ILO駐日事務所メールマガジン 【No. 26】
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ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
2004年7月15日号 No. 26
駐日事務所(日本語・英語) http://www.ilo.org よりJapaneseを選択
本 部(英語) http://www.ilo.org
◎お問い合わせはこちらまで ilo-tokyo@ilotokyo.jp
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:::::::::::<目 次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2004年7月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−フィラデルフィア宣言採択60年後の世界::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−CSRフォーラム ほか::::::::::
:《4》ILO新聞発表−HIV/エイズ報告書::::::::::::::::
:《5》新刊紹介−健康な出産 ほか:::::::::::::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−ILR最新号 ほか::::::::::::::
:《7》トピック解説−部門別会合::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
(2004年7月1日現在)
◇加盟国数...177 ◇日本の批准条約数.........46
◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......41
◇勧告の数...195(うち撤回36) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71
□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■
★ ☆ フィラデルフィア宣言採択60年後の世界 ☆ ★
今年は、歴史的な意義を持つILO「フィラデルフィア宣言(1944年)」の採択60
周年にあたります。この宣言は、人類の2度目の世界大戦の最中に、いち早く紛争の
原因でもあり結果でもある「貧困問題」を見据え、有名な「一部の貧困は全体の繁栄
にとって脅威である」との信念を打ち出し、第二次世界大戦後の人権を基礎にした開
発援助のスタート点を築いたと言って過言ではないでしょう。「国連第一次開発の十
年」の最終年1969年は、ILOの生誕50周年で、ノーベル平和賞が授与されましたが、
当時の事務局長の行った記念講演は、今の事務局長のスピーチと言われても信じられ
るほど酷似しています。これは、真実は時代を越えて不変ということもありますが、
長いたゆまざる国際・国内での努力にもかかわらず、貧富の格差は拡大を続け、90年
代から顕著になったグローバル化がむしろ格差を生み出しているという現実が大きい
と思われます。
国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告(2003年)」が指摘しているように、
貧困の原因の理解は深まっていますが、「貧困削減」は地球規模での今世紀最大の課
題になっています。ここにILOが目標としている「ディーセント・ワーク」の達成
が重要なカギとして認識されるのですが、21世紀の課題は、国、コミュニティ、個人、
そしてもちろん企業も労働組合も市民社会組織も、それぞれの役割を果たしつつ、
パートナーシップをいかに構築していくかでありましょう。20世紀は、法律や組織と
いった枠組み作りへ大きな努力がさかれ、これはもちろん基本的に不可欠ですが、事
の本質上、労使を不可欠のパートナーとしている労働・仕事問題を越えての(それゆ
えILOは政・労・使三者構成ですが。)市民社会組織の役割が大きく認識されるよ
うになったのは90年代に入ってのことです。
国連世界会議の一例として、1995年に北京で開催された女性会議では、「エンパワ
メント」が謳われましたが、その10年前85年の世界女性会議(ケニアのナイロビで開
催)の議論は、もっと結果重視型で、「パワーシェアリング」(男女間の)が大方の
賛同を得ていたのに対し、視点がずっと個人や組織がいかに力を発揮できるかに変わっ
てきました。もちろん、その結果も重要ですが、「エンパワメント」は全員参加型の
意思決定に欠かせない基礎条件です。
そして、ディーセント・ワークに戻ると、貧困削減のための個人やグループで行う
仕事起こしでは、決定的に重要なことで、私が個人的に関わっているアジアとヨーロッ
パでの女性の経済エンパワメントの分析から何が得られるか、何か新しいことが見つ
かるか、今後1年ぐらいの楽しみが続きます。小規模の調査研究ですが、完成の暁に
は皆様と情報をシェアしたいと思います。
□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇7月に福岡県内で児童労働写真展、ILO駐日代表講演会◇◆
関係諸機関のご協力を得て、7月に福岡県内で堀内光子ILO駐日代表出張講演、
児童労働写真パネル展が開催されます。いずれも入場無料です。この機会に是非お越
しください。
<堀内光子ILO駐日代表講演>
◎財団法人アジア女性交流・研究フォーラムKFAWカレッジ「国際社会の今をジェ
ンダーで読み解く」(7月16日・北九州市立男女共同参画センター)
◎九州大学ビジネススクール/財団法人アジア女性交流・研究フォーラム共催国際協
力50周年記念事業講演会「グローバル化と仕事」(7月17日・九州大学箱崎理系地区
21世紀交流プラザ)
<児童労働写真パネル展>
◎児童労働写真パネル展(7月20〜23日・福岡市役所1Fロビー)
★講演会・写真展詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★KFAWカレッジ詳細----->
http://www.kfaw.or.jp/event_info.html#gender
★九州大学講演会詳細----->
http://www.kyushu-u.ac.jp/event/event_02.html
◆◇企業の社会的責任とディーセント・ワーク・フォーラム(東京・7月21日)◇◆
「企業の社会的責任(CSR)」については、日本経団連による「企業行動憲章」
の採択、また国際標準化機構(ISO)が社会的責任に関する国際規格の作成を決定
するなど、国内外において今後ますます取り組みが活発になると見込まれています。
ILOはCSRをめぐる議論に「仕事」の側面から大きく関わっており、国連のグロー
バル・コンパクトへの協力に加え、「多国籍企業および社会政策に関する原則の三者
宣言」や中核的労働基準など、CSRの内容に密接に関わる規範・基準を策定し、適
用を推進しています。CSRに関わるILO内での最新の動向、調査研究成果などに
関し、調査研究のため来日中のILO雇用総局多国籍企業プログラムのキー・ボーン
・キム・テクニカルスペシャリストより報告してもらう機会を、来る7月21日(水)
午後2時〜5時半に設けました。ゲストとして創価大学教授の栗山直樹氏、麗澤大学
教授の梅田徹氏をお迎えし、コメントをいただきます。CSRに関心のある多数の方々
のご出席をお待ちしています(同時通訳付、入場無料、会場:UNハウス)。
★フォーラム参加方法、プログラム等詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#2004csr
◆◇ILOフォーラム「仕事における安全・健康文化」(東京・7月26日)◇◆
4月28日の「仕事における安全・健康のための世界の日」を記念して、ILO駐日
事務所では4月28日〜6月30日の日程で、職場の安全と働く人々の健康を守る実践例
・アイデア等を募集するインターネットフォーラムを開催しました。来る7月26日
(月)午後2〜5時にUNハウス5階エリザベス・ローズ・ホールにて、インターネッ
トフォーラムの成果をもとに、実践事例のビデオ紹介や仕事における安全・健康文化
のあり方の話合いを行う公開フォーラムを開催します(入場無料)。この機会に是非
お越しください。
★フォーラム参加方法、プログラム等詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2004osh/index.htm
★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm
□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
(7月1〜14日発表分)
◆◇2004年7月6日(火)発表ILO/04/34◇◆
◆◇2004年7月12日(月)発表ILO/04/35◇◆
★仕事の世界とHIV/エイズ−ILO新刊
7月11〜16日の日程でバンコクで開かれている第15回国際エイズ会議に際し、IL
Oは仕事の世界に対するHIV(エイズウイルス)/エイズの影響を初めて国際的に
分析した報告書「HIV/AIDS and work: Global estimates, impact and response
(HIV/エイズと仕事:世界の推計、影響、対応・英文)」を発表しました。サハ
ラ以南アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ諸国、そして一部先進国(米国、
ロシア)の50カ国について、仕事の世界に対するHIV/エイズの影響と各国の対応
を分析する報告書は、生産年齢(15〜64歳)にある3,650万人がエイズウイルスに感
染していると推計します。そして、エイズが原因で失われた労働力人口の累計は、2005
年までに世界全体で2,800万人になり、治療の機会が拡大されない限り、この数字は
2015年までに7,400万人に達し、労働者の最大の死亡原因の1つになると予測します。
HIV/エイズのために働くことができなくなる労働者の数は、2005年に200万人に
達すると推計されますが、家族が主として看護責任を担う途上国では特に、これによっ
て約同数の生産年齢人口が看護に時間を取られるという間接的な影響が生じています。
報告書はさらに、人的資源を破壊し、労働者及び使用者の生産能力を弱めることによっ
てHIV/エイズは国内総生産(GDP)の伸びと1人当たりGDPに深刻な影響を
与えるとし、統計が得られる国では、1992〜2002年の間にHIV/エイズの影響で、
年当たりでGDP成長率が0.2%、1人当たりGDPの伸びが0.1%低くなったと記し
ています。看護責任を主として担う女性に多大な負担がかかり、親を失った子どもが
働かざるを得ずに児童労働が増加するなど、HIV/エイズの影響は様々な分野に広
がっています。HIV/エイズの影響は各種産業分野に幅広く見られるものの、教育
及び保健衛生分野で特に深刻と報告書は指摘し、これらの産業におけるエイズによる
死亡率は2010年までに最大4割に達するだろうと予測します。
このような状況に対し、世界各地で職場関連の多様なHIV/エイズ対策が取られ
ています。ILOは2001年に働く世界におけるHIV/エイズの問題を特別に扱う事
業計画を設け、職場における対応の指針となるような実施規準(日本語版あり・1,000
円)を起草しました。職場におけるHIV/エイズの影響を緩和し、エイズ患者・H
IV感染者の権利を保護する上で重要な役割を演じるような法の整備を行った国もあ
れば、予防と治療に焦点を当てた様々な対応をとっている国も多く見られます。
職場は、HIV/エイズについて話し合うには最適で、予防スキルが直接伝達され、
治療が特に生産性を発揮するため、HIV/エイズに包括的なアプローチを取るには
理想的な媒体と報告書の著者は語っています。
新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/34.htm
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2004/35.htm
HIV/エイズと仕事報告書(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/trav/aids/publ/global_est/index.htm
HIV/エイズと働く世界ILO計画(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/trav/aids/index.htm
HIV/エイズと働く世界実施規準(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/trav/aids/code/codemain.htm
★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm
□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「健康な出産:働きながら安全な妊娠生活を送るための手引き
Healthy Beginnings: Guidance on Safe Maternity at Work」◇◆
J. Paul著 英語 2004年刊 108pp. 2,000円
女性にとって出産は自然な営みです。それは健全で前向きな経験であるべきですが、
少なからぬ職場で、妊娠・出産に悪影響を及ぼす危険が存在しています。本書は標題
のとおり、そのような職場で働く女性が、安全な妊娠期間を過ごし、無事に出産する
ための手引き書です。
本書はILOの2000年の母性保護条約(第183号)及び同勧告(第191号)に基づき、
(1)妊娠中働いている、(2)出産したばかりである、(3)妊娠期間後職場に復帰する、
(4)母乳育児をしている、あるいは復帰後そうすることを望んでいる、女性と子供を保
護するための実践的な手段を明確にしています。本書の中では、次のことが説明され
ています。(1)女性と胎児を妊娠期間中に保護するための職場の健康保護に関するIL
O基準、(2)妊娠期間前後の変化が働く女性にどのような変化を及ぼすか、(3)職場に
共通して存在する出産に関するリスクの情報、(4)危害や関連するリスク情報、(5)特
定の主要なセクターにおけるリスク情報、(6)労使、その他の関係者がリスクと危険な
影響を避けるためにできること、(7)職場のベスト・プラクティスの具体例。妊娠した
女性の体が遭遇するリスクを説明し、また主要セクターごとにリスクの種類が描かれ
ており、母性保護の参考になる情報が多く、理解のしやすい形で含まれています。
さらに、1から9に及ぶ付録の中では、感染リスク、化学物質リスク、肉体的リス
ク、肉体的・精神的要求、労働条件、職場の安全と衛生面におけるリスクの各項目を
特定するためのチェックリストも含まれています。
妊娠女性が働く職場では大いに参考になるものと思われます。
◆◇「グローバル経済における移民労働者の公正な処遇に向けて
Towards a fair deal for migrant workers in the global economy」◇◆
第92回ILO総会(2004年)第6議題資料
英語 2004年刊 210pp. 2,000円
及び
◆◇「ILO労働力移動調査2003年:国別概要
ILO migration survey 2003: Country summaries」◇◆
英・仏・西語 2004年刊 437pp. 5,000円
前者は、今年のILO総会で行われた統合方式に基づく一般討議の議題資料です。
資料作成に先立ち実施された国際労働力移動に関する調査に対する加盟国からの回答
を盛り込み、国際労働力移動の傾向とその影響、移民労働者の状況、法及び慣行、人
の移動や移民労働者の雇用を規制する体制・政策における経験といった最新の情報が
記されています。第1章「グローバル化する世界における労働力移動」では、非正規
移民を含み国際労働力移動の現状を概説し、第2章「人の移動とその影響」では、送
出国・受入国別に人の移動が与える影響を吟味し、第3章「移民労働者の労働条件と
処遇」では、農業、建設業、人身取引の被害者といったいくつかの産業・弱い立場の
労働者を含み、移民労働者の労働条件とそのような状況がもたらされる要因を記し、
第4章「移民労働者と人の移動に対する国際規制」では、この分野における国連等の
文書が、第5章「政府及び社会的パートナーとの協力によるILOの活動」では、I
LOの活動が紹介され、第6章「人の移動のマネジメント」では、各国の経験をもと
に、より良い統治に向けた可能性を探ります。また、資料として国際労働力移動調査
に対する各国の回答のまとめが掲載されています。
後者は、この調査に対する回答を国別に掲載したものです。移民数を含む人口デー
タ、関連する法・規則・政策・管轄省庁、二国間・多国間協定、移民労働者の社会保
護、非正規移民労働者正規化の手続き、海外で働く自国民を把握する手段、関連ウェ
ブサイトといった詳細なデータが日本を含む93カ国について掲載されています。
−−−−−★お知らせ★−−−−−
ILO駐日事務所では、来る10月4日(月)に、法政大学大原社会問題研究所と共
催で、この国際労働力移動をテーマにした第92回ILO総会報告会を開催する予定で
す。会場での配付資料として現在、総会での討議の結果採択された結論文書の日本語
訳を進めています。報告会の詳細は、固まり次第、本メールマガジン及びILO駐日
事務所ウェブサイト上でお知らせします。
議題資料電子版(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/pdf/rep-vi.pdf
第92回ILO総会(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/ilc/ilc92/index.htm
※PDFファイルをご覧になるためにはAcrobat Readerが必要です。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
書籍等購入方法----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/index.htm
駐日事務所資料室新着図書一覧(2004年6月分)----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/publ/new.htm
□■□■□■ I L O 事 務 局 ニ ュ ー ス □■□■□■□■□■□
(ILOウェブサイト新着情報等より)
◆◇出版局◇◆
★ILOの論文集「International Labour Review」最新号:2003年第4号(有料・
季刊)
仕事における平等特集号。[目次]◇仕事における差別と平等概念の概観◇団体交渉
と平等の接合◇インフォーマル経済における仕事上の不平等:主な論点と例証◇機会
平等慣行と企業業績:オーストラリアと英国のデータ比較調査◇人種差別の理論、実
際、政策◇差別対策・平等促進手段としての最低賃金。
International Labour Review 2003年第4号概要(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/sommaire/142-4.htm
◆◇事務局長官房◇◆
★第82回ICA国際協同組合デー及び第10回国連協同組合の国際デー(2004年7月3
日)に寄せるフアン・ソマビア事務局長メッセージ
7月3日の協同組合デーに際し、ソマビアILO事務局長は、地域社会に根を下ろ
しながら、世界全体で8億世帯を代表し、国際社会にも届く声を有する協同組合運動
の公正なグローバル化達成に向けた潜在力を高く評価し、公正なグローバル化の達成、
貧困の悪循環の打破に向けて、男女が共に人間らしく働きがいのあるディーセント・
ワークを確保できるよう国際協同組合同盟(ICA)とILOの協働努力を期待する
旨のメッセージを発表しました。
協同組合デー事務局長メッセージ(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/dgo/speeches/somavia/2004/cooperatives.pdf
日本語仮訳----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/2004coop.pdf
□■□■□■ ト ピ ッ ク 解 説 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ILOの活動内容、仕事の世界に関係するトピックの解説を行っていきます。
第26回は、部門別会合(Sectoral Meetings)です。
◆◇部門別会合(Sectoral Meetings)◇◆
★部門別活動計画
ILOは、労働・社会面の動きを産業的な観点から捉える活動として、部門別活動
計画(Sectoral Activities Programme)を実施しています。この計画は、社会対話
総局内の部門別活動局(Sectoral Activities Department)が実施を担当し、主と
して国際会議の開催とそこでの採択事項のフォローアップ、産業部門毎の時事的トピッ
クに関する実践指向の調査研究、特定産業部門の労働問題解決を支援する技術支援な
どの活動を行っています。
★部門別会合
部門別活動計画の主な活動となる部門別会合については、現在、次の22の産業分野
別に、各5日間の会合が2年間に約12開催されています。
●農業、プランテーション、その他農村部門●基礎金属製造業●化学工業●商業●
建設業●教育●金融その他専門サービス●飲食品、タバコ産業●林業、木材、紙パル
プ●保健サービス●ホテル、観光、飲食産業●海運、港湾、漁業、内水航路●機械/
電気エンジニアリング●報道、教養、グラフィックス●鉱業(炭鉱その他)●石油・
ガス生産、精油●郵便その他通信サービス●公務●繊維、衣料、皮革、履物●運輸
(航空、鉄道、道路輸送を含む。)●輸送機器製造業●公益事業(水道、ガス、電気)。
この中から、特定分野のニーズ(緊急性及び遭遇している問題の規模)とこのニー
ズへの対処においてILOの活動がどれだけ影響力があるかを規準に、4年間隔の開
催になるよう調整の上、産業分野を選択しています。また最近では、2002年9.11テ
ロ直後に、影響が最も大きかった観光、航空業の国際会議を開催したように、国際的
に極めて緊急性の高い問題については即時の対応も行っています。海事部門について
はこの他に、1920年を初回に約10年間隔で海事総会が開かれています(次回は来年)。
公共部門のような政府が唯一のあるいは主たる使用者である経済部門を除き、会合
は政府・労働組合・使用者団体の三者の代表が出席する三者構成を取っています。労
働者側については、国際自由労連(ICFTU)と提携する国際産業別組織(GUF、
旧ITS)が、使用者側については国際使用者連盟(IOE)が出席者の調整を行い、
各会合に労使それぞれ15〜30名が出席しています。政府側については現在、出席を希
望するすべての国が参加できるようになっています。会合では通常、当該部門の労働
問題に関する政策・措置のガイドラインとなる結論が合意によって採択され、それを
フォローアップする活動が進められます。部門別会合とは異なりますが、特定産業に
関する専門家会合が開催されることもあり、ここでは主に当該産業の労働者の安全衛
生向上のための実施規準やガイドラインが採択されています。
この他に、産業別に関係する他の国連諸機関と協力した活動も行っています。例え
ば、1961年に採択された実演家・レコード製作者・放送事業者保護条約(ローマ条約)
については、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、世界知的所有権機関(WIPO)
と共同で事務局を構成し、条約の実施状況を監視しています。教員についても、ユネ
スコと合同の専門家委員会を設置して、1966年に共同で開発した教員の地位勧告、1997
年にユネスコで採択された高等教員の地位に関する勧告について、実施状況を監視し
ています。この他に、船員については国際海事機関(IMO)、医療職員については
世界保健機関(WHO)、農業労働者については国連食糧農業機関(FAO)と協力
活動を行っています。
★産業別活動の歴史
現在の部門別会合の萌芽は、ILO創立間もない1927年に設置された知的労働者諮
問委員会に見られます。産業別の活動はそれ以前にも行われていましたが、委員会形
式で1つの産業分野に特化した持続的な討議の場が設けられたのはこれが初めてでし
た。その後1944年に、第二次世界大戦後のILOの針路を定め、目的を再確認した米
フィラデルフィアにおける総会で、産業別委員会(industrial committees)の設置
が決定されました。決定を受けて、1945〜47年に、内陸運輸、繊維、炭鉱、鉄鋼、金
属工業、石油・精油、建築・土木・公共事業の7産業について最初の産業別委員会が
設置されました。その後、化学、飲食料、林業・木材、俸給被用者・専門職、公務、
郵便・電気通信等14の産業に関し、産業別委員会が常設されました。
理事会は1947年に、産業別委員会の決議及び委員会の将来の活動計画に対する予備
的な審議を行う場として理事会内に産業別委員会委員会を設置しました。この形式は
現在も続いており、部門別会合の議事録と採択事項は、理事会の部門別・技術会合及
び関連事項委員会(Committee on Sectoral and Technical Meetings and Related
Issues)に予備的審議のため提出され、委員会の報告書を理事会が採択する形が取ら
れています。
初期の頃、産業別委員会の会合に関わる事務は、ILO事務局の技術サービス局産
業別委員会課が担当していましたが、委員会数の増大と加盟国政労使からの要望の多
様化に、より体系的に応える部局として、1975年に部門別活動計画という形で現在の
部門別活動局が設置されました。
理事会では産業別委員会の構成や議事規則、活動目的等を随時見直していますが、
1995年に行われた見直しで、委員会形式を廃止し、産業構成を現在の通りに改め、議
題を合理化し、より小規模で期間の短い部門別会合として、産業の要請に応じて非定
期で開催していくことに決めました。従来の委員会形式では、開催頻度(委員会によっ
て5年または7年間隔)や構成国があらかじめ決定されており、各国が政労使三者構
成(会議によっては政労二者構成)の代表団で出席することになっていましたが、新
しい方式では、従来の国家代表団形式に加え、政労使別々に理事会が指名できるよう
になり、現在はほとんどが後者の形式で開かれています。政府代表についてはさらに、
2002年から出席を希望するすべての国が参加できるようになっています。
作業部会を設置して2002年に行われた産業別活動計画の最新の見直しでは、現行の
会合方式・開催間隔、産業構成を当面維持しながら、単なる対話に留まらず、得られ
る資金の枠内で最大の効果を上げるため、より行動志向型の効果的な事業展開を行う
よう、適切であれば会議要素と会議以外の要素の双方を含んだ新しい手法を採用する
ことが決定されました。そして2003年3月に、今後の部門別活動計画は、行動計画、
小規模の企画会議の開催を伴う短期行動計画、そして従来の部門別会合の3つの活動
路線に沿って進めることが承認されました。
★最近開かれた部門別会合の例
<2000年>
▼報道・娯楽産業−この産業の雇用、労働条件、労使関係に対する情報技術の影響を
テーマに会議が開かれ、子役に関する調査研究の要請等を内容とする結論が採択され
ました。
▼教育−21世紀の生涯学習と教員の役割の変化をテーマに会議が開かれ、情報通信技
術を用いた通信教育による生涯学習機会の拡大に関する調査研究の要請等を内容とす
る結論及び質の高い教育訓練への万人のアクセスに関する決議が採択されました。
また、1966年に採択されたILO/ユネスコ教員の地位勧告の適用状況を吟味する
委員会の定期会合が2000年(第7回)、2003年(第8回)に開催されました。第7回
会合から、1997年に採択されたユネスコの高等教員の地位勧告についても扱うことに
なり、委員会の名称が「ILO/ユネスコ教員勧告適用合同専門家委員会」と変更に
なりました。勧告の実施状況については、複数の組合から提起された申立が審議され
ますが、第8回会合では、教員評価制度や勤務評定制度について全日本教職員組合
(全教)が2002年に行った申立が取り上げられました。委員会は、建設的な対話の開
始と今後の情報提供を求め、相互に納得できる結果を達成するために、ILO及びユ
ネスコの技術助言を活用する道の可能性を示唆しました。第7回会合のフォローアッ
プ活動として、「統計で見た教員像」と題する出版物が2002年に出されました。
▼輸送機器製造−この産業のグローバル化が社会と労働に与える影響をテーマに会議
が開かれ、結論と輸送機器製造業における社会経済統計データベースの開発等を求め
るこの産業におけるILOの将来活動に関する決議が採択されました。結論に含まれ
る船舶解体における安全に関する良い慣行集開発の要望を受け、2003年に専門家会議
が開かれ、船舶解体業における安全衛生に関するガイドラインが採択されました。
▼農業−グローバル経済における雇用と農業の近代化を通じた持続的な農業開発への
移行をテーマに会議が開かれ、労働安全衛生に関する訓練の改善によって農業労働者
及び農家の健康に対する悪影響、事故、死亡を予防・削減することの重要性を強調す
る結論、そしてこの産業における(1)ILOの将来活動、(2)今後開催される農業に関
する三者構成会合への女性の参加、(3)農業労働者の結社の自由と労働基準に関する3
つの決議が採択されました。会議の結論はまた、ILOに農業に対するグローバル化
の影響に関する調査研究の継続を求めていますが、これを受けてケニア及びウガンダ
のプランテーションにおける多国籍企業の役割に関する調査研究を実施し、成果を刊
行物として発表しています。
▼履物・皮革・繊維・衣料産業−労働慣行をテーマに会議が開かれ、仕事における基
本的原則・権利宣言や多国籍企業および社会政策の原則に関する三者宣言の推進要請
等を含む結論とこの産業におけるILOの将来活動に関する決議が採択されました。
会議のフォローアップとしてこの産業における社会対話の推進に特に注意が払われ、
複数利害関係者による自主イニシアチブが社会対話の推進に与える影響に関する調査
研究が行われています。
▼第2回船員の死亡、負傷、遺棄に対する賠償請求責任・補償に関するIMO/IL
O特別合同専門家作業部会−今後の会議における討議のたたき台となる(1)船員の遺棄
の際の金銭保証の提供、(2)船員が死傷した際の契約上の賠償請求に関する船主の責任
に関する2つのガイドライン案を作成しました。
<2001年>
▼第29回合同海事委員会−唯一残された産業別の委員会で船主と船員の代表各20名で
構成されています。本会合では、(1)関連するILO海事条約・勧告の見直し、(2)有
能海員の最低基本給の改訂、(3)船舶業界の構造変化が船員の生活・労働条件に与える
影響、(4)船員の死亡、負傷、遺棄に対する賠償請求責任・補償に関するIMO/IL
O特別合同専門家作業部会の各議題について話し合い、海事労働基準を統合した単一
文書の採択に向け、2005年に海事総会を開催すること、三者構成のハイレベル作業グ
ループを設けてそのための予備的審議を行わせること、現行435ドルの最低賃金を2003
年1月1日から465ドルに引き上げること(その後、2003年に開かれた同委員会小委員
会で2005年1月1日から500ドルに引き上げることを決定。)、女性船員、母性、産前
産後の就業権、その他のジェンダー関連問題について調査研究を行うことなどを求め
る13の決議を採択しました。決議のフォローアップとして、女性船員に関する世界の
雇用政策と慣行をまとめた出版物が2003年に刊行されています。
▼銀行・金融−合併・買収が雇用に与える影響をテーマに会議が開かれ、人的資源開
発の重要性や社会対話の不可欠な役割を強調する結論と、(1)この産業における政労使
三者機構の設置、(2)男女平等の向上、(3)結社の自由に関する3つの決議が採択され
ました。
▼ホテル、飲食、観光業−人的資源開発、雇用、グローバル化をテーマに会議が開か
れ、人的資源方針に関連した動きの監視、HIV/エイズに関する訓練計画の開発支
援の要望等を含む結論、(1)高齢者向け休暇計画を含む閑散期におけるこの産業の雇用
促進措置、(2)労働安全衛生、(3)職業上の男女平等の改善に関する3つの決議が採択
されました。
▼非鉄金属−専門家の会議が開かれ、この産業の安全衛生に関する手順を具体的に記
した実施規準が採択されました。
▼林業・木材産業−変化するこの産業の社会及び労働的側面をテーマに会議が開かれ、
持続可能な開発を業界の規範とすること、労使の技能開発に対する予算割当等を求め
る結論、(1)この産業におけるILOの将来活動、(2)社会対話イニシアチブに関する
2つの決議が採択されました。
▼公務−地方公務の分権化と民営化の影響をテーマに会議が開かれ、改革は説明責任
を伴い、透明でオープンな政策・行動を基本原則とすべきこと、雇用に対する観点か
ら民営化の影響を検討すべきことなどを内容とする結論が採択されました。
▼観光、航空業−2001年9月11日の同時多発テロ直後の10月に、影響がもっとも大き
かった2つの産業について、経済的な影響を検討する会合が開かれました。ホテル・
観光業の非公式会合は、観光業に対する影響を検討し、危機を克服するために考え得
る措置に関する提言をまとめ、民間航空シンクタンク会議は、航空業界再建に向けた
一連の実際的な措置を求める声明を発表しました。翌2002年1月に開かれた民間航空
業の会議では、急遽、同時多発テロ以降の危機が社会と安全に与えた影響とその対策
がテーマになり、第二次世界大戦後最悪の危機から航空産業を救い出すには、航空機
の安全性を高め、労使を保護する包括的な国際基準が必要との結論に達し、民間航空
産業の全ての従業員に対する労働安全衛生法規の総合的適用、政府に対する国内航空
産業向け投資の一環としての全労働者の長期訓練・再訓練費用負担の検討、ILO、
国際民間航空機関(ICAO)を通じた、安全・保安関連職務の訓練に関する最低限
の国際基準の設定の検討等を内容とする一連の勧告が採択されました。
▼建設−21世紀の建設産業のイメージ、雇用展望、技能要件をテーマに会議が開かれ、
不正な慣行や不公平な競争を予防する適切な規制、下請け業者や小企業の労働者等を
対象とした特別訓練方式の開発等を求める結論、この産業における(1)ILOの将来活
動と(2)建設労働者の安全衛生代表に関する2つの決議が採択されました。
<2002年>
▼石油・ガス生産と石油精製業−良好な労使関係の促進をテーマに会議が開かれ、異
なったニーズ、文化、慣行に配慮した良好な労使関係の重要性等を強調した結論、こ
の産業におけるILOの将来活動に関する決議が採択されました。
▼船員−国際登録船舶の船上における船員の労働・生活条件に関する専門家会合が開
かれ、結社の自由や団体交渉など国際労働基準違反に対し、強い国内・国際的な措置
を講じる必要性を強調し、労働監督官や人材斡旋機関等に関する原則を盛り込んだ合
意声明が採択されました。
▼郵便・電気通信−雇用、雇用可能性、機会平等をテーマに会議が開かれ、大きな変
化にさらされているこの産業において、適正な人的資源計画と効果的な社会対話の必
要性が強調され、雇用可能性を保つための訓練、機会平等の重要性等を盛り込んだ結
論とこの産業の雇用・労働条件に関する三者協議の場の設置をILO事務局長に求め
る決議、仕事における基本的原則及び権利に関するILO宣言の遵守・推進を政府、
労使団体に求める決議が採択されました。
▼機械・電気エンジニアリング−生涯学習をテーマに会議が開かれ、公正貿易の推進、
労働者が生涯学習に積極的に参加する雰囲気作りの労使協力による形成等を求める一
連の結論が採択されました。
▼鉱業−雇用、労働時間、訓練の変化をテーマに会議が開かれ、雇用と訓練、労働時
間、HIV/エイズ、持続可能な開発、ILOの活動の優先分野について記した結論、
(1)労働者の健康、社会生活に対する労働時間編成の影響の検討等を求める鉱業におけ
るILOの将来の活動計画と(2)鉱業、金融、持続可能な開発に関する2つの決議が採
択されました。
▼保健−社会対話の制度、機能、効果をテーマに会議が開かれ、保健サービスの社会
対話強化に向けた実際的な指導枠組みに関する結論と基本的人権としてのヘルスケア
に関する決議が採択されました。結論は、保健医療労働者を海外から受け入れる政府
と人材斡旋業者に対し、できれば法的拘束力のある倫理的な規範や原則に従うことを、
ILOに対しては保健医療労働者の移民に関わる社会・労働問題に関する調査研究の
実施等を求めてもいます。また、全職場内暴力事件の約25%が保健部門で発生してい
ますが、会期中に開かれた保健部門の職場における暴力に関する円卓会議の中で、I
LOがWHO等と共同で2000年より実施している保健部門の職場内暴力合同計画の成
果文書として、保健部門の職場内暴力対策枠組みガイドラインが発表されました。
<2003年>
▼公務−警察、救急医療、消防といった緊急・救急業務に従事する公務員を対象とし
た会議が初めて開催され、長時間労働、夜間勤務、仕事と私生活のバランスなどといっ
た幅広い問題が検討され、効果的な社会対話確立のための具体的な指針を示す「変化
する環境における公共緊急部門職員の社会対話に関するガイドライン」が採択されま
した。
▼タバコ産業−雇用の将来をテーマに会議が開かれ、雇用に対する悪影響の極小化に
向けた努力等を求める結論に加え、(1)この産業に関連する問題を扱う国際機関同士の
制度的なつながりの強化、(2)仕事における基本的原則・権利、(3)女性の雇用、(4)I
LOの将来活動、(5)児童労働に関する5つの決議が採択されました。
▼商業−合併と買収が雇用に与える影響をテーマに会議が開かれ、合併、買収、事業
再構築に関する法的枠組みを設定する上で、できるだけ早く労働者とその代表に情報
を提供することの重要性を強調すべきといった要望を含む結論と商業におけるILO
の将来活動に関する決議が採択されました。
▼公益事業−再構築と規制が雇用、賃金、労働条件に与える影響をテーマに会議が開
かれ、企業の社会的責任、社会対話等を内容とする結論、この部門におけるILOの
将来活動に関する決議が採択されました。
▼サービス業−生産性とディーセント・ワークに対する脅威である職場内暴力とスト
レスに関する実施規準開発に向けた専門家会議が開かれ、政労使の役割や責任、予防
・支援措置、職場環境の改善など、具体的な職場内暴力対策事項を含む、サービス部
門の職場内暴力とその対策に関する実施規準が採択されました。
▼化学産業−柔軟な労働制度における最善の慣行とそれが労働生活の質に与える影響
をテーマに会議が開かれ、雇用保障と仕事の柔軟性、柔軟な作業編成の費用便益といっ
た事項を内容とする結論とこの産業におけるILOの将来活動に関する決議が採択さ
れました。会議を受け、ILOでは現在、特に企業の再構築に関連した良い労使関係
慣行とその成果、良い安全衛生慣行とその成果に関する情報収集、調査研究を行って
います。
▼港湾−専門家の会議が開かれ、港湾における(1)保安と(2)安全衛生に関する2つの
実施規準、そして規準の実施状況や効果の監視をILOに求めること等を内容とする
両規準に関する決議が採択されました。
★部門別活動と国際労働基準
部門別活動と国際労働基準の間には多くのつながりがあります。
▼産業特有の基準:産業特有の基準は多数ありますが、代表的なものは特別の海事
総会で審議・採択される海事産業に関する基準で、これは国際労働基準全体の4分の
1近くを占めています。海事総会は通常の総会と異なり、10年に1回程度開かれてい
ます。次の海事総会は2005年に開かれますが、これまでに採択されたほとんどすべて
の海事関連条約に置き換わる新しい統合条約の採択に向けた審議が行われる予定です。
この他に農業(第184号)、鉱山(第176号)、建設業(第167号)等の安全衛生に関
する条約、プランテーション(第110号)、ホテル・レストラン(第172号)、看護職
員(第149号)等の労働条件に関する条約、路面運送(第153号)、商業・事務所(第
30号)等の労働時間に関する条約、公務の労働関係に関する条約(第151号)等があり
ます。
▼他の国際機関と共同で開発し、監視を行っている特定の職業に関する基準も存在
します。これには上述のローマ条約や教員の地位勧告などが含まれます。
▼部門別会合が早期警報装置の役割を果たし、ここで指摘された問題が後に基準の
テーマになることもあります。例えば、金属工業委員会における多国籍企業に関する
活動を求める文書の採択は、1976年の多国籍企業および社会政策に関する原則の三者
宣言の採択につながりましたし、化学工業委員会における討議は、化学物質の安全性
に関する多くの活動を導き、1990年の化学物質条約採択のきっかけを作りました。請
負労働に関する調査を求める複数の部門別会合の要請を受け、1997年にこの議題が総
会で取り上げられるに至りました。来年の総会で新しい条約と勧告の採択に向けた審
議が行われることになっている漁業の場合も、部門別会合等の要請を受けて取り上げ
られたものです。
▼部門別会合が特定の基準の採択や適用を承認・推進する場合もあります。部門別
会合で採択されるほとんどの結論や決議にILO条約が引用され、促進に向けた行動
が要請されています。部門別会合ではまた、基準適用の問題が話し合われることもあ
ります。
▼部門別会合で採択された結論、決議、指針、実施規準は法的拘束力はありません
が、産業特有の問題を扱うことによって、時に条約や勧告より好まれる場合がありま
す。部門別会合で採択された結論や決議が国内の団体交渉におけるガイドラインとし
て利用される場合もあり、例えば1978年に理事会で採択された「専門職労働者の労働
・雇用条件に関する原則と良い慣行集」は、専門職労働者と使用者間の労働協約その
他の議論及び政策策定時の指針となることを意図しています。
★新しい部門別活動
フォローアップに重点を置いた行動志向型の活動の展開を求める理事会の要請に応
え、2004年から実験的な運用として、従来通りの国際会議に加え、行動計画、そして
会合フォローアップ活動を組み合わせた手法が用いられることになりました。2004/
05事業年度には、報道・教養・グラフィック部門と輸送機器製造業の2つについて従
来型国際会議、基礎金属部門と林業・木材産業の2つについて専門家会議が予定され
ています。輸送機器製造業についてはまた、同産業内の金属部門について統計データ
ベースの開発も提案されています。
行動計画は、農業、教育、繊維・衣料・履物、建設業、金融・専門職、ホテル・観
光・飲食業、の6産業、そして職場におけるHIV/エイズの産業別アプローチが予
定されています。前3産業については2年間の行動計画を実施し、後3産業について
は小規模の企画会議を開催してその後実施する1年間の行動計画の中身を検討するこ
とになっています。
行動計画の内容は例えば、農業では、社会対話を通じて職場における労働安全衛生
を改善するための訓練活動や農業における結社の自由・団体交渉に関する出版物の刊
行といった活動、教育については、教員不足の問題に対処するため、調査研究、社会
対話フォーラム、国際的な報告書を基礎に、教職の魅力を高め、質の高い教育という
目標の達成に向け、加盟国及び労使を支援していくことが予定されています。繊維部
門については、まともな人間らしい働き方であるディーセント・ワークの推進を通じ
た競争力向上を総合目標に、まず経済及び社会面の主要な競争力決定要因を確定する
調査を行い、それを応用した政策・事業計画の各国における実施に協力していくといっ
た内容になっています。
* − * − *
部門別活動計画のウェブサイトには、以上のような情報を含み、最近の会議の討議
資料・議事録に加え、産業別に労働・社会事情の概要、ILOの活動、関連出版物等
豊富な資料が掲載されています。産業分野別の情報収集に便利なサイトです。
部門別活動局(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/index.htm
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ています。購読解除、送付先アドレスの変更等は----->
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