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◆東都よみうり俳壇 市原正直選 1993年(平成5年)4月23日
わが骨をつついて帰る雁ならん 北迫 正男
駅を出る働き蜂に春の私語 椿 三平
老いてなほ朝寝の夢欲し正夢で 石井 住枝
ほの暗く恋をしましょうさくら咲く 徳住八千代
はうぷれりゅうどさくらめく人びっと 木村 昭佳
第一句、働くお父さんの辛さは雁もどきならず。第二句、春の私語でな
く別の発見があればより佳作。
短詩形詩人の山村祐氏が江戸川区一之江の桜の美しい所に隠棲されてい
る。そこで近作を頂いた。
一本の骨 天上の桜浴びて佇つ 山村 祐
そこには立派な霊廟があり、詩人の宮沢賢治、山本太郎も眠っている。
桜は空の霞のかけらかのように散ってくる。その下にドラマがあり、めぐ
りあい、別れゆく人々との思いが重なってくる。
<選者吟> 大魚から夜ちるさくら吐き出され
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◆東都よみうり俳壇 市原正直選 1994年(平成6年)4月22日
春休みコンパス開脚大胆に 片岡 秀樹
青春のネガに萎びていく檸檬 徳住八千代
さくら散る一年生の笑い声 大川 夏代
空き缶のどこまで転ぶ春あらし 羽生 瑞枝
かのひといます 彼の時 鶯の時 道下 耕一
第一く、春休みのコンパス開脚とは、休み中の学生達ののびのびとし
た姿や行動範囲を表現し得ていて妙。
鶯の初音静かな路地の春
これは最近いただいた投句の中の作品である。ここには俳句を作る心
がけの上で、もっとも初歩的なあやまりがあるので申しわけないが悪い
例としてとりあげさせていただいた。
先ず<鶯><初音><春>はすべて季語である。季語の使用は一つで
よい。それにもう一つ、個人的な言葉の発見を求めたい。既にいい古さ
れた情景・感想の説明だけでは詩になりにくいということです。
<選者吟> おぼろ月・ポシェットかるい口ゆれる
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◆東都よみうり俳壇 市原正直選 1995年(平成7年)4月28日
過ちを覗くカーテン少し揺れ 徳住八千代
蕗のとう商う老女爪の紅 沼倉 邦子
寝不足の時計の遅れ花片落つ 渋谷 秀樹
太幹のここにも一つ桜かな 関口 潮
春愁やリストラの噂夫の齢 設楽 国男
第一句、今年の異常な世情と重ねて鑑賞すると、意味深長になるだろ
う。「過ち」とは何か、宗教問題あるいは選挙の結果でしょうか。それ
とも、はやりの不倫?
カーテンの素材は軽い布であっても、そのしきり一枚で素敵な秘密の
空間をつくり出すこともできます。
第二句、とある田舎の露店での一場面を想像させてくれる。それは、
蕗(ふき)のとうを採るという土いじりと、商う人の指がもしかして同じ
人だとしたら、老女の存在があやしい春さえ感じさせていると読める。
読者にあらぬ想像をかきたててくれる。
<選者吟> 満身で神経衰弱の若葉かな
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◆東都よみうり俳壇 市原正直選 1996年(平成8年)4月26日
春らんまん子ら先生と手品見る 小林 八重
マンションに住み花苗を買い求め 和田 文
ねだられし玩具高値の春疾風 神原日出子
麦踏みや福耳あかき丸き背な 高須 玉代
釣人の竿立つ一隅草萌えて 沼倉 邦子
三月は、多くの別れのことばの中ですごすが、四月は一変して出会い
スタートの季節だ。エイプリルフールはその象徴? 桜の開花で翌日か
らうそのように春らんまんとなる。まさに陽気な女神のかわいいうそに
心躍らされてしまう。
第一句は、そんな季節をいいあてている。それは、新学期の幼稚園あ
るいは小学校で、子どもと先生のリクリエーションの一コマと見るのも
良いが、昨日までの幼稚園児が今日から小学生になっている。それは、
考えてみれば当然のことながら、不思議な手品を見ているようでもある。
<選者吟> 君のかわいい嘘をさがして花ざかり
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181号 編 集 後 記 莫迦正直
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先にご案内をさせていただいた「助六句会」の第一回は、無事船出を
いたしました。
当日は、12時からそれは時間正しく、スタートしました。この日の
作品内容は後日のお楽しみとして、その参加者の顔ぶれは、なかむら句
会、ありのみ句会、叡の会からと、この界隈ならではの幇間さんに「忍
たま」の声優さんも現れた。
総人数は9名。それは、初対面の組み合わせも多かったが、俳縁は粋
なもの、生業を越えて異業種交流でもあり、それは和気藹々と進行した
のでした。
句会終了後、有志は、浅草の花柳界では定評の「豆カン」なるものを
食してみたいと、浅草寺裏を訪ねた。
そこは、表通りから一つ入った所に、老舗の定番のような歴史を匂わ
せる小さな店で、それは、大粒のあずきに寒天の甘味でした。
句の投稿・句会情報はこちら mtora226@gmail.com
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