この本面白かったよ 猫ばあ ブック・レポート
vol.11 2007.4.6
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猫と本が好きな団塊世代です。面白かった!読んでよかった!誰かに読んでもらいたい!と「!」の付く本を紹介、というより「ねっ?おもしろいでしょ」と言いたくて、そして面白 いと思う本があったら紹介して、と初めてのブログを開きました。女性著者の小説、エッセイが多いかも。理数系、スポーツ物、時代物はゴメン、ほぼゼロです。
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今日の1冊は、映画化され、テレビでも放映されたらしい(見ていないので断定できませんが)「佐賀のがばいばあちゃん」です。
「がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい」「がばいばあちゃんの幸せトランク」の2冊が続けて出てシリーズで220万部も売れていると帯に書いてあります。
著者は漫才コンビB&Bの島田洋七、本名を徳永昭広といいます。1950年生まれですからほぼ団塊の世代。聖徳太子の千円札が発行され、池田首相の「貧乏人は麦を食え」(注1)発言があった年。ちなみに、もり蕎麦は15円くらい。
終戦から5年、世の中は落ち着きを取り戻してきたとはいえ、戦争の影はまだ残っていたと思います。著者の父も原爆の直後広島に入って放射能を受け後に原爆症を発症してなくなっています。戦後生まれの昭広ですが、戦争で父親を失った、ということになります。まだ就学前のことです。
昭広とその兄、二人の息子を育てるため居酒屋を始めた母。商売柄、夜家を空けざるを得ないわけで、とうとう8歳のとき佐賀のおばあちゃんのところにあずけられることになります。 でも昭広はそのことを知りません。ある日、おばさんを見送りに行くだけのつもりで、母親との外出に心躍らせて出かけたのに、なんと出発間際母に背中をドンと押されておばのいる列車内に入ってしまいます。そのとたん、ドアは閉まり、列車が発車してからやっと自分が預けられることを知るのです。
著者はつとめて明るく書いていますが、どんなに驚き、不安で、悲しかったか、その少年の心を思うと涙が出ます。騙された、とか母ちゃんなんかキライだ、などという言葉は一言も出てきません。ただ <この出来事はトラウマとなって、今でもどんなわざとらしいドラマを見ても、母子の別れのシーンだけは、涙を流さずにはいられない。−略― 俺の人生は、ほんまにかあちゃんに背中を押されて変わったんや!>とだけ言っています。
時は昭和33年。テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫が3種の神器などといわれ、東京タワーが完成し、チキンラーメン、スバル360が発売され、町にはフランク永井の「有楽町で逢いましょう」がながれていた、そんな時代のことです。
到着したのは夜で、都会育ちの少年は、田舎の夜の暗さに驚き、ますます気が滅入り不安を募らせます。
こうして昭広のばあちゃんと二人だけの佐賀での生活が始まり、学校にも通いだします。その貧乏ぶりは大変なものですが学校でのいじめなどはなかったようです。先生も生徒も近所の人も皆明るく描かれています。
あとがきのそのあとに「特別付録」として島田洋七を育てたおさのばあちゃんの楽しく生きる方法語録、というのがあります。ではそこから……
〜〜〜 語録より〜〜〜
P231< 貧乏には二通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。うちは明るい貧乏だからよ か。ソレも、最近貧乏になったのと違うから心配せんでもよか。自信を持ちなさい。うちは先祖代々貧乏だから。>
P228<通知表は、0じゃなければええ。1とか2を足していけば5になる!!
人生総合力(P150)>
P232<「ばあちゃん、英語なんかさっぱり分からん。」
「じゃあ、答案用紙に『私は日本人です』って書いとけ」
「漢字も苦手で……」
「『僕はひらかなとカタカナでいきていきます。』って書いとけ」
「歴史もきらいでなあ」
「歴史もできんと?『過去にはこだわりません』って書いとけ」
P233<人間は死ぬまで夢を持て!その夢が叶わなくても、しょせん夢だ
から>
プロローグで著者はこう書いています。
P7<お金がないから不幸。
今は、みんなが、そんな気持ちに縛られすぎていると思う。
大人がそんな考えだから、子供も健やかに過ごせるはずがない。
成績が悪いから、いい学校に入れないから、自分の将来は真っ暗だと思
う。そんな子供ばかりが育ってしまい、毎日が面白くなくて、将来に希
望をもてなくて、少年犯罪が増えてゆくのだ。
本当はお金なんかなくても、気持ちしだいで明るく生きられる。
なぜ断言できるかというと、俺のばあちゃんがそういう人だったからだ。
40年前までは確かにあった幸せを放棄して、不幸なほうへ不幸なほうへと進んでいる
気がする。
みんな、道を間違うな! 佐賀のがばいばあちゃんの話を聞いてくれ!!
幸せは、お金が決めるものじゃない。
自分自身の、心のありかたできまるんだ。>
===== 本日の1冊 =====
http://www.amazon.co.jp/dp/4198920001 /ref=nosim/?tag=konohonomoshi-22
(注1)
参議院の予算委員会で、首相は、米価および麦価に関する質問に答弁する際、「所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります。」と発言し、これが「貧乏人は麦を食え」と伝わったため、失言としてマスコミから強い批判を受けた。この発言の真意は、池田が小さい頃から麦食であったため、お互いに苦しいときは麦飯を食べて頑張ろうではないか、というものだったといわれる。
発行者 早田 和
発行 まぐまぐ ID=0000223214
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