部屋の前に着いたので、降りてもらいました。「立てますか?」、「・・・」返事も無く、まどろみながらふらついています。
ハイヒールを床に並べて、履いててもらいました。ふらふらして肩を貸してあげないと立てません。
「鍵は有りますか?」、「バッグに入ってるし出して〜」
僕は、バッグの中を探して、鍵を出しました。「開けましょうか?」、「開けてくれるぅ」女の子は言いました。
「誰か手伝ってくれる人はいませんか?」、僕はたずねました。会社の決まりで、中に入ることは、出来ないからです。
「一人暮らしやし、誰もいいひんの〜、中に入るまで、肩を貸してくれる?」
「いいですよ、歩けますか?」、女の子は、廊下の手摺にしがみついて、立っているのがやっとの状態です。
「僕の肩につかまってください」、そう言うと、肩を貸して、僕は、女の子の腰を引き寄せて、ゆっくりと玄関の中に入っていきました。
6帖位のワンルームで、奥にはベッドが見えています。
玄関に入ると、フロアの上に腰を下ろしてもらい、ハイヒールを脱がしてあげました。
ミニスカートなので、パンツが丸見えですが、女の子は、酔っていてそれどころではないでしょう。
「運転手さんありがとう、私も酔いを醒ましたいので、一緒にお茶でも飲んでいきませんか?」
僕は、一線を越えてはいけないと思い、「ありがとう、でもまだ仕事中なので、帰ります。良かったら、またタクシー乗るときに、呼んでください」と言って、名刺を渡しておきました。
「今日はありがとう、タクシーは、良く乗るので、また呼ぶし、のせてね、ホンマにありがとう」
「では、これで僕は失礼します、鍵を閉めて寝てくださいね」、そう言うと、玄関のドアを閉めて車に戻りました。
もうすぐ5時になろうとしています。僕は回送表示にして、ガスをいれに行きました。
十条大宮にガスステーションが有ります。タクシーの燃料は、液化LPガスなので、普通のガソリンスタンドでは燃料を入れられません。
時間はもう5時30分をまわっています、急いで営業所に戻らないといけません。
国道1号線に出て、しばらく南に一直線です。営業所に着くと、もう6時になっていました。
こうして、年末の1日が終わりました。売り上げは3万5千円を越えていました。僕としては、良くやったほうでしょう。
終わり
今回は、かなりの長編になりました。次回からは、1回づつで終わる、短編にしていきたいと思います。
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