この本面白かったよ 猫ばあ ブック・レポート
vol.12 2007・4・13
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猫と本が好きな団塊世代です。面白かった!読んでよかった!誰かに読んでもらいたい!と「!」の付く本を紹介、というより「ねっ?おもしろいでしょ」と言いたくて、そして面白 いと思う本があったら紹介して、と初めてのブログを開きました。女性著者の小説、エッセイが多いかも。理数系、スポーツ物、時代物はゴメン、ほぼゼロです。
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サブタイトルは「インド・エリートビジネスマンの日本体験記」。
インドの貧しいバラモンの家に生まれ、奨学金により大学を出て市場調査会社に就職、1992年4月から2年弱日本に滞在したシャルマ氏が書いた本、ということになっています。
しかし、M・K・シャルマなる人物は存在せず、訳者である山田和氏が書いたものではないかという説もあるようです。1971年大谷壮一ノンフィクション賞受賞作、イザヤ・ベンダサン著、山本七平訳「日本人とユダヤ人」のように。
山田和氏は「インド旅の本」「インド代修業時代」などインド関係の本を何冊も書いているインド通です。「インドミニアチュール幻想」「インドの大道芸人」はいつか「猫ばあ ブックレポート」で御紹介できれば、と思っています。
シャルマ氏、山田氏どちらが書いたとしても、この本はインドと日本の違いを浮き立たせ、普段気にも留めていないこと、日本では当たり前のことに改めて目を向けさせてくれたり、インドへの興味をかきたててくれるとっても面白い本です。
「訳者の序―9億5千万分の1の確率で出会った本」(P6)の中で、デーヴァナガーリー文字(きいたこともない言葉、文字ですね)で書かれたこの本を見つけ、出版することになった経緯が書いてあり、その部分は私も「ホント?」と思いましたし、胡散臭いと思う人は思うかもしれません。でも読み物の導入部として、「昔々あるところに……」と始まる数々の物語と同じではないでしょうか。私はわくわくして読み始
めました。
まずインドを出発する日。その日程を占星術で決めたというのです。ヒンドゥー教徒ならたいてい持っているという、誕生星表(ジャナム・パトリカー)を元に占星術師がなんと現代ではコンピュータを使って計算するのです。
〜〜〜〜〜 本文より 〜〜〜〜〜
P18<私は占星術に懐疑的ではあるが、別の意味でそれを認めている。愛する父や母が信じているからではなく、何事につけても口を出す親族が多いこの国では、占星術での決定が皆を説得する口実になるからだ。
(なるほど。インド、占星術、などと聞くと「神秘の国」「みんなが占いを信じ、不思議な世界観を持っている」と思ってしまいがちですが、生活の知恵なのですね。)
P43(成田に着いて)<何かにつけて文句をつけ、ワイロを要求する係官も、乗客を無駄話で引き止める係官も、ここにはいなかった。係官同士が長話をしている風景も、茶をすすっている光景もなかった。―略― (空港内の銀行で両替して)くれた札はすべて新札だった。銀行員の前でそれを2度も3度も数えたら、銀行員は笑って気が済むまで確かめてくださいといった。窓口で銀行員が不正を働くことはないらしい。日本円はすべて紙の帯封でとめられ、ホッチキスでとめられていないのはおどろきだった。あいだから抜こうと思えば抜ける。誰もそういうことをしないのだろうか。>
(彼の地では全部この反対、ということがうかがえます。新札は本物かどうか疑わしいと考えるそうです。)
P97(日本のマンションに住むことになって)<廊下で線香を焚くのはもちろん、椅子どころかコップ一つ置いてはならないという。―略― 入居時に不動産屋から専有部分と、共有部分との説明をうけてはいた。だが共有部分とは皆が楽しむための空間だと理解していた。ところがそこは、歩くこと以外は一切許されない限定使用部分(プロテクティド・エリア)だったのである。私はテーブルを出し、夏には小さなベッドを出そうとさえ考えていたのでー略―>
(共有部分、そういわれればみんなでつかってもいいような気もしてくるわ。昔の路地のように)
P115<インドで歌や手品など(宴席で)披露すれば乞食のカーストだと勘違いされて翌日から口をきいてもらえなくなる。>
P300<セールス部門のビジネスマンは商人(ヴァイシャ)カーストを除いて主に最上位カーストであるバラモン・カーストのよって構成されている。バラモンであればどの家の敷居もまたぐことができ、どの会社の社長室にもはいることができ、どんな人物にも会うことができるから>
( カースト制度禁止は1950年にインドの憲法で明記されてはいますけれど、現実には根強く生活にかかわっています。その仕組みはちょっとやそっとでは理解できないもので、大きな5つのグループの中にまた500から1000以上の階級があるといい、結婚も同じ階級の中で決まるのだそうです。15年ほど前に評判になった、下級カーストから国会議員になった女性の話「女盗賊プーラン」(その後、プーランは殺されました)、17歳で結婚話が持ち上がった少年の物語「インド式マリッジブルー」をあわせて読めば、今IT産業ではなばなしい活躍をしているインド、日本でも評判のインド式教育、などとともに摩訶不思議でたくましいインドをもっと知りたくなるかもしれません。)
インド人が和食を食べたとき、日本人が南インドのカレーを食べたときの感想をそれぞれ書き写してみましょう。
P112<日本人は豆腐の仄かな香りを身上としているが、湯豆腐に代表されるように日本料理は総じて仄かな香りを追及する料理である。インド料理のように強く豊かな香りの豊穣を求めず、自然の素材の中に密やかな季節の香りを聞くことを歓びとする。喩えて言えば、ある日頬を掠めた一陣の風の中にチャンパの花の香りを嗅ぎ出すことによって一つの季節が終わり新しい季節がやってきたことを悟るような、予兆と象徴性に満ちた料理といえよう>
(あの強烈な香辛料に慣れた人には和食の風味は頼りなく感じるかもしれないと思うのに、仄かな香りを味わえるなんてすばらしいわ)
P70(南インドのカレーは)<全体にぱしゃぱしゃしていて、しょっぱくて辛い。味噌汁に仁丹と線香をたたきつぶして入れたような味です。>
(とろみのついたルーで煮込んだビーフカレー、あのカレーは「日本のカレー」であって、インド料理ではない。神聖な牛をカレーに入れるわけはないですもん。味噌汁に線香と仁丹だって!食べたことないけど想像できますね。)
脈絡なく気になったところを抜書きしましたが、では何が「喪失」した国、日本、だというのでしょう?
桜の頃に来日した、という設定になっていてさくらやお花見についてもかいてありますので、葉桜になってしまいましたけれど、どうぞ読んでみてね。
===== 本日の1冊 =====
喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」
M.K. シャルマ
価格: (定価:¥ 1,850)
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***** おまけの3冊 *****
日本人とユダヤ人
イザヤ・ベンダサン
価格:¥ 483 (定価:¥ 483)
http://www.amazon.co.jp/dp/4043207018 /ref=nosim/?tag=konohonomoshi-22
発行者 早田 和
発行 まぐまぐ ID=0000223214
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