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    ★4月の兼題 鮑 

◇兼題 鮑(あわび) (歳時記より抄出)

 耳貝科に属する巻貝。殻には突起があり、孔のあいているところは呼
吸孔。殻の内側が螺細色で美しい。
   膳のものえびやあわびや夜の怒涛          大野 林火
   夕焼けのながかりしあと鮑食ふ            森  澄雄
   美貌にもこめかみありて鮑食ぶ            本宮 鼎三
   鮑かむ鼻が重たい孤独かな              渡部 陽子   

     なかむら句会 (08・4・9)

   告白の殻はがされる鮑かな              市原 虎児
   あぐら文士鮑のひとさら                    野谷 真治

   鮑貝タイムカプセル中尊寺                深沢 紅爐
   気兼なき女ばかりの鮑がゆ                   麻植 國榮
   鮑食う螺鈿の帯きりりと締め                   島田圭佑子
   汚れ役あわび秘めたる貝の虹                  岡部 史郎
   鮑熨斗百歳までも生きてやろ                 鶴澤 文次
   始皇帝鮑に託せし不老不死                    藤井 安廣
   あわび盛る海女の両手潮の味                    一之瀬正子

   ニッポンや鮑やゴム噛む晩年                    千葉督太郎
   買うと決めまず目でなぞる鮑かな                 赤澤美智子


       ◆作品鑑賞◆  市原 虎児

   あぐら文士鮑のひとさら                        野谷 真治

 「あぐら」「文士」「鮑のひとさら」という取り合わせを楽しむ作品で
ある。その三つのことばの関連は伝達言語の意味ではなく、読者にその謎
解きが託されている。読者の個々にも、あぐら・文士のイメージは異なる
だろうし、鮑も女性への隠語や抽象とみるか、高級食材と捉えるかでその
鑑賞は面白いほど多様になってくる。それを、作者の方が楽しんでいる。

★新橋なかむら句会に参加興味ある方は「藤田三保子オフィシャルサイト」
 にリンクして下さい。今後の開催日・兼題の予定が出ています。
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 184号      編 集 後 記     莫迦正直
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 4月27日(日)の産経新聞の9面に、最近の美術展などから秀作の紹介
の欄があって、そこに麻植國榮氏の扇面芸術が掲載されていた。
 それは、今年3月の都立美術館での日本扇面協会展での「俳句部門」で
「宿坊の男点前や藪椿」で韓国文化院長賞受賞作品だった。
 女史は、はがき絵やスタンプアートの方面でいくつかのカルチャー教室
の講師をつとめていて、数年前から俳句にも入ってきた方。その成果をお
祝いいたします。
 俳句の表現は、勿論ことばの芸術であるが、それを一般に公開という表
現は活字で読んでいただくというのが通常である。それを、写真とコラボ
したのが「写俳」であり、簡単な絵を添えたのが「俳画」である。その延
線に扇面芸術という分野があった。
 扇面芸術とは、その文字通り扇に絵や文字をつけるもので、協会のそれ
は、扇のその限られた紙面を舞台に、モダニズムな現代的アートとして、
それも携帯可能な芸術を目指しているもの。
 扇は、普段は折りたたまれている形態から、序々に開かれてゆく、その
過程に物語が託されて全開の時、そこには日常を越える叙情が表現されて
いれば、作者、使用者の悦楽である。
 古来、近代までの文化人の要件は三絶といい、「詩・書・画」をこなせ
る人でなくてはならなかった。その達意までは難しいとしても、ここは俳
句を縁にして、次は書や画にも興味を持たれることをおすすめしたいとこ
ろです。

    句の投稿・句会情報はこちら  mtora226@gmail.com
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