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アメリカ国防省外国語学校(DLI)の日本語部長をつとめる私、加藤喬(元米陸軍大尉)が「軍隊式英会話術」を公開します!世界各国に派遣される米兵に現地語を教えるDLI独自のカリキュラムをもとにした、実践的な英会話術です!

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2008/10/10

もしも、の英会話入門[軍隊式英会話術]vol.15

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◆ごあいさつ
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 日本で過ごした1960〜70年代、自分にとってアメリカは「夢の国」(dream land) 
でした。
 何がそう思わせたのかといえば、故ジョンF ケネディ大統領と彼が推し進め
た宇宙開発計画 (space development project) でした。

 「国が何をしてくれるかを問うのではなく、自分が国のために何ができるのか
を問いたまえ」(Ask not what the country can do for you.  Ask what you
 can do for your country)
 47歳の若い大統領の演説は、遠い日本のティーンの耳にも確かに届きました。
血が騒ぎました。

 「アメリカとは何と勇敢な国だ!若き指導者のなんと正直で、活力に充ち、そ
して誇り高いことか!」
 めくるめく共感の渦の中で、ごく自然に、そして、おそらくはナイーブに、自
分はアメリカに傾倒していきました。

 アメリカ崇拝を決定的にしたのが、アポロ11号の月着陸でした。凶弾に倒れ
た若きリーダーの遺志を継ぎ、アメリカは壮大な研究開発のマシンと化し、国を
挙げて月を目指したのです。

 「簡単だからではなく、困難であるからこそ、月に行く意味がある」の公約ど
おり、アメリカは60年代の終わりに人間を月に送り無事帰還させました。

 「この国では理想が現実になる。夢を、途方もない意思の力と技術力で実現し
てしまう国だ!」

 人類の未来はアメリカの「夢見る力」にある。めくるめく陶酔感のなかで、そ
う確信していました。

 それから40年以上がたち、アメリカはいま金融危機 (financial crisis) の
真っ只中にあります。
 サターン5型ロケットとかコンピューターとかいった、モノを作り出す基盤に
立った「夢見る力」(ability to dream) が忘れさられ、実際には何も生み出さ
ない不動産バブルの夢に踊らされた結果です。

 夢は夢でも、こちらは Pipe Dream。つまりアヘン中毒患者がパイプを吸って
見る幻想という意味です。

 不人気な現大統領の言葉に説得力がないばかりか、財政のプロであるべき財務
長官 (secretary of the treasury) や連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)
 のトップですら、危機の実態や解決法がよく分かっていないようです。
 垂直尾翼を失って操縦不能に陥ったジャンボジェット機というのが、今のアメ
リカ経済でしょうか。
 ではこのまま墜落するのかといえば、ぼくはそうは思いません。

 アメリカには、開拓者精神 (Pioneer spirit) がまだ息づいているからです。
旧大陸 (the Old World) から移民した人々とその子孫が、わずか二百数十年で
この超大国 (super power) を築き上げた心意気のことです。底力と言っても良
いでしょう。

 超大国といえども失速し、墜落の憂き目を味わう。これは敗戦や占領の苦汁を
知らない若年国家アメリカが成人するうえで、避けては通れない通過儀礼 (rite
 of passage) なのかもしれません。

 日本がアメリカの真の同盟国であることを示すときは今をおいてありません。
言うべきは言い、諌(いさ)めるべきは諌め、日本の国益は主張し、なおかつア
メリカの側に立ち続けることです。                (加藤喬)

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◆もしも、の英会話入門[軍隊式英会話術] vol.15
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第15話 もしも犯人と間違えられたら…                   Takashi Kato
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 もしも犯人と間違えられたら…

 洗濯物 (laundry) を取りに、ドライクリーニング店 (dry cleaner) にやって
きました。愛想の良い韓国人女性 (Korean woman) がやっているところです。

 店に近づくと、いきなりドアが内側から開け放たれ、2人の男が駆け出してき
ました。出合いがしらにぶつかり、歩道に仰向けに転がりました。
 男たちはそのまま走り去りましたが、後ろから見たところアジア系 (Asian-American) 
のようです。何かドアの横に落ちています。拳銃 (handgun) です。

 しばらく迷ったあと、子供がやってくるのを見て拾い上げ、店の中に入りまし
た。そのとき、急ブレーキが背後で起こり、タイヤが焼ける臭いがしました。

 "Freeze right there!"
 (動くな!)

 "Put your weapon down!"
 (武器を下に置け!)

 甲高い声が命令します。壁といわず床といわず、警告灯 (warning lights) の
赤と青の光がめまぐるしく駆け回っています。とんでもない事態に巻き込まれて
しまったようです。

 "Put your hands over the head and turn around slowly!"
 (両手を頭の上にのせ、ゆっくりこちらを向け!)

 振り向くと、警官が銃を向けてかがんでいます。銃口 (muzzle) が目の前にあ
ります。心臓の鼓動が跳ね上がりました。
 この絶対の危機を切り抜けるにはどうしますか?

 まずは警官を刺激しないことです。向こうもアドレナリンが体中を駆け回って
います。何かの弾みで暴発 (accidental discharge)させないとも限りません。
 この状況が間違いであることを説明してください。ゆっくり、はっきりした英
語で話しかけるのです。

 "Officer, this is a mistake"
 (お巡りさん、これは間違いです)

 その調子です。2人組の男が飛び出してきたことも言ってください。

 "Two men jumped out of the door and ran into me"
 (二人の男がドアから飛び出して、ぶつかってきたんです)

 日本語にもなっている「ジャンプ」を使いましたね。同じねらい目で、storm
 とか  rush  も考えてください。前者は Operation Desert Storm (砂漠の嵐
作戦)の storm  で「暴風雨」とか「荒天」転じて「荒々しく入る」「突入する」
の意味です。これにout of (から)をつけることで「飛び出してくる」になり
ます。

 ラッシュアワーは朝夕の混雑のことですね。動詞にすると「突進する」の意味
になります。同じくout of  をつけると「急いで出てくる」です。

 "How about the gun you had?"
 (持っていた拳銃はどうした?)

 警官がガードを下げました。疑いを晴らす機会です。正確に、端的に何が起こ
ったのか描写してください。

 "When they ran into me, we all fell.  One of them dropped the gun then"
 (彼らがぶつかってきて、3人とも倒れました。そのとき1人が落としたのです)

 "And?"
 (それから?)

 "I picked it up and enter the store"
 (銃を拾って店に入りました)

 良い動詞に目をつけました。ピックアップトラック(軽トラック)の pick は
「拾い上げる」という意味ですからね。

 "Why did you pick up the gun?"
 (どうして銃を拾ったんだ?)

 "I could not leave it unattended.  A kid could have picked it up, you know"
 (ほったらかしにしておくことはできませんでした。子供が拾うかもしれなかっ
  たから)

 説得力ある英語です。最近は旅客機の客室乗務員をフライトアテンダントと呼
ぶことがありますが、この attendant  は attend(付き添う) という動詞から
来ています。それに否定の un をつけて「付き添わない」転じて「放置する」の
意味になります。

 Leave something unattended  は「モノを放置する」「モノをほったらかしに
する」の慣用句としてよく使います。

 そのとき、店の2階から女主人が携帯電話 (cell phone) を握り締めてこわご
わ降りてきました。事態を見てとるや、警官に説明してくれました。

 "He is not the criminal!  He is my customer, officer!  The robbers are
  Asian gang members.  They pointed a gun at me so I ran upstairs and
  called 911"
 (彼は犯人じゃありません。うちのお客さんです、お巡りさん!強盗はアジア系
  不良グループのメンバーです。銃を突きつけるから、2階に逃げて110番し
  たんです)

 すぐさま警官が拳銃をホルスターに収め、丁寧な口調で謝罪してきました。

 "I am so sorry sir.  It was my mistake.  Please accept my apologies"
 (申し訳ありませんでした。わたしの間違いでした。謝罪します)

 彼は職務を遂行したに過ぎません。あの状況では、仕方のない間違いだった
でしょう。そう言ってください。

 "Officer, apologies accepted.  I have no hard feelings.  If I were you, 
  I would have done the same"
 (謝罪を受け入れます。恨みには思いません。自分があなたの立場だったら、同
  じことをしていたでしょう)

 「お詫びする」とか「お詫びを受け入れる」は offer apologies  とか  accept
 apologies  のように使います。硬い表現ですが、仕事の場では使うこともある
でしょうから、覚えておいてください。

 それにしても、銃口を前に英語が出てきたのはこれまでの反復練習 (repetitive
 training) の賜物です。今後もこの調子でやってください。


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