求める同委員会の
度重なる勧告を実施しようとしないベラルーシと、国内の暴力的な状況が治まらず、
労働組合員の殺害、脅迫、誘拐などが続いているコロンビアの案件に特に注意が喚起
されました。コロンビアについては、憲章に基づく審査委員会設置要求が投票で否決
されました。ベラルーシについては、今年11月の理事会で審査委員会設置の有無が決
定されることになっています。
公務員制度改革に関連して提起されている日本の案件も昨年11月に引き続き審議さ
れ、公務員の労働基本権制約の再検討など、前回と同様の勧告が出されました。結社
の自由に関わる重要な問題が協議過程で十分に取り上げられていないことを想起した
上で、委員会は政府に対し、公務員の労使関係制度を改正する法の提出などを求めま
した。現在フォローアップ段階にある国労組合員のJR不採用事件に関しては、建交
労鉄道本部と日本政府の双方から四党合意破棄などの追加情報が寄せられたことにつ
いて、委員会は問題が結社の自由原則から見て非常に深刻であることを強調し、既に
死亡したり、退職年齢に達した労働者もいるという事件の古さに鑑み、できるだけ多
くの労働者が受け入れられるような公平な解決策を探す努力を追求するよう政府及び
関係当事者に呼びかけました。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/36.htm
第287回ILO理事会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/gb/docs/gb287/index.htm
◆◇2003年7月3日(木)発表ILO/03/37◇◆
★若者雇用ハイレベル会合(ジュネーブ・6月30日〜7月1日)
2000年の国連ミレニアム・サミットにおけるアナン国連事務総長の提案をもとに、
国連、ILO及び世界銀行は若者の雇用問題に取り組むネットワーク(YEN)を形
成しています。去る6月30日〜7月1日にジュネーブのILO本部で、このネットワー
クの若者雇用ハイレベルパネルが会合を開催しました。若者リーダーなどから構成さ
れるパネルは、世界の若者(15〜26歳)の雇用可能性、機会平等、企業家精神、雇用
創出を推進することによって、若者にまともで生産的な仕事を見つける真の機会を提
供する戦略の開発と実施を任務とします。
アナン国連事務総長も出席した今回の会合では、政策を国家レベルの活動に転化す
るためのロードマップ(行程表)の策定に向けた話し合いが行われました。ロードマッ
プでは、YENが今後取るべき五つの段階として、2003年のパネル提言の承認、策定
された戦略の国家活動計画への転換、若者の雇用のための資金動員、学校と仕事の架
け橋の構築、若者組織が国家活動計画の設計と実施に積極的な役割を果たすことの奨
励が提案されています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/37.htm
若者雇用ネットワーク−YEN(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/partners/youth.htm
◆◇2003年7月7日(火)発表ILO/03/38◇◆
★ソマビアILO事務局長、アフリカ連合理事会出席(マプート・7月6〜8日)
7月10〜12日にモザンビークで開かれる第2回アフリカ連合サミットに先立ち開か
れた理事会に出席したソマビアILO事務局長は、7月8日に演説を行い、貧しい人々
にディーセント・ワークの機会を与える新たな手段が開発されない限り、2015年まで
に世界の貧困人口を削減しようとのミレニアム開発目標はアフリカの多くの国で達成
できないであろうと訴えました。事務局長は、今年のILO総会に提出した事務局長
報告「貧困から抜け出す手段」の内容を紹介し、貧困を解消する最善の手段は仕事で
あり、政府、使用者、労働者から構成されるILOの独特の構造は、協調的な貧困対
策を取るために有用と主張しました。
サハラ以南アフリカでは弱い経済成長の結果、90年代に5億人近くであった貧困人
口が25%を超える急増を示しています。この地域では5〜11歳の子どもの29%が働い
ており、社会保障にカバーされている人の割合は労働者人口の1割と推定されます。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/38.htm
★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm
□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「グローバル化する世界における仕事と収入
Jobs and incomes in a globalizing world」◇◆
Ajit K. Ghose著 英語 2003年刊 130pp. 3,000円
グローバル化は先進国と開発途上国間の雇用、賃金、収入の格差を拡大するのでは
ないかと広く懸念されています。本書は、グローバル化の核をなす製造業者の南北双
方向貿易の影響による製造業の雇用、賃金、収入を分析することによって、この懸念
の根拠を探ります。最初に、グローバル化とは何かを概説した後、国際的な所得格差
の最近の動向、日本を含む幾つかの国における製造業の雇用と賃金に対する貿易の影
響、国際労働力移動、グローバル化が労働基準を低下させると信じるに足る理由があ
るかどうかをそれぞれ分析します。
製造業に関しての分析の結果は、グローバル化に関する一般的な懸念を実証できま
せんでした。国際的な所得格差は実際には縮小しつつあり、南北間の労働力移動は減
少し、途上国の多くで雇用機会が拡大し、賃金が上昇しつつあることが示されます。
経済統合の中で労働基準が低下しつつある証拠、先進国の低技能労働力が労働市場で
不利なのはグローバル化のせいであることを示す証拠も見つからないと著者は記して
います。一方で本書は、今まであまり注意が向けられてこなかった深刻な問題、例え
ば、圧倒的に一次製品の輸出に依存している最貧国の世界経済における疎外が進んで
いること、貧しい国から裕福な国へと向かう頭脳流出が増えていること、経済統合を
目的として追求する途上国は高い対価を払う可能性があること、産業構造転換に合わ
せた人的資源開発のための適切な労働市場政策が講じられてこなかったこと、グロー
バル化は世界経済の成長を刺激できなかったことといった問題を明らかにします。グ
ローバル化の潜在的な利益を実現し、全ての国家と国民がそれを共有できるために、
国際社会が取り組まなくてはならない難しい課題をこの貴重な書は明らかにしていま
す。
◆◇「国際労働評論2002年4号
International labour review 2002/4」◇◆
英語 305-458pp. 定期刊行物(年4回刊行) 1冊3,000円
年間購読料9,900円/2年間購読料18,000円/電子版年間購読料40米ドル
急速なグローバル化、技術変化、労働市場の柔軟性の増大、仕事のインフォーマル
化は、全世界的に人々の社会的・経済的安定に影響を与えています。この過程から生
じる様々な形態の不安定性を把握しようとの試みは見られますが、個々人が仕事と生
活上の不安定性をどのように知覚しているかにについてはほとんど知られていません。
このギャップを埋めるため、ILOの社会的・経済的安定性国際重点計画(IFP/
SES)は2000年に「人々の安定性調査」という特別な家計調査を開始し、アジア、
アフリカ、中南米、東欧13カ国の個人を対象としたサンプル調査を行い、直接データ
を収集しました。
本号は、社会的・経済的安定性特別号として、調査に携わったILO職員、研究者
が研究の成果を発表します。最初の論文で、用いられた方式と概念の概要を紹介した
後、得られたデータを用いて、仕事、訓練、所得分配、労働組合などに対する人々の
考え方を分析します。最後の論文で、IFP/SES部長が、人々の安定性調査から
ディーセント・ワーク指標を導き出す試みを行います。人々の安定性調査は、収入、
労働市場、技能など八つの項目の安定性・不安定性を現実のレベル、知覚レベル、対
処戦略、社会のルールと正義に関する規範的価値の四つの視点から検討したものです
が、部長はこのうち六つの指標(収入、技能形成、職務の安定、業務上の安全、雇用
安定、集団的発言機会)を結合し、ミクロレベルのディーセント・ワーク指標を構築
しています。
International labour review 2002/4概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/sommaire/141-4.htm
書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2003年5月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm
□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
(ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇ドイツ事務所◇◆
★広報誌最新号
ドイツ語によるILOニュース。仕事における平等を特集
ILO-Nachrichten 2003年1号(独語)----->
http://www.ilo.org/public/german/region/eurpro/bonn/download/ilo-nl103.pdf
◆◇コミュニケーション局◇◆
★ウェブサイト刷新
デザインを一新し、新聞発表、テーマ別解説資料、広報誌、イベント案内、ILO
を扱ったテレビ・ラジオ番組抜粋、フォトギャラリーなど、広報素材が充実
コミュニケーション局(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/index.htm
◆◇イタリア・サンマリノ事務所◇◆
★広報誌最新号
ILOの最新の動き、イタリアにおけるILO関連ニュースをイタリア語で紹介
ILO Roma Newsletter 2003年6月号(イタリア語)----->
http://www.ilo.org/public/italian/region/eurpro/rome/newsletr/romenews_0306/index.htm
◆◇社会対話総局◇◆
★カンボジア衣料産業労働条件第5次・第6次総合報告書
1999年にカンボジア・米国間で締結された繊維・被服貿易協定に基づき、ILOが
両国より要請されて実施している調査報告書の最新号
カンボジア衣料産業労働条件総合報告書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/ifpdial/publ/cambodia6.htm
◆◇危機対応・再建国際重点計画◇◆
★ILOのアフガニスタン復興計画
労働基盤型インフラ構造開発を通じた雇用創出、職業訓練・技能開発、職業紹介・
労働市場開発、女性の労働市場復帰、地域経済開発と自立の5分野において、ILO
が2002年以降アフガニスタンで実施している復興・再建支援計画の概要
ILOのアフガニスタン復興計画概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/recon/crisis/download/kabul.pdf
◆◇出版局◇◆
★ILOの論文集「International Labour Review」最新号:2003年第1号(有料・
季刊)
[目次]◇ディーセント・ワークと競争力−欧州連合加盟の労働的側面◇国際的な視
野から見た看護師協会・組合の直面する課題◇強制労働が貿易と投資に与える影響に
関する経験的評価◇ILOの強制労働撲滅特別行動計画
International Labour Review2003年第1号概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/sommaire/142-1.htm
★ILOWhat's Newページ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/new/index.htm
□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
第14回は、ILOが開始した「すべての人への社会保障適用世界キャンペーン
(Global Campaign on Social Security for All)」です。
◆◇すべての人への社会保障適用世界キャンペーン
(Global Campaign on Social Security for All)◇◆
★キャンペーン誕生の経緯
今、世界には、収入が1日1ドル未満の極度の貧困状態にある人々が、13億人いま
す。このうち高齢者は約1億人、家族にエイズ患者がいる人も1億5,000万人に達する
と推計されます。現在、社会保障による保護を享受しているのは、全世界人口のわず
か2割にすぎません。
国際社会はミレニアム開発目標として、2015年までに極度の貧困人口の半減を目標
としています。つまり、あと12年以内に6億5,000万人を貧困から救い出さなくてはな
りません。
2001年の第89回ILO総会では、社会保障に関する一般討議が行われ、ILOは社
会保障の適用範囲の拡大を推進する大規模なキャンペーンを開始するよう求められま
した。これに応え、今年6月18日にILOは、「すべての人への社会保障適用世界キャ
ンペーン」を開始しました。
★キャンペーンの内容
ILO事務局の社会保障政策開発部が中心になって進めるこのキャンペーンの当面
の活動は次の五つを核とします。
◎社会対話を通じた社会保障の拡大
オランダ政府の資金協力を受け、当面、ホンジュラス、マリ、スリランカの3カ国
で進められるこの事業は、政府と労使団体、市民団体、社会保障機関の話し合いを通
じ、労働者の社会保障上のニーズを確定し、これらの労働者をカバーする法定社会保
障制度及び地域社会を基盤とした社会保障制度の効果を評価し、社会保障の拡大に向
けた社会保障改革計画を開発します。
◎排除された人々への社会保障の拡大
ポルトガル政府の資金協力を受け、ポルトガル語を母語とするアフリカ5カ国(ア
ンゴラ、カーボベルデ、ギニアビサウ、モザンビーク、サントメプリンシペ)を対象
とするこの事業は、既存の社会保障制度の対象である俸給労働者の数の増大、そして
非俸給労働者を対象とした特別の法定社会保障制度の形成を目指します。さらに、イ
ンフォーマル経済の排除されている人々を特に対象とした、地域社会及び職業を基盤
とした社会保障制度の開発により、適用対象の拡大を目指します。
◎地域基盤社会保障制度の強化
多くの途上国で、保健医療に関するものを中心に、排除されている人々の優先的な
ニーズに応えるため、地域基盤の社会保障制度が生まれてきています。インフォーマ
ル経済の、排除されてきた貧困層、そしてニーズにあった社会保障適用が得られてい
ないフォーマル経済の低収入労働者を対象としたこの事業は、このような地域基盤の
社会保障に関する理解を深め、それを支援し、制度が成長できる方法を工夫し、より
広範囲にわたる、統合された全国的制度の一部となる潜在力の開発を目指します。
ILOの社会的排除・貧困対策戦略手段計画(STEP)は、既にアフリカ、アジ
ア、ラテンアメリカ、カリブの38カ国で35の技術協力事業を実施し、技術支援の直接
的な受益者は100以上の地域社会保障の対象層約40万人に達しています。STEPは今
年から、保健医療の利用率向上に向けた潜在力と経験に関するさらなる知識を得るた
め、今ある地域基盤社会保障制度の世界的な調査を行い、この情報を基礎にさらなる
技術支援活動を展開し、各種の制度とその他の利益集団間のコミュニケーション網の
開発を奨励します。さらに、社会保障機関、専門省庁、政策策定に携わる人々、保健
医療機関、地域及び全国的支援団体、ドナー社会といったあらゆる関係当事者間のよ
り良い連携を推進すると同時に、財政管理及びリスク管理の分野における社会保障制
度の専門能力強化に焦点を当てた活動を行います。
◎保健医療対象範囲の拡大
汎米保健機構(PAHO)との協力で進められるこの事業は、1億4,000万人余りの
人々が保健医療サービスの枠外にあるラテンアメリカ及びカリブ諸国で適用率の低下
をくいとめ、最終的には全ての人に保健医療が適用されるよう、各国を支援していき
ます。事業参加国はまず、保健医療の適用範囲をどのように拡大していくかに関する
国家活動計画を立案し、その後、計画を実行していくことになります。
◎世界社会基金パイロット・プロジェクトの実施
前述の2001年の総会ではさらに、社会保障の適用拡大、そして社会保障の統治、財
源、運営管理の向上におけるILOの使命が再確認されました。この勧告に沿って、
ILO事務局社会保護総局では、国際融資を通じて国の社会保障制度の開発を支援す
る可能性を分析しました。2002年5月には、この構想を検討するため、専門家による
国際会議が開かれ、革新的な手段として、構想はさらなる検討に値するとの結論が採
択されました。2002年の第90回ILO総会では、インフォーマル経済に関する一般討
議が行われ、その結論の中で、ILOは革新的な構想の開発を通じて、インフォーマ
ル経済で働く人々などに社会保障を拡大していく活動に力を入れていくよう求められ
ましたが、その一例として世界社会基金が挙げられています。
このような流れを受けて、2002年11月の第285回ILO理事会で、この構想を試す
パイロット・プロジェクトを開始することが認められました。
世界社会基金構想の基本は、革新的な国際的資金調達方法を用いて、最も貧しい途
上国に基礎的な社会保護メカニズムを開発するというものです。
税による資金調達には限界があることに留意し、ILOではこの提案を個人の任意
による、世界的な社会責任に基礎をおくことに決定しました。具体的に言うと、裕福
な先進国の国民から少額の定期的な寄付(例えば、月額500円とか月収の約0.2%程度)
を受けて基金を設置し、この資金を途上国の基礎的な社会保護制度の設立に向けて投
資し、この基礎的な社会保護制度が自立できるまで設立当初の一定期間、給付を負担
するというものです。基礎的社会保護の内容は、原則として、基礎的所得保障、教育・
保健医療給付を含むものとします。ドイツで行われた調査によると、成人の25%もが
定期的な寄付に賛同していることが示されました。
世界社会基金は一つの基金ではなく、各国加盟組織(国家社会基金)の分権化され
たネットワークから成立します。国家社会基金は国内キャンペーンを実施し、寄付を
募り、基金を運営し、その使途を決定し、融資事業を監査します。ILOはこの国家
社会基金を世界的に支援する技術事務局を提供します。事務局は国別事業を確定し、
その準備を行い、実行しますが、この活動は国際的な構成の役員会が監督し、国際総
会が管理します。
最初のプロジェクトは、ルクセンブルク(援助国)とナミビア(受益国)の間で開
始されることが正式に決まりました。ルクセンブルクでは寄付を集めるNGOの設置
に向けて動き始めました。ナミビアには既に全国規模の所得補助制度がありますが、
プロジェクトはこれを補足する家族収入維持補助金として、親または配偶者が死亡し
たか、労働不能となった家族に基礎現金給付を提供します。これによって貧困集団の
中心部分に到達し、HIV/エイズの影響を受けた家族がこうむる所得の減少に取り
組むことをねらいます。ILOでは、ルクセンブルクの善意の寄付によって、5年間
で4,000人の給付が賄えると試算しています。
パイロット・プロジェクトの進展状況は理事会に年次報告として提出されるほか、
2005年末までに理事会で詳しく評価され、2006年3月の理事会でプロジェクト継続の
有無が決定されます。
すべての人への社会保障適用世界キャンペーン(英語)----->
http://www.ilo.org/coverage4all
社会保障政策開発部(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/socsec/pol/index.htm
社会保障財務数理統計部:世界社会基金構想(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/socfas/index.htm
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