テムズ河の風 no.1
4年ぶりにイギリスの土を踏んだ。しかし、今回は希望とともに不安に満ちた
第一歩である。一人暮らしをしたことがない自分が、日本語が通じない異国
で生活してゆくのだから。
晴天で、暑いくらいだ。パソコンをはじめとして荷物が多くて大変。タクシ
にのる。金曜日の朝、ラッシュである。1時間20分かかってロンドン大学
キングスカレッジの寮に着く。朝の9時を少々すぎた頃。タクシーは黒のオ
ースチン。運転手はとても紳士である。さすがに世界にきこえた Cabman
キャビー!
信号機は笑える。押しボタンのところの説明書き。"Wait"はいいが、"Cross
with care"と書いてある。「青信号でも注意してわたれ」なるほど。赤信号
でもバンバン横断しているが……。個人の責任を重んじる文化か。
2階建てのバス(Doubledecker)にのり、キャンパスに向かう。このバスは
ひどい。揺れるし、ブレーキは急だし。日本のバスとはえらい違いだ。前回
の英国訪問では楽しんだDoubledecker だが、乗り換えを含めて20時間以上
のフライトの疲れがあり、この揺れはこたえた。
ロンドン大学キングスカレッジは1829年に創立。寮からバスで20分。
コヴェントガーデン(Covent Garden)の南東300メートル、大英博物館
から1キロにある。ロンドンの中心繁華街の東2キロくらいに位置している
が、落ち着いた環境にある。
人文学部の事務室で手続き、すぐに学生証が発行された。そのまま、図書館
IDカードをつくりにキャンパス内に5つある図書館うち、一番大きなとこ
ろにいって手続きをした。写真つきで、キャンパス内の全ての図書館に共通
らしい。
学食は4カ所にある。その一つのテラスからテムズ河が見渡せる。すぐそば
である。4ポンド(1ポンド160円)でカレーライスなど、それなりに食べら
れる。テムズ河からの心地よい風をあび、これからの数年間をおもいながら
サンドイッチを食べた。
午後1時半、指導教授、クラーク教授の研究室へ。「よく来たね。飛行機は
どうだった?」 これからどんな研究生活になるのだろうか?
クラーク教授から、電話帳ぐらいの分厚いPhD論文をみせられた。10万
ワードの英文博士論文。「こういったものを君も書くのだ」と言われた。論
文の重みが、心にズシっときた。出来るだろうか?
大学院秘書のハーディングさん、中年女性だが、彼女の英語がよく聞き取れ
ない。本当に、自分はこの国で博士号の学位を取得できるのだろうか?
イギリス到着初日にして、気が重くなってきた。
テムズ河の風ブログ
http://keishin.way-nifty.com/jp/

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