
ミッション・プロジェクト
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カリフォルニアの小学4年生に課せられる有名な宿題に、
ミッション・プロジェクト(mission project)があります。
このミッションとは、トム・クルーズが映画「ミッション・インポッシブル」で
シークレット・エージェントになって遂行するミッションのことではなく、
カリフォルニアがまだアメリカではなかった頃、
スペインの宣教師がインディアンの布教のために建てた教会(mission)のことです。
ただし、小学校4年生の子どもが自力で遂行するのは不可能な宿題、ということで、
まさに「ミッション・インポッシブル」なのであります。
カリフォルニアの小学校では、多くの学校が伝統的に
このミッション・インポッシブルならぬ、
ミッション・プロジェクトという宿題を子どもに、
つまりその父兄に、やらせているのであります。
Wikipediaにも載っています:
http://en.wikipedia.org/wiki/California_4th_Grade_Mission_Project
うちの学校では2007年12月17日月曜日が提出日でした。
Aren't you glad it's over? (終わってよかったよね。)
などと、4年生の父兄は互いにいたわりあいました。
4年生になると、3年生では総合学習の一部だった社会が、独立した教科になります。
そして、主に郷土カリフォルニアの歴史と地理を学びます。
そして、カリフォルニアの地に西洋人で最初に手を付けたのがスペイン人であること、
布教のためだけでなく、ロシアなど他の西洋諸国を退けてカリフォルニアを我が物にするためにも、
計21ヶ所のミッション(教会)を建て、
布教というよりは、
アメリカ原住民を無理やりカトリックに改宗させました――といったことを社会の授業で学びます。
(まあ、このとき原住民をイジメたのは、アメリカ人ではないので、はっきり言いやすいのでしょう。)
郷土の歴史の勉強が、アメリカ原住民からミッションの単元に移ったあたりで、
ミッション・プロジェクトの宿題が出ます。
ホームワーク(home work、宿題)ではなく、わざわざ「プロジェクト」という名前が付いているのは、
単なる勉強の宿題ではなく、
家族全員を巻き込む一大プロジェクトだ、覚悟せよ、ということです。
うちの小学校のミッション・プロジェクトは、
1.ミッションのモデル作り
2.自分がどうやってミッションのモデルを作ったかの説明書
3.ミッションに関するレポート
4.ミッションシステム(21ヵ所全部のミッション)の年表作成
で構成されます。
提出後は、生徒が一人ずつクラスの前に出て発表を行います。
21か所あるミッションのうちひとつが、生徒ひとりずつに割り当てられます。
うちの娘は、3番目に古い Mission San Antonio de Paduaが割り当てられました。
割り当てが決まった当日の放課後、
私たち親子は、手芸用品チェーン店 Michaelsに走りました。
ミッション制作キットを買うためです。
早く買わないと、売り切れてしまうかもしれないからです。
売切れてしまうと、設計図から作らないといけないので、大変です。
実はうちの上の子が4年生だった時は、のんびりしていて
ミッション制作キットその他もろもろの用品が売り切れてしまい、
この宿題をするのが本当にすんごく大変になってしまいました。
だから今回は、すぐ買いに行ったのです。
Michaelsにはほかにも同じものを買いに来た親子連れが何組かいました。
ひとりの父親は、目を血走らせ、店員に「本物のペンキはないのか?」と聞き、
店員は「本物のペンキは Home Depot(日曜大工DIYのチェーン店)で買ってください」
と答えていました。
その父親は、発泡スチロールのちゃちなミッション・モデルではなく、
木材からペンキから本物を使って、本格的なモデルを作ろうとしているようです。
(うちの夫も、上の子のときはそうでした。)
何故そんなことが私に分かるかというと、
発砲スチロールに水性以外の塗料を使うと溶けることを、
私は過去のプロジェクトでの失敗体験で学んだからです。
そう、このプロジェクトは、単なる子どもの宿題ではないのです。
親のミエとプライド、家の威信がかかったプロジェクトなのです。
なんせ、提出したミッションのモデルは、学校で一番目に付くところに、数ヵ月間、飾られるのですから。
学校側も、子どもが全部自分で作るとは、思っていないようです。
このミッション・プロジェクトに限らず、
プロジェクトというのは、子どもが自力で頑張るのが目的ではなく、
子どもが親・兄弟、祖父母など、ありとあらゆるリソースを使ってどれだけ凄いものを作れるか、
というのが目的であるようなのです。
手段を問わない、結果重視です。成果主義です。
うちの上の子が4年生だったとき、
ひとつだけ、いかにも子どもが自力のみで作ったという感じの、ミッションのモデルがありました。
シリアルの空き箱を再利用したもので、子どもらしくて好感が持てたのですが、
隙間はあいているし、壁はゆがんでいました。
そして、先生が付けた評価は「C」。
他の子のモデルは親が手伝ったのは明白で、評価は「A」。
結果重視、見た目重視なんだな、とそのとき理解しました。
これ以外にも、アメリカの宿題では、「見た目がとても重視される」、という経験を何度もしています。
Do not show the tape.(セロテープが表に見えるように貼っては、ダメ)
No sloppiness.(もっときちんと見栄え良く作りなさい)
との先生の減点理由が書いた宿題が返って来ることが多いんです。
今回のメルマガに挿入した画像は、小学校4年生が作ったミッションのモデルの例です。
これはまだ地味なほうです。
昔のミッションは自給自足だったので、畑や牧場が併設されていました。
…ということで、畑や牧場、働くインディアンと宣教師の像などで、
美しく飾られたミッションのモデルも少なくありません。
見た目重視ですから。
うちの小学校では、ミッションの屋根瓦を、粘土で一枚一枚作って焼いて乗せる、
というのが流行ったことがあります。
何枚もの小さな屋根瓦をいったい誰が焼いたのでしょう。
その家のお母さんか、おばあさんか。。。近年はこの流行がすたれてきて、私はほっとしました。
隣の新設校では、ミッション・プロジェクトの宿題はないのだそうです。そういう公立学校もあるのですね。
*****
後日談
2008年1月31日、
スクエアダンス(アメリカ開拓民のフォークダンス)発表会の後、
ミッションのモデルが返却されました。
今回は、ミッションの評価は公表されませんでした。(ホッ)
6年前、うちの上の子が小学校4年だったときは、
プロジェクトの評価をクラスに公開していたんです。
だから、当時のミッション・プロジェクトは
今より派手で、親ももっと力を入れていたんだと思います。
瓦屋根を粘土で作って、一枚一枚焼くとか。。。
ここ数年、ミッション・プロジェクトが地味になってきたのは、
評価を公表していないからかな。
瓦屋根を一枚ずつ作って乗せた作品は、ひとつだけでした。
この小学校はうちの上の子が入学する数年前に開校した学校です。
当時は先生も力んでいたのかも。
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このメルマガは、アメリカの英語ネイティブの子どもが赤ちゃん、幼稚園、小学校、中学校、高校と成長するにつれ、どのように英語を学習し、身に付けていくかをお伝えします。
米国に住むプロ翻訳者とはいえ、昔ながらの日本の受験英語を学んだ筆者が、ネイティブの子供の英語と格闘中です!
アメリカの学校がどんなスキルを子どもたちに身に付けさせようとしているか、など、こちらの教育事情もご紹介。逆に日本の教育の長所も再認識していただけるでしょう。
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ネイティブはこうして英語を学ぶ
発行者 齋藤レモン
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