■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
夫婦/恋愛/会社、仕事/子供/家族/友情、信頼/お金/
お金/病気、事故/生と死/挫折/セックス/男と女/今/
2030年までの生誕月による運勢鑑定付
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「雪ちゃん・・・聞いているのか?」
「・・・小指の付け根に間違いはないよね?」
「間違いないよ・・・どうしてだい? 何かあったのか?」
「新開さん、今どこにいるの?」
「京都中央署だ。日光南署に例の田中雅彦の写真をメール転送で送ったから、その連絡待ちをしている・・・で、何があったんだ?」
僕は、この件について武田さんに説明した。
もしかしたなら・・・そのひき逃げ犯と同一かもしれないと?・・・
僕は、急遽、京都中央署へ戻った。
「新開さん・・・ちょっと、おかしなことが・・・桑原さんも聞いて下さいよ・・・」
僕は、武田さんの子供のひき逃げのことを説明した。
「雪田さん・・・何か関係があるかもしれませんね? そのひき逃げの資料をもう一度取り寄せてみたいと思います。もしかしたなら・・・しかし、15年も前のことですから、担当の刑事も退職したりしているかもしれません。とにかく取り寄せてみます・・・」と、桑原刑事は管轄警察へ向かった。
「雪ちゃん・・・また、ややこしいことになったな。線でつながるならいいが、もし、全く違うことなら回り道をすることになる。それは、桑原刑事にまかせておいて、例の田中雅彦の写真の件だが、さっき、日光南署の今野から連絡があったよ。野上の会社の中に田中はいないということだ。それと、解約した携帯電話の発信・着信履歴を確認したのだが、おもしろいことが分かったよ・・・田中は中川の携帯へ頻繁にかけている。つまり、中川と田中は連絡を取り合っていたということになる。勿論、野上との通話記録もあったが、突出して中川との通話が多いんだよ。それも、ここ最近になってからなんだ。去年は、ほとんどなかったのだが、今年になってからは異常に多い・・・何か大切な話をしていたと思うが?」
「田中は野上のところの社員ではなかったということですか? おかしいなぁ・・・てっきり、野上の会社で働いていたと思っていたのに・・・で、田中の所在は不明のままですか?」
「不明だ。野上の紹介で、どこかの会社にいたことは確かだと思う。しかし、どこなのかは不明だし、住所も分からない。ただ、携帯電話が野上の所有ということだけだ。野上に聞くしかないと思う・・・とにかく、明日、東京に戻って尋ねてみるしかない。それからだな・・・」
「・・・また、闇の中ですか? 田中はどこにいるのでしょうか? 新開さん、野上と南を任意で聴取できませんか? 中川の殺害された日時が確定しているのですから、アリバイを確認することはできると思いますが?」
「任意か?・・・元暴走族の仲間というだけで・・・任意は難しいかもしれん。・・・それと、野上の父親のことが分かった・・・京都で、大きな会社の役員ということだ。野上信也という男だ。その野上信也がやっかいなことに京都の代議士の後援会長なんだよ・・・うかつにやるとやっかいなことになる。さらに、その代議士は警察官僚あがりだ。課長が何というかな?」
「そうですか。やっかいですね・・・しかし・・・」
「雪ちゃん・・・しかしも何もないよ。確証もなく、任意で聴取したなら、俺の首だけじゃすまないかもしれん? 元警察官僚とは・・・困った・・・とにかく、ウラでアリバイを崩すしかないと思うよ」
「・・・首? そういうもんですか・・・何とかなりませんか? 一番怪しいのは野上なんですから・・・」
「明日、東京に戻ろう・・・こっちのことは桑原にまかせておけばいい?」
「分かりました。明日は、東山の祭りにでも行こうかと思っていたのに・・・今年も見ることができない・・・残念ですよ・・・空也踊躍念仏を一回ぐらいは見たかった・・・」
「祭りか・・・雪ちゃん・・・その祭りでも見て、夜に戻るかい? せっかく京都にいるのにもったいないな。その念仏を踊りながらやってみるか。何かアイデアでも閃くかもしれんな・・・」
ということで、空也踊躍念仏を見るために六波羅蜜寺に行くことになった。
不思議というか、念仏を唱えながら踊る・・・今年の汚れを落とすために・・・
そして、その夜遅くに東京へ戻ったのだ。
その夜、岩崎弁護士から電話があった。
「戻ったの? で、何か収穫はあったの?」
「色々と不思議なことが分かったよ。殺された中川昭義と野上幸則、それと、南紀夫も昔は暴走族だったよ。野上が何らかの情報を持っているという確信があるんだ。それで、明日から野上の身辺調査をやり直すことになったよ。アリバイは完璧なんだけど、何かが隠されていると思う?・・・」
「へぇ・・・線がつながったんだ。それで、安永恵理子の線は、どうなんだよ・・・」
「その線は何もないよ。京都でのことだから、安永には関係ないと思うよ・・・で、何で安永なんだ?」
「三浦真紀さんの義妹だろ・・・だから、心配になってね。ということは、野上のアリバイが崩れたならいいということなのかい?」
「いや・・・アリバイが崩れたからといっても、何の確証も物証もない。ただ、野上が殺したんじゃないかという推測だけだ。その推測で動くしかない・・・他に容疑のかかるような奴はいないから、とにかく、野上の線でいくということらしいよ・・・」
「やっかいな事件になったな・・・最初は、簡単に犯人を捕まえることができると楽観していたのに・・・」
「あぁ、調べれば調べるほど闇の中に入っていくよ・・・動機も何も見当たらない。ただ、京都で何かがあったのじゃないか・・・その何かが、十五年たった今となって殺人が起こっているのじゃないかと思っている。その何かさえ分かれば・・・」
そんな会話であった。
しかし、この岩崎弁護士と僕の会話の全ては、岩崎弁護士から三浦真紀へと流れていたのだ。
翌朝、野上幸則を再度徹底的に調査するということが決定したが、父親が代議士の後援会長ということで、確証が得られないなら任意聴取もやってはならないという上からの通達であった。
「雪ちゃん、捜査しづらいな・・・一応、課長は納得したようだけど、一歩間違うと、課長も俺も首が飛ぶと思うよ・・・一応、今野刑事にも伝えてはいるが、野上については慎重に捜査するようにと話したよ。南についても、野上の親友だから同じだ。外堀から埋めていくしかないな・・・さて、中川昭義が殺害された当日の全員のアリバイを掘り起こしてみるか?」
ということで、あまりにも大勢の捜査員なら問題も発生するかもしれないということで、野上や南についての捜査人員は縮小されていた。
野上については、多摩西部署、南については日光南署が担当するということになった。
他の刑事たちは、手と足首についての人物特定ということで捜査するということになった。
手に残っていた火傷のような傷については、全国の整形外科病院に照会していたが、何も得られることはなかった。
手と足首の人物特定は暗礁に乗り上げていた・・・
新開刑事も足を棒にして、野上のアリバイを崩そうとしていたが、完璧すぎるぐらいの鉄壁なものであった。
一方、南紀夫のアリバイについては、安永恵理子の証言があることで、崩せないでいたのだ。
つまり、京都で中川昭義が殺害された当日は、南と安永は仕事の関係で、一日中行動をともにしていた。
その当日の、安永恵理子からの証言である。
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