ILO駐日事務所メールマガジン【No.18】
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ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
2003年11月6日号 No.18
駐日事務所(日本語・英語) http://www.ilo.org よりJapaneseを選択
本 部(英語) http://www.ilo.org
◎お問い合わせはこちらまで tokyo@ilo.org
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:::::::::::<目 次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2003年11月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−国連デーに寄せて::::::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−東大/ILO社会政策シンポジウム:::::
:《4》ILO新聞発表−化学産業会議 ほか:::::::::::::::::
:《5》新刊紹介−仕事、雇用、社会保護の未来 ほか:::::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−仕事の世界オンライン教材 ほか::::::::
:《7》トピック解説−国際労働問題研究所::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(2003年11月1日現在)
◇加盟国数...177 ◇日本の批准条約数.........46
◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......40
◇勧告の数...194(うち撤回20) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71
□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■
★ ☆ 国連デーに寄せて ☆ ★
10月24日は、国連創立記念日です。東京で4か所目の国連機関との仕事に関わって
いる私として、この日は懐かしい過去を想い出させる日でもあります。国連との仕事
はかれこれ20年。私の仕事生活の多くを占めるのは、国連関係となりました。
約20年前のウィーン国連事務局時代。10月24日は、ウィーンらしく華やかな舞踏会
で飾られました。ドイツ語読みで「ウノ・シティ(国連シティ)」と呼ばれた大きな
建物のロタンダでの舞踏会から、国連創立40周年(1985年)以降は、美しいゴシック
建築の市庁舎の大広間へと移りました。元国連事務総長のワルトハイム氏が当時大統
領として出席されたのも歴史の一こまです。唯一私にとって残念なのは、舞踏会委員
会の委員というか雑用係をしなかったこと。もう1年国連に残っていれば、必ずやし
たはずです。
次は約10年前のニューヨーク。国連のフェンスの外側の日本政府代表部員として国
連を相手の仕事をしていました。10月24日は国連総会場での演奏会。メタ氏が指揮を
振ったこともありました。ちょうどニューヨークでは、1995年に創立50周年を祝った
のですが、ウィーンのような華やかな想い出はなく、やたらに忙しく(95年は世界女
性会議及び社会開発サミットが開催されました。もっとも50周年国連特別総会で、カ
ストロ氏が制限時間の7分でスピーチを終了したのに驚きましたが。)、やたらに
ニューヨークの街が混乱したという想い出のみが残っています。(これは、ローマ法
王が同年国連を訪問したことも加わっています。)
そして、前任地のバンコク。ILOに初めて就職しました。熱帯の暑さの中、マラ
ソン、市内行進、ストリート・フェアと屋外活動が多かったものです。ストリート・
フェアでは、各国際機関がポスターやリーフレット、出版物などを置いたブースを作
りました。優しい笑顔のスタッフが、ILOのポスターをものすごい速さで、見物に
来た人々に渡して、我がブースが空になった頃、協賛してくれたバンコクの手工芸品
のブースを回り、買い物に走りました。今でも私のクローゼットには、そこで買った
織物で作ったスーツが掛けてあります。
そして、今、東京。2001年から国連大学本部ビルがUNハウスとなり、2002年から
日本にある全国連機関が協力して、シンポジウムを中心にしたイベントを行っていま
す。今年は国連機関の若手職員による「国連に働く」というパネルを開催しました。
多くの大学生・大学院生が集まり、若い人々が自分の年齢に近い国連職員から直に彼
らの仕事の話を聞くことができたのは、とても良い機会ではなかったかと思います。
冷戦時代の国連勤務経験者にとって「国連機能不全」論は目新しいことではありま
せんが、世界政府ではない今の国連も、世界各国の人々が一堂に集って議論する場を
提供しているという意味で、重要な機能を有しています。歴史も、経済の発展段階も、
政治形態も、文化も、民族も、さまざまな違いのある世界で、だからこそ解決を目指
した「対話」こそ重要と思うのです。第二次世界大戦後にできた多くの国連諸機関、
ILOのように第一次世界大戦後にできた古い国連機関も、いずれも変化する環境下
で「近代化」を迫られています。現代の問題に答えるべく、人々の「声」は届いてい
るのか?「人々を包み込む社会(inclusive society)」へ向けての国連機関の果た
す役割を含めての課題は、10月24日に集った若い世代にも引き継ぐべきと思うのは、
いささか我々世代の責任不十分かと思ったりもする昨今です。
□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇東京大学/ILO社会政策レクチャー(東京・12月1〜3日)◇◆
東京大学の協力を得て、ILOの社会政策レクチャーが初めて日本で開催されます。
今回で6回目を迎えるこのレクチャーは、1969年にILOが受賞したノーベル平和賞
の基金利息を用いて、◇国際社会政策及びILOの事業への学生、大学院生の関心の
喚起、◇主要大学におけるILOの関心領域に関する学術研究の奨励、◇学界と政策
関係者及び企業、労働者間の対話の拡大を目的に、世界の主要大学と共催で、2年ご
とに開かれています。東京におけるレクチャー・シンポジウムは、「グローバル化と
仕事の未来」を総合テーマに、国際的に著名なロンドン大学のロナルド・ドーア教授
による講演のほか、日本及び世界の著名な学識者などが参加するパネル討議が開かれ
ます。入場無料。日英同時通訳付。
上記イベントの詳細・お申し込み----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm#nobel
★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm
□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
(2003年10月7〜31日発表分)
◆◇2003年10月15日(水)発表ILO/03/43◇◆
★船舶解体における安全衛生三者構成専門家会議(バンコク・10月7〜14日)
標記の会議では、世界で最も危険な職業の一つ、船舶解体業におけるより安全な労
働条件確保を目指し、世界初の指針「船舶解体における安全衛生ガイドライン」が採
択されました。会議には、世界の主要な船舶解体国であるバングラデシュ、中国、イ
ンド、パキスタン、トルコの、政府、労働者、使用者各側の専門家のほか、国際金属
労組連盟(IMF)、国際海事機関(IMO)、有害廃棄物の国境を越える移動及び
その処分の規制に関するバーゼル条約の事務局、さらにカナダ、ドイツ、ノルウェー、
韓国、英国、米国からの参加がありました。
正確な数字は明らかではありませんが、老朽化した船舶による事故の発生や廃棄が
求められる船齢の引き下げなどによって、解体またはリサイクルに回される船舶数は
近年急増しています。解体を要する船舶は、賃金が安く、労働・環境面の規制が少な
い途上国に向かいます。その結果、1日1ドルほどで巨大な老朽船の解体を請け負っ
ている数万人の労働者の安全衛生を改善することが急務になりました。
ガイドラインは法的拘束力はありませんが、船舶解体業者及び関係当局を始め、船
舶解体作業における労働安全衛生に責任のある全ての人々が利用し得る実用的な勧告
を含んでいます。ILOの関連する条約・勧告や実施基準の適用、労働安全衛生に関
する社会対話の促進、国内法制の強化と労働安全衛生基準の執行、全国レベル及び企
業レベルの包括的な技術協力プロジェクトの実施により、船舶解体に関する責任ある
健全な国内枠組みの確立及び船舶解体における安全衛生の向上を支援しようとするも
のです。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/43.htm
ガイドライン案を含む船舶解体における安全衛生に関する情報(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/sectors/shipbrk/index.htm
◆◇2003年10月24日(金)発表ILO/03/44◇◆
★化学産業における柔軟な就労体制の最適慣行と労働生活の質への影響に関する三者
構成会議(ジュネーブ・10月27〜31日)
関心がある各国政府並びに化学産業の労働者代表及び使用者代表各20名が参加して
開かれた標記の会議には、会議テーマに沿って、同産業の概況を記した討議資料「Best
practices in work-flexibility schemes and their impact on the quality of
working life in the chemical industries(英文)」が提出されました。討議資料
は、この20年間で化学産業の就業者数は、1980年に240万人だったものが1995年に610
万人に増加した東アジアを除き、全体としては漸減しているとします。減少が特に著
しいのは中・東欧諸国で、例えば、アルバニアやブルガリアなどでは29〜50%の減少
が見られます。原因としては、合併・買収、生産性増、設備過剰、民営化、技術変化
などがあげられます。
欧州の化学産業は生産性を高め、より高利潤の特製品に生産を移行させることによっ
て、従業員1人当たりの生産性と労働コストはこの10年間で約1.5倍に増加させながら、
製品1単位当たりの労働コストを比較的安定させることに成功しています。高度な訓
練を要する化学産業労働者の賃金は、他の産業よりも高く保たれています。そして、
移行経済諸国を除き、多くの労働者の実質賃金が近年上昇しています。産業の懸念事
項の一つに労働者の高齢化があり、若い労働者への技術移転の困難を指摘している会
社もあります。日本では50歳を超える労働者の割合が、1984年には12.8%でしたが、
10年後の1994年には21.7%に増加しています。化学産業ではまた、継続的な交替勤務
体制が必須で、労働者の年間平均労働時間は2040.8時間になっています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/44.htm
会議概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmwfci03/index.htm
討議資料(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/tmwfci03/tmwfci-r.pdf
※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm
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I L O 関 連 記 事
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◆◇11月4日付朝日新聞朝刊くらし面「借金・暴力・脅しで拘束 売られる人々〜
外国人労働者のいま(上)」より抜粋転載◇◆
★人権にも目を向けて
・・・ILOの強制労働廃止プログラム統括責任者ロジャー・プラントさん
人身売買は、性的搾取が目的のものと思われがちだが、最近は労働の搾取が目的の
強制労働も注目され始めた。欧州では法律改正などが活発化しているが、見えてくる
のは、人身売買の大部分が労働市場のゆがみによるということ。
高齢化で労働力が減り、低賃金の危険な仕事を嫌う人が増える一方、こうした労働
力の需要はなお大きい。そこに途上国の労働力が流れ込む。需要を直視せず、壁だけ
高くすれば、人身売買の温床になり、移民労働者への反感も高まる。「治安」や入国
管理を中心とした政策より、人権や労働権を重視したアプローチへ目を向けるときだ。
□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「仕事、雇用、社会保護の未来
The future of work, employment and social security」◇◆
P. Auer, B. Gazier編
英語 2003年刊 257p. 3,000円
ILOはフランス社会・労働・連帯省と共催で、グローバル化する世界における仕
事、雇用、社会保護のあり方を検討するため、2001年から毎年、世界各地から政策関
係者、政府、使用者及び労働者団体の代表、著名な学識者を招き、標題のテーマでシ
ンポジウムを開催しています。本書は2002年に開かれた第2回シンポジウムの記録で
す。第1回は、全般的な変化を幅広く討議しましたが、今回は、「排除の防止と統合
の促進:労働市場における移転」、「家庭と仕事の調和:ライフサイクル的アプロー
チ」、「市場と規制:生涯保障のための新たな社会規制か?」をテーマとする三つの
分科会と、「雇用、仕事、社会保護へのグローバル化の影響」をテーマとする円卓会
議が開かれ、個別の問題に焦点を当てたより掘り下げた論議が行われました。
第1分科会では、労働市場で雇用→失業→教育→...といった動きが生じている
ことが指摘され、雇用保障よりもこの動きを保護することの重要性が唱えられ、失業
保険に代わる雇用可能性保険といったようなものの創設が提案されました。第2分科
会では、先進国労働市場で今後女性労働力の重要性が高まることが論じられ、仕事と
家庭の両立に向けた積極的な政策が提案され、より家族にやさしい政策、より革新的
な男女平等政策を求める声が上がりました。労働市場における変化を法的側面から捉
えた第3分科会では、労働者という商品ではない対象を扱うこの市場の特殊性が強調
されました。自由と責任の増大が安全性の低下を招いていることから、ディーセント
・ワーク達成に向け、新たな社会権の必要性が唱えられました。
「変化の動きと働く人々の保護」という副題が冠されている本書は、労働市場の最
新の動きとそれを巡る国際的な論調をフォローするのに格好の書と言えます。第1回
シンポジウムの報告も本書も、ILO国際労働問題研究所のウェブサイトから電子版
を無料でダウンロードすることができます。
国際労働問題研究所出版物一覧(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inst/publ/index.htm
書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2003年9月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm
★別団体発行のILO図書日本語版
◆◇「ILO2000年版じん肺X線写真国際分類使用のガイドライン
原題:Guidelines for the use of the ILO international classification
of radiographs of pneumoconioses (Revised edition 2000)」◇◆
発行:株式会社 保健文化社 監訳:日下幸則ほか
日本語 2003年刊 40p. 1,000円+税
ILOはじん肺の国際的な判定尺度として、X線写真の国際分類を作っています。
分類は1950年に初めて発行された後、数度の改訂を経て、2000年に最新版が発行され
ています。
本書は、このじん肺X線写真国際分類を実際に使用する上でのガイドライン(IL
Oの労働安全衛生シリーズ第22号として発行)を、日本からその検討会議に参加され
た専門家の方々が中心となって翻訳されたものです。
ご購入については株式会社保健文化社(TEL: 03-3946-9737)にお問い合わせ下さい。
□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
(ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇社会対話総局◇◆
★新刊「仕事における基本的な原則と権利:コスタリカ、エルサルバドル、グアテマ
ラ、ホンジュラス、ニカラグアの労働法研究」
上記中米5カ国政府より依頼されてILOが実施した、仕事における基本的な権利
と原則に係わるそれぞれの国の現行労働法のレビュー。
Fundamental principles and rights at work: A labour law study - Costa Rica,
El Salvador, Guatemala, Honduras, Nicaragua(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/download/cafta.pdf
◆◇国際労働問題研究所◇◆
★新刊「ディーセント・ワークに向けた社会対話」
ディーセント・ワーク推進に向けた社会・労働政策教材制作のため、国際労働問題
研究所が行っているディーセント・ワークの四つの側面(仕事における権利、雇用、
社会保護、社会対話)に関する研究シリーズ中の、社会対話の側面からディーセント
・ワークの把握を試みた文献。
Social dialogue for decent work(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inst/download/dp14903.pdf
◆◇統計局◇◆
★第17回国際労働統計家会議(ジュネーブ・11月24日〜12月3日)
消費者物価指数、家計収支に関する現行の国際標準労働統計の改訂などを議題に、
統計専門家が話し合う国際会議。
第17回国際労働統計家会議(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/stat/techmeet/16thicls/index.htm
◆◇地域会議◇◆
★第10回アフリカ地域会議(アディスアベバ・12月2〜5日)
アフリカのILO加盟国より、政府、労働者団体、使用者団体の代表が集まり、地
域におけるILO関連活動、アフリカ開発のためのディーセント・ワーク戦略につい
て話し合う定期会合。
会議の議題・討議資料・新聞発表など(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/afpro/abidjan/arm/index.htm
◆◇宣言促進国際重点計画◇◆
★仕事に関するデジタル・アドベンチャー「3PlusU」
仕事の重要性と働く人々を保護する必要性を、クイズなどを通じて子どもたちに理
解してもらうため、ILOが国連の協力を得て開発したオンライン・アニメーション。
オンライン・アニメーション「3PlusU」(英語)----->
http://www.un.org/Pubs/CyberSchoolBus/3PLUSU/index.html
★ILOWhat's Newページ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/new/index.htm
□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
第18回は、ILOの研究機関である「国際労働問題研究所(International
Institute for Labour Studies)」です。
◆◇国際労働問題研究所(International Institute for Labour Studies)◇◆
★組 織
1960年にILOの理事会は、教育と研究を通じて、労働問題に関する世界各国の理
解を促進し、種々の問題解決に向けての方策を提案する独立性ある研究機関として国
際労働問題研究所を設立しました。
ジュネーブのILO本部内に置かれたこの研究所は、ILOとその構成組織である
政府、使用者、労働者にとって関心のある事項に関する政策研究と討議を推進し、学
識者と実務者の研究ネットワークを組織・支援し、教育プログラムを提供し、会議を
開催し、出版物やウェブサイトを通じて情報普及を図っています。労働問題に関する
国際的シンクタンクとして、途上国が自国に労働研究所を設立する上で重要な支援を
提供してもいます。
職員は研究員を中心に約20名で、ILO理事会が任命する理事で構成される理事会
が、予算・事業計画の検討など、研究所の活動を監督しています。理事会は、現在、
ILO事務局長を議長に、ILOの政労使理事各4名、国連事務総長代理、ユネスコ
事務局長代理、ジュネーブ州代表で構成されています。事業計画はILO同様、2年
ごとに立案・決定され、研究所理事会の検討を経た後、ILO理事会に最終的な承認
を求めて提出されます。現在提案されている2004/05年度予算案の金額は約713万ドル
で、この約9割をILOが負担し、残りはILOが受賞したノーベル平和賞の賞金を
もとにした基金、各国政府・拠出機関・労使団体からの寄付、出版物の売上金などで
賄われています。現在、所長は空席で、フランス人のジャン=ピエール・ラビエック
が所長代理を務めています。
★活動概要
ILOは「全ての人へのディーセント・ワークの確保」を21世紀の活動目標として
いますが、研究所でも2000年から、調査研究と教育普及の二つの事業を柱に、これを
反映した活動が進められています。
◎調査研究事業
現在、ディーセント・ワーク政策の概念及び分析上の基盤形成を目指した調査研究
が行われています。ディーセント・ワーク達成に向け、仕事における基本的な原則・
権利、雇用、社会保護、社会対話の四つの戦略目標が掲げられていますが、この戦略
目標相互間の関係、国の開発水準や固有の機構がこの関係に与える影響、ディーセン
ト・ワーク実現に向けた政策プロセスに関する研究が進められています。仕事におけ
る基本的な権利を雇用及び経済開発と結びつける国家・国際政策の確定・推進に向け、
指標や統計モデルの開発、文献調査などが行われ、国別研究を通じて、統計指標の実
用性の点検が行われています。
過去に実施された事業には、社会的排除のパターンと原因並びに統合を推進する政
策の設計、国際的な生産システムと労働市場、グローバル化する社会の中での労使の
新たな役割などの研究があります。例えば、社会開発サミットのために実施された社
会的排除に関する調査研究では、貧困撲滅と社会的統合の推進に向けた活動基盤の改
善を目指し、インド、メキシコなどで社会的排除に関する研究を行い、社会的排除の
概念形成、社会的排除と貧困の違いと相補性を明らかにしました。労働組合の新たな
役割に関する研究では、21世紀の組織労働をテーマとするインターネット上のオンラ
イン会議などを開催し幅広く収集した情報を、世界各地の労働組合が直面している課
題の現状と組合の対応策を紹介する成果出版物として発表しています。今後はこれを
さらに発展させ、学識者や政策関係者も巻き込み、グローバル化が進展する中で大き
く変化している仕事の世界で、労働組合や使用者団体が果たしうる役割と戦略に関し、
意見交換や分析調査などを通じて追究していこうとしています。
2004/05年度には、(1)労働者の権利と経済開発の関係の分析、(2)いくつかの国を
対象とした社会対話のプロセスと機構、それが社会や経済に与える影響の研究、(3)
移民の持続可能な解決策の探求といった三つの研究が予定されています。来年のIL
O総会における移民労働者に関する一般討議の準備作業として、既に開始されている
(3)では、政策問題に関する対話の場としての研究所の役割強化を目指し、調査研究
活動に加え、国際機関や研究機関などの専門家、学者や実務者との対話の機会の設定、
公開講演会の開催なども行われています。2003年には高技能移民労働者と出稼ぎ労働
者に関する専門家会合も開かれました。
◎教育普及事業
この事業は、(1)政労使、学識者、専門家間の労働・社会政策対話の促進、(2)学界
とのパートナーシップの開発、(3)研究・教育活動の成果の印刷物及び電子媒体を通じ
た普及を目的としています。
具体的には、講演会・セミナーの開催、国際・地域インターンシップコースの実施、
教材の開発、客員研究員・インターンの受入れ、視察研修の運営などが行われていま
す。インターンシップコースとは、政策関係者を対象に、ディーセント・ワーク達成
に向けた労働・社会政策策定の助けになるよう、研修の機会を提供するものです。
最近の会議としては、2001、02年にフランスで仕事の未来に関するシンポジウムを、
2002年には中国でディーセント・ワークの研究手法に関するワークショップを開催し
ています。このほかにも研究所ではさまざまな講演会を開催していますが、例えば、
毎年2回程度、主としてILO理事会開催中に、世界各国より高名な識者を招き、時
事的な経済・社会問題に関する公開講演会を開いています。講演会は1975年に開始さ
れ、ノーベル経済学者のヤン・ティンベルヘン、国際自由労連(ICFTU)のビル
・ジョーダン書記長(当時)など多彩な顔ぶれが講演を行っています。日本からは、
1996年に根本二郎日経連会長(当時)が「地球規模大競争時代における社会変化と人
間的価値についての使用者側見解」、1998年に立石信雄オムロン代表取締役会長(当
時)が「企業と社会の新たな展望」、2001年に奥田碩日経連(現日本経団連)会長が
「日本の展望:成長と選択肢の拡大に向けて」のテーマでそれぞれ講演を行っていま
す。
1969年にILOが受賞したノーベル平和賞の基金利息を用い、各国の大学と協力し
て1993年より隔年で開催している社会政策連続講演が、今年は12月に東京大学のご協
力を得て、初めて日本で開催されます。これは国際的な社会政策に大学生・大学院生
の関心を喚起し、主要な大学において、ILOが関心のある分野に関する学術研究を
推進し、学界と政策関係者や企業経営者、働く人々との対話を奨励するため、著名な
学識者や政策関係者、ジャーナリスト等の講演を中心として開かれるものです。日本
では、ロンドン大学のロナルド・ドーア教授を基調講演者に招いて、「グローバル化
と仕事の未来」を総合テーマに、4セッションを設け、国内外の学識者多数が参加す
るシンポジウム形式で開催されます。
研究所のウェブサイトからは、21世紀の組織労働、仕事・雇用・社会保護の未来、
貧困と社会的排除、国際労働基準と経済相互依存、労働力移動、ディーセント・ワー
ク関連など、1989年以降の研究成果の多くを無料で全文ダウンロードできます。
国際労働問題研究所(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inst/
東大/ILO社会政策シンポジウム----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm#nobel
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