[ 「坂の上の雲」 要 約 ]
海からみるアフリカ西岸の風景は、北方のロシア人にとって、陰鬱な暗色にみたされていた。暑さは我慢できるとしても、湿気がたまらなかった。みなあの雪にとざされたロシアの冬を恋しがった。
十一月十二日の朝、艦隊はダカール港に入った。この港はフランスがおさえていて、西アフリカ経営の策源地としており、港はその軍港になっていた。
「ここはわが同盟国の軍港だから、われわれはたっぷり石炭を仕入れられるはずだ」と、提督ロジェストウェンスキーは安心しきっていた。
ともかく石炭を積み込まなければならない。石炭がなければ、戦場まで行けないのである。
さきのタンジール港での場合、イギリス商人が、ハシケとザルを買い占めてしまって艦隊はひどく積み込み作業に不自由した。イギリスは日本にとってはこれ以上の同盟国はなかったが、ロシアにとって悪魔であった。
「今後の航海が成功するかしないかは、すべて石炭にある。石炭積み込みの十分、不十分がわが艦隊の運命をにぎっているのだ」と、幕僚たちが、各艦の艦長に説いた。
この作業は炭塵の朦々たるなかでやらねばならず、そのためには艦のあらゆる扉と窓を閉じておかねば、艦隊は真っ黒になってしまうのである。
産経新聞連載 新聞小説要約 下高原健二挿絵 切抜
十一月十二日の朝、艦隊はダカール港に入った。この港はフランスがおさえていて、西アフリカ経営の策源地としており、港はその軍港になっていた。
「ここはわが同盟国の軍港だから、われわれはたっぷり石炭を仕入れられるはずだ」と、提督ロジェストウェンスキーは安心しきっていた。
ともかく石炭を積み込まなければならない。石炭がなければ、戦場まで行けないのである。
さきのタンジール港での場合、イギリス商人が、ハシケとザルを買い占めてしまって艦隊はひどく積み込み作業に不自由した。イギリスは日本にとってはこれ以上の同盟国はなかったが、ロシアにとって悪魔であった。
「今後の航海が成功するかしないかは、すべて石炭にある。石炭積み込みの十分、不十分がわが艦隊の運命をにぎっているのだ」と、幕僚たちが、各艦の艦長に説いた。
この作業は炭塵の朦々たるなかでやらねばならず、そのためには艦のあらゆる扉と窓を閉じておかねば、艦隊は真っ黒になってしまうのである。
産経新聞連載 新聞小説要約 下高原健二挿絵 切抜
