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 ◇「叡の会」十月句会報  平成19年10月27日(於 新川区民館)

   水澄みて閑かさ掬ふたなごころ         田中 時子
   花八つ手八角時計は父の音           土田 京子
   秋となる眼鏡の重さ残る耳                長野 廣
   山なみを夕日果てけり芒原                長野 和子
   里ゆきてゆきつる果の彼岸花              斉藤 雄三
   しげしげと花舗に通へる秋の蝶             新堀 愛子
   便りあり山に団栗落つる頃                 大沢 凡魚
   式部の実悲しきほどの紫に                石毛 宏子
   水澄めり悪童いてもいなくても                西谷 裕子

   草紅葉鳥獣戯画と遊びけり                田中 時子
   終の吟行京山茶花の散りし頃               土田 京子
   羽二重の団子を食ひし秋日和              長野 廣
   こめかみを両手で抱え込む愁思            長野 和子
   夕ぐれや虫鳴く声を聞き分ける              斉藤 雄三
   山霧や分室という消防署                  新堀 愛子
   赤き実の何か悔やみて水の秋             大沢 凡魚
   吾亦紅どこにありても神の居て              石毛 宏子
   ふるさとはちびた鉛筆蛇穴に                西谷 裕子

    ◇一句鑑賞◇

   山霧や分室といふ消防署                新堀 愛子

 山奥の簡素な消防施設。名ばかりは町の消防署の分室となっているが、
ふだんは人気もなく、小屋のようなものがぽつんとそこにあるだけである。
いざとなったら地元の消防団が駆けつけて来るのだろう。余分なことばは
ないが、それだけに山の中の情景が見えてくる。印象的な一句である。
                           (西谷 裕子)
  
◇「叡の会」の定例句会は毎月第4土曜日に中央区新川区民館で開催。

■この度、西谷裕子氏の編書「世界たべものことわざ辞典」(東京堂出
 版 2520円)が出版されました。ことわざ・慣用句1730を収められた
 もの。ご案内いたします。 

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 137号        編 集 後 記     莫迦正直
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 (前号からのつづき)
 シンポジウムの第二部では、「日本語と俳句のゆくえ」ということで、各
パネリストの基調報告と事前に「三つの質問」1現代の日本語について良い
ところと不満なところは何ですか? 2現代から見て、30年前(ポストモ
ダン以降)の俳句をどうとらえますか? また、日本語以外の「HIKU」
や川柳などとの関係など含めてお答え下さい。3現代における俳句の美学と
はなんだと思いますか。が用意されていた。
 それは、パネリスト五氏と司会者に、想定外は第一部での居残り井上ひさ
し氏の飛び込みの質問もあり、これも一部以上の活気につつまれた。
 この報告は、あとで現代俳句(現代俳句協会)にどなたかが書かれるでし
ょうから詳細はそれに期待していただくとして、ここでのぼくの印象は、日
本語の特徴である膠着言語を生かした異文化との混交に注目するべきだ。
というマブソン青眼氏の意見だった。
 それは「HAIKU]をも俳句と同等の見識で捉えられるかにつながる。
それは最近のスポーツの世界「柔道」の話題に共通することで、柔道は日本
が家元だと思い込んでいるうちに、世界大会としてのそれは、そのルールの
改変で、本家は置き去りにされてゆきつつある。相撲も海外へ進出すれば、
やがてそうなるかもしれない。
 日本人のおおむねは、その時、その場の優劣の評価は二の次として、精
神論を優先、尊重している。その「精神論」こそ、日本文化の伝家の宝刀で
ある。それは、日本という単一民族特有の家長制度の美徳の典型でもある。
 しかしそれも、やがて通用しなくなるかもしれない。したがって、それは
日本民族の美意識にこだわって、その狭義の精神をみがく方向と、外人とも
共有できる文学への変遷が期待される。
 その先鞭をついたのが60年前の「第二芸術論」であったが、その当時はま
だ日本人のための「俳句」でしかない世界であれば、その論は理解できなか
ったはずである。
 なお、混交文化の出会いは俳句用語の「二物衝撃」に通じる精神でもあれ
ば、理解も分かりやすくなるでしょう。

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