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■ありのみ句会 平成20年3月例会   2008年3月15日

   陽炎えば砂場で孵化す園児帽           黒添 寿子
   曲り家の思案や古代雛祭り             平野富美子
   ふるさとが待つ鰆(さわら)鮨さぬき富士      井口 貞子
   もてなしはたらの芽摘んで駿河富士        栗林 養子
   税務申告終えて黄色い服を買う           庄司 恵子
   さくら散るピンクの雪が舞いおりた         井口 舞夏
   春の日やぺ・ヨンジュンを語る古稀の友      渥美ユキ子
   雪の晴船頭増えし最上川              中川比佐子

   山峡のこだまと遊ぶこたつ舟            平野富美子
   卒業という発表の園児帽               斉藤 サダ
   初音聴く叔父に見ている父の背な         大草 正江
   どぶろくは遠野の雛とよく馴染み          平野富美子
   いさぎよくつげ剪定はとらがりに           庄司 恵子
   介護する夫(つま)の背中や春しぐれ        今井 道子
   旧友の美しく老い春霞                渥美ユキ子
   漣の一つひとつに風光る               本田 秀子

   蕗の葉でお菜配らるランチかな           麻植 久仁
   おぼろ夜や君に逢わんとはかりごと        麻植 久仁
   たっぷりと消しゴムの屑春の宵           麻植 久仁
   セーラー服今日で脱ぎ捨て春愁い         麻植 久仁
   春の虹シャンパンの泡消えぬうち          麻植 久仁

   黄砂降る楊(ヤン)さんからの便りかな       市原 虎児
   啓蟄や他人(ひと)の悪口はじまりぬ        市原 虎児

        ◇ 鑑 賞 ◇      市原 虎児

 三月は卒業のシーズン。別れの季節である。それは、若き日の人生の
節目でもある。その学生(青春)時代を終えて、我が子の時代をなぞりみ
て、そして孫の成長を見ている人も多いかと思う。今月はそれらしき年
輪を感じさせる作品も読まれてほほえましかった。

   陽炎えば砂場で孵化す園児帽        黒添 寿子

 「陽炎」が春の季語。さきほどまで砂場で遊んでいただろう幼児の姿
が見えなくなった。そこには帽子だけが残されていた。「孵化」すると
いうのだから、その子はどうやら卒園していったにちがいない。園児帽
は幼児から児童へのヌケガラかのように。

   曲り家の思案や古代雛祭り         平野富美子

 「曲り家」というのは、雪深い東北地方独特の家造り様式であり、そ
の先人の智恵のたまものに古代雛という取り合わせこそ、春を迎えた喜
びが目に見えてくる。

   ふるさとが待つ鰆(さわら)鮨さぬき富士   井口 貞子

 「鰆」が春の季語。この作品は「鰆鮨」と「さぬき富士」の並列がふ
るさとの特徴を的確に捉えられている。その意味は平明だが、声調の句
として注目されたい。定型の功である。耳にやさしく、愛唱されたい。

   セーラー服今日で脱ぎ捨て春愁い      麻植 久仁

 セーラー服を脱ぎ捨て、という直截的な表現に卒業する女子学生の喜
びが判る。「春愁い」には希望や期待のかくされた迷いの心がある。そ
れを愛でる作者の祝意が良い。


              ◆次回の予定◆

 ◆会 場  未定。今まで会場だった喫茶店が閉店のため。
       新会場が決まらないときは、通信句会とします。
  ◆と き   平成20年4月19日( 毎月第3土曜)午後2時〜4時
 ◆作 品  事前投句で当季雑詠3句以内。
         3月12日(土)必着。Fax可
 ◆会 費  1500円(コーヒー、ケーキつき)
         欠席投句の場合は1000円(現金か定額小為替)
 ◆投句先   麻植国栄(おえ くにえ) 電話&fax 048・641・1700
         〒330−0845 さいたま市大宮区仲町1−125−6
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 178号        編 集 後 記     莫迦正直
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 センバツ高校野球の決勝が今日あるということで、突然九年前のこの日
を思い出している。
 というのは、この日、沖縄尚学高校が優勝したのだが、それは沖縄にと
って初の全国制覇だった。
 この頃の沖縄の話題として、国政での初の大臣誕生と高校野球の甲子園
優勝と、そのどちらが先に適うかということで、悲願の一つが達成された
という日だった。
 そして、ぼくはといえば、この日、宮古島にいて、「INみやこ詩画展」
の終了で、市長らと送別会の日であった。
 その飲み会の主催は、市の教育委員会の篤志であったことで、同時に、
宮古島に来ていた谷川健一氏ら一行と相席となったのである。
 谷川氏は、その師柳田民俗学の後継者で、「海の道」の関わりから当地
の「人頭税石」の研究と顕彰に来島していたようで、市長に教育委員会に
その話題を熱く展開したかったようである。
 ところが、我々一行は、沖縄尚学の優勝の祝賀モードになっていれば、
厳粛な話題など出来るはずがない。とうとう谷川氏は、あの巨体に長命の
長い眉毛を逆立てて退席されてしまった。
 氏は、歌人としても実績あれば、もう少し文学的交流もして欲しかった
と残念である。
 また、この日の宮古島は「海開き」の日でもあり、我らが同行の女性は
東京より随分早い夏に感激、いち早く水着で飛び込んだ日でもあった。
 さて、今日のセンバツも沖縄尚学の決勝進出である。その結果はまだ
知れぬ時点でのこの一文であるが、もちろん沖縄を応援している。

    句の投稿・句会情報はこちら mtora226@gmail.com
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