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2004/01/08

ILO駐日事務所メールマガジン【No.20】

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    ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
     2004年1月8日号 No. 20

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     ◎お問い合わせはこちらまで tokyo@ilo.org
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:::::::::::<目  次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2004年1月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−新年を迎えて::::::::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−インターン募集::::::::::::::
:《4》ILO新聞発表−G8労働・雇用大臣会合とILO:::::::::::
:《5》新刊紹介−職場におけるアルコール・薬物問題 ほか::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−第58回国連総会とILO ほか:::::::::
:《7》トピック解説−グローバル化の社会的側面世界委員会::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (2004年1月1日現在)
 ◇加盟国数...177        ◇日本の批准条約数.........46
 ◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
 ◇勧告の数...194(うち撤回20) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71

□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■

        ★ ☆ 新年を迎えて ☆ ★

 新年明けましておめでとうございます。本年も引き続き皆様方のご指導・ご支援・
ご協力宜しくお願い申し上げます。
 2003年12月に発行した前号では、私なりの本事務所の活動評価らしきものを申し上
げましたが、年初は年初らしく、課題を申し上げたいと思います。年末の活動報告に
は、ILOの現在の目標「ディーセント・ワーク」のことは触れませんでしたが、そ
れを前提としての仕事のやり方、取り組むべき問題(イシュー)を評価しました。
ディーセント・ワークそのものは、我が国では内容も含めてまだ広報努力が必要とい
う感じですが、皆様がもう少し具体的なイメージを作れるものを04〜05年の本予算期
(国連システムは2年間予算です)に進めたいと思っています。もちろんILOの加
盟国の大部分は開発途上国であり、我が国のような先進国は、世界全体から見れば相
対的にディーセント・ワークの達成度合いは高いことにはなります。UNDP(国連
開発計画)で、日本の人間開発指標が世界ランク9位となっているのに相通ずるもの
があるでしょう。しかし、例えば、同じくUNDPのジェンダー・エンパワーメント
指標が44位と、先進国の最下位層に属しているように、男女格差はまだまだ相対的に
大きく、さらには非典型雇用の問題など人々の間の格差問題は課題であると言えます。
 世界の中での格差の一例は社会保護。保護のレベル・課題は議論があっても、日本
国民は全て社会保障にカバーされている状況と異なり、世界全体では約2割の人々し
か社会保障にカバーされていません。世界の多くの人々は失業保険も年金もないので
す。こうした状況下で、貧困撲滅が国連ミレニアム開発目標でもある大目標ですが、
そのためには仕事創出こそが重要なカギです。この意味でも、貧困減少とディーセン
ト・ワークは大きな開発課題といえます。この問題の理解の一助とするため、今年の
早い時期にILO事務局長報告「貧困から抜け出す手段」の日本語版を発刊する予定
です。
 ディーセント・ワークは、人々が最も願っているものであり、それに応えるとする
政策の発展を目指しています。政策課題として大きいのは、グローバル化の中での社
会的側面の促進。このためにディーセント・ワークの推進は重要な課題で、このこと
は2003年12月に開催されたG8労働雇用大臣会合でも確認されています。同時に国際
機関でもグローバル化の社会的側面を勘案することの必要性が指摘され、特にILO、
UNCTAD(国連貿易開発会議)、WTO(世界貿易機関)、世界銀行、IMF
(国際通貨基金)との制度的な対話フォーラムの進展を検討すべきとしています。今
年2月末には、ILOが設置したグローバル化の社会的側面世界委員会の報告が提出
される予定で、グローバル化の利益がより増大し、より広く人々にゆきわたるための
国内・国際政策の方向の検討結果が期待されます。今求められている経済・社会両側
面のバランスの取れたグローバル化に向けて、雇用問題−ディーセント・ワーク達成
−を経済・開発政策の中心に据えるべくさらに努力していきたいと思っています。
 最後に一言。今年1月5日に決着した住友電工事件の和解は、今年の先が明るくな
るようなニュースでした。特に和解勧告で、国連を中心とする国際社会で男女平等実
現に向けての取り組みが着実に進められ、男女平等社会が世界の共通認識であること
を指摘し、男女差別撤廃運動の成果は全ての女性がその成果を享受するもので、過去
の社会意識を前提とする差別の残滓を容認することは社会の進歩に背を向ける結果と
なるとの言葉には感銘を受けました。ディーセント・ワークの根幹である平等問題の
進歩に貢献したいと思います。

□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇ジェンダー分野インターン募集(応募締切:1月31日)◇◆
 ILO駐日事務所では、「仕事とジェンダー」に関心をもち、当該分野における調
査研究補助、資料作成等の作業を日英両語で遂行できる大学院生のインターンを募集
しています。

★インターン募集要項----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/pers/index.htm#intern

★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm

□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
                  (2003年12月6日〜2004年1月6日発表分)
◆◇2003年12月17日(水)発表ILO/03/54◇◆
★G8労働・雇用大臣会合とILO

 2003年12月14〜16日の日程で、シュトゥットガルト(ドイツ)で開かれたG8労働
・雇用大臣会合は、国際機関レベルにおけるグローバル化の社会的側面に関する検討
の強化と、成長及び雇用を中心的かつ全政策分野を通じ追求すべき政策目標に据える
ことを求める結論を採択し、幕を閉じました。そして、この目標を推進するため、I
LO、国連貿易開発会議(UNCTAD)、世界貿易機関(WTO)、世界銀行、国
際通貨基金(IMF)から構成される国際機関合同フォーラムの設置を提案しました。
 ソマビアILO事務局長は17日、この結論を「すべての人々にとっての機会を確保
する、より公正で包容力のあるグローバル化のプロセスに向けた一歩」と歓迎し、グ
ローバル化の中での雇用目標を国際機関レベルで推進することへの支援を表明しまし
た。
 シュトゥットガルト会合の結論は、2004年に米国で開かれる先進国首脳会議で検討
されることになります。
 ILOのグローバル化の社会的側面世界委員会は、グローバル化の恩恵をより多く、
より広く行き渡らせるために、国際社会及び各国がどのように政策を変えていけばよ
いか検討してきました。2004年初めに、その報告書を発表することになっています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/54.htm
シュトゥットガルトG8労働・雇用大臣会合結論(英語)----->
http://www.bmwa.bund.de/Redaktion/Inhalte/Downloads/g8-engl,property=pdf.pdf
グローバル化の社会的側面世界委員会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/wcsdg/index.htm

 ※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
  お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html 

★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm

□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「職場におけるアルコール・薬物問題:予防への転換
   Alcohol and drug problems at work: The shift to prevention」◇◆
   英語 2003年刊 119pp. 1,500円

 従来の職場におけるアルコール・薬物対策は、既に依存症になっている労働者に対
する支援提供を中心にしていた結果、少数の労働者を対象に遅すぎる措置が講じられ
るという欠点がありました。本書は、予防を中心とした対策に発想を転換することに
よって、事故の発生や生産性の低下、新しい従業員の採用コストなどといった問題が
未然に防止され、労働者にとっても企業にとっても望ましい状態が生じるとします。
 ILOは、1987年の総会で、職場における薬物・アルコール問題への政府、労働者、
使用者の役割を再確認する決議を採択しました。1995年には、職場におけるアルコー
ル・薬物関連問題の管理に関する実施規準を採択しています。本書はこの規準を補足
するものとして、職場におけるアルコール・薬物乱用防止プログラムの設計、実施、
維持の方法を具体的に示した実際的なマニュアルとなっています。企業の薬物・アル
コール対処方針の実例、チェックリスト、薬物・アルコールへの依存度に関する自己
診断ツール、関連ウェブサイトや書籍といった情報源も紹介されています。

実施規準「Management of alcohol- and drug-related issues in the 
workplace」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/cops/english/download/e970709.pdf

◆◇「移行期の労働市場
   Labour markets in transition: 
   Balancing flexibility & security in Central and Eastern Europe」◇◆
   S. Cazes, A. Nesporova共著
   英語 2003年刊 161pp. 3,500円

 かつて国家による完全雇用が保障されていた中・東欧、中央アジアの旧社会主義国
では、社会主義制度崩壊後の90年代、政治、経済、社会は劇的に変動し、労働市場は
大きな影響を被りました。現在、ILOでは、世界、地域、国家、地方の諸レベルで、
生産的な雇用、完全雇用、自由に選択できる雇用を達成するという何よりも重要な長
期目標と、柔軟性、安定性、安全保障、労働市場の動向及び生産性との関係を分析す
ることを目指し、先進国、途上国、移行経済諸国で柔軟性と安定性に関する調査研究
プロジェクトを実施しています。「中・東欧における柔軟性と安定性の調和」という
副題に示されるように、本書は移行経済諸国におけるそのプロジェクトの成果をまと
めたものです。豊富な図表を用いて、産業別就業構造、就業上の地位、労働契約の種
類、フォーマルな雇用とインフォーマルな雇用の割合といった統計的な変化が示され
ているのに加え、雇用保護法制の厳格さの度合いについても国際比較分析が行われて
います。移行経済諸国の分析に留まらず、労働市場制度、労働市場政策、団体交渉、
労働費用の動きについてOECD諸国との比較分析も行われています。移行経済諸国
の労働市場の最新の動向と、その先進国との違いを包括的かつ簡潔にまとめた分かり
やすい1冊です。

書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm 
駐日事務所資料室新着図書一覧(2003年11月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm 

□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
                    (ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇渉外・パートナーシップ局◇◆
★第58回国連総会(ニューヨーク・2003年)とILO
 2003年の第58回国連総会において、子どもの権利、人種差別の撤廃、ジェンダー、
人権、先住民、マクロ経済政策、外国人労働者、パレスチナ、貧困、社会開発の分野
に関し、ILO代表が行った発言集。

第58回国連総会とILO(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/events/statements/unga58/index.htm

◆◇英国・アイルランド事務所◇◆
★広報誌最新号
 2004年からビル・ブレット卿(英国)が着任した事務所長交替ニュースを含み、英
国、アイルランド関連のものを中心とするILO情報を掲載。ブレット卿は、長くI
LOの労働者側理事を務め、ILOと深い関わりがあります。

ILO-London News 2003年冬号(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/region/eurpro/london/download/news6.pdf

◆◇国際労働力移動部◇◆
★最近の外国人労働関連国際会議とILO
 外国籍者の権利の明確化と拡張に関する専門家会議(ニューヨーク・2003年11月9
〜11日)に提出された外国籍者保護の法理と国際労働基準適用の可能性に関する論文、
移民及び難民の教会心得のための第5回世界会議(バチカン・2003年11月18〜22日)
におけるILO代表の発言文。

外国籍者の権利の明確化と拡張に関する専門家会議提出文書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/events/statements/2003/migrants-osj.htm
移民及び難民の教会心得のための第5回世界会議における発言(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/exrel/events/statements/2003/migrants-vatican.htm

★ILOWhat's Newページ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/new/index.htm

□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
 ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
 第20回は、今年2月に報告書が発表されるILOの「グローバル化の社会的側面世
界委員会(World Commission on the Social Dimension of Globalization)」
です。

◆◇グローバル化の社会的側面世界委員会(World Commission on the Social 
Dimension of Globalization)◇◆
★グローバル化の現状
 近年、国際貿易は急速に拡大しています。製造業輸出高の世界合計は、2000年には
1980年の3倍以上に増え、2001年に4%低下したものの、90年代を通じて年平均7%
の成長を示してきました。世界合計に占める途上国の割合は、1970年23%→1997年38
%とある程度拡大したものの、この5分の4が韓国、メキシコなどのいわゆる中進国
を初めとするわずか13カ国によって達成されたものでした。一方、世界のサービス貿
易の輸出の79.3%、輸入の74.4%を経済協力開発機構(OECD)加盟国が占めてい
ます(2000年)。外国直接投資の世界合計の4分の3が先進国向けで、途上国の割合
は1997年38%→1999年24%と低下しました。途上国向けの外国直接投資の8割が、こ
れも中進国といわれている10カ国に集中し、アフリカの割合は2000年に1%を下回り
ました。
 経済成長は、この貿易と投資の伸びに追いついておらず、国内総生産(GDP)の
年平均成長率は70年代3.8%、80年代3.2%、90年代2.6%でした。1950年からの50年
間で、世界の輸出高はGDPの3倍の速さで成長しました。世界で最も裕福な20カ国
の国民1人当たりGDPは、1960年に最も貧しい20カ国の18倍でしたが、1995年にこ
の格差は37倍に広がりました。
 国際的な合併・買収額の合計は1988年に約1,100億ドルでしたが、2000年に10倍以上
に膨れあがりました。政府開発援助(ODA)の世界総額は、1995年に165億ドルと
ピークを迎えた後、2000年には約25%減を示しました。
 1995年にわずか2,500万人だったインターネット利用者数は、5年後の2000年に3億
人を超えました。途上国の伸びは相対的に先進国よりも速かったものの、これは主と
して東南アジアと中南米の途上国数カ国の利用拡大によるものです。インターネット
を利用したことのある人の割合は、1999年に、高所得国では人口の92%であったのに
対し、低所得国ではわずか0.9%に過ぎませんでした。電話利用者数は、1910年には
1,000万人未満であったものが、2000年には固定回線と移動回線の両方を合わせると10
億人に達しました。それでも、2002年現在でまだ、世界人口の半数以上が電話をかけ
たことがありません。1970年に、途上国におけるテレビ保有率は人口の1%、ラジオ
保有率は9%でしたが、1997年にはそれぞれ約16%、25%に上昇し、現在は世界のラ
ジオの半数以上が途上国で使われています。
 世界の観光業の収入の半数を欧州が占め、アフリカ、中東、南アジアの観光客数は
世界全体のわずか6%にしかなりません。航空旅客の延べ移動キロ数は1998年には1950
年の94倍になり、航空貨物輸送量(トンキロ)は140倍以上に膨れあがりました。
 世界全体で8億2,600万人が飢えに苦しんでいますが、西欧諸国に住むのはそのうち
わずか800万人です。毎日、1万4,000人近くがエイズウイルスに新たに感染していま
すが、その9割が途上国、そして75%がサハラ以南アフリカ諸国の人々です。エイズ
は多くの貧しい国で平均余命を引き下げており、一部アフリカ諸国では25歳以上も短
くなっています。1日2ドル未満で生活している人の数は現在約28億人、1日の収入
が1ドル未満の人は約5億人います。世界全体で、1日1ドル未満で生活している人
の数は1990年代を通じてあまり変化しておらず、1990年に12億3,700万人だったものが
2000年に少し減って11億人となっています。
 2002年末現在で、世界の労働力の約3%に相当する1億2,000万人が合法または非合
法の外国人労働者及びその家族として自国以外で生活しています。今後10年間で、世
界全体で5億人が新規に労働力に加わると推計されますが、その97%が途上国の人々
です。
 世界の二酸化炭素の56%が、世界人口の21%を擁する高所得OECD諸国、中・東
欧、独立国家共同体(CIS)諸国で排出されています。最近の推計では、航空機の
排気量は2030年に1990年比約300%増、自動車排気量は約25%増になると見積もられて
います。

★委員会設立の経緯
 技術革新、公共政策、企業活動は上述のように、生産、消費、投資形態の世界的な
変化をもたらし、経済構造、社会姿勢、仕事や企業の性格も変えてきています。グロー
バル化は富の拡大と発展に向けた人々の欲求を刺激し、そのような機会も拡大しまし
た。同時に、経済統合が進む中で、しばしば、国家間の格差、国内格差が広がりまし
た。グローバル化の機会を人々に広く行き渡らせ、不安定、不均衡、排除といった問
題に取り組む必要があることがますます強く認識されてきています。グローバル化が
もたらす機会と諸問題に取り組むための政策立案に取りかかっている国は多いものの、
グローバル化の社会的側面に包括的に取り組むために地球規模で実施されるべき政策
はまだ開発されていません。
 どうすればグローバル化がもっと多くの人々のためになるか。この問いの解を求め、
その方策について国際的な合意を形成することを目指し、ILOの理事会は、2001年
11月にグローバル化の社会的側面世界委員会の設置を決定しました。委員会は2002年
3月から活動を始め、2004年2月に最終報告を発表することになっています。

★委員構成
 委員は世界の識者21名に、ILO理事会の議長、副議長2名、ILO事務局長で構
成されています。フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領とタンザニアのベンジャミ
ン・ムカパ大統領が共同委員長を務めています。日本からは東芝の西室泰三会長(日
本経団連副会長)が参加されています。このほかに、ジュリアーノ・アマト前イタリ
ア首相、フリオ・マリア・サンギネッティ元ウルグアイ大統領、バレンティナ・マト
ビエンコ前ロシア副首相、エベリン・ヘルフケンス前オランダ開発協力大臣、スリン
・ピツワン前タイ外務大臣、アミナタ・トラオレ元マリ文化観光大臣といった閣僚経
験者、2001年度ノーベル賞受賞経済学者ジョゼフ・スティグリッツ、ディーパク・ナ
ヤール・デリー大学副学長といった学識者、フランソワ・ペリゴ国際使用者連盟(I
OE)会長、ジョン・スウィーニー・アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(A
FL−CIO)会長、ズエリンジマ・バビ南アフリカ労働組合会議(COSATU)
書記長といった労使代表などそうそうたるメンバーが顔を揃えています。

★委員会の任務
 委員会の任務はグローバル化の社会的側面に関する権威ある報告書を作成すること
です。最終的な目標は、ディーセント・ワークを推進し、貧困と失業を減らし、成長
と発展を育む新しいグローバル化プロセスを発動させることにあります。委員会は、
世界経済において経済と社会の双方の目標が共に推進されるようなより統合的な政策
枠組みの構築を求める声に応え、グローバル化のプロセスがもっと多くの人々を対象
に組み入れ、利益が幅広く共有されるような方向に変えていくための構想を検討して
います。人々がグローバル化の潜在力を広く利用できるようにするための行動につい
て、対話を通じて合意を達成することをめざしており、そのために、事実を把握し、
グローバル化が現在人々にどう認識されているかを吟味しています。
 ILOは事務局内に委員会の活動を補佐する事務局を設置し、委員会の討議の資料
となるデータや文書の収集、調査研究、委員と各界の人々との協議の場の設営、そし
て委員会の検討テーマに関する国際知識ネットワークの構築などの業務を行っていま
す。委員会の検討テーマには、グローバル化の中での価値と目標、グローバル化の恩
恵が人々に行き渡るための国内政策、地域市場と国際政策、国境を越えた生産・技術
ネットワークがディーセント・ワーク・成長・発展を促進する方法、国際労働力移動、
落ちこぼれのないグローバル化に向けた国際統治、雇用・男女平等・文化・アイデン
ティティーなどへのグローバル化の影響といったものがあります。

★委員会の活動
 委員会は既に7回の会合をもち、世界各地で政界、市民社会、使用者団体、労働組
合などと30以上の協議会を開催し、幅広い意見の収集に努めています。
 2003年11月の第288回理事会で、国家元首として理事会で初めて演説したハロネン・
フィンランド大統領は、共同委員長として委員会の活動の進展状況を報告しました。
ハロネン共同委員長は、委員会の討議の前提として、グローバル化が持続可能性をも
つためには、人々のニーズを満たさなくてはならないとの基本認識に言及した上で、
これまでに固まってきた見解をいくつか発表しました。現行のグローバル化の特徴と
その影響をまとめた上で、グローバル化が国際社会に勝者と敗者を生み出した問題点
をあげ、グローバル化の社会的な影響を評価するには、過去20年間の雇用、所得格差、
貧困の実情を検討する必要があるとしました。そして、グローバル化の流れにうまく
乗れるかどうかは各国の能力と政策にかかっており、民主主義、人権、法の支配とい
う近代国家の三大基本原則が守られていない国は、長期的に見てグローバル化の恩恵
を国民に提供できないだろうと述べました。その上で、グローバル化の統治、国際経
済における公平なルール、社会目標と経済目標を統合したより公正で一貫性のある国
際政策、国際協力の必要性を強調しました。
 今後のグローバル化のあり方について提言する委員会の最終報告書は、2004年2月
に発表される予定です。報告書は3月の理事会での審議を経て、2004年6月に開かれ
るILO総会に提出されます。ILO駐日事務所でも、この報告書をテーマとするシ
ンポジウムの開催を予定しています。

グローバル化の社会的側面世界委員会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/wcsdg/index.htm

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