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 イランの核開発問題とは、ウラン濃縮活動の一時停止、再開また停止をIAEA(国際原子力機関)に報告しては、国連安保理での制裁決議を受けることの繰り返しであった。手始めに2006年の制裁警告決議を受け12月には制裁決議(1737号)、次いで昨年の3月の制裁決議(1747号)。
 

 これによってアメリカは動き出した。輸出規制とこの年2007年の10月にはイラン最大の銀行「メッリー」との取引禁止に踏み切った。12月には少しばかり軟化したかに見えた「米国国家情報評価」(NIE)を発表してイランは秋から核兵器開発を中止したという見解を発表している。(核開発の選択肢までは放棄していないと見ている)。
 

 この間中国は制裁決議には賛成はしたものの一貫して外交交渉による解決を主張してきた。
 

 この4月14日、注目すべき会議が上海で開かれた。イラン核問題での6カ国局長会議である。核問題解決に向けて、外交交渉によることが共通認識にいたったと報道されている。この意味するところは、アメリカの強行姿勢が立ち行かなくなった、その結果、中国の立場が重みを増しているとの現れだと見られている。
 

 チベット問題での中国の対応を見るとき、欧米からの批判に対しては終始冷静であった。人権というタームで中国を攻め込む欧米に対して決して欧米を悪者にして市民を扇動しようとはしなかった。我が国が安保理常任理事国入りを目指した時、それを阻止しようとする市民のデモを黙認したのとは大違いである。欧米の揺さぶりには決して乗るなという、毛沢東以来の最大の権力者、トウ小平の遺言のようなものが今でも失われずにあるかのようだ。
 

 59年の動乱では死者8万7000人、8万人の難民を生じたのに対して、今回の暴動では100人未満の死者数である。中国の統治が向上していることの証なのかもしれない。
 

 チベット問題では漢民族によるチベット文化の虐殺という見方もあるが、ダライ・ラマの独立を望んでいるわけではないという発言に象徴されるように、かならずしも文化の虐殺という捉え方が的を得ていないような側面もある。
 

 79年、社会主義体制の転覆を図ったという罪状で15年の懲役を受け服役しアメリカに亡命した魏京生氏がチベット問題でトウ小平に宛てた獄中書簡がある。この内容を貫くものは、少数民族が差別され、蔑視されることを憎み、また社会主義が正しいもののごとく解放を押し付けることに反発している。自由意志と民族自決を基盤にした連合を理想としている。
 

 亡命政府は連邦制民主主義国家をずっと目指してきたようだが中国は無視し、現在は自治区となっている。
 

 中国の経済援助は自治区の財政支出の90%以上を補助するといった手厚い支援をなしている。こういうこともあって、自治区の02年の総生産167億元は07年には倍増の342億元になっている。
 

 ダライ・ラマは88年の段階で独立の要求は取り下げて高度な自治要求(文化、宗教、環境保護をチベットの手にゆだねること)をかかげて対話を求めているが独立を警戒する中国側は拒否しつづけている。先頃、オリンピックとのからみで、対話に応ずると発表していたが、その動向が注目されている。

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 チベット、ラサの暴動から一ヶ月以上が経過しようとしている。この間中国でのオリンピック開催とからみ、各国の首脳の開会式参加が取りざたされてきた。ブッシュ米国大統領においては当初参加の意思表示を貫いてきたが、ここにきてトーンが落ちてきた。「8月の予定については今から言及するのは早すぎる」と報道官を通じて言わしめている。ヨーロッパのなかで最も親中的なサルコジ仏大統領でさえダライ・ラマ14世との対話をなすべしとの注文をつけている。中国側としては怒り心頭を隠せない。エアバスの飛行機を70機も買ってやったのに、なんたる恩知らずな。アメリカにいたっては、このところの経済低迷を中国がドルを買い支えることによって、恩を売っているという自負がある。英米イスラエルによる世界覇権主義を内心標榜して止まないイギリスは、早々に開会式への欠席を表明している。我が国の方向性はいつものことながらアメリカ追随が国是であるから、煩わしいことからは遠く離れていてもいいという気安さがある。
 

 チベットは清の時代に一度支配されたが、二度目は1950年に中国人民解放軍に侵略され独立の地位を失うことになる。その後自治区としての歩みを始めることになる。
 

 大きな暴動はダライ・ラマ14世がインドに亡命した1959年と天安門事件の起きた1989年の二度であり、今回の暴動は最初の暴動から49年目にあたる。しかもオリンピックという世界的注目の年にあわせるかのように行われた。非暴力をずっと唱えてきたダライ・ラマ14世を首謀者とみなそうとする中国政府。一方ダライ・ラマの統治が及ばない世代の出現を示唆する向きもある。 
 

 中国の人口浸透政策は国境を接するロシアにとっても最大の恐怖と見られている。その人口浸透が、現にチベットにおいては現実のものとなりつつある。2007年ラサの人口35万人のうち漢民族は20万人に達しようとしている。
 

 我が国もかつて国策として南満州鉄道を建設して満州にて資源収奪をなした歴史がある。2006年開通した清蔵鉄道は青海ーラサ間1145キロ、約3200億円をかけて建設された。ところでチベットが資源の宝庫であることが確認された。昨年2月の中国地質調査局の発表では銅、鉛、金、銀、鉄の鉱床が600ヶ所以上見つかり、銅の埋蔵量は3000から4000万トンにのぼると見積もられている。資源価値は1250億ドルと評価されている。
 

 2007年10月の中国共産党全国大会で胡政権の課題として、資源、環境、格差を上げ、その中で資源が国家の最重要課題と位置づけられている。 国家の品格の段階は国際社会で最も重要視されている人権ではなく13億人を食わせる品格に見える。現在チベット地区の20万人以上のインターネットは遮断されてあるようだ。またダライ・ラマに会いに山岳の尾根を歩行中に銃で射殺された僧の映像を流したアメリカにあるYouTubeは中国国内からも接続を遮断されている模様だ。

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 北極圏の領土獲得競争が激化している。先陣を切っているのがロシアである。昨年の8月初旬ロシアの小型潜水艇ミールが北極点に到達し、そこに開けられた穴から北極点下4,300メートルの海底に降り立った。有人潜水艇から繰り出されたロボットアームは海底にチタン製のロシア国旗を打ち立てた。ロシアは北極海に面した国々に先駆けて北極における自国の主権を自己主張した。カナダ側はいち早く反応して次のような談話を発した。「15世紀ならまだしも、知らない土地に行って、国旗を立てたからといって、自国の領土だなどとはならない」と。
 

 北極という環境は南極に比べて科学的に重要性を帯びているとは一般に考えられてはいない。また、南極は海のなかの陸なのにたいして、北極は大陸に囲まれた海という違いがある。
 

 海に関して海の憲法と言われているものは国連海洋法条約がある。この条約において沿岸国200カイリまでを排他的経済水域として探査と開発の権利が認められている。ところが大陸棚といって海岸から海底が延びていることが科学的に立証されると200カイリは350カイリ(648.2キロメートル)まで拡大される。これは、各国の申請に基づいて国連海洋条約に指定された国連大陸棚限界委員会(CLCS)が合法化するというものだ。アメリカのごとく国連海洋条約に批准していない国もあるが、アラスカという北極海問題にからんでいるアメリカとしては早晩批准をせざるを得ないとみられている。
 

 俄然北極圏に注目がいきだしたのは、地球温暖化と密接にからまっている。2020年までには北極海の氷は夏の間すっかり消失すると予想されている。このことは様々な波紋を投げかけることになった。ヨーロッパを地球温暖化に対して過敏にならせた原因の一つといわれている。フランスやイギリスなどは緯度的に札幌より北に位置している。だが暖かい。それはメキシコ暖流が北に流れついているからだと言われている。それが北極海の氷が溶け出してきていることにより流れ着かなくなる恐れがある。次に北極圏の資源に注目が集まりだした。あるコンサルタント会社の試算によると資源埋蔵量は石油換算で2,330億バレルで、その他に発見できる見込みのあるものとして1,660億バレルと見られている。世界の日量、石油実需は8,600万バレルという数字からどれくらいのエネルギー量かは類推できる。ただ北海圏資源の85%は天然ガスと見られている。
 

 北極海の氷が溶け出すと、大西洋と太平洋が北西航路で繋がることになる。そうするとロンドン、横浜間は、従来のスエズ、インド洋経由より7,000キロメートル短縮になる。ここでもカナダとアメリカは対立している。カナダは北西航路を自国管理下に置きたいのに対してアメリカは反対している。
 

 北極圏地域の領有権主張には各国に温度差がある。北極に個別国の資源領有権を禁止している南極条約のような制限がないことに加え、国際海洋法条約の批准を拒んできたアメリカ、好戦的態度のロシア、カナダ、対立より協調を求めるノルウェーなど立場の違いが出てきている。

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 閣僚対話として05年の英グレンイーグルズサミットで設立されたG20対話は3月14日に千葉市での会合を持って終了した。なにを話し合う対話なのかと言えば、地球環境問題である。もっと具体的には気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する対話である。
 

 日本側としては7月に我が国で開催される洞爺湖サミットの議長国ということもあり熱のこもり方も徐々にではあるが高まりつつある。
 

 この対話で我が国が用意した主張は、2020年時点での世界の温室効果ガス排出量圧縮は100億トン可能というものであった。これは国立環境研究所と京都大学による試算である。どういう捉え方かと言えば、00年世界の排出量は250億トンであり20年には430億トンになると見積っている。ところで排出量取引が全世界に普及したという前提で二酸化炭素1トンあたり100ドルで売買されることにより租税効果的な意味をもつことにより企業や個人の削減意欲が高まり予想値より100億トン削減可能と弾きだしている。
 

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が温暖化の原因を人為起源の温室効果ガスと断定してから科学者が一つに猛進したかのごとく一方向にまっしぐらに突き進んでいる観さえある。「それでも地球は回る」のガリレオ・ガリレイの科学と社会の関係を彷彿させる。我が国のプレートテクトニクス論を発表して地球地質学とでも言いえようか、そんな宇宙の中の地球という観点から今回の温暖化を見る視点は全然違ったものとなるようだ。温室効果ガスとしてCO2の十倍以上の効果を持つ水蒸気を記述からはずしたのはなぜなのかという疑問を投げかけている。また地球環境は銀河のなかの相互作用で決まるとの主張も傾聴に値する。きわめつけは地球環境にとって温暖化が問題なのではなく人口増加こそが大問題だとの指摘である。
 

 人口問題も含めて都市の興亡はローマ期からの必然だと言われるが今の地球には化石エネルギーを消費しながら大掛かりな繁栄と衰退を繰り返す程の余力がはたしてあるのかと疑問をぶつける識者もいる。この視点から環境に悪影響を及ぼすに応分の課税が必要だという主張に見て取れる。
 

 さて世界での二酸化炭素排出量の多い国を三つあげるとすると、一位は全体の22%を占めるアメリカ。18%の中国、6%のロシアとなる。日本は4.8%である。ドイツはEUの中では最大のエネルギー消費国である。排出量は3.2%である。ドイツの取り組みたるや性根がすわっている。エネルギー集約度(国内総生産1単位当たりのエネルギー消費量)は1ドル当たり0.18石油換算トンであり世界平均の0.32に比べて倍近い効率の良さである。また一次エネルギー消費に占める再生可能エネルギー(風力、バイオマス、太陽光)の比率が2000年の2.6%から2010年目標の4.2%をもうクリアしている。
 

 ドイツの戦略は明白なものになりつつある。気候に優しい技術を発展させその技術をいち早く市場にもちこみしかも他国でも使用可能なものにしていく。このことはドイツにとって、この分野でドイツは世界市場でのかなりのシェアを占めることにつらなり、また高度技術者の雇用という面でも優位に立つことになりそうだ。
 

 技術の勝負どころはCOを地中に埋め込むことを伴う発電技術や水素技術、それにエネルギー貯蔵、エネルギー効率化技術が上げられる。

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  3月1日イスラエル軍はパレスチナのガザ地区を地上部隊が攻撃して46人の死者と170人を超える負傷者をだした。
 

  このガザ地区を支配しているのは一般的に過激派と言われているハマスである。過激派と言われてはいるものの2006年1月の選挙では第一党になるほどの市民の支持を得ている過激派である。なぜ過激派なのかはイスラエルという国家を認めないと正面きって宣言し、暴力を前面にだしてもいるところに見出せる。こういう派が運営する政府をたとえ選挙の結果だからといって欧米は決して認めようとはしなかった。具体的にはハマスを排除しない限り援助は凍結するという圧力をかけ続けている。結果的にパレスチナは二つに分裂し、土地の広い西岸地区は穏健なファタハが手中に収め、一方南北50キロ、東西10キロの狭い土地、ガザ地区をハマスが治めることになった。
 

  この地上軍投入を中東大戦争になると危惧する見方がある。まず最初にヒズボラとの戦端はきって落とされ次いでシリアやイランの参戦へと連なるというものだ。その予兆として2月12日シリアのダマスカスでの4者会談を指摘している。この会談でイラン、シリア、ハマス、ヒズボラは対イスラエル戦争準備を打ち合わせたと言われている。それには付録がつき、ヒズボラの重要な軍事担当者ムグニヤがイスラエルの諜報機関モサドによって爆殺されている。イスラエル側は報道機関に対して否定はしなかった。
 

  イスラエル側は本格的な侵攻との見方を否定してイスラエル紙に通常作戦の一環というコメントを寄せている。これは侵攻の数日前に東京でライス国務長官とオルメルト首相との会談がもたれたと言われているがそれとの関連も指摘されている。
 

  中東が混沌としても影響を被らないのはロシアである。石油を初めとするエネルギーが高騰している限りロシアに利は大きい。一方の当事者であるアメリカは、イスラエルの右派リクードの思いのままに操られ、イラン空爆まで視野に入れざるを得ない状況までも押し込まれた。イラク攻撃ではアラブの全部から反米感情をもたれ、このままイスラエルの手のなかで踊らされ続けるときドルの基軸通貨としての地位も失墜しかねない。それはとりもなおさず中東での覇権の喪失を意味する。またそのことはロシアや中国の台頭ということの裏返しでもある。
 

  種子島程度の広さの土地に142万人が住むガザ地区はエジプト側の国境線を壁で封鎖され、最低限のエネルギー援助を敵のイスラエルから与えられることによってのみ生き永らえている。この惨状が続くならアフガン、ボスニアなどのように「イスラムの受難」というヒーロー的存在になりかねないと指摘する向きもある。
 

  人道的見地から最大のパレスチナへの支援国EUもようやく動き出すきざしだ。
 

  パレスチナ問題でのユダヤ人の主張をかいつまんで言えば「ユダヤ人から最初に土地を盗んだのはローマ人だがその後アラブ人が手に入れたからといって所有権はない」。一方のアラブ人の言い分は「勝手に人の土地にやって来て国を造るなど盗人猛猛しい」となるのであろうか。

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