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2004/05/24

ILO駐日事務所メールマガジン 【No. 24】

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    ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
     2004年5月24日号 No. 24

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:::::::::::<目  次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2004年5月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−児童労働反対世界デーに寄せて::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−児童労働反対世界デー関連イベント ほか::
:《4》ILO新聞発表−中国雇用フォーラム ほか::::::::::::::
:《5》新刊紹介−サービス部門の職場内暴力実施規準 ほか::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−国際研修センターウェブサイト刷新 ほか::::
:《7》トピック解説−国際労働力移動::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (2004年5月1日現在)
 ◇加盟国数...177        ◇日本の批准条約数.........46
 ◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
 ◇勧告の数...194(うち撤回20) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71

□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■

    ★ ☆ 児童労働反対世界デー(6月12日)に寄せて ☆ ★

 昨年に続き、本年も児童労働反対世界デーを中心に、児童労働写真展をUNハウス
(東京都渋谷区)で開催しています。今回は写真展における私のメッセージを以下に
掲載させていただきたいと思います。
 「表玄関からうかがえない家の中で働かされている何百万の子どもたちは、その姿
が人々の目に触れることがない。ほんの一握りの姿が認知されるだけ。表玄関から中
は、働く子どもたちを隠す家族の聖域と化している。家の中で食事を作ったり、洗い
ものをしたり、磨き上げている、働かされている子どもたちの姿を。」(出典:IL
O「子どもの家事使用人をなくすための闘いへの行動」、ILO/日本/韓国合同ア
ジア会議、チェンマイ、タイ、2002年10月)。
 子どもの家事使用人の姿は、家事労働そのものがしばしば労働法令から除外されて
いるために、政策レベルでさえ、みえていません。でも家事使用人として雇われてい
る子どもたちは、単に他の家庭の手伝いをしているのではありません。そうした子ど
もたちは最も弱い立場にある働く人間。一般的に低い賃金しか支払われず、言葉や身
体的、性的な虐待にあう危険性の高いグループ。特に少女は、虐待や危険な目にあい
やすいのです。
 子どもの家事使用人は、日本でも1930年代まで存在しました。1920年の統計によれ
ば、12歳以下の働く子どもたちは7万人もおり、3分の1が1980年代に日本で人気の
あったテレビ番組の“おしん”のように、子守りでした。日本の働く子どもは、義務
教育の必要性が次第に人々に受け入れられたこともあって、なくなっていったのです。
 本年の児童労働反対世界デーは、非人間的で、忘れ去られている児童労働―子ども
の家事使用人―がテーマです。世界の2億4,600万人の働く子どもたちのうち何人が家
事使用人として働いているかはわかりません。しかし、ILOは、16歳未満の少女は、
他のどの仕事よりも、家事使用人として働く割合が高いと推測しています。搾取から
子どもたちを守ることは、極めて大きな課題です。
 私たちは、できるし、やらなければいけません。1人1人の子どもたちが、本来過
ごすはずの子ども時代を取り戻すために。全ての子どもは学校に行き、友だちと遊ぶ
ことができるはずなのです。万人の初等教育は明らかに有効な解決の1つです。貧し
い家族の経済的エンパワメントももう1つの重要なことです。相対的に豊かな社会に
住む私たちは、基本的権利―教育を受ける権利と子ども時代をすごす権利―を奪われ
ている子どもたちのことを考え、行動する必要があります。家が貧しいからというだ
けで、働く子どもたちが基礎教育を受けられないことを容認しますか?
 毎年6月12日は、この受け入れることのできない、耐えられない現代悪―児童労働
―撤廃のために闘う決意を新たにする日です。あなたも支援してください。2億4,600
万の世界の働く子どもたちにあなたの手を差し伸べてください。

□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇児童労働反対世界デー(6月12日)関連イベント:写真展&シンポジウム◇◆
 ILOは、6月12日を「児童労働反対世界デー」として、児童労働に対する関心を
喚起するイベントを世界各地で開催しています。今年の世界デーは家事使用人として
働く子どもたちの問題に焦点を当てています。ILO駐日事務所は、昨年に引き続き、
政労使、児童労働の分野で活動するNGO等関係諸団体や専門家・ボランティアのご
協力を得て、UNハウス(国連大学本部ビル)で、5月20日〜6月15日(開館時間:
午前10時〜午後6時、日休)に児童労働写真展、世界デー当日の6月12日(土)に児
童労働シンポジウムを開催します。毎週土曜日には写真展会場で、家事使用人の仕事
の実際を体験するコーナーも開設します。お申し込み方法・詳細は下記ウェブサイト
へ。

★児童労働写真展・シンポジウム----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2004childlabour.htm

◆◇ILOインターネット・フォーラム開催中(4月28日〜6月30日)◇◆
 4月28日の「仕事における安全・健康のための世界の日」を記念してILO駐日事
務所では、4月28日〜6月30日の日程で、職場の安全と働く人々の健康を守る実践例
・アイデア等を下記ウェブサイトで募集・掲載しています。ふるってご参加ください。
関連する世界の最新情報を、日本語でご覧になることもできます。

★ILOインターネット・フォーラム「仕事における安全・健康文化」----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2004osh/index.htm

◆◇グローバル化の社会的側面国際シンポジウム(東京・7月1〜2日)◇◆
 来る7月1〜2日、ILO駐日事務所は国連大学と共催で、UNハウス(東京都渋
谷区)において、「取り残されるもののない地球社会に向けて:激動する世界におけ
る公正なグローバル化(仮題)」と題し、今年2月に発表になったグローバル化の社
会的側面世界委員会の報告書をめぐるシンポジウムを開催します。同委員会委員であ
る西室泰三日本経団連副会長(東芝会長)、ディーパク・ナヤール・デリー大学副学
長の講演も予定されています。詳細は決定次第、ILO駐日事務所ウェブサイトでご
案内します。

★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm

□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
                        (4月26日〜5月21日発表分)
◆◇2004年4月27日(火)発表ILO/04/15◇◆
★仕事における安全と健康のための世界の日(4月28日)

 職場における事故や疾病は、毎日平均6,000名の生命を奪っています。歴史的に世界
の労働組合運動は、4月28日を職業上の事故及び疾病の犠牲者を悼む日としてきまし
た。ILOでは2003年よりこの日を「仕事における安全と健康のための世界の日」と
して、職場における安全・健康文化を通じた予防活動の重要性に人々の注意を喚起す
る活動を展開しています。ILO駐日事務所は、仕事における安全・健康文化をテー
マとするインターネット・フォーラムを開催しています。
 今年は事故時の死亡者2,500名、負傷者20万人以上(後日約2万人が死亡)を出した
インドのボパールにおける農薬工場ガス漏れ事故から20周年の年に当たります。世界
の日に際して発表されたILOの報告書「Safe Work and Safety Culture(安全な
仕事と安全文化)」は、「ボパールの惨事は産業災害の危険に対する注意を喚起する
きっかけになったものの、大きな被害を引き起こす事故の可能性は依然現実のもので
あり、幅広い対応が求められる」と記しています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/15.htm
仕事における安全と健康のための世界の日(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/worldday/index.htm
「仕事における安全・健康文化」インターネット・フォーラム----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2004osh/index.htm
報告書「安全な仕事と安全文化」----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2004osh/report.htm

◆◇2004年4月27日(火)発表ILO/04/16◇◆
◆◇2004年4月30日(金)発表ILO/04/17◇◆
★中国雇用フォーラム(北京・4月28〜30日)

 ILOが中国労働社会保障省と共同で、中国の将来的な雇用戦略を検討するために
開催したフォーラムには、ソマビアILO事務局長、黄菊・中国副首相、鄭斯林・労
働社会保障大臣を始め、中国内外より400名以上の政府、使用者、労働組合のハイレベ
ル代表者、学識者、雇用問題専門家が出席し、グローバル化と経済再構築がこの世界
で最も人口の多い国にもたらした課題について話し合いを行いました。
 今後10年間に中国では、7,000万人以上の労働力増が見込まれています、2003年に
9.1%と高い国内総生産(GDP)の伸びが記録されているものの、成長は不均衡で、
1人当たり純所得は都市で9%、農村で4.3%の増加を示し、都市と農村の所得格差の
拡大は、農村労働者の都市流入に拍車をかけています。農村部は不完全就業率が高く、
農村労働力のほぼ3分の1に達していますが、2000年以降、不完全就業状態にあるこ
の1億5,000万人のうち毎年約800万人が都市のインフォーマル経済に仕事を求める移
住労働者となっています。都市部の登録失業率は1998年に3.1%でしたが、2003年9月
には4.2%になっています。1998年〜2003年7月の期間に国有企業から一時解雇された
労働者数は2,780万人に達し、その後再就職できた者は1,850万人に留まっています。
また最近、労働安全衛生も深刻な懸念材料となってきており、2003年にわずかに改善
したものの仕事に関連した事故や疾病の数は2002年に前年比7.3%も増加したと、
フォーラムの背景資料となる報告書「An Employment Agenda for China(中国雇用
アジェンダ・英文)」は記しています。
 このような背景のもと、中国雇用フォーラムでは9つの分科会に分かれて、農村の
失業、農村から都市への労働力流入、国有企業の閉鎖に伴う失業の発生といった同国
の高度経済成長に関連する問題点、並びに労働市場の統治を近代化し、経済再構築の
課題に対処する方法に関する話し合いを行い、共通合意文書を採択して閉幕しました。
合意文書は、中国で雇用機会を拡大し、雇用の質を高めるためには、経済成長の維持
及び労働市場の改善が急務であるとし、継続的な発展のカギは「まともな完全雇用
(full and decent employment)」であると記します。また、労働需要の刺激、政
労使三者対話の強化、労働者の技能と知識の向上、労働市場政策の拡充と洗練、健全
な企業再構築の奨励、社会保障制度改革、労働者の安全衛生保護などを賃金・労働条
件向上のための重要な要素としています。
 ILOは2001年5月に中国と覚書を締結し、中国の改革過程を支援する協力計画を
発進させました。フォーラムは、あらゆる経済社会政策の中心に雇用を据えることを
求めるILOの世界雇用戦略に沿って、このプロジェクトのさらなる前進を図るもの
です。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/16.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/17.htm
中国雇用フォーラム(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/chinaforum/index.htm
背景資料「An Employment Agenda for China」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/chinaforum/backgp.htm
共通合意文書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/chinaforum/download/common.pdf
ILO/中国技術協力覚書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/chinaforum/download/chinamou.pdf
ILO世界雇用戦略(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/strat/gea.htm

 ※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
  お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html 

◆◇2004年5月18日(火)発表ILO/04/18◇◆
★第92回ILO総会討議資料:グローバル・レポート

 ILOが1998年に採択した「仕事における基本的原則及び権利に関する宣言」は、
フォローアップ活動の一環として、宣言が対象とする仕事における基本的原則及び権
利の4つの分野について、毎年1つずつ順番に、総合的な報告書(グローバル・レポー
ト)を討議資料としてILO総会に提出することを求めています。二巡目に入った今
年のグローバル・レポートは、結社の自由と団体交渉権の効果的な承認の問題を扱い、
組織化を試みる労働者や使用者は依然脅威にさらされているものの全体としての世界
的な情勢は改善しつつあり、4年前に比べて元気づけられる進展が見られるとします。
 グローバル・レポート「Organizing for Social Justice(社会正義を求めての
組織化・英文)」は、労働組合指導者が暴力や生命を奪われる危険に直面しており、
保護のための特別技術協力計画が進められているコロンビア、労使団体双方から結社
の自由に関する政府の政策に対し苦情が申し立てられているベネズエラ、結社の自由
の問題を扱う審査委員会が現在設置されており、今年後半に勧告が出される予定のベ
ラルーシなど、世界各地で見られる権利侵害例を報告しつつも、法制改革に対する助
言や長期の多面的なプロジェクトなど、加盟国の任意拠出に支援されて実施されてい
るILOの技術支援活動とその成果について詳細に記しています。経済のグローバル
化の中で、結社の自由と団体交渉権は特に、社会目標と市場の需要をつなぐ仕組みを
提供するとした上で、この権利は経済や貿易成績の改善に寄与し、しばしば言われて
いるようなマイナスの影響を与えないことを示す証拠がますます多く見いだされてき
ていると記しています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/18.htm
仕事における基本的原則及び権利に関する宣言----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/declaration.htm
グローバル・レポート「Organizing for Social Justice」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/pdf/rep-i-b.pdf

◆◇2004年5月21日(金)発表ILO/04/19◇◆
★第92回ILO総会討議資料:移民労働

 6月に開かれる今年のILO総会では、国際労働力移動に関する一般討議が行われ
ます。この討議資料「Towards a fair deal for migrant workers in the global 
economy(グローバル経済における移民労働者の公正な処遇に向けて)」は、ますます
多くの国が国際労働力移動に関与するようになってきている今、全当事国による国際
的な活動が求められるとし、移民労働者の状況改善、そしてより秩序だった国際労働
力移動形態の推進に向けた包括的な行動計画を総会で採択することを提案しています。
 2000年当時の外国在住者数1億7,500万人中、半数近くの8,600万人が経済活動に従
事していると推計されます。90年代を通じて、外国在住者数は年約600万人のペースで
増え続けており、グローバル化が途上国における雇用と経済機会の創出に成功してい
ない現状では、今後も急速な増加が見込まれます。
 報告書は、人口の若返り、インフレなき経済成長を刺激する国際労働力移動は、受
入国経済に主として利益効果を与えるとします。送出国には、年間800億ドル(2002
年)と推計される巨額の送金が流れ込む一方で、技能労働者の流出という「頭脳流出」
の問題が引き起こされます。移民の労働条件のかなりの割合が搾取的・虐待的で、特
に全体の10〜15%を占めると推計される非正規移民は、人権と基本的な自由の点で深
刻なリスクに直面しているとします。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/19.htm
第92回ILO総会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/index.htm
総会議題資料「Towards a fair deal for migrant workers in the global 
economy」(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/pdf/rep-vi.pdf

★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm

□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「サービス部門の職場内暴力とこの現象をなくす措置:ILO実施規準
   Workplace violence in services sectors and measures to combat 
   this phenomenon:
   ILO code of practice」◇◆
   英語 2004年刊 30pp. 2,000円

 職場内暴力は生産性とディーセント・ワークに対する脅威となります。この問題に
ついて最近出されたある文献は、職場内暴力の被害者は2002年に米国で200万人余り、
英国では成人就業者の1.7%(35万7,000人)に達すると記しています。ILOは2003
年に政労使三者構成の専門家会議を開き、暴力にさらされることが多いサービス部門
を対象に、職場内暴力に対する実践的な対応の開発や、政府・使用者・労働者間の対
話・協議・交渉の推進、そして国内法・政策・行動計画の立案のための一般的な手引
きとなることをめざした行動規範を採択しました。
 職場内暴力の問題については、他にも職場内暴力の問題と取り組み状況を概説した
「Violence at work(職場内暴力第2版・2000年・2,500円)」、職場内暴力の具体
的な予防・対応策を各種紹介する「Preventing and responding to violence at 
work(仕事の場における暴力の予防と対策・2003年・2,500円)」、職場における薬
物・アルコール問題に対する企業の取り組み例を世界各地から集めた「Alcohol and 
drug problems at work: The shift to prevention(職場における薬物・アルコー
ル問題:予防への転換・2003年・1,500円)」といった出版物があります。

実施規準電子版は、下記ウェブサイトから入手できます----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/techmeet/mevsws03/index.htm

書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm 
駐日事務所資料室新着図書一覧(2004年4月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm 

★別団体発行のILO図書日本語版:お申し込み・お問い合わせは直接出版元へ
◆◇「ILO:労働組合とジェンダー平等
   −知るため、仲間をつくるための、ガイドブック−
   原題:Promoting gender equality. A resource kit for trade 
   unions」◇◆
   発行:(財)日本ILO協会(TEL: 03-3294-3341、http://www.jilo.or.jp )
   監修・著:木村愛子 日本語 325pp. 2,200円+税

 国際自由労連(ICFTU)に加盟する148カ国労働組合の全組合員数1億5,600万
人中女性は6,100万人余りで約39%を占めていますが、労働組合の指導者層となるとそ
の数はぐっと少なくなり、わずか1%です。働く女性が増えるにつれ、組合に参加す
る女性も増えてきているものの、組合は未だに女性の利益を十分に代弁できる組織に
なっていません。本書は、2002年にILOが労働組合向けに、男女平等の推進や女性
労働者の保護のための活動を支援する目的で作成したものの日本語版です。労働組合
内で男女平等を推進する方法、団体交渉を通じて男女平等を推進する方法、パートや
若年労働者といった多様なグループを組織する方法など、世界各地で見られる事例の
紹介、背景情報に加え、行動のための実用的なガイドライン、チェックリストを盛り
込んだ分かりやすい手引きとなっています。

□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
                    (ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇国際研修センター◇◆
★ウェブサイト・リニューアル
 ILOの研修機関である国際研修センター(通称トリノセンター)のウェブサイト
が新しくなりました。研修プログラム、活動案内、出版物、イベント情報など豊富な
情報が満載です。

国際研修センター(英・仏・西語)----->
http://www.itcilo.org/

◆◇国際労働問題研究所◇◆
★ディーセント・ワーク推進のための労働・社会政策に関する第39回国際インターン
シップ・コース(2004年5月12日〜6月1日)
 労働関係省庁・労使団体の中級レベル職員を対象に毎年開かれる研修講座の案内。

国際インターンシップ・コース(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inst/edu/courses.htm

◆◇米州間職業訓練研究・文献センター(CINTERFOR)◇◆
★新刊
 中南米の職業訓練に関わる次の2冊の英文新刊が発表されました。どちらも全文ダ
ウンロードできます。

●中南米の企業の実例をもとに、訓練を通じた生産性向上・労働条件改善の手段を分
析する「Training, productivity and labour competencies in organisations: 
Concepts, methodologies and experiences(組織における訓練、生産性、労働能
力の概念、方法論、経験・英語)」----->
http://www.ilo.org/public/english/region/ampro/cinterfor/publ/mert_pro/index.htm
●中南米の職業訓練機関の間で広まっている、訓練プロセスの品質証明に国際基準を
用いる風潮を紹介する「Quality management in vocational training: The use 
of standards and their different applications(職業訓練における品質管理:
基準の利用と各種の適用・英語)」----->
http://www.ilo.org/public/english/region/ampro/cinterfor/publ/papel/12/index.htm

◆◇第10回国際職業性呼吸器疾患学術会議(北京・2005年4月)◇◆
 1930年の第1回会合以来、世界のじん肺対策に多大な貢献をしてきた国際職業性
呼吸器疾患学術会議の第10回会合が、ILOと中国政府の共催で、2005年4月19〜
22日に北京で開催されます。今回は「21世紀の職業上の呼吸器系危険:予防と管理
のための最善の慣行」をテーマとし、職場における空気汚染が健康に与える影響、
職業性呼吸器疾患の予防・管理に関する科学・専門情報を交換する絶好の機会を提
供します。論文抄録の提出期限は2004年10月15日です。詳細は下記ウェブサイトへ。

第10回国際職業性呼吸器疾患学術会議(英語・中国語)----->
http://www.icord2005.com/

★ILOWhat's Newページ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/new/index.htm

□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
 ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
 第24回は、今年の総会で統合方式に基づく一般討議が行われる国際労働力移動
(international labour migration)について、総会討議資料「Towards a fair 
deal for migrant workers in the global economy(グローバル経済における移
民労働者の公正な処遇に向けて)」の概要をお伝えします。

◆◇国際労働力移動(international labour migration)◇◆
★国際労働力移動の現状
 1998年の統計によれば、先進国で働く移民労働者数は先進国労働力人口の約4.2%を
占めていました。2000年現在、世界人口の3%に相当する約1億7,500万人が外国で暮
らし、このうち最低でも8,600万人(うち途上国に3,400万人)が経済活動に従事して
いると推計されます。外国で暮らす人の数はこの10年間、世界人口の伸びを上回る年
600万人のペースで増え続けています。
 先進国へ向かう途上国の人々の8割が米国、11%がカナダとオーストラリアを目的
地とします。欧州連合(EU)内では、主にフランス、ドイツ、イタリア、英国が途
上国の人々を吸収しています。このような南から北へ向かう従来の動きに加え、最近
では近隣諸国間を中心とする途上国間移動も増え、登録移民の半数近くを占めていま
す。
 移民労働者は依然大多数が不熟練職に従事するものの、統一した傾向はなく、例え
ば、経済協力開発機構(OECD)加盟国の一部では、1995〜2000年に不熟練労働者
よりも高学歴移民労働者の方を多く受け入れています。
 最近は一家の大黒柱として自ら外国に職を求める女性が増える一方で、先進国の高
齢化による医療・保健職の女性労働者に対する需要、一部途上国の生活水準の向上に
伴う家事労働者への需要が生まれています。労働集約型産業やサービス業の労働者の
大半を女性が占めるようにもなっています。
 正式な渡航書類なしに入国する外国人、そして観光ビザで就労したり、ビザ失効後
に超過滞在する人々までを含む「非正規移民」は80年代以降増加しており、各種の情
報を総合すると移民全体の10〜15%を占めると推計されます。

★国境を越えて人が移動する理由
 国際労働力移動を推進する要因は複雑かつ多様で、高賃金やより良い機会を求めて
の場合が多いものの、飢饉、自然災害、武力紛争や迫害によって自国を去ることを余
儀なくされる人々もいます。国際労働力移動は、グローバル経済の経済利益が貧しい
国々や人々に行き渡っていない事実を反映するものでもあり、ソマビアILO事務局
長はこれを「世界経済を人々の視点で見た場合、最大の構造的な欠陥は、人々が生活
している場所に十分な仕事を創出できないということ」と指摘します。
 貧しい国と裕福な国の賃金・所得格差の拡大、途上国の失業・不完全就業の問題、
乏しい天然資源に対する人口圧力、幾つかの国で見られる急速な高齢化と労働力不足、
加速する都市化、交通・通信費の急激な下落、貿易や観光を通じた国家間のつながり
の強化、マスコミ等を通じた裕福な国のライフスタイルに関する情報の普及、幾つか
の国における人権の否定、過去の移民同士のネットワークの形成といった様々な理由
から国際労働力移動は今後も成長を続けると予想されます。

★国際労働力移動の影響
 経済発展の一過程として、国際労働力移動が受入国・送出国に与える影響は、プラ
スの場合もマイナスの場合もあります。
<送出国に対する影響>
 世界銀行の最近の調査では、途上国が外国から得る収入源は1位が外国直接投資、
2位が移民の送金であることが示されました。国際労働力移動はまた、経済発展を支
える国際的なネットワークの形成をもたらします。例えば、現在5,500万人と推計され
る華僑の中国に対する総投資額は600億ドルに達すると推計されます。帰国した移民は
貯蓄と技能を持ち帰ります。アジアのIT労働者の大規模な国外流出は、技能移転、
外注取り決め、投資流入といった恩恵を送出国にもたらしました。送出国政府はこの
ような国際的なネットワークの潜在力にますます目を向けてきており、例えば、アフ
リカ連合は国外に移住したアフリカ出身者に地域の開発に積極的な役割を担うよう求
めています。
 このような利点がある一方で、技能労働者や元気な若者の喪失、国の生産高や税収
の減少といった問題もあります。90年代前半から顕著になってきた頭脳流出と呼ばれ
る高技能労働者の国外流出は、開発を遅らせる悪循環を招く可能性があります。エイ
ズ等で保健医療に対する需要が高まっているアフリカにおける医師や看護婦の国外流
出は、医療の質の低下を招いています。ある推計によれば、途上国に残っている科学
者やエンジニアは約140万人であるのに対し、先進国の研究開発部門では40万人以上の
途上国出身者が働いているとされます。
 大半の途上国は少なくとも短期的には、送金その他人材の喪失を相殺するほどのコ
ネクションの形成によって国際労働力移動は経済利益をもたらすと考える傾向があり
ます。しかしながら家族や社会の分裂の点から高い社会費用も発生し、親が外国で働
く子どもが学校を中退したり、虐待を受けたり、放任状態に置かれる場合もあります。
<受入国に対する影響>
 受入国では通常、経済的影響よりも社会的影響に関心が集まっています。カナダの
ように文化的摩擦の困難を乗り越えた国もありますが、移民が自国民の仕事を奪って
いると認識されているところでは特に、人種主義や外国人排斥運動を伴う非常に否定
的な反応が見られます。
 受入国に対する移民の経済効果は利益となる場合が圧倒的で、人口の若返りやイン
フレのない経済成長が刺激されます。第二次世界大戦後、移民労働者は欧州の約30年
にわたる持続的な成長に寄与してきましたし、東アジアや西アジアでは70年代以降に、
移民労働者が高度成長の手助けをしています。北米では、カナダや米国への移民が何
世代にもわたり人口や経済の再活性化をもたらしました。
 先進国で見られる外国人労働者の影響を巡る懸念の多くが根拠がないか誇張され過
ぎています。例えば、不熟練労働者の流入がすべての不熟練労働者の賃金を引き下げ、
所得分布を悪化させるとの懸念が多く見られますが、欧米の研究から、国際労働力移
動による賃金変動はほとんどなく、却ってより高技能の労働者の賃金が移民の増加に
よって上昇したことを推測させるケースさえ示されています。確かに企業が自国民に
代えて外国人労働者を採用する場合はありますが、これは必ずしも全体的な失業率の
上昇を意味せず、いくつかのOECD諸国で失業と国際労働力移動の相関関係につい
ての研究が行われていますが、はっきりとした結論は出ていません。
 もう1つの経済的な懸念は移民の国庫に対する寄与率と受益率のバランスですが、
その多くは移民の年齢と福祉・租税制度の特性に左右されます。ドイツで行われたあ
る研究では、30歳で移民する人は一生を通じて11万ユーロの純寄与分があるのに対し、
1歳未満の幼児では公共財政に生涯で6万ドルの負担を課すとの推計が出されていま
す。英国内務省のある研究では、1999/2000年に英国の移民が受け取った給付や国家
サービスは288億ポンドに相当するのに対し、支払った税金額は312億ポンドになると
推計されています。移民を巡る経済費用の計算には、受入国の人口動態を考慮に入れ
ることが必要です。日本や欧州では高齢化が急速に進んでいますが、現行の政策が変
わらないとすれば、EU15カ国(拡大前)が現在の社会保障と生活水準を維持するに
は、今後50年間で約3億8,800万人の純人口増を必要とすることを示す分析結果が出さ
れています。ただし、引退年齢を65歳に引き上げることによって、必要な移民数は約
1億1,200万人に減らすことができるとされます。

★移民労働者の労働条件
 現在の国際労働力移動の展開の仕方には多くの懸念材料があります。多くの移民が、
強制労働、低賃金、劣悪な労働条件、社会保護の実質的な欠如、結社の自由及び組合
の権利の否定、差別と外国人排斥、社会排除といった差別的・搾取的状況に直面して
います。移民労働者と自国民労働者の失業率、雇用保障、賃金が異なる場合もしばし
ばで、例えば、2000〜01年にOECD諸国では、移民労働者の失業率が平均して非移
民の約2倍に達しました。労働条件と待遇における格差は移民労働者間でも見られ、
その一部は移民の身分、技能、職種や就労部門によりますが、意図的な差別待遇も一
部に見られます。短期出稼ぎ外国人労働者の労働条件は非常に不安定で、その身分上、
社会保障や雇用給付の受給資格がない場合がしばしばです。ILOの調査によると、
調査対象国の半数近くがすべての労働者を職場における差別から保護する国内法を備
えていますが、約3分の1の国は、この権利を正規移民労働者と自国民にしか適用し
ていません。
 民間の職業斡旋業者が有料で国際労働力移動を手がけることが増えてきていますが、
これらは非倫理的な慣行に走り、非正規移民を助長したり、存在しない仕事に労働者
を送り込んだり、偽の情報を提供したり、法外な料金を請求するなど、移民に多大な
苦難を強いる場合があります。非正規状態にある移民や人身売買または密入国による
移民の不安定な状況はさらに一層歴然としており、しばしば敵対的な労働条件や処遇
にさらされます。
<移民労働者が多く見られる産業部門>
 移民労働者は、季節労働、国際生産体系の末端に位置する競争が熾烈な小規模生産
部門、低技能職、企業の栄枯盛衰が激しい産業といった国内労働者にとって魅力的で
ない経済部門に集中する傾向があります。農業、建設業、労働集約的な製造業、サー
ビス業に多く見られ、特に女性家事労働者、非正規の身分にある人々、人身売買の被
害者など最も弱い立場にある移民労働者がこれらの産業に従事しています。
 農業労働は非常に危険で、ILOの推計によれば、毎年、職場における死亡事故の
半数以上が農業で発生しています。移民労働者の子どもを含み、児童労働も多く見ら
れます。90年代には、業者を使って季節労働者を調達する傾向が強まり、途上国でも
先進国でも労働条件が低下しました。建設業は昔から低賃金国の移民労働者を採用す
る伝統がありますが、下請けや民営化が進むにつれ、ここでも臨時雇いや不安定な労
働が増えてきています。一方、グローバル化による国際的な資本移動や工場の途上国
移転が見られる製造業では移民圧力が減る一方、低賃金の移民労働者を用いる搾取工
場が先進国に再登場しました。世界の国内総生産の64%を占めるサービス業は、外国
人労働者への依存を強めながら成長しました。外国人労働者は介護・看護やホテル・
飲食、観光といった産業で見られます。この部門では未申告の労働や非正規労働者が
しばしば見られ、経験よりも国籍に基づく賃金差別が存在し、家事労働者は半奴隷状
態や強制労働のような深刻な搾取的状況に置かれる場合があります。

★関連国際基準・ガイドライン等
 国際基準の設定が国際的な活動の中心になってきました。ILOの労働基準は原則
として移民労働者にも適用されますが、特に移民労働を扱う基準として、ILOは他
に先駆けて第二次世界大戦後の1949年に移民労働者改正条約(第97号)及びそれを補
足する勧告(第86号)を、石油危機後の1975年に移民労働者(補足規定)条約(第143
号)と同勧告(第151号)を採択しています。国連総会は1990年に「すべての移住労働
者とその家族の権利の保護に関する条約」を採択しています(発効2003年)。移民問
題に係わる国際機関同士の定期的な協議に加え、2003年12月には国際移住世界委員会
が設置されました。国連の人間安全保障委員会やILOのグローバル化の社会的側面
世界委員会も国際労働力移動の問題を取り上げています。
 第97号条約及び第86号勧告は、移民労働者の募集と労働条件に適用される基準に焦
点を当てています。1975年までに、失業問題と非正規移民の増大に対する各国の懸念
が高まり、余剰労働力の国際移動を円滑化することから移民の流れを規制する方向に
焦点が移動しました。こうして採択された第143号条約と第151号勧告は非正規移民の
問題を扱い、人身売買業者の処罰を求める最初の国際的な取り組みを表しています。
第143号条約は加盟国はすべての移民労働者の基本的人権を尊重する一般的な義務があ
るとし、正規移民労働者の機会均等に関する規定を盛り込んでいます。これらの基準
は、移民労働者に関するモデル協定の開発も含み、国際労働力移動を二国間で規制す
ることを唱えています。2004年5月現在、第97号条約の批准国は42カ国、第143号条約
の批准国は18カ国です(日本はいずれも未批准)。
 1998年に、条約勧告適用専門家委員会は、移民労働者に関するこれらの基準を詳細
に検討し、労働の世界における国の主導的役割の縮小、女性移民の増加、一時的移民
に向かう傾向の拡大、不法移民の増加、新しい交通形態の発展など採択時からは国際
的な状況が変化したと結論づけ、基準と現状のギャップをいくつか指摘しました。専
門家委員会はまた、条約が政府に労使団体との協議に基づく移民政策の開発を求める
強行規定を欠いている点も指摘しました。
 移民労働者に関連する規定は、この他のILO基準にも多く含まれています。社会
保障に関する基準の中には、自国民と外国人の均等待遇を規定するものもあります。
1998年の仕事における基本的原則及び権利に関する宣言は、ILO加盟国は関連する
条約批准の有無にかかわらず、仕事における4つの原則と権利(結社の自由及び団体
交渉、強制労働の廃絶、児童労働の撤廃、機会と待遇の平等)を尊重する義務がある
としますが、これらは移民労働者に関わりがあります。
 国連の「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する条約」とILOの基
準が対象とする範囲は同じですが、国連の条約では「移住労働者」と「家族」の定義
がILOより幾分広く、辺境労働者、さらにいくつかの点では自営移住労働者も対象
としています。この条約は、国内法制に適した明確な規範的文言を規定することによっ
て、弱いグループに普遍的な権利の保護を拡張しようとしています。この他の関連す
る国連文書には、1948年の世界人権宣言、1979年の女子に対するあらゆる形態の差別
の撤廃に関する条約、そして2000年に新たに採択された国際組織犯罪防止条約が挙げ
られます。国際組織犯罪防止条約には人身取引と密入国に関する補足議定書が付属し
ています。
 この他に世界貿易機関(WTO)は国際労働力移動に関する重要な一連の国際規定
を開発しましたが、これには個人が国外に移動し、働く場合に満足すべき要件が含ま
れています。自然人の移動は「サービスの貿易に関する一般協定」に基づく4つのサー
ビス提供形態の1つに該当します(第4モード)。ただしこれは、短期出稼ぎ労働し
か対象にしていません。
 地域機関は国際労働力移動の管理活動も行っています。例えば、EUは国際労働力
移動に関する綿密な一連の措置を備えており、南米やアフリカ等の地域機関でも移民
に関する協定の起草・合意が見られます。大部分が個人または家族の意思に基づく現
在の国際労働力移動に対し、50〜60年代には移民のかなりの部分が政府間の二国間協
定に基づき実施されていました。国は移民の流入を目指した国家計画を立案し、斡旋、
就労、帰国の組織編成に積極的に関与し、密接に監督していました。石油危機及び世
界的景気後退を経て、移民労働者に対する需要が低下した結果、70年代半ばまでに二
国間体制は衰退し、より緩やかな枠組み協定、合意覚書、協力宣言に置き換えられま
した。現在は労働力移動政策の大半が片務的で、受入国が一方的に移民を受け入れる
計画を発表していますが、90年代以降、二国間協定が再び勢いを取り戻しつつありま
す。これらは不法移民の制限のような広範な目的を備えており、経済・社会問題を幅
広く扱ったものもあれば、農業季節労働に関わる問題に焦点を当てたものもあります。

★ILOの取り組み
 国際労働力移動に対するILOの取り組みは5つの要素を柱としています。
 (1)仕事における基本的人権を始め、移民労働者の権利を保護する国際基準の開発
   と監視
 (2)国際労働力移動及び移民労働者の状況の監視
 (3)各国がILOの原則に基づき、国際労働力移動に関する一貫性のある政策及び
   措置を開発する際の支援
 (4)社会的パートナー(労使)との協議のための体制や機構の設立など、加盟国の
   移民管理能力向上に対する支援
 (5)移民労働者の社会・経済統合の推進
 ILO事務局の活動はこれらの柱を反映する方向で展開されており、◇調査研究及
び国際労働力移動データベースを通じた国際労働力移動に関する国際的な知識基盤の
構築、◇関連ILO基準の推進及び適用監視、◇移民及び統合問題に関する社会対話
の推進及び強化、◇政府及び社会的パートナーの政策策定能力及び行政の能力向上を
支援する技術協力、◇子ども及び成人の強制労働及び人身売買の撲滅、HIV/エイ
ズのリスクにさらされているグループの保護、統合と差別撤廃に向けた特別行動計画、
◇移民に関する国際的な協力枠組みの構築といった分野に分類されます。
 活動の実施においては、ILO内のあらゆる部門で進められている作業がベースに
なっています。雇用政策活動は移民圧力に寄与する要因のみならず、移民労働者の雇
用条件にも取り組んでいます。仕事における基本的原則及び基準に関する活動は、権
利を基礎とした移民管理を推進する上で中心的な役割を果たしています。安全でより
良い労働条件の推進、より多くの人に対する社会保障の拡張を目指した活動は移民労
働者にも国内労働者にも等しく関わりがあり、社会対話の確立と強化は健全な移民政
策の考案、それに対する支援の構築において決定的に重要です。
 ILO内で移民問題を専門に扱っているのは国際労働力移動部ですが、この中心的
な業務は以上のような一連の活動を基礎とした統合的な活動計画の構築にあります。
ILOは2003年に、例えば、タイの移民労働者の身分の正規化に向けた活動を行い、
自由な労働力移動を支援する西アフリカ諸国の政策を調和させ、西欧における移民差
別の削減につながる最善の慣行の把握と文書化を進めました。ネパールやタンザニア
等における募集管理の改善、移民が出身地域社会へ投資するよう誘導する方法につい
てのメキシコに対する助言、中米の移民家事労働者の労働条件評価、独立国家共同体
(CIS)地域の複数国における若い女性の人身売買をなくす戦略の開発といった活
動も行いました。ILOの活動の成果は、世界の多くの部分で移民の状況改善をもた
らす大きな可能性を秘めています。例えば、タイにおける移民管理についての技術支
援プロジェクトによって、移民労働者に国内労働者と同率の賃金・給付を求める覚書
がミャンマー、ラオス、カンボジアと締結されました。韓国では外国人研修生制度の
問題点を指摘し、労働省に最善の慣行についてのアドバイスを提供しました。韓国で
新たに制定された外国人労働者の短期受入・就労に関する法はこの助言を一部受け入
れています。ベルギーでは2003年に、移民と少数民族労働者に対する差別対策に関す
る調査研究を行い、EUの人種差別指令に実効性を持たせるための法整備を支援しま
した。同じく2003年、アイルランドの政労使に対し、反差別と統合に関する行動計画
立案の支援を提供しました。加盟国からは、さらなる技術支援と政策助言に対する要
請が強く表明されています。

★明るい未来のために−考えられる政策対応
 今後も拡大が続くと予想される国際労働力移動のプラスの効果を最大限にし、すべ
ての人々に恩恵をもたらすようにその流れを管理する方法をいかに工夫するかが今後
の課題です。
 現在、国際労働力移動を管理するシステムはバラバラで、多くの場合機能していま
せん。労働力移動が多様化している現在においては、伝統的な二国間協定の適用範囲
は限られてしまいます。国際労働力移動の分野における地域的な協働努力に見られる
ように、移民労働者の権利保護には多国間協力が必要です。そこで、国際労働力移動
が確実に成長と開発を推進する力となるよう支持する国家・国際政策を支援する体制
を構築する必要があります。
 このような政策は一貫性をもち、相殺効果を認め合ったものでなくてはなりません。
一貫性を持たせる1つの方法として、経済や社会の要求事項を長期的な視野で捉え、
多くの団体、機関、権益を議論に関与させて幅広い政策支援を得る方法がありますが、
この点で社会対話には特に重要な役割があります。労働力移動は、たとえ一時的なも
のでも、社会と政治の大きな調整を必要とします。そこで、単なる入国管理に留まら
ず、経済、政治、社会のすべてにわたる複雑な一連の問題点と利害を調和させ、移民
政策を各種の計画の主流に組み込むことが求められます。
 移民政策の基礎となる原則は、公正で合法的な労働力移動を支持し、外国人労働者
と自国民労働者の平等待遇を確保しながら、処罰などを通じて非正規労働者の雇用を
抑制することでなくてはなりません。移民労働者の労働条件と待遇を改善する措置と
政策を奨励するには、労働者に対する権利の通知、送出国と受入国間の対話と密接な
協力、移民の募集を請け負う業者に対する規制強化、労働組合・使用者・政府・社会
が共同で虐待と戦う協力体制の構築、雇用契約違反があった場合、使用者と斡旋業者
の連帯責任を問うといった措置が考えられます。既に、受入国・送出国双方の労働組
合が共同で情報センターを設立したり、消費者団体、労働組合、使用者、政府が共同
で反搾取工場キャンペーンを展開するなどの動きが見られます。
 政策は、立場が非常に弱い非正規移民の問題も含む必要があります。国境警備の強
化や労働者の強制退去といった従来の措置は効果が限定的で、ILOの加盟国政労使
は合法的な移民機会の拡大という代替策を支援しています。これには既に国内に滞在
する移民に対し、特定の最低要件を満たした場合、正規の身分を獲得する道を開くこ
とが含まれます。同様に、人身売買対策は法の執行と規制に重点を置く傾向がありま
したが、長期的により効果的な戦略とするためには、人身売買を独立した犯罪として
扱うと共に包括的な移民政策を取る必要があります。これには送出国における生産的
な雇用の創出、合法的な移民経路活用の道を開くことが含まれます。受入国政府が、
雇用機会の拡大、人的資源の水準向上を目指した開発援助を送出国に提供して移民圧
力を減らすこともできるでしょう。
 国際労働力移動の管理に向けた、権利を基盤とする国際体制は、国際社会を通じて
開発・実施される統治原則の枠組みに根ざす必要があります。それは、すべての人々
が許容でき、国際協力活動の基礎になるようなものでなければなりません。この点で
ILOが果たし得る役割は、国際基準の推進、国際労働力移動に関連する複雑な問題
の分析及びデータの提供、討議の場の提供、社会的パートナーの関与の奨励など、各
種あります。2004年6月の総会では、既存のILOの活動成果に根ざし、その活動手
段を活用して、政府及び労使団体にどのような支援を提供できるかについて討議が行
われることとなるでしょう。国際労働力移動に関する国際フォーラムの設置は、その
ような支援として考えられる方法の1つです。

第92回ILO総会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/index.htm
国際労働力移動部(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/migrant/index.htm

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