■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
夫婦/恋愛/会社、仕事/子供/家族/友情、信頼/お金/
お金/病気、事故/生と死/挫折/セックス/男と女/今/
2030年までの生誕月による運勢鑑定付
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「現場におります。栄治に何かあったのでしょうか?警察の方ですから・・・」と、不安な顔をした。
「いえ、ちょっとお話を聞きたいだけです。栄治さんに何かあったということではありません。ご存知だとは思いますが、中川昭義さんの事件について聞きたいことがあるものですから・・・」
「・・・そうでしたか? 左京区のビルの建築現場にいます・・・今、電話してみますから・・・」
と、家の中に戻り、しばらくしてから、その現場の住所をメモしてきた。
ここから車で十五分ぐらいのところだという。
その現場に着き、片瀬栄治を呼び出した。
がっちりとした体型の、優しい顔をした男であった。
新開刑事は、中川の母親の言うことを説明すると・・・
「よく覚えています。昭ちゃん・・・昭義の仲間の野上と田中と南のことだと思いますが?・・・」
「うん・・・南・・・南紀夫ですか?」
「えぇ・・・そうです。南紀夫です。僕よりも5才年上です。野上さん・・・いえ・・・野上の一番の親友だと思います。昭義を暴走族に引き入れたのは南です・・・」
「詳しく話してもらえませんか?」と、新開刑事が言うと、昔を思い出すように・・・
「昭義が、小学校5年の時だったと記憶しています。南は、昭義の家の近くに住んでいました。年は離れていましたが、昭義と僕と南は仲のいい兄弟のようなものでした。しかし、南は野上が京都百足連合という暴走族を作ると、その仲間となったのです。最初は、十人ぐらいでしたが、次第に大きくなり三十人ぐらいになったと思います。僕も誘われましたが暴走族になることは断固として断ったのです。しかし、昭義は、兄のように慕っていた南からの誘いですから断りきれなかったのです。それで、暴走族に入って野上と知り合ったのです。野上という男も昭義のことを色々と面倒みていましたから、昭義も兄のような感覚があったと思います。それと、野上の家は金持ちで、裕福ではなかった昭義に小遣いをあげていました。だから、兄のように・・・しかし、野上の暴走行為はエスカレートしていき警察に捕まったり、さらに傷害事件も起こしたりしたのです。全ては野上の命令だったと聞いています。野上は、何もしなくて、金にものをいわせて昭義や南に命令をしていました。ひどい奴でした・・・」
「・・・ということは、昭義君や南紀夫は、野上幸則のいいなりだったということですね?」
「はい、絶対服従の関係だったと思います。それと、一年ぐらいで京都百足連合が解散になったので、その後のことは知りません・・・急に解散したのです。僕は、昭義のことが心配でしたから、昭義に会って・・・真面目に生きて欲しいと言ったのです、そうしたら、東京に行くということなのです。近所にも迷惑をかけたので、ここでは暮らせないと・・・お母さんにも迷惑だから・・・本当は優しい子なのです。全ては、南、野上・・・田中の責任です・・・」
「片瀬さん・・・その田中という人は誰ですか?」と、僕は口を開いた。
「田中ですか? 確か、野上よりも年下の奴です。詳しいことは知りませんが・・・いつも、野上と行動していました。学校にも行っていないということを昭義から聞いた記憶があります。父親と暮らしていて、遊興費は、野上から貰っているのだということでした。それで、子分のようについて回っていたと聞いています。ここ十年以上は噂も聞いていません。昭義も同じで、東京に行ったということは確認していましたが、連絡は一度もありませんでした。それが、死体で発見されるとは・・・」
と、悲しい顔をした。
「そうですか。田中という男について詳しい人はいませんか?」
「田中・・・田中・・・あぁ、・・・いますよ。叔父です・・・僕の取引先の大工なのです。確か、父親は交通事故で死んで、少しの間、田中・・・田中雅彦というのですが、その叔父さんのところにいたと聞いています。叔父さんなら何か知っているかもしれません。ここではなくて、別の現場にいますから、連絡してみましょうか?」
「助かります。それと、田中という男の名前は分かりませんか?」
「田中としか聞いていませんので・・・叔父さんに聞いてみて下さい・・・」
ということで、僕たちは新たなる情報を得た。
その叔父さんは、田中の父親が、高校の時に不慮の交通事故にあい他界してから、少しだけの間、面倒を見ていたということであった。
大工の職人らしい風貌だ。
「警察が何だ? えっ、甥っ子の、雅彦のことかい?」
「えぇ、雅彦というのか? どこにいるのかを知りませんかねぇ?」と、新開刑事。
「あんな、恩知らずの奴は知らない・・・もう、半年も連絡はない・・・生きているのか、死んでいるのかも知らない・・・で、何で東京の刑事なんだ? 雅彦が何かやったのか?」
「いえ・・・居場所を探している。何をやったとかではないが、ある事件のことで聞きたいことがある」
「また、何かやらかしたということだな? あいつなら、何をするか分かる。ろくでもない奴だから暴力団にでも入っていると思うが・・・連絡がないから何も分からん・・・東京にいると最後の電話があったが、東京のどこにいるのかは知らん・・・連絡はとれない・・・」
「東京?・・・」
「あぁ・・・半年前は金融関係の仕事だと言っていた記憶はある。ただ、どこかは知らん。父親が死んでから、俺が面倒を見てきたのに、東京に行きやがった・・・それが、十年前だ」
「・・・ということは、半年前までは連絡があったということか?」
「あぁ、半年前の電話が最後だ。今月になって少し心配になったから携帯へ電話をかけても使われていないということだ。毎年、年末には帰ってきていたが、今年の予定を聞こうと思って電話したら、使われていないということだ」
「携帯へ電話をかけたのは、いつなんだ?」
「十日前か・・・そこいらだ・・・俺に、内緒で携帯の番号を変えた。それで怒っている。まぁ、東京にいてもいいが、ただ、一人の甥っ子だから心配はしていたが、連絡がつかないなら、どうしようもない」
「十日前? それまでは、年に何回か電話はあったと?」
「あったよ・・・」
「雅彦を誘ったという人は誰なんだ? もしかして、野上か南という奴じゃないか?」
「野上だよ・・・昔からのワルだ。雅彦も野上という奴と知り合わなければ京都で仕事の手助けをしたいと言っていた。死んだ父親・・・俺の兄だが・・・大工だ。3人で工務店を作るのが夢だった。それを、野上という奴は台無しにしたということだ。暴走族に入らなければ・・・」
「雅彦の携帯番号は分かるかい?」
「あぁ、しかし、使われていないぞ。この番号だが・・・」と、携帯を見せた。
新開刑事は、その電話番号をメモすると・・・
「田中さん、必ず、雅彦さんを捜してみますよ・・・それで、捜索願を出してもらいたいのです。それがあれば、警察としても動きやすい。今、京都中央署の刑事を呼びますから書類を書いてもらいたい?」
「そうかい。あんたはいい刑事のようだな? しかし、雅彦が変な事件にかかわっていないといいのだが・・・で、何の事件なんだ?」
「鴨川で発見された、雅彦さんの知り合いの中川昭義という男の殺人事件だよ。昔の暴走族仲間を洗っていてな・・・それで、雅彦さんのことを調べるということになったんだ・・・」
「・・・雅彦も殺されているということか? えっ、どうなんだ?」
「・・・それは分からないから、こうして調べているんだよ」
「何もなければいいが・・・確かに、雅彦はワルだが、人を殺すような度胸はない。俺が一番知っている・・・雅彦に限って殺人をすることはない・・・頼むよ、刑事さん・・・」
叔父さんの態度は一変していた。顔には、殺人をしたのではないかということと、逆に殺されているのではないかという不安で蒼白になっていた。
新開刑事は、桑原刑事に連絡して捜索願の書類を持ってくるように指示している。
その間に僕は、叔父さんに尋ねた。
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