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「知ることは共に生まれること」(ポール・クローデル)
connaitre = con + naitre
メディアリテラシーの力を子どもたちに
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『小中学生のための世界一わかりやすいメディアリテラシー』を読んで
昨今、ネットによる「いじめ」とか「中傷」の類の事件が後を絶たない。学校の「裏サイト」というようなものまであって、子どもたちがネット被害に遭うことも多きなってきた。携帯電話の所持が当たり前のようになり(防犯のために、子どもたちの連絡のために、積極的に持たせようという運動さえある)、PCによるインターネットも普及し、メールやチャット、掲示板等での交流が盛んになればなるほど、その危険の度合いも高まる。便利な文明の利器は諸刃の剣でもある。
(#因みに、「いきいきニコラ」のサイトには「大人のしゃべり場」「子どものしゃべり場」などの掲示板があり、PCの専門誌から「安心して投稿出来る子どもの書き込み寺」の称号を頂いたこともある。)
だが、残念なことに携帯電話やインターネットでのルールが完全に確立しているとは言いがたい。「ネチケット」と言って、心ある人たちの間では社会でのルールを守るようにネット上でもそのルールを遵守しようという動きはあり、概ねそれが守られてもいる。だが、バーチャルなネット空間は匿名性の高い空間である。匿名性が重んじられるということは、生身の自分を晒すにはそれだけ危険性も高いということである。
特に今一番危険に晒されているのは、小中の子どもたちであるかもしれない。高校生くらいになればある程度の判断力もそれなりについてくるというものだ(大人の世界の入り口に立っているだけに、余計に危ないということも言えるが)、小中の子どもたちにはその判断力を求めるのは少し無理がある。むしろ、簡単に信じてしまう年頃でもあるのだ。親身になって自分の話を聴いてくれる同性の友達ができたと思えば、自分のプライバシーを覗くために甘言を装って近づく成りすましの異性であったりすることもないわけではない。
しかし、私たちの生活は、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、DVD、携帯電話、インターネット…など、片時もメディアとの付き合いなしには成り立たない。また、問題はネット被害だけではない。双方向のインターネットの時代には自分もまた加害者になり得るのである。さらにまた、夥しい情報の洪水の中で半ば溺れ、半ば陸の孤島に棲んでいるという事態にも大いになり得るのである。私たちがどうメディアと付き合えばいいのか、そういう緊急な命題を突きつけられてもいる。
だから、本書は時宜に適った出版であると言える。『小中学生のための世界一わかりやすいメディアリテラシー』(後藤武士著、宝島社、1238円+税 2008年3月26日第1刷)とある。頭の部分には「中学・高校受験の必須のテーマ、待望の解説書」ともあり、近年入試のテーマが「環境問題」から「メディアリテラシー」にシフトしてきている入試の現状もしっかりと踏まえている。
「大人に範を仰げばいいではないか」という声もあろうが、残念ながら、この問題は大人たちには一番難しい要求かもしれない。大人たちはまだ子どもたちに自信を持って提示できるシステムやルールを確立していないどころか、大人たちの方が子どもたち以上に情報の嵐に翻弄されて、うろたえている姿さえ見えなくもない。だから、「大人が変われば子も変わる」というような悠長なことは、ことメディアリテラシーにおいては言っていられない。子どもたちがメディアとの付き合い方を適切に理解し、情報の海を巧みに渡っていくためには、大人がどうあれ子どもたちに伝えていかなければならないことでもある。玉石混交の情報の山の中から自分にとっての宝石をどうやって探り当てていくか、そういう知恵も要求される。ある意味、メディアとの付き合い方は、子どもたちの「知の確立」の問題をも孕んでいるのだと私は思っている。
本書は、直接的には「小中学生の」子どもたちに向けて書かれた本である。確かにある程度メディアの付き合い方を心得ている人にとってはどれもが当たり前の解説であり、分かりきっていることばかりである。だから、かったるいとも言える。だが、ここには各メディアの特性やそのメディアとの基本的なあり方などがバランスを持って書かれている。だから、メディアとの付き合い方の入門書としては、子どもや大人に関係なくよく踏まえられているとも言える。その意味で、本書は大人にも子どもにもお勧めできる本である。
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