[ 映画 ]
CARRYとCARRIEを掛けたこの映画は、
いまなお名作と言われる。
キャリー・ホワイト役の
シシー・スペイセクは、
アカデミー主演女優賞に。
母マーガレット役のパイパー・ローリーは、
アカデミー助演女優賞に、ホラー映画の出演者としては
初めてノミネートされている。
ホラーの役者には演技力が求められる、
はELMの持論だけれど、この映画に影響されているのかも、と思った。
「キャリー」は、それまでの気持ち悪いだけのホラー映画
(それはそれで嫌いではない。特撮好きとしては)と一線を画している。
それは、ホラーテイストの根っこに
思春期のつらさ、やるせなさ、むごさ、
おかしさをまぶして、一級の青春映画に
なっているからだ、と思う。
それを支えているのが、商業映画第1作の
監督、ブライアン・デ・パルマの映像感覚。
俯瞰のバレーボール場面から
映画ははじまる。
スローモーションでカメラは下降し、
ひとりの女生徒に迫っていく。
画面外の声は「キャリーを狙え」と叫び、
足の運びの鈍さからフルショットになった
その女生徒こそ、キャリーとわかる。
画面外からスパイクされたボールを、
キャリーはなすすべもなく見逃し、
ゲームは、負けて終わる。
クラスメートは、キャリーを罵倒しながら
引き上げていく。キャップではたく者もいる。
冒頭わずかの時間で、立場のない、
居場所のないキャリーのポジションが明らかにされる。
見事としか言いようがない演出。
(実は、このバレーボールシーンに、
何か違和感があった。
ボールタッチの回数が多いような、
微かな記憶があったのです。
9人制なら、それはA-OKですが、
9人制は日本のみです。
6人制ならNGです。
9人制では、ネットに当たった場合は
4回までボールタッチOKです。
後日、借り直して確認しました。
4回、ネットにはねかえって、
ボールタッチしていました。
そして、プレーヤーは6人でした。
きっと全体の流れ(カメラワークとか
役者の動き)が良かったので、
OK-TAKEにしたのでしょう)
次の画面で、カメラはスローモーションの
横移動になる。場所はシャワールームの隣の更衣室。
湯気が幻想的な雰囲気を醸し出し、
豊満で健康的な、我が世の春を謳歌する
女子高校生達の裸が画面に溢れる。
無邪気で健康的に戯れる女達、
に見えるけれど、出演者達はかなり
緊張もしたし、抵抗もしたらしい。
監督のデ・パルマは、スペーセクの場面を
まず撮影し、それをナンシー・アレン達共演者に見せてから
撮影に臨んだ。
確かに、イヤしくない。
イヤらしくないから、その後の展開が生きる。
カメラは、ズームで前進をはじめ、
ひとりシャワーを浴びるキャリーに
ディゾルブする。
肉感的な同級生に比べ、いかにも細身な、
貧相なシシー・スペーセクの全身が画面を
支配する。
同級生のグラマラスな肢体との皮肉な対比。
しかし、アップになると、キャリーの躯が、
案外、フェミニンだとわかる。
ボディダブル(吹き替え)かも知れない。
デ・パルマは、他の映画でもボディダブルを使った事がある。
すぐには思い出せないが。
そして、キャリーは、遅い、知らされていなかった!!
突然の初潮を迎える。
グラマラスな同級生。
貧相なキャリー。
案外、豊かなパーツのキャリー。
そして、訪れる意外な、
高校生の初潮という展開。
短時間の中で、たたみかけるように
観客の予想を裏切る展開。
これがデビュー作とは思えない、デ・パルマ。
怯えて錯乱(それはそうだろう)し、
助けを求めるキャリーを、同級生は笑いものにする。
この場面は、かなり、おぞましい。
当時、観ていてイヤになったくらい。
無邪気とは残酷の別名と
思ったくらい、イヤになった。
その記憶が蘇った。
ナンシー・アレンは、この場面を
不愉快だったと述懐している。
その言葉を聞いて、ほっとした。
バレーボールの場面から更衣室の場面。
健康的な裸から予想外の展開。
デ・パルマの才気と気負いが充満していて、
見事としか言いようが、ない。
キャリーをいじめた事で、
同級生たちはミス・コリンズ
(ベティ・バックレイ)から
居残り特訓を命じられる。
出なければ、プロム(卒業パーティ)への
参加は禁止。クリス(ナンシー・アレン)は、
特訓のあまりのハードさに怒って途中で
抜け出す。
この特訓場面のハードさと妙なおかしさが
面白い。デ・パルマは、ホラーにこそ、
息抜きのような笑いが必要と考えている。
そして、クリスが抜け出す場面では、
ベティ・バックレイに本当に平手打ちを
させ、場面を引き締める。
打たれたナンシー・アレンの驚きの表情が
妙にリアルだ。
何と、20数回のテイクをくりかえした
らしいが、もしかして使ったのはTAKE 1?
念動(テレキネス)の最初の描写は、
シャワールームで割れる電球。
次は、キャリーをキャシーと何度も
言い間違える校長と、その無神経な喫煙に
向けられる。
灰皿は、くるくると何度も回転し、
床に落ちて砕ける。
何回転したのだろうか、あの灰皿。
見事なくらい、くるくる、回る。
三番目は、早退するキャリーに
「お化けのキャリー」と罵る
少年の自転車の転倒。
今観ると、自転車はむごいくらい、
急激に引っ張られている。
クレジットロールで、何とか、デ・パルマ、
とあったので息子? と思ったら、甥でした。
圧巻は、母親役のパイパー・ローリー。
「ハスラー」以来、15年ぶりの映画出演というのに、
その役作りの緻密さ、迫力が恐い。
今回、観直して、
垂れ眼の狂信者は恐い、と思った。
垂れ眼で、狂った演技は笑えると思うのだが、
垂れ眼だから恐い、怖い、という造形は、
できそうで、できない。
母は帰宅した娘を何度も言葉で打ちすえる。
娘は泣いて何度も抗議する。
とても日本語では、書けない。
“Sin is intercourse”
“Sin is intercourse”
“Sin is intercourse”
「なぜ、教えてくれなかったの?」
「なぜ、教えてくれなかったの?」
「なぜ、教えてくれなかったの?」
シシー・スペイセクとパイパー・ローリーの
火花が散るような演技の応酬。
そして、聖セバスチャン像のある、
祈りの物置に閉じこめられる。
プロムに出られなくなったナンシーは、
キャリーへの復讐(逆恨み)を決める。
反対にスー(エイミー・アービング)は、
キャリーを慰める方法を考える。
キャリーをめぐる二組の男女が、
惨劇へのスロープをゆっくりと
転げ落ちはじめる。
to be continued.
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MOVIE TRAP
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000208683.html
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いまなお名作と言われる。
キャリー・ホワイト役の
シシー・スペイセクは、
アカデミー主演女優賞に。
母マーガレット役のパイパー・ローリーは、
アカデミー助演女優賞に、ホラー映画の出演者としては
初めてノミネートされている。
ホラーの役者には演技力が求められる、
はELMの持論だけれど、この映画に影響されているのかも、と思った。
「キャリー」は、それまでの気持ち悪いだけのホラー映画
(それはそれで嫌いではない。特撮好きとしては)と一線を画している。
それは、ホラーテイストの根っこに
思春期のつらさ、やるせなさ、むごさ、
おかしさをまぶして、一級の青春映画に
なっているからだ、と思う。
それを支えているのが、商業映画第1作の
監督、ブライアン・デ・パルマの映像感覚。
俯瞰のバレーボール場面から
映画ははじまる。
スローモーションでカメラは下降し、
ひとりの女生徒に迫っていく。
画面外の声は「キャリーを狙え」と叫び、
足の運びの鈍さからフルショットになった
その女生徒こそ、キャリーとわかる。
画面外からスパイクされたボールを、
キャリーはなすすべもなく見逃し、
ゲームは、負けて終わる。
クラスメートは、キャリーを罵倒しながら
引き上げていく。キャップではたく者もいる。
冒頭わずかの時間で、立場のない、
居場所のないキャリーのポジションが明らかにされる。
見事としか言いようがない演出。
(実は、このバレーボールシーンに、
何か違和感があった。
ボールタッチの回数が多いような、
微かな記憶があったのです。
9人制なら、それはA-OKですが、
9人制は日本のみです。
6人制ならNGです。
9人制では、ネットに当たった場合は
4回までボールタッチOKです。
後日、借り直して確認しました。
4回、ネットにはねかえって、
ボールタッチしていました。
そして、プレーヤーは6人でした。
きっと全体の流れ(カメラワークとか
役者の動き)が良かったので、
OK-TAKEにしたのでしょう)
次の画面で、カメラはスローモーションの
横移動になる。場所はシャワールームの隣の更衣室。
湯気が幻想的な雰囲気を醸し出し、
豊満で健康的な、我が世の春を謳歌する
女子高校生達の裸が画面に溢れる。
無邪気で健康的に戯れる女達、
に見えるけれど、出演者達はかなり
緊張もしたし、抵抗もしたらしい。
監督のデ・パルマは、スペーセクの場面を
まず撮影し、それをナンシー・アレン達共演者に見せてから
撮影に臨んだ。
確かに、イヤしくない。
イヤらしくないから、その後の展開が生きる。
カメラは、ズームで前進をはじめ、
ひとりシャワーを浴びるキャリーに
ディゾルブする。
肉感的な同級生に比べ、いかにも細身な、
貧相なシシー・スペーセクの全身が画面を
支配する。
同級生のグラマラスな肢体との皮肉な対比。
しかし、アップになると、キャリーの躯が、
案外、フェミニンだとわかる。
ボディダブル(吹き替え)かも知れない。
デ・パルマは、他の映画でもボディダブルを使った事がある。
すぐには思い出せないが。
そして、キャリーは、遅い、知らされていなかった!!
突然の初潮を迎える。
グラマラスな同級生。
貧相なキャリー。
案外、豊かなパーツのキャリー。
そして、訪れる意外な、
高校生の初潮という展開。
短時間の中で、たたみかけるように
観客の予想を裏切る展開。
これがデビュー作とは思えない、デ・パルマ。
怯えて錯乱(それはそうだろう)し、
助けを求めるキャリーを、同級生は笑いものにする。
この場面は、かなり、おぞましい。
当時、観ていてイヤになったくらい。
無邪気とは残酷の別名と
思ったくらい、イヤになった。
その記憶が蘇った。
ナンシー・アレンは、この場面を
不愉快だったと述懐している。
その言葉を聞いて、ほっとした。
バレーボールの場面から更衣室の場面。
健康的な裸から予想外の展開。
デ・パルマの才気と気負いが充満していて、
見事としか言いようが、ない。
キャリーをいじめた事で、
同級生たちはミス・コリンズ
(ベティ・バックレイ)から
居残り特訓を命じられる。
出なければ、プロム(卒業パーティ)への
参加は禁止。クリス(ナンシー・アレン)は、
特訓のあまりのハードさに怒って途中で
抜け出す。
この特訓場面のハードさと妙なおかしさが
面白い。デ・パルマは、ホラーにこそ、
息抜きのような笑いが必要と考えている。
そして、クリスが抜け出す場面では、
ベティ・バックレイに本当に平手打ちを
させ、場面を引き締める。
打たれたナンシー・アレンの驚きの表情が
妙にリアルだ。
何と、20数回のテイクをくりかえした
らしいが、もしかして使ったのはTAKE 1?
念動(テレキネス)の最初の描写は、
シャワールームで割れる電球。
次は、キャリーをキャシーと何度も
言い間違える校長と、その無神経な喫煙に
向けられる。
灰皿は、くるくると何度も回転し、
床に落ちて砕ける。
何回転したのだろうか、あの灰皿。
見事なくらい、くるくる、回る。
三番目は、早退するキャリーに
「お化けのキャリー」と罵る
少年の自転車の転倒。
今観ると、自転車はむごいくらい、
急激に引っ張られている。
クレジットロールで、何とか、デ・パルマ、
とあったので息子? と思ったら、甥でした。
圧巻は、母親役のパイパー・ローリー。
「ハスラー」以来、15年ぶりの映画出演というのに、
その役作りの緻密さ、迫力が恐い。
今回、観直して、
垂れ眼の狂信者は恐い、と思った。
垂れ眼で、狂った演技は笑えると思うのだが、
垂れ眼だから恐い、怖い、という造形は、
できそうで、できない。
母は帰宅した娘を何度も言葉で打ちすえる。
娘は泣いて何度も抗議する。
とても日本語では、書けない。
“Sin is intercourse”
“Sin is intercourse”
“Sin is intercourse”
「なぜ、教えてくれなかったの?」
「なぜ、教えてくれなかったの?」
「なぜ、教えてくれなかったの?」
シシー・スペイセクとパイパー・ローリーの
火花が散るような演技の応酬。
そして、聖セバスチャン像のある、
祈りの物置に閉じこめられる。
プロムに出られなくなったナンシーは、
キャリーへの復讐(逆恨み)を決める。
反対にスー(エイミー・アービング)は、
キャリーを慰める方法を考える。
キャリーをめぐる二組の男女が、
惨劇へのスロープをゆっくりと
転げ落ちはじめる。
to be continued.
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