私の古くからの友人であるおかげ屋の諸岡正浩さんが、サステナブル・コミュニティー研究所の川村健一先生の講演会を開いてくださいました。実に楽しい、発見に満ちた語らいでした。川村先生もすっかり成田を気に入ってくださったようです。
...と、パソコンの前で書き始めらら川村先生からメールがはいっていることに気づきました。びっくりです!成田を本当に好きになってくださったようで、メールの最後にこう書いてくださっていました。
「会う人毎に成田空港の隣の成田さん新勝寺商店街の宣伝をしています。
川村」
川村先生のように国内各地はもとより世界各国を飛び回ってくださっている方に、成田の応援団になっていただけるとは、本当にありがたいことです。
実は、一介の建築屋にすぎない私が考えることでもないのですが、最近公共工事ってなんのためにあるのか少々疑問に思っていました。本当に人のためになっているのか自信喪失の状態に陥っていたといってもいいかもしれません。
そんな中で、「そこに住む人々の力で地域はどんどん変えて行けるんだ、公共工事でもここまでできるんだ!」という具体例をいっぱい川村先生はお話してくださいました。
特に木野部海岸の話は感動しました。
私も知らなかったのですが、木野部海岸とは、青森県の大畑町にある北の海岸です。

この海岸を「里浜」として蘇らせる公共工事を実現した方々がいらっしゃるのだそうです。実に素敵です。
- 木野部海岸 @ 国土交通省新たな海辺の文化創造のホームページ
公共工事というのは、当然ですが規格が厳しく、まっすぐなものはどこまでもまっすぐに、効率的でなければならなないものはどこまでも効率的というのがこれまでの常識でありました。無駄はあってはならないのです。
しかし、この木野部海岸のみなさんは、まっすぐな護岸工事を壊して、その残骸で、子どもたちが遊び、海草が取れる「里浜」として再生させたのだそうです。
この活動は、グッドデザインや、さまざまな賞にも輝いたのだそうです。少々長いのですが、引用させてください。
青森県の海岸部における、既存護岸の改修工事。緩傾斜護岸を破壊し、コンクリート塊を海岸部に配置し砂浜の形成を促すとともに、自然景観における岩石の状態と近似的な風景を作り出した。プロセスとしては、より自然的な景観とするために、一旦設置したコンクリート塊をあらためて重機によって再配置し、その後は自然の波による安定化が進んでいる。計画の実施においては、地元のNPO法人の熱意により実現の運びとなるとともに、海岸部のメンテナンスも実施されている。結果として出現した風景は、完全の自然景観と見紛うばかりのものとなっている。一般に公共事業分野では、一旦施工したものを機能的な理由ではなく景観的な理由から破壊、再施工するということは考えにくい。本事業においては、NPOの熱意によってこうした「非常識的な行為」ともいえることが、破壊、施工、再施工という経緯を実現化させた。
(強調は本メルマガです)
GOOD DESIGN AWARD [ Results 2007 ]
ネット上にこの海岸の工事の写真がいっぱい載っています。見ていると「公共工事の枠組みの中でここまでできるんだ!」とびっくりしてしまいます。転載することはできませんので、リンクを載せておきます。
こうした動きは、木野部海岸に関わられた方々だけではないでようです。先ほどの国土交通省のホームページに「里浜づくり宣言」が載っていました。
「里浜」とは、多様で豊かなかつての「海辺と人々のつながり」を現代の暮らしに適う形で蘇らせた浜のことです。また、「里浜づくり」とは、地域の人々が、海辺と自分たちの地域のかかわりがどうあるべきかを災害防止のあり方も含めて議論し、海辺を地域の共有空間(コモンズ)として意識しながら、長い時間をかけて、地域の人々と海辺との固有のつながりを培い、育て、つくりだしていく運動や様々な取り組みのことです。
非常に熱いものを感じています。以前、「日本で最も美しい村連合」の話(参照)をさせていただきました。「美しい村」はどちらかというと山間部の村の運動でした。この「新たな海辺の文化創造」運動はその「海辺の村」版といったところでしょうか?
成田も負けていられません。硬い言葉で言えば、そこに住む人々が本気で「合意形成」(参照)を行えば地域のあり方を変え、地域の発展を実現することは十分に可能なのです。
熱い言葉で言えば、「みんなで語りだそう!みんなでつくっていかなきゃ街の未来はない!」、ということではないでしょうか?
木野部海岸の活動には程遠いですが、私どもはある小学校の屋内運動場の工事をやらせていただいています。この工事がおかげさまで無事進み、小学校の校庭で校長先生はじめ関係のみなさまと、足場が外れて全容が見えて行く場に立会いました。建設関係者にとって足場が外れて行く時というのは実にどきどきし、またうれしい瞬間です。
小学生のみなさんの写真を載せるわけには行かないのですが、運動場では元気いっぱいの小学生のみなさんが遊んでいました。その姿を見て、私は胸が熱くなりました。未来はこの子どもたちのためにあるのだなと改めて実感しました。その子どもさんたち、未来からの旅人が育って行く場を作る仕事をさせていただいていることに深い誇りを感じました。
「公共工事」にはまだまだやるべき使命があるのではないでしょうか?もちろん、自分たちで大大変革をしていかなければなりません。
