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●【21-CeLebの最新情報】第036号(2008.03.06)
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今回は楽器のお話です。
ディオニシオ・アグアド(写真)は19世紀に活躍したマドリッド生まれのギター演奏
家兼作曲家です。ギターという楽器の効率についてもこだわりを持っていました。
楽器といえば、ヴァイオリンのストラスバリウスなど思い浮かべますね。家屋敷を売り
飛ばしてとか、兄弟が応援してウン億円するデュランティを獲得できた千住真理子さん
とか、とかく話題になります。
なぜ演奏家はこういった名器といわれる楽器が欲しいのでしょうか?素人ながらギター
の経験で申せば、良い楽器=高い楽器とは、たぶん、楽に演奏できる、感情表現がスム
ーズにできる・・・くらいではないかと思いますね。ムリしなくても良い音が出る。
右脳の表現を100%引き出せる、これが名器なのです。
逆に、悪い楽器=安い楽器なら、初歩のうちはよいとして、上手になっても思った音が
出ない、つまり、感情表現すらできない・・これでは、音楽ではなくなり、'音が苦'の
状態に陥ります。こうなると左脳がイライラしてきます。
楽に良い音が出る・・・これはどういうことでしょうか? 超絶技巧というのがありま
すね。超絶!チョーゼツ!つまり、とてつもなく速い演奏のイメージですね。そうなの
です。音楽演奏で一番つらいのが、速く、しかも良い音で演奏することなのです。
ここでこだわりの洞察に入りましょう。
演奏するということは・・左指やら右指、右腕やらを動かすことですね。これを速くする
にはどうするか?いくら練習したところで筋肉動作の限界がありますから、より速くする
には、左手の運指ストロークを小さくすることに辿り着きます。つまり同じ速度で筋肉を
動かしても、二分の一の移動ですめば二倍の速度になるという理屈です。
運指ストロークが小さい・・・つまり運動エネルギーが小さい、速く動かせる・・・すると音
を大きくするために右手で弦をはじくとビビリ音が出てしまう(弦とサオがぶつかる)。
ところが名器は違うのです。弦のはじきが少なくても大きな良い音が出るのです。木の
質とか、年期とかの理屈はとにかく、響きの効率がよいのです。
少ない運動エネルギーで速く演奏できる・・・こうなると、演奏者は余裕を持って自分の
感情を込めた演奏ができるようになります。読者の皆さんもカラオケで歌うとき、良い
マイクで歌うと、楽して良い声が出る(ように思う)でしょう?自分の歌声に酔う?!
これと同じことです。右脳120%発揮の境地ですね^^。
かれこれ30年以上前ですが、会社のギターサークルで玖島隆明先生に教わったことが
ありました。玖島先生はギター名曲の編曲をされていたので以前から存じ上げていたの
ですが、まさかサークルで教えをこうとは夢にも思いませんでした。すぐに言われたの
です。「君の今の楽器ではダメだよ」と。これはいくら練習しても、楽器の限界がある、
ということでした。
勧められるまま給料の数倍もする手工ギターを購入しました。今思えば、制作者は日本の
草分けとされる名人・中出阪蔵氏によるものでした。その後、中出氏の息子さん、お弟子さ
んが日本のギター制作の第一線で活躍されています。
300年前のストラスバリウスとはいかないまでも、30年前の中出阪蔵ギターを押入れ
(!)から取り出して久しぶりに眺めたら、あめ色のツヤに名器の片鱗が浮かび上がって
いるようです。たまには弾いてやらねばマズイなぁ、と思ったりしています。
(本稿次回に続く)
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