[ 映画 ]
久しぶりに、凄まじいばかりに作品世界の
アクチュアリティを構築した映画に出逢った。
前半の静謐な眠気を、イッセイ尾形の
演技に集中する事によって回避できれば、
おそらく日本人監督には描けない世界を
魅せてくれる。
演技、照明、カメラワーク、美術、
唸るばかり。
ただし、天皇自らが天皇機関説を容認する描写は、
元々は天皇機関説を天皇自らも認めていたことであって、
目新しくは、ない。
ヒロシマの原爆投下がケダモノなのか?
パールハーバーがケダモノの奇襲なのか?
連合国司令官(マック・アーサー)と
天皇(ヒロヒト)の会話は禅問答より虚しい。
原爆製造、使用はアジア人、日本人のみ対象とする事で
ゴーサインが出されている。
また、映画の天皇は大正13年の米移民法が遠因と言うが、
現実のアメリカは大正10年には将来の対日戦を
考えて準備をはじめている。
リアルな話はさておき、
最後の桃井かおりのアップが
成功しているとは、どうしても思えない。
どうやら天皇と口癖が同じらしい皇后の
「あ、そう」と一瞬のあの表情で終わっていたら、
この映画はさらに-おもしろおそろしい-作品に
なっていた。
