[ 映画コラム ]
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あまりにも節操がない『デスノート』の早期テレビ放映

普段はあまりテレビを見ないが、10月27日(金)に帰宅して、たまたまテレビをつけたら日本テレビが映った。なんか映画をやっている・・・。見覚えがある場面・・・?。ああ「デスノート」の1作目だ。そうか来週からパート2が公開だから宣伝番組かと思いしばらく見ているとそのまま本編がずっと流れてる。むむむ???・・・新聞のテレビ欄を確認すると『金曜ロードショー 20周年特別企画 デスノート前編』となっている。まさか・・・それを映画館で観たのは6月19日だ。まだ4ヶ月(絶句)。

突然湧き上がった怒りとむなしさにテレビのスイッチを切った。まだDVDですらリリースされてないじゃないか・・・。確かに近年、日本映画界は活気づいている。作品的にも良いものが多く、数々のヒット作も生まれた。しかし、それらの殆どの作品はテレビ局出資によるもの。

日本テレビは黙ってても客が押し寄せるジブリ作品でアニメ映画での天下は不動のもの。『踊る』おばけシリーズで邦画実写映画の主導権はフジテレビが握っている。アニメでも日本テレビにひとアワ吹かせたいフジテレビは今夏、満を持して『ブレイブ・ストーリー』を送り出したが、凡作『ゲド戦記』に惨敗。夏の目玉『UDON』も振るわず危うしフジテレビ。しかし、今年の邦画観客動員記録はその時点でフジテレビの『LIMIT OF LOVE 海猿』だ。

実写でも首位に出たい日本テレビは、『デスノート』前後編を6月・11月連続公開という作戦を打ち出す。前編は、ヒットはしたものの『海猿』を抜くには、至らなかった。なんとしてもフジテレビを負かしたい。我を忘れた日本テレビは、なり振り構わず6月に公開したばかりの前編を後編公開の前週にテレビ放映するという暴挙にでたのである。

そして、結果は・・・。11月3日初日からの3日間で『海猿』を抜き『デスノート』が今年の実写日本映画オープニング動員記録更新。土壇場で日本テレビがフジテレビをハナ差で射しきったのである。

映画がヒットし映画人口が増えることは喜ばしいことだ。テレビ局資本の作品が多くても邦画界が活性化するならば文句はない。しかし、いま映画館で本編が始まっているのにノコノコ入場してきたり、上映中にメールしてるかと思えば、着メロ鳴らすだけでは済まずに着信した携帯に出て通話してる輩などマナーのかけらもない阿呆が映画館に増殖してるのも事実だ。

「テレビ局の視聴率が取れればいいというスポンサー寄りの思考」=「映画はヒットして儲かればいい」という傾向が拡大するのならば、せっかく上向きの日本映画界にまたいつか闇が訪れるであろう。金を払って観に来る客をナメてはいけない。メディア戦略だけでヒットしたって面白くなければソッポを向かれるし、心がなければやがて客は去って行く。

おそらく今年の邦画最大のヒット作は、『ゲド戦記』であろう。奇しくも『ゲド戦記』が、かならずしも「優れた作品」=「ヒット作」でないことを証明してしまった。

これからのラインナップを見てみても、日本テレビ=『愛の流刑地』、TBS=『犬神家の一族』『NANA2』『どろろ』、フジテレビ=『それでもぼくはやってない』『バブルへGO!!タイムマシンはドラム式』、テレビ朝日『武士の一分』等々、ヒット必至の日本映画は全てテレビ局が製作に関わっている。それらが、優れた作品であることを祈るしかない。

こうなってくるとテレビ局が関わらずに低資本でシネカノンが製作し映画の出来も素晴らしく口コミで観客を増やしスマッシュヒットを飛ばしている『フラガール』が、非常に愛おしく大事にしまっておきたくなるような映画に思えてくるのだ。



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