[ 「坂の上の雲」 要 約 ]
フランスの地方長官の使いは、どこかもっと辺鄙な湾をみつけてそこで石炭積み込みをやってもらえまいか、といったが、ロジェストウェンスキーは黙殺した。
(フランス人め、イギリスの鼻息をうかがいおって。)と、この癇癪持の提督はあやうくどなりつけたくなった。
さらに、露都ペテルブルグから訓令の電報がとどいた。「フランスの心証を損ずることはよろしからず。他の場所に移動せよ」というものであった。
ロシアは仏と独という二つの有力な同盟国を味方にもっていながら、戦争の相手がヨーロッパとは無縁の日本であり、さらには戦場が極東であるということで、両国から他人行儀のあつかいをうけている。とくにフランスから冷淡にあしらわれている。
ロシア帝国には本格的な外交というものが存在しているかどうか。この帝国は、他国と同盟を結んでも自分の都合で平然とそれを破るという点ですでに欧州では札つきであった。
この艦隊は、世界の外交から見放された、という点で、ノビコフ・プリボイの表現によれば“浮浪艦隊”になっていた。
産経新聞連載 新聞小説要約 下高原健二挿絵 切抜
(フランス人め、イギリスの鼻息をうかがいおって。)と、この癇癪持の提督はあやうくどなりつけたくなった。
さらに、露都ペテルブルグから訓令の電報がとどいた。「フランスの心証を損ずることはよろしからず。他の場所に移動せよ」というものであった。
ロシアは仏と独という二つの有力な同盟国を味方にもっていながら、戦争の相手がヨーロッパとは無縁の日本であり、さらには戦場が極東であるということで、両国から他人行儀のあつかいをうけている。とくにフランスから冷淡にあしらわれている。
ロシア帝国には本格的な外交というものが存在しているかどうか。この帝国は、他国と同盟を結んでも自分の都合で平然とそれを破るという点ですでに欧州では札つきであった。
この艦隊は、世界の外交から見放された、という点で、ノビコフ・プリボイの表現によれば“浮浪艦隊”になっていた。
産経新聞連載 新聞小説要約 下高原健二挿絵 切抜
