[ 童話のこと ]  

 この間、NHKで作家の石田衣良さんの番組を見た。以前、見たいと思っていたのに、見逃してしまった番組だ。たまたまテレビをつけているときに、再放送をしてくれた。神さまが見させてくれたと、今思う。
 ここのところ、自分にプレッシャーをかけ過ぎていた。今年は童話をがんばる! 童話作家を目指す! と心に決めたのはいいのだけれど、そういう思いと裏腹に、作品のアイディアは浮かんでこない。
 私の場合、趣味でやっていこうと思うより、これで食べていくんだという気持ちの方が、モチベーションとしていいのだが、いくらモチベーションが強くても、作品をつくるときには、邪魔になることがある。
 石田さんの番組は、そんな今の私に、ヒントを与えてくれたような気がする。
 番組の中で、石田さんはミッションを与えられる。「自殺
願望を持つ少女が自殺をやめたくなるような童話を作る」。しかも、辞書から無作為に選んだ3つの言葉を使って、48時間以内に、というものだ。石田さんは、いま超売れっ子の作家で、何本も締め切りや取材を抱えている。こまぎれのわずかな時間を使って、石田さんはそのミッションを果たすわけだが、その様子に恐れ入った。
 石田さんいわく、「考えるのは、自分の中の無意識という世界にいるもう一人の彼」だという。だからなのか、石田さんは自分の作品ができあがっても、すごく他人事で、「楽しかった」と言って笑い、それを読んだ中学生が、「これで自殺を思いとどまることはないと思う」みたいな感想を述べても、モニターを見ながら悠々と笑っている。あくまで、他人事のような感じなのだ。その作品はもう、自分のものではない、みたいな。
 作品を書きながら、そのお話に感動して泣いてしまうし、書くことは、自分ともう一人の彼との共同作業なんだと言う。
 石田さんによれば、そのもう一人の彼は、リラックスした状態のときに出てきてくれるらしい。だから、たくさんの締切りに追われながらも、原稿を書く前は、音楽を選ぶことからはじめ、喫茶店でアイディアを練るときも、注文したものが出てくるまでは、何もしない。
 自分の中の創作を担当する彼を、上手に手なずけているという。そこが、ホントにすごいと思った。
 私の場合、私の中の才能ある彼女(とでもいっておこう)は、なかなか出てきてくれない。リラックスが足りないのだろう。考えてみれば、そういう彼女の存在に気がついて、大事にしていなかったと思うし、そのもう一人の自分の存在とうまく付き合っていくことが、童話作家という夢を現実にできるかどうかの大きな分かれ目なんだと思う。
 夕べ、夢をかなえるために、自分のサインを考えていた(すごく、気が早いかもしれないが……)。前から、気がついてはいたのだが、私の名前はローマ字で書くと、じゅんこ(JUNKO)のなかに、うんこ(UNKO)ちゃんがいる。私は、このうんこちゃんの存在が、面白いなあ、なんか、子どもにうけそうだなあ、とか思いながら、お決まりのウンチのイラストの下にJをつけて、unkoと書いてみた。
 そうなのだ、私の中の無意識(?)の彼女はユーモアがあって、子どもっぽくて、楽しくて、愉快な、unkoちゃんだったのだ。そのことに気がついた。unkoちゃんを見つけられて、すごくうれしかった。
 これから、unkoちゃんと上手に付き合っていく方法を探してみようと思う。