ああも言ったり、こうも言ったり
平面顔
「お前、田舎面してるよなー」そう言われたのは、
確か中学ニ年の時でした。残念ながら、的を得てい
るので何も言い返せませんでした。社会の時間に、東
北の林檎売りの少女の話が出て、真っ赤な頬っぺたを
して林檎を担いで売りに来ていたんだよ、というとこ
ろで、素っ頓狂な声である男子が私の名を連呼し、ク
ラス中大笑いになったことがあります。唐風樹下美人
図の下膨れのお多福美女の絵の説明の時も、私の名前
が連呼され、爆笑で一時授業が中断してしまいました。
「東京生まれの人とは、思わなかった」と言われた
のは、会社勤めをしていた頃でした。東京の、それも
所謂山の手生まれの筈なのに、何故かいつも地方出身
者と間違えられました。それも、切れの悪い顔立ち・
体付き・性格のせいだったような気がします。
結婚して地方の住人になってからも、娘の友人に、
「あんたのお母さんって平面顔しているよね」と言
われてしまいました。全く女の子はよそのおばさん
を良く観察しています。油断も隙もありません。で
も私の顔は、確かに平面顔。鼻が低くて、目鼻が小
さく、顔面積が不必要に広い。私の遠い祖先はモン
ゴルに住んでいたに違いありません。自分では、顔
の大きさを自覚していなかいせいか、顎の近くを洗
顔し忘れて、肌荒れをおこしてしまうことがよくあ
ります。
田舎顔の象徴・平面顔の私も、結婚して三年くら
いは自由で不干渉な都会生活が懐かしくてたまりま
せんでした。けれど子供ができ、友人が少しずつふ
えるにしたがって、だんだんこの地が好きになって
きました。東京から帰る電車の中から海が見えてく
ると何だかほっとします。やはり顔にあった所に住
む方が居心地がいいようです。
東京は、お金を持って、たまに行くパラダイス。
月一回の銀座通いがこれからのお楽しみ。それに
平面顔も、年を重ねてみれば、皺が目立たなくっ
て案外いいかもしれません。
―東京は、遠くで想う街。ここが、私の生きる場所―
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