電子説法一日一話 RSSを登録する

人の心を考えるサイト・法華コムがお送りする、メールマガジンによる法話集です。仏教の教えを基本に、世の中のいろいろな出来事を考えていきます。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2005/06/11

【電子説法】塚本邦雄死去

この記事を取り寄せる

(このメールマガジンは等幅フォントでお読みになることをお勧めします)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

          電 子 説 法 一 日 一 話

          平成十七年六月十一日 通番1297号

              提供:法華コム
            <http://www.hokke.com/>

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 合掌 こんにちは。

【時事随想/塚本邦雄死去】

 私は散文の人間です。詩歌によって物事を表現する能力には欠けています。
けれど、心から憧れる詩・歌・句に出会うことはあります。塚本邦雄の短歌は
そのひとつでした。

 十代の頃の私には、詩の良し悪しというものがまったく分かりませんでした。
詩を読む友人に「好きか嫌いかで判断すればいいんだよ」といわれても、好き
嫌い以前に何をどう鑑賞したものやら皆目見当が付かなかったのです。

 そんな私が最初に心を動かされた韻文表現形式は短歌でした。二十歳の頃に
とある文学賞に応募した際(最終選考で落ちました)、その審査員を、まだ存
命中であった渋澤龍彦・中井英夫の両巨人が務めていました。当時、渋澤の名
前は知っていましたが中井英夫についてはまったく無知で、それを機に講談社
文庫のいくつかの短編集と『虚無への供物』を読み、その幻想世界に私は惚れ
込んだのです。現在まで続く私のアマチュア作家としての幻想文学志向を決定
づける経験でした。そのうち、中井が元々短歌雑誌の名編集長として数多の前
衛短歌作家を世に送り出したことを知り、派生的に寺山修司・塚本邦雄らに目
を向けるようになったわけです。

 塚本の歌で一番印象深いのは「馬を洗わば 馬の魂冴ゆるまで 人恋わば 
人殺むるこころ」です。宗教学徒として信仰の問題を研究対象としながら自分
自身の信仰の在処に悩んだ二十代の私は、この歌の持つ強烈な実存的意識を衝
撃として受け止め、勇気づけられました。同じことは寺山修司「生命線ひそか
に変へむために わが抽出しにある一本の釘」にもいえます。散文家である自
分にはこうした表現は絶対に書けない、けれども心はこんなにも揺さぶられる
──まさに手の届かぬ憧れの歌々です。

 生活に追われて近年はこうしたジャンルのものを読む機会を失っていたので
すが、先日ふと思い立って職場の休憩時間の合間に読み始めていたのが、中井
英夫をオマージュして十七人の作家が競作した短編集『凶鳥の黒影』(河出書
房新社)でした。そこに届いた塚本邦雄の訃報、なにかしらのシンクロニシティ
を覚えます。昨夜は書架で埃をかぶっていた『塚本邦雄全集』(ゆまに書房)
をぱらぱらと紐解きながら、現代歌壇最高峰ともいうべきこの言語魔術師を偲
びました。

 と書いた辺りで子供が泣き出しました。さて、ミルクを作らなければ。

 今日も良い一日でありますように。再拝

======================================================================
■電子説法一日一話 平成十七年六月十一日 通番1297号
■発行責任者 :福頼宏隆(法華コム)
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
        <http://www.mag2.com/>
■マガジンID:0000034633
■バックナンバーは↓で参照できます。
        <http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000034633>
                  (まぐまぐバックナンバーシステム)
■購読登録/購読解除は↓から行うことができます。
        <http://www.hokke.com/mag2.htm>
■電子説法のご感想は、↓の「参詣者記録帳」またはメールにてどうぞ。
        <http://www.hokke.com/vis2.htm>
======================================================================

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る