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2005/07/26

【電子説法】幼心のイメージ

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          電 子 説 法 一 日 一 話

         平成十七年七月二十六日 通番1303号

              提供:法華コム
            <http://www.hokke.com/>

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 合掌 おはようございます。

【心の風景/幼心のイメージ】

 子供たちは数日前から夏休みを満喫しています。上の子はひとつがいのカブ
トムシに「かぶすけ」「かぶみ」と名前をつけて観察日記を開始、次男は幼稚
園からもらってきた十数匹の鈴虫「すずちゃんず」に霧吹きで水を与えていま
す。まったく子供はいいなあ、と勤労中年は羨ましい限り。

 夏休みに入る少し前、師僧から子供たちにと青山書院の仏教まんがシリーズ
をプレゼントされました。私も子供の頃に何度も何度も繰り返し読んだ懐かし
いシリーズです。「とうちゃんは、これが一番好きだったな」と『十王の話』
(鈴木修学監修・田村完誓解説・中村ひろし画)を長男に勧めました。十の地
獄の様子とそれを司る十人の王の説法を描いた作品です。案の定、長男は夢中
になって一気に読み終えて「うん、すごく面白かった。特に、岩がごろごろ落
ちてきて、潰されてもまた生き返る地獄が気に入った」と満足そうにしていま
す。

 仏教はもともと人の心に関する哲理を説くものですが、民衆宗教として広が
る過程で、様々な物語が生まれました。地獄に関する説話もそのひとつです。
「人は悪いことを行えばこんなにも残酷な報いを受ける」「懺悔と仏教の功徳
によって人は地獄行きを免れる」と説く法師の語りや演劇、絵巻物・読本など
は、一種のエンターテインメントとして広く人々に受け入れられると同時に、
人々に確かな宗教的観念を植え付けていた筈です。私自身を振り返ってもそう
でした。『十王の話』の残酷な魅力は、幼い私の心を惹きつけ、そして「地獄っ
て本当にあるのかなあ、悪いことをしたらこんな目にあうのかなあ、嫌だなあ」
という素朴な意識を培っていました。

「地獄なんてでたらめな話を教えて子供の不安を掻き立てるなぞケシカラン!」
と憤る宗教否定論者もいるでしょう。そうですね、ただいたずらに子供を不安
にさせるならば、それは害があるでしょう。けれども、地獄というものが物理
的現実として存在するかどうかとは別問題として、過去の人々が積み重ねてき
た文化としての「地獄」像を次代に伝えることはむしろ大切なことだと考えて
います。そのイメージが心を疲弊させ貶めることのないようサポートするのは、
周囲の大人の務めです。

 夏休み初日の先の土曜日、たまたま書店で小学生向けに書かれた出雲神話の
本を見つけました。さっそく夜の読み聞かせに一話ずつ読んでいるのですが、
ちょうど最初の話がイザナギとイザナミによる国産みから黄泉の国までの物語
で、八歳児君も五歳児君も息を呑んで聞き入っていました。現世と死後の世界
=黄泉の国との境にあるという黄泉比良坂(よもつひらさか)は、東出雲町揖
屋にあるとされています。また出雲市平田町の猪目洞窟も、出雲国風土記の中
で死の国に繋がる場所として描写されています。そうした話をしてやると、子
供たちの目はますます輝きます。「あ、もちろんこれは神話だから、昔の人が
想像したお話で科学とは違うからね」というと、科学好きの長男は「分かって
るよ」と頷いて、それでも興奮冷めやらぬ面持ち。知性と感性のバランスは、
今のところうまく取れているようで、安心しています。


 今日も良い一日でありますように。再拝

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■電子説法一日一話 平成十七年七月二十六日 通番1303号
■発行責任者 :福頼宏隆(法華コム)
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
        <http://www.mag2.com/>
■マガジンID:0000034633
■バックナンバーは↓で参照できます。
        <http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000034633>
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