[ 本 読書 ブック ]
この本面白かったよ 猫ばあ ブック・レポート
vol.24 2007. 7/6
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猫と本が好きな団塊世代です。面白かった!読んでよかった!誰かに読んでもらいたい!と「!」の付く本を紹介、というより「ねっ?おもしろいでしょ」と言いたくて、そして面白 いと思う本があったら紹介して、と初めてのブログを開きました。女性著者の小説、エッセイが多いかも。理数系、スポーツ物、時代物はゴメン、ほぼゼロです。
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鰻はお好きですか、といわれればふつう蒲焼や、うな丼を思い浮かべて、「大好き」と答えるでしょう。でもこの方、青山潤氏はどうも鰻そのもの、がお好きなようです。そうでなければこんな大変な思いをしてまでも鰻の研究をなさらないでしょうから。
「アフリカにょろり旅」の「にょろり」はうなぎのことなのです。鰻は養殖といっても卵から孵すのではなく、シラスと呼ばれる稚児を捕まえて大きくするのですが、そのシラスが少なくなっているということで、台湾が日本鰻の稚魚の輸出規制を打ち出し、続いて欧州もヨーロッパ鰻輸出を大幅に減らすことを決めたというニュースを耳にしました。
鰻の産卵場所は不明だったのですが1992年に東京大学海洋研究所の塚本勝巳教授が日本から2000キロも離れたグアム島付近ということを突き止めたのです。正確には孵化後2週間の仔魚から推定したもの。その後正確な産卵場所を求めての研究は続き、著者の青山氏はその研究グループの一員なのです。
鰻の種類は18種類、そのうち17種類は何とか集めることに成功したのですが残る1種類、ラビアータという鰻がどうしても手に入りません。ラビアータはアフリカに生息する鰻なので、アフリカに行くことになったというわけ。サンプルを取り寄せて、研究室でDNAだの何だのの研究をするのかと思ったら、著者を含め教授自らもアフリカに行くのだと知ってびっくりしました。
P16<シンガポールとヨハネスブルグを経由する40時間以上の移動でヘロヘロになっていたわたしたちは、マラウイ共和国の首都リロングェに降り立った>
そもそもマラウイが分かりません。手元の地球儀を見たらアフリカ南部、タンザニアやモザンビークにはさまれた内陸国のようです。大学の教授、研究者が現地に行くとき、事前に宿や交通手段を手配し、しかるべき人に会うべくアポイントメントを取り…と準備万端整っているのだとなんとなく思っていました。でも、違うらしい。この一行3人は、宿探しから始めます。
まず、現地人の足、ミニバスを捕まえて町へ出、運転手なりその辺の人に聞いて宿を見せてもらいます。その宿がすさまじい。あるところでは、バス・トイレつきホテルだとういので、喜んで泊まることにしたところ、こんな目にあいました。
<電気がないため薄暗いものの、バスルームだけでも8畳ほどの広さで、埃まみれの新しいタイルが貼られていた。「なっ、なんだこりゃあ!」埃だらけのピンク色の洋式便器の中から、40センチほどの高さで何かが立ち上がっていた。よく見るとそれはまがうことなきウンコであった。>
なんとこのトイレは見かけだけ、モデルハウスのように上下水道管が来ていないのでした。
肝心の鰻に関する情報集めでも、苦労して行って見れば、「採れたけど、売っちゃったぁ」とか「食べちゃった」といわれ、残骸を求めてその辺を掘り返してみたりむなしいことの連続。
あるときは内戦時代の地雷原脇のバス道路を走り辺境の検問所で、ライフルや自動小銃、ロケット砲まで目にしたり、未処理の地雷が沢山埋まっている湖畔とは知らずに、うなぎを求めて夜釣りをし、うろつきまわったり、はたまた原因不明の、もしかしたらマラリアかというひどい頭痛に襲われたりしながら、アフリカ鰻、ラビアータを求めてマラウイだけではなくモザンビークなどまで4500キロ以上もさまようのです。
そしてついに相棒の俊が衰弱しあまり物も口にしなくなってしまいます。
P216 <窓辺にぶら下がった洗濯物の隙間から見えるベッドに俊の足があった。目を凝らすとその足に無数の蝿がたかっている。皮膚の弱い俊は暑いところへ来るとひじやひざの裏側など汗の溜まりやすい所に湿疹ができる。それがかなり痒いらしく寝ている間にも掻きむしるため彼の関節の内側は出血してぼろぼろになっていた。蝿はそこにたかって俊の体液をすっているのだ。>
学者というものはここまでするのでしょうか。探検隊みたい。研究者になる前に海外青年協力隊でアンデスの住人の生活を助ける具体的な仕事をしたことのある著者は研究者のあり方に疑問を持ち塚本教授に「研究者なんて糞だと思います。何もできないくせに口ばっかりで!」とくってかかったこともあるのです。(その教授の返事、傑作。)そんな著者がここまでのめりこむ「うなぎ」。
俊は何とか体力を取り戻し無事帰国しますが、さて、肝心のラビアータは見つかったのでしょうか。後は読んでのお楽しみ、です。意地悪でしょ?
===== 本日の一冊 =====
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発行者 早田 和
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