[ 映画 ]
その1.
新井浩文の事を書こうと思って、
出演映画を調べたら、12本あった。
(2006年2月時点)
内7本、半数以上観ているから、
まあ観ている方だと思う。(*は観ている)
『GO』* (2001年10月公開)
『青い春』* (2002年6月公開)
『JUSTICE』 (2002年12月公開)
『さよなら、クロ』 (2003年7月公開)
『赤目四十八瀧心中未遂』* (2003年9月公開)
『ジョゼと虎と魚たち』 (2003年12月公開)
『天国の本屋 〜恋火〜』 (2004年6月公開)
『ラブドガン』 (2004年6月公開)
『69 sixty nine』* (2004年7月公開)
『血と骨』* (2004年11月公開)
『隣人13号』* (2005年3月公開)
『ゲルマニウムの夜』* (2005年12月公開)
たたずまいが妙に気になる役者ではあるのだけれど、
激しく気になるまでのレベルにはなかった。
観たのは『ゲルマニウムの夜』の後だけれど
『隣人13号』の演技が良かった。
と言うわけで、どうせなら、
すべて観てから書こうと思う。
と言うわけで、今日は予告編。
その2.「天国の本屋 恋火」
演出が丁寧なせいか、新井浩文も
肌理(きめ)の細かい演技を見せる。
天国への移動士見習い、サトシ。
由衣(香里奈)への想いの慎ましさ、
ふと見せる激情。
由衣、健太(玉山鉄二)を三輪トラックへ
乗せる時のさりげない、心のこもった振る舞い。
目立つでもなく、画面に埋もれる事もなく、
ひっそりと、しかし、しっかりと自分を
刻印している。
時々、永遠に戸惑っているような眼、をする。
その3.「さよなら、クロ」
頭は良い?けれど、その分? だから?
恋に性急な、妻夫木の友人を演じています。
妻夫木と伊藤歩が疎遠になるきっかけの
バイク事故で死んでしまいます。
その割に印象に残りません。
映画の半分も出ていない、
のが理由ではないと思います。
本人がどうであれ、
優等生、頭の良さげな印象、柄、
ではないのでしょう。
頭の悪そうな、暴力男、のイメージが強いのです。
その癖、スチールは、善人オーラ満開です。
そう考えると「ゲルマニウムの夜」は、
頭の良い暴力男という新井浩文を作ろうとした
意欲作に見えます。
妻夫木と新井が一緒に歩いていると、
遠近感が混乱します。
魅力的だが取り扱いには注意が必要。
将来が楽しみな、役者、です。
その4.
探しましたよ、一生懸命。
「JAM FILMS」
新井君の出ている「JUSTIS」を。
妻夫木聡との共演が多いのね。
でも、新井君は、強烈な個性の脇にいる方が、
キャラが立つのね。
ブッキー(妻夫木君はそう呼ばれている、らしい)
みたいな天然演技派より、松田龍平や岸辺一徳、
原田芳雄、たけし、中村獅童のような過剰演技派と絡む方が、
生き生き演技を遊んでいて、印象に残る。
しかし、凄い共演陣、ですね。
「青い春」の強烈な印象で、
役が固まるのを避けているのかも知れない。
だから、妙に静かな役が
「ゲルマ・・・」までは多い。
楽しみだけど、関係者のみなさん、
うまく育ててね。
裕次郎だったり、優作だったり、
エースのジョーだったり、浜田光夫だったりする、
芸域の広さを活用しないと、単なる便利屋に、なるよ。
文太に、だって、なれる潜在能力を、秘めているよ。
その5.ラブドガン
この手の映画のスチール写真では、
結構強面の表情で映っている事が
多いのに、いざムービーになると、
キレやすいくせに、お間抜けな
殺し屋見習いになってしまう。
演出なのだろうか、
新井浩文が本来持っている、
柄、なのだろうか?
映画の中では少しふっくらと見える頬に、
原因があるのかも知れない。
腹は締まっているのに、
動きや表情が漫画チックに、
なる。
あの三白眼を見ていると、
高倉健にだってなれそうに
思えるのだけれど。
ELMだったら、どんな役をオファーしよう。
一度「県警対組織暴力」の
川谷拓三のような演技を、
思い切りやってみるのも良いかも。
その6.「ジョゼと虎と魚たち」
新井浩文ファンからすると、
そうだ、ELMは久しぶりに、
ひとりの役者に肩入れしている。
新井浩文の柄を生かし切れた作品は、
まだ、ない。
施設で一緒だった池脇千鶴を連れて、
脱走した新井の想いが描き切れていない。
相手の台詞が終わらない内に、
罵倒語で反応する新井の悲しみや怒りや、
可笑しさ、生きていく上での「粗末な」処世術は、
池脇の写し絵なのに。
新井を生かし切れた時、
ジョゼの諦観や妻夫木の慟哭は、
もっと身を切るものになったろうに。
単なるあんぽんたん、を演じる以上の
深みが、まだ新井には、ないのだろうか?
否。
その7.青い春
「青い春」のスチール写真を見て、
ハッとした。
新井浩文は、頭髪で役作りする役者、なのだ。
一晩中、校舎の屋上に立っていたのが、
新井浩文だったか?
思い返せば、文芸作品?のような
香気さえ感じられる。
新井浩文の出演映画は、
すべて観終わったと思うが、
もう一度「青い春」を観てから
新井浩文論を完成させよう。
その8.
「新井浩文って役者、知ってますか?」
今日の仕事の「つかみ」を兼ねて、
聞いてみました。
相手は、20人ほどの若い参加者です。
ひとり「イエス」と回答がありました。
何か映画観た事、ありますか?
例えば「ゲルマニウムの夜」とか?
ノー、でした。
即、話題を変えました。
考えたら、新井浩文はテレビに出ません。(たぶん)
遅すぎた映画スター、なのかも知れません。
もう少し周回遅れになった方が、
良いのかも知れません。
見た目はトップ、です。
違いますね。そんなの新井では、ありません。
新井浩文の売り方は、難しいのかも。
「血と骨」を再見したら、
いよいよ新井浩文論の開始です。
その9.新井浩文、ロン!
何もしないでいると、
ただ立っているだけだと、
たたずまいが、妙に上品なのだ。
その意味では、
石原裕次郎のような育ちの良さを感じさせる。
(本当はどうなのかはわからないけれど)
ところが、少し上目使いになるだけで、
狂気が出現する。
横目使いをすると、恐怖が横切る。
誰に似ているかと記憶をたどれば
「けんかえれじい」の北一輝役、
緑川宏を思い出す。
超主役と超脇役が混在している役者。
それが新井浩文・・・?
新井浩文の上品さは、
今のところ弱さのようなものとして
映画に定着している。
弱さという比喩が妥当でないなら、
母性本能をくすぐる共依存体質、
どんなに突っ張っていても
誰かに頼っている様子、がほの見える。
「青い春」での松田龍平(九條)と
新井浩文(青木)の関係が、典型的にそうだ。
新井と青木で韻を踏んでいるのは偶然だろうが、
偶然とは必然の暗合である場合も、ある。
ほとんどの出演映画で、新井浩文は準主役のような立場なのだが、
主役を喰うまでの演技は「青い春」を除いて、見せない。
「さよなら、クロ」では、途中で消えてしまう。
「ジョゼと虎と魚たち」では、ジョゼを思う気持ちが、
演出のせいもあるが、不完全燃焼で終わる。
「ラブドガン」では、岸部一徳、永瀬正敏に互して
演技しながら、勝ち残った殺し屋に見えない。
新井浩文は、表情、眼技に優れながら、
重心が低いせいか、アクションに切れが、ない。
それどころか、コミカルに見えてしまう時がある。
「血と骨」でビートたけしと互いの自宅を
破壊する場面で、たけしが狂気の破壊を見せるのに、
新井ときたら、箪笥は壊れないし、唐紙はバットで
ぼすっ、ぼすっと突くという、情けない破壊を行う。
まあ、情けない役なのではあるけれど。
おまけに硝子窓をたたき壊す場面では
「ファイト一発」のギャグをかます。
演出なのかアドリブなのか、それはわからないが、
笑いとは無縁の映画の中で、新井が動くとコミカルになる
というのは、特筆すべき個性と言うべきだ。
「ゲルマニウムの夜」の中でさえ、アクションではないが、
捨て台詞的な面白みを出している。
その意味では、初期の原田芳雄にも似ている。
「反逆のメロディ」や「龍馬暗殺」「祭りの準備」の原田芳雄に。
可笑しさと哀しさと平安と狂気を、
台詞と体技で具現した原田芳雄に。
誰かに似ていると言われるのは本人も嫌がるだろうが、
それだけ潜在能力の高い素材だと言いたいのだ。
「隣人13号」を観て、もっと演技を観たいと思った。
あのラインで、思い切り暴れてくれたら、突き抜けると思う。
勝手な事を書いてきて、さらに勝手を書けば、
柄を理解してキャスティングし、演出して欲しい。
「ゲルマニウムの夜」を観なければ、
新井浩文論?は書かなかった、と思うから。
新井浩文の事を書こうと思って、
出演映画を調べたら、12本あった。
(2006年2月時点)
内7本、半数以上観ているから、
まあ観ている方だと思う。(*は観ている)
『GO』* (2001年10月公開)
『青い春』* (2002年6月公開)
『JUSTICE』 (2002年12月公開)
『さよなら、クロ』 (2003年7月公開)
『赤目四十八瀧心中未遂』* (2003年9月公開)
『ジョゼと虎と魚たち』 (2003年12月公開)
『天国の本屋 〜恋火〜』 (2004年6月公開)
『ラブドガン』 (2004年6月公開)
『69 sixty nine』* (2004年7月公開)
『血と骨』* (2004年11月公開)
『隣人13号』* (2005年3月公開)
『ゲルマニウムの夜』* (2005年12月公開)
たたずまいが妙に気になる役者ではあるのだけれど、
激しく気になるまでのレベルにはなかった。
観たのは『ゲルマニウムの夜』の後だけれど
『隣人13号』の演技が良かった。
と言うわけで、どうせなら、
すべて観てから書こうと思う。
と言うわけで、今日は予告編。
その2.「天国の本屋 恋火」
演出が丁寧なせいか、新井浩文も
肌理(きめ)の細かい演技を見せる。
天国への移動士見習い、サトシ。
由衣(香里奈)への想いの慎ましさ、
ふと見せる激情。
由衣、健太(玉山鉄二)を三輪トラックへ
乗せる時のさりげない、心のこもった振る舞い。
目立つでもなく、画面に埋もれる事もなく、
ひっそりと、しかし、しっかりと自分を
刻印している。
時々、永遠に戸惑っているような眼、をする。
その3.「さよなら、クロ」
頭は良い?けれど、その分? だから?
恋に性急な、妻夫木の友人を演じています。
妻夫木と伊藤歩が疎遠になるきっかけの
バイク事故で死んでしまいます。
その割に印象に残りません。
映画の半分も出ていない、
のが理由ではないと思います。
本人がどうであれ、
優等生、頭の良さげな印象、柄、
ではないのでしょう。
頭の悪そうな、暴力男、のイメージが強いのです。
その癖、スチールは、善人オーラ満開です。
そう考えると「ゲルマニウムの夜」は、
頭の良い暴力男という新井浩文を作ろうとした
意欲作に見えます。
妻夫木と新井が一緒に歩いていると、
遠近感が混乱します。
魅力的だが取り扱いには注意が必要。
将来が楽しみな、役者、です。
その4.
探しましたよ、一生懸命。
「JAM FILMS」
新井君の出ている「JUSTIS」を。
妻夫木聡との共演が多いのね。
でも、新井君は、強烈な個性の脇にいる方が、
キャラが立つのね。
ブッキー(妻夫木君はそう呼ばれている、らしい)
みたいな天然演技派より、松田龍平や岸辺一徳、
原田芳雄、たけし、中村獅童のような過剰演技派と絡む方が、
生き生き演技を遊んでいて、印象に残る。
しかし、凄い共演陣、ですね。
「青い春」の強烈な印象で、
役が固まるのを避けているのかも知れない。
だから、妙に静かな役が
「ゲルマ・・・」までは多い。
楽しみだけど、関係者のみなさん、
うまく育ててね。
裕次郎だったり、優作だったり、
エースのジョーだったり、浜田光夫だったりする、
芸域の広さを活用しないと、単なる便利屋に、なるよ。
文太に、だって、なれる潜在能力を、秘めているよ。
その5.ラブドガン
この手の映画のスチール写真では、
結構強面の表情で映っている事が
多いのに、いざムービーになると、
キレやすいくせに、お間抜けな
殺し屋見習いになってしまう。
演出なのだろうか、
新井浩文が本来持っている、
柄、なのだろうか?
映画の中では少しふっくらと見える頬に、
原因があるのかも知れない。
腹は締まっているのに、
動きや表情が漫画チックに、
なる。
あの三白眼を見ていると、
高倉健にだってなれそうに
思えるのだけれど。
ELMだったら、どんな役をオファーしよう。
一度「県警対組織暴力」の
川谷拓三のような演技を、
思い切りやってみるのも良いかも。
その6.「ジョゼと虎と魚たち」
新井浩文ファンからすると、
そうだ、ELMは久しぶりに、
ひとりの役者に肩入れしている。
新井浩文の柄を生かし切れた作品は、
まだ、ない。
施設で一緒だった池脇千鶴を連れて、
脱走した新井の想いが描き切れていない。
相手の台詞が終わらない内に、
罵倒語で反応する新井の悲しみや怒りや、
可笑しさ、生きていく上での「粗末な」処世術は、
池脇の写し絵なのに。
新井を生かし切れた時、
ジョゼの諦観や妻夫木の慟哭は、
もっと身を切るものになったろうに。
単なるあんぽんたん、を演じる以上の
深みが、まだ新井には、ないのだろうか?
否。
その7.青い春
「青い春」のスチール写真を見て、
ハッとした。
新井浩文は、頭髪で役作りする役者、なのだ。
一晩中、校舎の屋上に立っていたのが、
新井浩文だったか?
思い返せば、文芸作品?のような
香気さえ感じられる。
新井浩文の出演映画は、
すべて観終わったと思うが、
もう一度「青い春」を観てから
新井浩文論を完成させよう。
その8.
「新井浩文って役者、知ってますか?」
今日の仕事の「つかみ」を兼ねて、
聞いてみました。
相手は、20人ほどの若い参加者です。
ひとり「イエス」と回答がありました。
何か映画観た事、ありますか?
例えば「ゲルマニウムの夜」とか?
ノー、でした。
即、話題を変えました。
考えたら、新井浩文はテレビに出ません。(たぶん)
遅すぎた映画スター、なのかも知れません。
もう少し周回遅れになった方が、
良いのかも知れません。
見た目はトップ、です。
違いますね。そんなの新井では、ありません。
新井浩文の売り方は、難しいのかも。
「血と骨」を再見したら、
いよいよ新井浩文論の開始です。
その9.新井浩文、ロン!
何もしないでいると、
ただ立っているだけだと、
たたずまいが、妙に上品なのだ。
その意味では、
石原裕次郎のような育ちの良さを感じさせる。
(本当はどうなのかはわからないけれど)
ところが、少し上目使いになるだけで、
狂気が出現する。
横目使いをすると、恐怖が横切る。
誰に似ているかと記憶をたどれば
「けんかえれじい」の北一輝役、
緑川宏を思い出す。
超主役と超脇役が混在している役者。
それが新井浩文・・・?
新井浩文の上品さは、
今のところ弱さのようなものとして
映画に定着している。
弱さという比喩が妥当でないなら、
母性本能をくすぐる共依存体質、
どんなに突っ張っていても
誰かに頼っている様子、がほの見える。
「青い春」での松田龍平(九條)と
新井浩文(青木)の関係が、典型的にそうだ。
新井と青木で韻を踏んでいるのは偶然だろうが、
偶然とは必然の暗合である場合も、ある。
ほとんどの出演映画で、新井浩文は準主役のような立場なのだが、
主役を喰うまでの演技は「青い春」を除いて、見せない。
「さよなら、クロ」では、途中で消えてしまう。
「ジョゼと虎と魚たち」では、ジョゼを思う気持ちが、
演出のせいもあるが、不完全燃焼で終わる。
「ラブドガン」では、岸部一徳、永瀬正敏に互して
演技しながら、勝ち残った殺し屋に見えない。
新井浩文は、表情、眼技に優れながら、
重心が低いせいか、アクションに切れが、ない。
それどころか、コミカルに見えてしまう時がある。
「血と骨」でビートたけしと互いの自宅を
破壊する場面で、たけしが狂気の破壊を見せるのに、
新井ときたら、箪笥は壊れないし、唐紙はバットで
ぼすっ、ぼすっと突くという、情けない破壊を行う。
まあ、情けない役なのではあるけれど。
おまけに硝子窓をたたき壊す場面では
「ファイト一発」のギャグをかます。
演出なのかアドリブなのか、それはわからないが、
笑いとは無縁の映画の中で、新井が動くとコミカルになる
というのは、特筆すべき個性と言うべきだ。
「ゲルマニウムの夜」の中でさえ、アクションではないが、
捨て台詞的な面白みを出している。
その意味では、初期の原田芳雄にも似ている。
「反逆のメロディ」や「龍馬暗殺」「祭りの準備」の原田芳雄に。
可笑しさと哀しさと平安と狂気を、
台詞と体技で具現した原田芳雄に。
誰かに似ていると言われるのは本人も嫌がるだろうが、
それだけ潜在能力の高い素材だと言いたいのだ。
「隣人13号」を観て、もっと演技を観たいと思った。
あのラインで、思い切り暴れてくれたら、突き抜けると思う。
勝手な事を書いてきて、さらに勝手を書けば、
柄を理解してキャスティングし、演出して欲しい。
「ゲルマニウムの夜」を観なければ、
新井浩文論?は書かなかった、と思うから。
