[ 「坂の上の雲」 要 約 ] [ 2008/05/06 18:32更新 ]  
バルチック艦隊は、その遠征航海をつつ”けている。
これだけの大艦隊が、ヨーロッパの北海から極東の海までそれこそ万里の波濤を蹴って遠征するというその事業そのものが、すでに英雄詩的であった。

それに対し、それを迎え撃つべき日本の作戦家が、東京の一隅の借家で、空豆を齧りながら天井をにらんで考えているということ自体、なにやら滑稽であるといえるであろう。

ロシア士官のほとんどは貴族であったが、日本の作戦家の秋山真之の借家には、湯殿さえなかった。さいわい近所に妻のすえ子のほうの親戚があったため、そこへ貰い湯にゆくのである。

真之の母のお貞は、末っ子の淳の家で住みたい、というのでこちらにきている。そのお貞が貰い湯にゆくとき、真之は彼女をかるがると背負って出かけた。軍服で背負ってゆくときもあった。

「はずかしいけん、おやめ」と、そのつど体じゅうで反対するのだが、さっさとお貞を背中にのせ、近所の親戚までつれてゆく。

産経新聞連載 新聞小説要約  下高原健二挿絵 切抜