ああも言ったり、こうも言ったり
ああ、納得
何故か、曰くありげなカップルばかりがいる、暗くてコーヒーの
不味い喫茶店に、間違えて一人で入ってしまったことがありました。
友人との待ち合わせまでの、時間つぶしに入ったのですが、隣の
テーブルに座っていた中年のカップルが凄かった。何が凄かったっ
て、もちろん会話が凄かったのです。うっかり人には言えないの
ですが、私は、全然聞いていないような顔をして人の話を聞き、
全く見ていないような顔をして、人をしっかりと見るのが、大変得
意なのです。
いわゆる不倫カップルに間違いないのですが、宝石と贅肉をたっ
ぷり身に付けた、極彩色のその女性は、相手の男性から何とか金
を引き出そうと躍起になっていました。曰く、「AさんもBさんもCさん
だって、あんなこともしこんなことまでして、お金を工面しているのに、
あんたときたら・・・会社から少しは借りられないの?何とかしなさい
よ、私のために」という具合です。声はでかいし、身振り手ぶりも加
わって、その迫力はそうとうなもの。気の弱そうなお相手の男性は、
「だけどな〜」「でもさ〜」「それゃ、無理だよ・・・」などとぶつぶつ呟
いていましたが、オーバーアクションの件の女性に飲み込まれるの
は、時間の問題という感じがしました。
友人との待ち合わせの時間が近づいたので、化粧室に入ったと
ころ、ドンドンと物凄い音でドアをたたかれました。ノックなどという
上品なものではなく、ドアを蹴破らんばかりの勢いでした。こちらか
らもドアを「コンコン」とノックし入っている合図を送り、「入っていま
す」と声をかけてもいっこうにおさまりません。「ドアをあけろ、早く
あけろ、今すぐあけろ。さもないとこのドアたたき壊すぞ」と、いわ
んばかりの猛攻撃です。そそくさと、すべきことを終えて、ドアをあ
けたところ、あの極彩色の女性が鬼のような形相で立っていて、
私を押しのけて個室へと突進し、大音響とともにドアをしめました。
あ〜あ、 びっくりした。でも、「やっぱりなぁ」と、納得。あの極彩色
さんなら、やりかねないわ。あの迫力、あの強引さ、やっぱりただ
ものじゃない。
喫茶店を出る時、ふと気になってお相手の男性をちらっと見たら、
ため息をつきながら、不味いコーヒーを不味そうに呑んでいました。
ー気ヲツケナイト、今ニ、会社ノオ金ニ、手ヲツケチャウヨー
みなさん、不倫にはくれぐれもご注意を。
まだ子供が小学生だっだ頃の話です。当時PATの役員をしてい
た夫が、用事があってどうしても出られなかったので、マラソン大会
のお手伝いに、代理で出席したことがありました。役員の奥様達が
輪になって、人員配置やら手順やらの相談を始めたので私も加わ
りましたが、その中に一人、際立って若くて綺麗で感じのいい女性
がいました。ところが何故か私以外の全員が、透明人間の如く彼
女を無視するのです。「どうして?何故なの?彼女のどこが悪いっ
ていうの?」と、不信な気持ちでいっぱいになりましたが、そこは何
せ代理という弱い立場。疑問を胸に抱いたまま、その場は黙ってお
となしくお手伝いをしてきました。
その後、彼女は、息子の同級生のお母さんで、バツイチで独身、
コンパニオンをやっていることがわかりました。私の住んでいる土
地は、観光地ということもあってか、主婦でコンパニオンをやって
いる人がやたら多いのです。それも、だいたい、早婚で離婚して
いるので、みんな若いこと。そろそろしなびかかってきたお母さん
たちから見ると、鼻持ちならない存在です。
娘が幼稚園の頃、なりたい仕事を保母さんが、漫画で描いてく
れたそうですが、「コンパニオンになりたい」と言った子がいて、
先生大弱り、着物を着てお酌している漫画を描いて何とか切り抜
けたそうです。コンパニオンをやっているお母さん達は、だいたい
グループで行動するので、とても華やか且つ賑やかで目立ちます。
そしてどうしてかPTA役員になりたがります。PATの親睦会ともな
ると、会長のお膝に乗ってお酌してあげたとか、校長先生にお口
アーンで食べさせてあげたとか、翌日には色々な噂がお母さん達
の間に広まります。
例の彼女は、コンパニオンのお母さん達の中でも、ひときわ美人
で可愛かったので、夫も「綺麗だよな」などと、時々話題にしていま
したが、ある時「今度、宴席に呼ぼうかな」と言い出しました。これ
には、驚愕。顔面蒼白。ーマズイ、マズイ。アンナ男好キノスルタ
イプニ、勝テルワケガナイ。ワタシガ、男ダッタトシテモ、ワタシハ、
私ヲ選バズ彼女ヲ選ブニチガイナイー泣かんばかりに必死になっ
て止めたところ、夫もしぶしぶ諦めてくれました。その時、わかった
のです。納得しました。役員のお母さん達が、彼女を透明人間扱い
した訳が。同じ場に絶対いて欲しくない女性。主婦にとっては、最も
危険な要注意人物。彼女の人格が本当はどうであれ、排除してしま
わないと、こちらの立場を侵害される恐れのある人物。
そうだったんだ。
その後、何年かして、彼女の消息を何気なく夫に尋ねてみたところ
「結婚したみたいだよ」と、そっけない返事。やはり気にかけてはいた
ようです。もしかしたら、宴席に呼んだこともあったかもしれません。
でも、もういい。とにかく結婚してくれたんだから、これで安心。何より
自費出版ネットワークとリンクしています。ここで、私が書いた5行詩の本「わたれない こうさてん」を、紹介・販売しています。ネット書店の画面から、検索していただくとでてきます。送料込みで、500円です。覗いていただけると、嬉しいです。
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000238230.html