■勝汰章の著作刊行本

「笑顔になるための246のことば」

悲しみを乗り越える時に・・・

夫婦/恋愛/会社、仕事/子供/家族/友情、信頼/お金/
お金/病気、事故/生と死/挫折/セックス/男と女/今/

2030年までの生誕月による運勢鑑定付

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■三章 過去 

京都の鞍馬の中川昭義の母親の家の前に着いた。

「ここですね? 新開さん・・・このアパート・・・101号室・・・」
「よし、ドアをノックしてみよう・・・」と、ドアをノックした。

しばらくすると中から、咳声とともに白髪の女性が顔を出した。
「・・・何ですか?」
「警察のものですが、中川昭義さんの?」
「母ですが・・・まだ、何か?・・・知っていることは全てお話しています。もう、話すことはありません。早く、昭義を殺した人を捕まえて下さい。昭義が不憫でなりません・・・」
と、体を丸くして咳き込みながら尋ねた。
「えぇ、必死で捜査しています。今日は、昭義さんの過去のことについて伺いたいことがあります。ちょっとお時間をもらえませんか?」
「・・・過去ですか?」
「えぇ、中学から高校にかけてのことです・・・事件に関係があるかもしれないのです?」
と、新開刑事は優しく母親の顔を見た。

すると、部屋の中に入って下さいという素振りになった。
母親は、60才ぐらいだと思う。肺と気管支の病気のために寝たきりだという。

その病気のせいで、年よりもかなり上に見える。

頬は痩せこけ、体も細く、見るからに病人ということが分かった。

生活保護を受けながらの生活だということも聞いていた。

「お母さん・・・昭義君の学生のころの話をしてもらえませんか? 学校のことよりも、学校以外でのことです。暴走族に入っていたということはありませんか?」
「・・・中学のころには・・・京都百足連合という暴走族に入っていました。免許もないのに、バイクを乗り回したり、他の暴走族と喧嘩ばかりしていました。小学生のころから、そのような人たちと付き合い始めて、中学には、どうしようもないほど悪事をしていました。私には止めることはできません。警察の方にも迷惑ばかりかけていました・・・」
「小学生から? 付き合っていたのは何という名前か覚えていませんか?」
「名前ですか? ええっと・・・確か、野上とかいう人と・・・田中という人と・・・その人たちは昭義よりも年上で、確か・・・あの当時は高校生ではなかったかと思います。何度か家に来たことがありました。それと、もう一人・・・名前は思い出せませんが・・・よく来る男がいたと思います。それ以外にも暴走族の人はいましたが、その三人が昭義を迎えにきたりしていました・・・」と、咳声になった。
「野上・・・野上に間違いはありませんか? 野上幸則・・・この男ですか?」
と、新開刑事は、野上の写真を見せた。


「・・・・・少し太ったように思いますが、間違いないと思います・・・目元のホクロに記憶があります。野上という男だと・・・昭義のことを好き勝手に利用していました。昭義には兄弟がいませんでしたから、兄のように慕っていたと思いますが、私から見たなら、やくざの子分のようなものでした。この野上という男が昭義を駄目にしたのです。この男と出会うまでは素直でいい子供でした・・・」
「そうでしたか・・・野上に間違いないということですね・・・それと、もうひとつ聞かせて下さい。南という男の名前に記憶はありませんか? 例えば・・・南紀夫・・・」
「南ですか? 南も野上と同じです。小さいころはいい子だったのですが・・・田中という男の名前は記憶にありません。 すいません・・・」
「いえ・・・記憶にないなら仕方ないと思いますが、あの当時の写真などはありませんかねぇ?」
「写真? 別の刑事さんにも聞かれましたが、一枚もないのです。生まれた時の写真はありますが、大きくなってからの写真はありません。写真の嫌いな子でしたから・・・」
「・・・そうですか・・・」と、新開刑事は残念そうな顔をした。
そこで、僕が尋ねることになった。
「雪田といいますが、お母さん・・・昭義君の暴走族以外の友人はいませんでしたか?」

「はい、何人かいました。小野田、志垣、確か・・・それと、年上になりますが、片瀬という人です。片瀬という人は、昭義の学校の先輩でした。昭義が暴走族に入ったことを残念に思っていて、何度も忠告してくれた人です・・・ 」
「その、片瀬という人の住所を知っていませんか?」
「知っています・・・近所です。昭義の葬儀にも来てくれました・・・」
その片瀬という男に会うために、僕たちは片瀬の自宅へ向かった。
この時点で、京都中央署の桑原刑事に片瀬という男のことを聞いたのであるが、署としては全く知らないということであった。


そこまでは捜査していないということだ。あくまで、暴走族の線からの捜査が中心であった。
片瀬栄治は中川昭義の三年先輩になるという。
建築関係の会社で働いているということも分かった。


「新開さん、野上幸則と中川昭義の接点はありましたね。大きな収穫ですよ・・・南紀夫との接点が不明なのが残念ですが・・・それと、田中とかいう男は誰なのでしょうか? 野上と一緒にいたということは、今でも野上と付き合いがあるのではないでしょうか? 田中・・・」
「雪ちゃん・・・俺もそう考えていたよ。それと、もうひとり・・・南ではないかと思う。写真でもあったなら、早かったが・・・日光南署に連絡して南紀夫の写真を送ってもらうことにするか? 俺のミスだ・・・野上の写真しかなかったからな・・・とにかく、隠し撮りでいいから送ってもらうことにする・・・」
と、新開刑事は、今野刑事に連絡をして写真の手配をした。
車は、片瀬栄治のいる家に着いた。


大きな家であり、表札には片瀬と書いてある。
おそらく、この家の息子なのではないか、さらに、表札の横には片瀬工務店とも記載されていた。


ドアのボタンを押した・・・
中から中年女性が顔を見せた。身なりのしっかりとした落ち着いた感じの女性であった。
「何かご用ですか?」ゆっくりと話す。

新開刑事は、素性を話して、片瀬栄治の所在を尋ねた。







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