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小学校低学年の頃のボクにとって、
クワガタは最高峰のアイドルだった。

しかし、ひとえにクワガタといっても、
そこには純然たる序列があり、
オオクワガタを頂点に、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタなどが続いており、
そしてそのピラミッドの最下層にはコクワガタが分類されている。

つまり今のボクにとっての鈴木えみや宮崎あおいにあたるモノが、
当時はオオクワガタであり、
井上和香、坂下千里子にあたるものが、
コクワガタだったわけである。

今日はこのコクワガタの生態について焦点を当ててみよう。

コクワガタは日本全土に広く分布し特に珍しくもなく、
クワガタの最も誇るべき特徴である2本の角も、
もうしわけなさそうに小さくはえているので、
小学生にとってあまり人気がなく、
もし取れても『カナブンよりはましか…』程度に思われてしまう。
特にその角すらはえていない、
コクワガタのメスの人気の無さは凄惨たるものである。

そのことを完全に理解しているオスは、
クワガタ採集に来て一匹もとれず、
泣きそうな顔をしている小学生を見つけると、
わざと捕まって少し喜ばせたりするなど、
非常に謙虚で心優しいクワガタである。

しかし、コクワガタのメスはクワガタの中で
最も自意識過剰で高いプライドをもっている。

人気歌手aikoがライバルであるカブトムシをフィーチャーした曲を発表した時も、

『なんでクワガタじゃなくてカブトムシなのよ!
カブトムシが5文字で語呂がいいならコクワガタにしなさいよ!』
と憤慨し、シュプレヒコールをあげたという話もあるくらいである。

コクワガタのメスは人気歌手だけでなく、
その相手が小学生となっても変わらない。

森にクワガタ採集にやってきた小学生を見つけると、
『まずい。あの子達私を狙っているわ!見てあのアツい目線!!』
と騒ぎ出し、自身を守るため、決まってある行動を取る。

それはなんと、人間とって最も嫌いな節足動物の一つである
ゴキブリのモノマネである。
しかしコクワガタは足にギザギザの節がついているため、
ゴキブリのようにすばやくカサカサッと動くことができない。
そのためコクワガタは前後に5センチメートル程素早く動くだけである。

クワガタ採集に来ている小学生達は多くの場合、
そのゴキブリのモノマネをしている
コクワガタの隣にいるノコギリクワガタなどを、
何事も無かったように採集し、喜々とした表情で立ち去っていく。

コクワガタのメスはゴキブリのモノマネをしたからこそ、
小学生達が隣のクワガタを採集していったと完全に思い込んでおり、
『あんな小さい子を騙すなんて私って罪な女ね。』
と魔性の女を気取っている。

よい子のみんな!コクワガタのメスを見つけた時は、
うれしそうに捕まえてあげよう!
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