[ エッセー ]

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21-CeLebの最新情報】第045号(2008.05.17
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今回はちょっと悩ましい”行き過ぎ”のお話です。


 

ビジネス社会ではいまやグローバリゼーション(グローバル化)というコトバは当たり前の感覚ですね。日本語でいえば地球規模化。これを環境でとらえれば昨今問題になっている地球温暖化あたり。

ちょっと前まではインター・ナショナル、つまり国際化という言い方でした。国際化のために言語の壁を超えねばならない。そこで英語が重要視され、TOEICのような共通テストが一般化し、韓国や中国に負けまいと小学校から英語教育が実施されたりする。トランス・ナショナルというのは、文化交流や多言語習得のような活動を通して、国々の壁を乗り越える、というときによく使われる。

さて、グローバリゼーションに戻りましょう。コトバの響きはよさそうですが、最近は影の部分が急速に広がり、地球規模の“病理”の様相を呈しています。行き過ぎはロクなことにならないことが分かっていても、人類という動物は行き過ぎてみて初めて気がつくように創られている証左ですね。バブル崩壊は行き過ぎの末路です。過去の体験が生きてこないのが“行き過ぎ”の特徴のようです。

病理の代表が過剰流動性、そう、まさに“過剰”なのです。なにが過剰なのか?それは余剰マネーです。贅沢病というか、飽くなき欲望の性(さが)というか。神の恵みにより油井を多くもつ国々は、オイルを売ってマネーに換える。いずれ枯渇する油井であるから、今のうちにマネーがマネーを生み出す金融システムを利用して、子々孫々が生きながらえる方策を確保しておかねばならない。これが持てる者の悩みです。このオイル・マネーを過剰に持つと何が起きるか?持てる者のみが知る悩みに陥るのです。さらに増やしたい・・、と。

では、どの金融システムを利用するでしょうか?利息がたくさんつく銀行がよい。一番安定していそうな先進国、つまり米国の銀行あたりに預けようと考える。ところが、グリーンスパン前FRB議長は、長い間、超低金利政策を指揮したので、預金してもマネーは一向に増えない。こうなるとアラブのアブラ長者がもつマネーの行き場がなくなる。

そこに眼をつけた知恵者が生まれる。ノーベル経済学賞を受賞したブラック・ショールズが編み出した方程式をベースにした金融工学を駆使して、あらゆるものを二次、三次、四次という金融証券にして、お買い得商品を並べてオイル・マネーを吸収するための受け皿を提供する。これが悪いとはいえません。アインシュタイン理論による原子力の平和利用は素晴らしい発明ですが、一瞬にして人類を滅亡させる核戦争をも可能にします。そう、愚かな人間が行き過ぎればロクなことにならないのです。

国の生産性が上がらないなかでマネーがマネーを呼ぶ構図は、ババ抜きゲームの投機しかありません。過剰流動化したマネーは投機ファンドに集まり、繰り広げられるマネーゲームは、いまやグローバリゼーションの波に乗って、あっと言う間に、私たちの生活にも影響を与えてしまう。サブプライムローンはその中のひとつです。ガソリン高騰もそうです。いまや多くの人々がこれらと無関係でいることができない。株価が下がればサラリーマンの退職金を運用する確定拠出金は目減りするのです。こうした負の連鎖が瞬く間に広がる環境がグローバリゼーションから生まれている。新型インフルエンザによるパンデミック(大流行)の危機にしても、交通往来の過剰流動性が高まることでリスクが高まっている。そう、何事も行き過ぎは危ないのです。

以前、マネーはモノやサービスという実体を購入してはじめて価値をもつ、と述べました。一番大切なモノとは何でしょう? そう、食物です。その大切なモノがどんどんマネーという紙切れに取ってかわり減少を続けている。グローバルな食糧危機は餓死者を生んでいる。その行先は見えています。末路に至れば紙切れをたくさん持つ勝者といえども例外ではない。グローバリゼーションという美しい響きに後悔しないために、それを人間尊重の視点から眺めかつ行動できる賢者や為政者が求められています。日本は政治的な後進国なので行き過ぎるまで気付きそうもない。最近になってEUの賢者達が”行き過ぎ”に気付き始めている・・。これはひとつの救いですね。

ご参考↓
1)金融・証券のためのブラック・ショールズ式とその応用 
2)金融・証券のためのブラック・ショールズ微分方程式―微分の初歩からやさしく学べてよくわかる

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