[ 整体全般 ]

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ちくま文庫から、永沢哲 『野生の哲学――野口晴哉の生命宇宙』 という本が先月の初めに出ています。整体の名を確立したと言われる野口晴哉(はるちか)が何を考え、何を感じていたかを詳しく説き明かした本です。

題名から察せられるようにけっして分かりやすい本ではありません。どこでもいいのですけれど、例えば野口晴哉が講義している時の声について書いているところを引用してみましょう。

「微細な泡が、つぎつぎに湧きおこり、消え去り、増幅しあい、その中から、ダイナミックかつ複雑な、玄妙な秩序が生成してくるのである。そして、その背後には、人間的なものとは異質な真空場のようなものがあって、自分から生み出される、流動的に変化し続ける音の空間を、その微分化された高速の意識は見ているのだ。」

こんなぐあいですから、哲学ぶりの言い方を好まない人にはお勧めできません。でも、煩雑な言い方のところは、よくこんな言い方ができるものだ、と呆れながら読んでいくと、野口さんがどのような考え方をしていたか、何を感じて活元や愉気を組み立てていったかが分かってくるのではないでしょうか。野口さんの考え方、方法について知りたいと思っている方は手にとってみるのもいいのではないかと思います。

私は野口さんの本の熱心な読者というわけではありませんでした。でも今回は永沢さんが書かれているところから、野口さんが大の音楽ファンであったこと、私が時々取り出して聴いているグレン・グールドの弾くバッハを評価していたことなどを知りました。また野口さんが 『臨済録』 という禅の古典を愛読していたことを知って、かつて若い頃に私も 『臨済録』 を繰り返し読み、同人誌に投稿したことがあったのを思い出しました。生前の野口先生にお会いしたことはありませんが、どこかでつながっているところがあると感じないわけには行きません。

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