人事のブレーン社会保険労務士レポート 第31号
平成18年5月15日 第31号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次
1. 労働安全衛生法改正の概要 その2
2. 労働者災害補償保険法の改正
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ブログもよろしくお願い致します。
「人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!
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1.労働安全衛生法改正の概要 その2
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<1> 前回の補足
前回に引き続き、労働安全衛生法の改正についてお話ししたいと思う。
労働安全衛生法は、極めて細かいものであり、また機械や化学物質の専門的知
識が必要な条文も多く、敬遠される方も多いのが事実です。
前回は、本改正で最も重要と思われる意思による面談についてお話ししました。
医師の面談指導については、平成20年3月31日までの間、常時50人以上
の事業場に限られるという経過措置が設けられているが、50人未満の事業場
についても、臨検の際何らかの対応は迫られる可能性が強く、準備を進めてい
くことが望ましいと考える。
実際に、医師の面談指導を進めて行くにあたって、医療機関にそのノウハウが
無く、医療機関も戸惑っているのが現状である。
筆者も、医師と共同でチェックシートを考えたりしているが、面接指導を新た
に産業医にお願いする際の単価の問題等、解決すべき点が多く、施行され1ヶ
月が過ぎた現在においても手探り状態である。
因みに、チャック項目による医師の面接指導の単価は10分程度で1,500
円というのが、筆者の周りの出来つつある相場である。
<2>安全管理者の要件の改正
(1)概要
安全管理者については、今迄学卒後一定の期間安全管理の業務に従事したこと
をもって選任出来たが、平成18年10月1日より厚生労働大臣が定める研修
を受講しなければならなくなった。
研修は、危険性・有害性等の調査に関する事項を含み9時間とされている。
参考までに、中央労働災害防止協会の実施する研修についての資料をご紹介し
たい。
http://www.jisha.or.jp/facility/district/hokkaido/pdf/18/18anzensenin.pdf
(2)選任2年未満のものも研修受講が必要
この研修は、新たに選任される安全管理者だけではなく、平成18年10月1
日現在において、安全管理者として選任されて2年未満のものについても、当
該研修を受けなければ選任できないことになる。
すなはち平成16年10月1日以前に安全管理者として選任され、選任報告を
所轄労働基準監督署に提出している場合には、当該研修の受講の必要が無くな
るということであり、仮に選任はされていても、所轄労働基準監督署長に選任
報告のなされていないものについては、当該研修の受講が必要になってくる。
また当然であるが、安全衛生推進者としての期間はこの期間には入らない。
(3)期間は通算される
2年という期間は、一つの事業場で選任されていた期間である必要はなく、複
数の事業場で、安全管理者として選任され、所轄労働基準監督署長に報告がな
されていた場合には、通算される。
選任報告には、従事期間の証明書が必要であり、複数の事業場を通算して2年
以上の場合には、各々の事業者からの証明書を添付する必要がある。
しかし、この2年以上の場合の特例措置は、経過措置として、平成18年10
月1日前に従事していた事業場の安全管理者としての活動を継続して行う場合
の経過措置という主旨であり、安全管理体制の違う事業場で安全管理者として
の活動を行う場合には、当該研修を受けることを強く求めている。
また、安全管理者サイドとしても、転職を考えた場合、当該研修を受講してい
る方が有利であると考えられ、当該研修の受講を進める次第である。
(4)実務経験の短縮
改正前は実務経験のみで選任できたが、研修の受講が義務づけられた為、当該
実務期間の短縮がなされた。(安衛則5条)
具体的には以下の通り。
a 大学及び高等専門学校において理科系系統の正規の課程をを修めて卒業し
たものについて、産業安全の実務に従事した経験を有する期間が3年から
2年に短縮。
b 高等学校及び中等教育学校において、理科系統の正規の学科を修めて卒業
したものについて、産業安全の実務に従事した経験を有する期間が5年か
ら4年に短縮。
以上が、安全管理者に関する改正法の要点である。
<3> 製造業における元方事業者の役割
製造業において、請負作業を行う事業者が増加し、それに起因すると思われる
事故も増加してきた為、製造業における請負にも建設業に準じた安全管理体制
を求めることとなった。
(1)元方事業者
一つの場所において、請け負う事業者が複数存在する場合には、一つの事業者
を元方事業者として選任し、元方事業者及び関係請負人の労働者の作業が同一
の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止する為、作業間の
連絡調整を行い必要な措置を講じなければならないとされた。
これは、建設業における特定元方事業者の考え方と同様であり、条文も準用さ
れている部分が多い
(2)労働者の救護に関する事項
元方事業者は、爆発、火災等が生じた場合に労働者を救護する為に救護する
労働者が災害に遭わないように以下の事項を行うこととされた。
a 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。
b 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。
c 上記以外に、爆発、火災等に備えて労働者の救護に関して必要な事項を行
うこと。
これについても、建設業における特定元方事業者の規定の準用である。
(3)発注者の講ずべき措置
発注者は、製造し、または取り扱う物の危険性及び有害性、当該作業において
注意すべき安全または衛生に関する事項等を記載した文書を作成し、これを請
負人に交付しなければならない。
上記措置を講ずべき作業は、化学設備および特定化学設備ならびにこれらの付
属設備の改造、修理、清掃等の作業で、当該設備を分解するものまたは当該設
備の内部に立ち入るものとなっている。
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2.労働者災害補償保険法の改正
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<1> 概要
今回の労災法の改正は、通勤の定義の拡大とメリット料率の変更です。
メリット料率の変更については、保険料の調整幅の上限が35パーセントから
40パーセントに引き上げられた。
これは、保険料の調整幅を拡大することにより災害防止に寄与しようとするの
であり、本年度の年度更新から適用されている。
重要な点は、通勤の定義の拡大であるので以下で詳しくお話ししたい。
<2> 通勤の定義
(1)変更点
通勤とは、自宅から就業場所への移動のことであり、この概念については今回
の改正で変わったところはない。
変更点は「兼業しているものの取り扱い」と「単身赴任者の取り扱い」である。
(2)兼業しているものの取り扱い
改正法では、以下のような取り扱いがなされることとなった。
自宅から1番目の出勤場所である「甲社」へ通勤 ・・・ a
「甲社」から2番目の出勤先である「乙社」へ移動 ・・・ b
「乙社」から自宅へ帰宅 ・・・ c
従前では、aとcのみが労災法上通勤となり、労災法上の保護の対象とされ
ていたが、今回の改正で、bも通勤と定義され労災法の保護の対象となった。
今後は、a、b、cについて、労災法に基づく療養給付や休業給付等の支給対
象になる。
注意点としては、「甲社と労働者」「乙社と労働者」に別々の労働契約がある
場合であり、甲社の労働者が、甲社の命により乙社へ赴く場合には従前通り業
務災害となる。
あくまで、兼業をしている労働者の保護という主旨であり、甲社及び乙社が兼
業を禁止しているかどうかは問わず、移動の事実があれば当該移動中の災害は
労災法上の通勤災害になる。
当然であるが、これらの取り扱いがなされる場合においても、通勤の中断及び
中止の考え方は適用される。
(3)単身赴任者の取り扱い
単身赴任者については以下のようである。
事業場と単身赴任先の居所間の移動 ・・・ a
事業場と家族のいる自宅間の移動 ・・・ b
単身赴任先の居所と家族のいる自宅間の移動 ・・・c
従前は、aとbのみが通勤であり、労災法上の保護の対象とされた。
今回の改正法では、これに加えて一定の要件を満たす場合に限りcも労災法上
の通勤と定義され、労災法上の保護の対象に加えられた。
一定の要件とは以下のように規定されている。
ア 共通要件
転任に伴い、当該転任の直前の住所から当該転任直後の就業の場所に通勤する
ことが困難となった為住所を移転した労働者であり、やむを得ない事情により
同居していたものと別居したもの。
やむを得ない事情は以下にて解説。
イ 配偶者と別居することとなった労働者(配偶者とは事実婚も含む)
a 配偶者が要介護状態にある労働者若しくは配偶者の父母または同居の親
族を介護すること
b 配偶者が学校等に在学し、または職業訓練を受けている同居の子(18
歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子に限る。以下同じ。)
を養育すること。
c 配偶者が引き続き労働すること。
d 配偶者が、労働者または配偶者所有に係る住宅を管理する為、引き続き
当該住宅に居住すること。
e その他配偶者と同居できないと認められるaからdまでに類する事情。
ウ 配偶者がいない場合で、子と別居することとなった労働者
a 当該子が要介護状態にあり、引き続き当該転任の直前まで日常生活を営
んでいた地域において介護を受けなければならないこと。
b 当該子が、学校等に在学し、または職業訓練を受けていること。
c その他子と同居できないと認められるa,bに類する事情。
エ 配偶者及び子がいない場合で、転任直前まで同居し、労働者が介護していた
労働者または配偶者の親族(以下、「同居介護していた要介護状態にある親
族」)と別居する場合
a 同居介護していた要介護状態にある親族が、引き続き当該転任の直前まで
生活を営んでいた地域において介護を受けなければならないこと。
b その他同居介護していた要介護状態にある親族が労働者と同居できないa
に類する事情
以上が、労働安全衛生法及び労働者災害補償保険法の改正法の概要である。
労働安全衛生法の具体的内容については、書店で販売している書籍では網羅され
ていない為、改正法に対応した労働安全便覧が出版されるまでは以下のホームペ
ージをご覧頂きたいと思う。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/index.html
拙稿も、このホームページが大いに役立っている。
参考にして頂きたい。
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編集責任者 社会保険労務士 山本 法史
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