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「知ることは共に生まれること」(ポール・クローデル)
connaitre = con + naitre
「脳が喜ぶ」ことをすれば学力は伸びる
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『脳を活かす勉強法』(茂木健一郎著、PHP研究所、1100円+税)を読んで
#私は客観的な書評家ではない。私の読みは独断と偏見に満ちている
と断った上で書いている。
今、“奇跡の「強化学習」”とサブタイトルのあるこの本が売れているという。私が手にした時は“20万部突破”とあったが、すでに30万部を突破したらしい。いや、今日の新聞を見たら「40万部突破」とある。ここにも“勉強論ブーム”の余波がある。いや、余波というよりは渦中にあると言った方がいいのかもしれない。著者自身が東大でも指折りの秀才であったようだし、今を時めく脳科学者なのである。では、脳科学者とは何か?実のところ私は良く分かっていない。
普段、私はみんながブームの如く読んでいる本にはすぐには手を出さない。ほとぼりが冷めてそれでも読むに値するようだと感じた時点でやおら手にしたりすることが多い。だから、みんなが読んでいる本で読んでいない本も多い。そんな中で何故か手にした一冊だが、これはブームだからと買い求めたわけではない。もしかすると、「脳を扱っている若い学者だから」という興味からかもしれない。「ザ・プロフェッショナル」というテレビでその道のプロを招いた番組の司会もしているし、以前に「太田総理」の番組での「あは体験」の番組をチラッと見たこともあったからであろう。(「あは体験」については私は茂木氏とは別の見解を持っている)
脳科学者の書いた本にしては、正直ちょっと失望した。中身がすかすかで、とても軽いのである。もしかすると、これはタレント業として書きなぐった数多くの本の一冊ではないか。それに、この人は「小学校から高校までを通じて、最初からトップレベルだったことはことはありませんでした」と言い、「最初から取り立てて秀才とはいえなかった僕が」とあるが、だからと言って最初は下下下の成績であったとか並みの成績であったというわけではない。中学で悪くて10番ということは、この人は最初から秀才であったということである。そこのところはしっかり確認して読まねばならない。だから、ここに書かれていることは基本的に「できなかった生徒が東大にも受かる法」というようなものではなく、「できる生徒がさらにできるようになる法」とでも言うべきものである。
ただし、学生時代を通じて、さらに大学や研究職についても絶えずトップランクであるためにはどうすればいいかということを知る上ではとても参考になるとは言えそうだ。そして、そういう勉強法の中に実は“できない生徒”にとっても大いに参考になる、あるいは自分も著者と同じようになれるかもしれないと思わせる方法があるとは言えるそうだ。だから、むしろ、私としては秀才の立場からではなく自分も含めたそういう“鈍才”“愚才”の観点からよく見て行きたいと思う。
人間の脳は何かを成し遂げるとドーパミンという物質を出し、さらにそれを求めて強化学習のサイクルをまわすという。達成感が学ぶ喜びを引き出すのだ。そのためにはやる気・自発性を引き出すきっかけが必要だという。ほめられ、成功体験をつむこと、それが強化学習のサイクルを回すことになる。本書の最後の方に「安全地帯があってこそチャレンジができる」とあるように、この著者は最初からそういう恵まれた環境の中にあったと言えるが、それにはやはり“努力の人”であることも欠かせない要素であろう。つまり、“なろうと思えば、あなたにもできる”という要素がなければ、人はこういう本を買おうとは思うまい。そして、我々が知りたいのもそこである。「自分は松ではない。竹か梅の類だがそれでも大丈夫なのか」ということである。そこで、そういう観点を盛り込みながら、ここから様々な有用な教訓になりそうなものを引き出したい。
▼朝は脳のゴールデンタイム、睡眠はきちんととり、夜更かしするよりは朝早く起きて勉強しよう。
▼自分の内なる声に耳を傾け、自分を見つめ、自分の弱点を知り、努力で克服する。
▼自分にタイムプレッシャーをかけ、制限時間内に集中してやる習慣をつける。
▼五感を駆使し、様々なモダリティから働きかける。
▼大学に行けば何とかなるという時代ではない、現代の最高学府はインターネットにある。
▼出会いが人生を変える。知は人との関わりの中で育つ。
▼ごった煮の状態で培われる共感回路が大事だ。
▼不確実性を不安に思いつつ、同時にそれを楽しむこと。
▼人は安全地帯があってこそチャレンジできる。
著者の思惑とは別に、勝手な思い込みでピックアップさせてもらった。
最終的に著者は「知のオープンエンド」と言い、「学問ほどの快楽はこの世にない」と言い切る。彼は自分自身を「知の探究者」であり「知のエピキュリアン」と思っているようだ。やはり、愚才、鈍才でもいいよとはなかなかならないだろうな。多分「知のエリート」には受けるだろう。
※さて、実際問題、この本を誰に薦めたらいいだろうか。
とりあえずは、「我が子をできる子に…」と願っている教育ママごんか学校の教師辺りであろうか。小さいうちから、「知は喜び」「学ぶこと、知ることは喜び」という育て方をまずはして欲しいものである。この本の著者は「勉強しなさい」と言われたことがないと言っている。それがすべてのはじまりではないだろうか。
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