[ 建築知識 ]

ここのところ、ブログ形式バックナンバーへのアクセスが増えていまして、気がつくと日に300アクセスくらい来るようになりました。うれしい限りです。ありがとうございます。

このメルマガに限らず、建設業関連の情報公開がネット上で一気に進んでいます。

「建築屋の社長」としては、恐い気もしますが、建築を注文するお客様の側に立てば、建築請負業者の信頼性に不安に感じるので、重要なサービスなのでしょう。以前は狭い地域社会の中で建築請負業者の信用情報というものは、人の口伝えで伝わってきていました。「口コミ」といってもいいかもしれません。「広告を出す建設業者は邪道だ」とまで言われていたそうです。現代のように人の移動が多い中、「口伝え」は希釈してしまっていて、請負業者の信頼の情報がなかなか伝わらなくなってきているようです。ネットでの情報公開は歓迎すべきですが、どうも「良い評判」よりも「悪い評判」、あるいは国土交通省の言葉で言えば「ネガティブ情報」が強調されていることが残念です。

私にとって非常にインパクトがあったのは、10月からはじまった国土交通省のサービスです。

副題が端的に内容を伝えてくれています。

(事業者の過去の行政処分歴を検索するサイトです)

興味のある分野を選んで検索画面を開き、条件を設定せずに検索ボタンを押すと記憶されている情報がすべて出てくるようです。これを見ると全国では相当数、建築請負業者への処分が行われていることがわかります。建設関連では記憶期間は5年だそうです。個人情報保護の関係か、まだ建築士など個人名については情報が載せられていないようです。

私にとって驚きであったのは、このサイトの情報を追っていくとニュースに現れる前の予兆であったと思われる情報があったことです。さすが国土交通省はやるべきことをやってからニュース発表していることがよくわかります。

サイト解説について国土交通省からのニュースリリースでは、その利用についてこう書かれています。

1一般消費者の皆様は、使用する住居や公共交通機関に関係する事業者の様々な情報を簡単に収集することができます。
2消費者の「選択行動」に影響を与え、事業者に対する新しい「監視の目」をつくることになります。

(「ネガティブ情報等を一元的に集約したポータルサイトを10月目途に開設します。」@国土交通省) 

ちなみに国土交通省のニュースリリースは信頼情報という意味では必見です。今回の建築基準法の改正に関する情報などについてもマスコミを通さない一次情報として見ることができます。

ちなみにちなみに、建築の関連は事務所や工場、店舗であっても「住宅局」という部局が担当されているのだそうです。ですので、部署別になっている「報道発表資料」からは「住宅関係」 に建築関連の発表資料が載っています。

日経BP社のKen-Platzでも記事がありました。

公開対象は、(1)すべての行政処分、(2)個別の事業者に対する社会的影響の大きな行政指導、(3)道路運送車両法違反に係る刑事告発、(4)国土交通省直轄公共工事の指名停止。検索メニュー欄に事業者の名称などを入力すると、過去の処分歴一覧が表示される。さらに、事業者ごとの処分内容を見ることもできる。
(「行政処分歴などネガティブ情報の検索サイトを開設、国交省」 Ken-Platz)

もうひとつ触れておきたいのが、「経営事項審査」制度です。

経営事項審査(けいえいじこうしんさ)とは、日本の建設業において、公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化した、建設業法に規定する審査。略して経審(けいしん)とも呼ばれる。

(wikipedia)

ほぼすべての建設業者は、公共工事に関わっていて、この「経審」を受けています。wikipediaでも触れられていますが、財務状況や職員の状況など公開されています。

株式公開企業でもないのにほぼすべての企業のこれだけ詳細な情報が公開されている業界というのは少ないのではないでしょうか?実は建築の技術というのは、多数の専門業者が関わって一つの建物を作るという性質上かなり基準化され、公開されています。これまで触れてきたような信頼情報も公開されているいま、これくらいオープンな業界はないと私は信じているのですが、いかがでしょうか?オープンな技術についてはまたいつか書きたいと思っています。

「情報」とは「情けの報せ」ともいいます。口伝えで信頼情報が伝わっていた時代は、「加減」というか「塩梅」というか、「情け」をもって伝えるべき情報、伝えないで留めておく情報の選別があったように思います。ネット上で機械的に伝えられる情報では、この「塩梅」とういフィルターがありません。法令遵守しなければならないのはあまりに当然ですが、「人の情け」が入らない信頼情報の公開が今後どのように展開していくのか期待と不安が半ばするというのがいつわらざる気持ちです。